アートに満ちた芸術文化の拠点として人と街をつなぐ 超高層複合ビル「TODA BUILDING」が、東京都中央区京橋に開業

2024/11/17
由 遠藤 友香

戸田建設株式会社は、東京都中央区京橋一丁目にて開発を進めていた超高層複合ビル「TODA BUILDING」を、2024年11月2日(土)に開業しました。これにより、2016年に都市計画決定の京橋一丁目東地区計画が完了し、街区「京橋彩区」もグランドオープン。オープニングセレモニーでは、中央区副区長、地元町会長並びに京橋彩区エリアマネジメント代表理事、当社代表取締役社長 大谷清介氏によるテープカットセレモニーのほか、江戸町火消による木遣りや纏振りなどの演舞が執り行われました。

「TODA BUILDING」について、代表取締役社長 大谷清介氏氏は「多様な価値を生み出し続けることはもちろん、これからも京橋の街とともに歩み、新たな文化を創出して参ります」と述べ、アートの力に満ちた新たな門出を賑やかに盛り上げました。

「TODA BUILDING」は、本社ビル建替えを機に、隣接街区と共同して都市再生特別地区制度(以下、特区)を活用し、特区テーマを「まちに開かれた、芸術・文化拠点の形成」と「街区再編、防災力強化、環境負荷低減」として、それぞれが超高層複合用途ビルを建設する大規模プロジェクトとして開発を進めてきました。

「TODA BUIDLING」は、ビル共用部でのオフィスワーカーと芸術文化エリア利用者の交流を意図し、8~27階をオフィスフロア、1~6階を芸術文化施設と商業施設で構成する地下3階地上28階建ての超高層複合用途ビルとなっています。「人と街をつなぐ」をコンセプトに、ミュージアム、ホール&カンファレンス、ギャラリーコンプレックス、創作・交流ラウンジ、ギャラリー&カフェを設けるほか、当社のアート事業を含む様々なアートプログラムやイベントを展開することで、オフィスの枠を超えたアートとビジネスが交錯する場所を創出します。「TODA BUILDING」は、新たな芸術文化の発信地として、江戸期より多くの芸術資産が息づく京橋の文化的価値醸成に貢献し、街に開かれたビルとして、オフィスワーカーへの「アート&ウェルネス」を提供していくとのこと。

また、「TODA BUILDING」開業とともに、パブリックアートプログラムが「APK PUBLIC Vol.1」スタート。「APK PUBLIC」は、新進アーティストやキュレーターによる都市の風景を担う大規模な作品発表の場として、「TODA BUILDING」の共用空間を活用し、更新性のあるパブリックアートを展開するプログラムです。来街者やオフィスワーカーが日常的に作品のある空間を体感し、クリエイティビティが刺激されることで、視野の拡張をもたらし日々の生き方や働き方を豊かにしていくことを目指します。

第1回は、国内外で活躍するキュレーターの飯田志保子氏を迎え、不確かな時代の閉塞感を未来志向のポジティブな展望に転換できるよう「螺旋の可能性―無限のチャンスへ」をコンセプトに作品を展開します。

【開催概要】
会期:2024年11月2日(土)~2026年3月(会期終了日は未定/ビル休館日はご覧いただけません)

時間:7時~20時

会場:TODA BUILDING 広場、1-2Fエントランスロビー(東京都中央区京橋1-7-1)

入場:無料

主催:戸田建設株式会社

アーティスト:小野澤峻、野田幸江、毛利悠子、持田敦子

キュレーター:飯田志保子


■TODA BUILDINGオープニングイベント

<第1弾>Tokyo Dialogue 2024 トークセッション 

開業直前の「TODA BUILDING」の工事仮囲を舞台に、今年10月に開催された屋外写真展「Tokyo Dialogue 2024」を出展アーティスト、キュレーターと共に振り返ります。写真と言葉による対話を通して、変わりゆく都市の姿を描き出すこのプロジェクトも最終回を迎えた今年、改めてプロジェクトを通して私たちが思い巡らせてきた都市の過去、現在、未来へのつながりについて、それぞれの対話を通して考えてみたいとのこと。

