ベルギーを代表するアーティストの一人であるジャン=ミッシェル・フォロン(1934-2005)。アメリカの『ザ・ニューヨーカー』『タイム』など、有名雑誌の表紙に挿絵が掲載されたことをきっかけに、多彩な才能を発揮して世界中に多くのファンを抱えています。
柔らかな色彩で描き出される詩情豊かな世界。しかし、美しい景色に惹かれてよく見てみると、環境破壊や人権など、現実に残る問題を目の当たりにすることになります。フォロンは、優しく、そして厳しく、この世界と向き合うためのメッセージを残しているのです。
フォロンにとって、日本では30年ぶりとなる展覧会「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展。が2025年3月23日(日)まで開催中です。本展では、ドローイング・水彩画・ポスター・彫刻・写真・オブジェ・アニメーションといった、約230点の作品を一挙に紹介しています。今回は、中でもおすすめの作品をピックアップしてご紹介します。
自らを「AGENCE DE VOYAGES IMAGINAIRES(空想旅行エージェンシー)」と名乗っていたフォロン。彼が作品にうつした謎やメッセージを、ぜひ見つけてみてください。
ものづくりを通して「暮らしを豊かにする」ことを目指す、大阪のクリエイティブユニット「graf(グラフ)」。この度、グラフはルイ・ヴィトンが運営するアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」にて 、子どもを対象としたコミュニケーションプログラム「Wonder! Espace Louis Vuitton Osaka(ワンダ ー エスパス)」をスタートします。
エスパス ルイ・ヴィトン大阪は、パリにある芸術機関「フォンダシオン ルイ・ ヴィトン」の「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として、同館の現代アートを中心とした所蔵作品を紹介してます。2015年のエスパス ルイ・ヴィトン東京における同プログラム始動に続けて、2021年にルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋5Fにオープンしました。
ワンダーエスパスとは、グラフようちえんとエスパス ルイ・ヴィトン大阪のコラボレーションによる子ども向け参加型プログラム。グラフようちえんとは、グラフが行うものづくりの視点から、こどもたちのこころを育むラーニングプログラムです。自分で考えたり、表現したりする体験を通して、こどもたちのこのような豊かなこころを育む機会をつくることを目指し、プログラム開発を行っています。日常にある身近な表現手法を通して、アートの楽しみ方を広げ、新しい発見や驚き、ワクワク感を引き出すことを目的としています。
講師に迎えるアーティストやクリエイターとともに、展示中の作品を参加者自らの体験として取り込んでもらえるよう、魔法をかけたような特別な時間を過ごして欲しいという想いが込められているとのこと。
第1回目は、現在「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」で行われているドイツ人アーティストのウラ・フォン・ブランデンブルクの個展「CHORSINGSPIEL(コアージングシュピール)」にあわせたワークショップを展開します。ゲスト講師として、アオイヤマダと高村月からなるポエトリーダンスユニット「アオイツキ」を招き、「ことばと踊る」をテーマに進められます。作品内のキーワードを身体の動きに変換し、展示空間内で作品を楽しむワークショップとなっています。
作家の制作手法から広がる新たな物語の中で、自由に身体を表現する楽しさを感じてみてはいかがでしょうか。
アオイツキ(ゲスト講師)
アオイヤマダと高村月が踊り語ります。自身の記憶の断片に凹凸を与え、身体と言葉のパフォーマンスへと昇華させることを試みています。ライブパフォーマンスやワークショップなどを行っているポエトリーダンスパフォーマンスユニットです。
土地や記憶から派生した高村月の脚本を元に、アオイヤマダが楽曲制作を行い、踊り語りシリーズ『ヒッチハイカー季節~冬~』、『文字の旅』、『居超』、『追憶特急チョコレート』などの作品を生み出しています。最近では、北アルプス国際芸術祭や宇多田ヒカルのライブ『SCIENCE FICTION』でパフォーマンスなどを行いました。
■Wonder! Espace Louis Vuitton Osaka vol.1 「ことばと踊る」
日時:2025年4月5日(土)10:00-11:40(受付開始 9:45-)※7-12歳対象
4月6日(日)10:00-11:40(受付開始 9:45-)※4-6歳対象
会場:エスパスルイ・ヴィトン大阪(大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトンメゾン大阪御堂筋 5F)
対象:1日目(4月5日 ): 7-12歳
2 日目(4月6日 ): 4-6歳
定員:各回20名
参加費:無料
共催:エスパスルイ・ヴィトン大阪、graf
「小山登美夫ギャラリー」と「MAKI Gallery」は、「小山登美夫ギャラリー前橋」にて、伊藤彩、カズ・オオシロ、田村琢郎、風能奈々、油野愛子によるグループ展を、2025年4月20日(日)まで開催中です。
アーティスト5人による本展は、それぞれの表現が共鳴することで相乗効果が生まれ鑑賞者の五感を刺激する展示となっています。
伊藤の作品は、オレンジ、赤、緑、紫、黄色など、人工的なネオンのような暗く鮮やかな色彩の渦、傑出した構成力の時空がねじれた背景、飄々とした人や何かが巨大化、矮小化されたり、浮いたりするなど、けだるい無重力の空間を覗き込んでいるような不思議な感覚を呼び起こします。
オオシロは、ポップアートやミニマリズム、抽象的表現主義などを参照しながら、それらの思想を独自に展開し、立体と平面、抽象と具象、リアリティとイリュージョンなど、さまざまな二項対立の上に立って作品の本質を探ります。
田村は日常風景から制作のインスピレーションを得ることが多く、特に交通に関連するモチーフをよく作品に取り入れ、持ち味の鋭い観察眼と高い技術力、 そして遊び心溢れる感性を活用して、身近なものを元の文脈や役割から切り離して、新たな存在意義を与えます。
風能は自らの生活での体験や感覚、感情を、新たな物語世界に昇華させるように緻密かつ大胆に作品として展開。繊細な筆致で高い密度のマチエール(絵画の絵肌といった、作品における材質的効果)を絡みあわせた画面は、磁器や彫金を思わせるかのような光沢と、刺繍や織物のような重層感があり、それをアクリル絵具のみで生み出しています。
油野は幼年期と青年期の間に横たわるギャップや感情をベースに、金属や樹脂、陶芸、アクリル絵具など多様な技術と素材で作品制作を行っています。自分とはなにかを問うその表現に、鑑賞者は自身の情景を映し出すことができるでしょう。
5人のアーテイストによる展示空間は、どのような作用をもたらすのかー。突出したアイデア、発想力、着眼点を持ち、独自にオルタナティブな道を切り開いている彼らによる展示をぜひご高覧ください。
■グループ展「伊藤彩、カズ・オオシロ、田村琢郎、風能奈々、油野愛子」
会場:小山登美夫ギャラリー前橋
群馬県前橋市千代田町5丁目9-1(まえばしガレリア内 Gallery 2)
会期:2025年3月15日(土)ー4月20日(日)
11:00 - 19:00 (月・火・祝 休み)
入場無料
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