【開催概要】
日 時:2024年11月30日(土) 14:00~16:30(受付13:30)

会 場:3F APK ROOM

登壇者: 今井智己(写真家)、堂園昌彦(歌人)、上田 良(写真家)、青柳菜摘(アーティスト・詩人)、鈴木のぞみ(写真家)、藤井あかり(俳人)

モデレーター: 小髙美穂(キュレーター)

定員:会場30名 ※オンライン配信あり

参加費:有料/作品集付き

主催・企画:T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO、戸田建設株式会社

オープニングイベント Tokyo Dialogue 2024 トークセッション | EVENT | ART POWER KYOBASHI - アートパワー京橋


<第2弾>APK PUBLIC Vol.1 トークセッション  

「TODA BUILDING」の共用スペースでパブリックアート作品を展開するプログラムAPK PUBLIC Vol.1の開催にともない、トーク
イベントを開催します。4名の参加アーティスト、キュレーターが一堂に介し、企画検討から作品制作、設置、展示にいたる過程の様々な試行錯誤の様子など、ここでしか語れない制作秘話を語り合います。

【開催概要】

日 時:2024年12月7日(土) 13:30~16:00(受付13:00)

会 場:4F TODA HALL & CONFERENCE TOKYO・カンファレンスルーム401-402

登壇者:小野澤 峻、野田幸江、毛利悠子、持田敦子(すべてAPK PUBLIC Vol.1 参加アーティスト) モデレーター: 飯田志保子(キュレーター)

定員:80名

参加費:無料 ※申込は11月7日開始予定。

オープニングイベント APK PUBLIC Vol.1 トークセッション | EVENT | ART POWER KYOBASHI - アートパワー京橋


<第3弾>APK STUDIES トークセッション  

2025年2月にメンバー募集、6月に第1期がスタートするAPKSTUDIES のプログラム紹介を兼ねてトークイベントを開催します。APK STUDIES のファシリテーターと、ロゴ制作に関わったデザイナーと共にロゴ制作の経緯を振り返り、「広報」の仕事をしているAPK STUDIES 第1期のゲストを加えて、参加者も共にコミュニケーションデザインや運営チームの共通認識に関する悩みを話し合いたいそうです。

【開催概要】

日 時:2025年1月18日(土) 14:00~15:30(受付13:30)

会 場:3F APK ROOM

ゲスト:大西隆介(direction Q 代表取締役/APK アートディレクション)、中田一会(APK STUDIES 第1期ゲスト)

モデレーター:青木 彬(APK STUDIESファシリテーター) 

定員:20名

参加費:無料 ※申込は12月より開始予定。 

オープニングイベント APK STUDIES トークセッション | EVENT | ART POWER KYOBASHI - アートパワー京橋

障害のある方が、さらなる活躍の道を切り開いていけるようにとの思いを込めて開催中。国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」のグランプリは、仙台市在住の浅野春香氏の作品「ヒョウカ」。

2024/09/20
由 遠藤 友香

株式会社ヘラルボニーが、初めて主催した国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024(ヘラルボニー・アート・プライズ 2024」。同社は、障害のある方がひとりの作家としてその才能が評価され、さらなる活躍の道を切り開いていけるようにとの思いを込めて、「HERALBONY Art Prize 2024」を創設しました。「国籍や年齢はアンリミテッド!」であるとし、世界中の障害のある表現者を対象として、今年1月31日「異彩(イサイ)の日」から3月15日の期間中、世界28カ国・924名のアーティストから総数1,973点の作品を応募。作家のキャリアを新たな高みへと押し上げ、従来の「障害とアート」のイメージを塗り替えていくとのことです。

今回グランプリに輝いたのは、仙台市在住の浅野春香氏の作品「ヒョウカ」。グランプリ作品受賞作家には、創作活動を奨励する資金として賞金300万円が贈られるほか、ヘラルボニーと作家契約を締結し、今後さまざまなライセンス起用により国内外にその異彩を発信していくそうです。グランプリをはじめとする各受賞作家と最終審査進出作家の総勢58名による全62点の作品を一堂に展示しているアート展「HERALBONY Art Prize 2024 EXHIBITION」は2024年9月22日(日)まで、三井住友銀行東館 1F アース・ガーデンにて開催中です(入場無料)。

浅野氏は、20歳で統合失調症を発症後、入退院を繰り返しながら闘病を続けています。本格的に絵を描き始めたのは29歳のとき。受賞作品である「ヒョウカ」は「評価されたい」という作家の純粋な感情から制作されたそうです。作家は以前までその欲求を「恥ずかしいこと」だと思っていましたが、ある人から「それもあなたの素直な気持ちの表れ」と言われたことをきっかけに、ありのままの気持ちを表現して良いのだと気づきました。本作は満月の夜の珊瑚の産卵をテーマに、切り広げた米袋に満点の星空や宇宙、満月などのモチーフが緻密に描かれています。母親の胎内にいた頃の情景や、珊瑚の研究者である父親のことなど、作家にとって大切な存在である両親からインスピレーションを受けているとのこと。








「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT (マイクスラット) - 」大阪で開催!音楽とアートが融合するプロジェクトをレポート

2024/08/27
由 北村 大宰

8月12日から25日にかけて、アートイベント「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT (マイクスラット) -」が開催されています。

大阪(市内中心部、万博公園)と千葉(幕張新都心)の二か所で同時開催されており、日本最大級の都市型音楽フェスティバル「SUMMER SONIC」(8/17~8/18)との連携が注目されています。

 

日本を文化芸術のグローバル発信拠点に

本プロジェクトは文化庁が推進するプロジェクトで、⾳楽とアートの融合による「新たな価値」を創造する作品をアーティストと産み出し、日本が文化芸術のグローバル発信拠点になることを目指すものです。

SUMMER SONIC 大阪会場を訪れた文化庁の都倉俊一長官は開催に寄せて、「国としてあらゆるアートを応援していきたい」そして官民一体となって文化芸術を「より大きな意味でのカルチャービジネスにしなければいけない」とコメント。

さらに本イベントを来年開催の大阪・関西万博への足がかりとして、万博を通じてアートの国際的発信に力を入れていく意気込みを語りました。

音楽ファンで賑わう万博会場に大型アート作品が登場

久保寛子《やさしい手》

8月17日・18日に開催された「SUMMER SONIC 2024」とのコラボレーションは本プロジェクトの大きな見どころです。大阪会場となった万博公園(吹田市)と周辺には、GOMA(ゴマ)・奥中章人・久保寛子の3名のアーティストによる大型作品が野外展示されました。

 


GOMA《ひかりの滝》

アーティストGOMAの《ひかりの滝》は、アートと自然、そして音楽との融合が感じられる作品です。
風に揺らめく作品のバックに聴こえてくるのは、空気を静かに震わせるような不思議な音色。オーストラリア大陸の先住民アボリジニの民族楽器、ディジュリドゥを使った楽曲でGOMAが作品と同時期に制作したものです。

もともと世界的なディジュリドゥ奏者として活躍していたGOMAが絵を描き始めたのは、交通事故がきっかけだったといいます。高次脳機能障害や記憶喪失などの後遺症に悩まされるなかで、絵は「自分を癒すために描いていた」と振り返ります。

《ひかりの滝》で描かれている世界は、GOMA自身が意識を失ってから再び意識を取り戻す際に必ず見ていたという光景を絵画として再現したものなのだそうです。

 

17日夜には、ドローンショーを企画・運営するクリエイティブ集団「REDCLIFF(レッドクリフ)」とともに空中アート作品《ひかりの世界・阪栄の火の鳥》をお披露目。

1000機のドローンが花火と融合して空に描いた「火の鳥」は、GOMAが手塚治虫の『火の鳥』に触発されて制作されたものなのだそうです。
 

奥中章人《INTER-WORLD-/SPHERE:The Three Bodies》

奥中章人の《INTER-WORLD-/SPHERE:The Three Bodies》は、作品に直接触れて体験できる作品。

農業用ポリエチレンを素材に使ったバルーン型彫刻は、見た目はまるで大きなシャボン玉のようです。手で押すと簡単に形が変わるほど柔らかで、内側に入ることもできます。作品に触れ、作品越しに太陽の光を見つめることで、光や空気、風など目に見えないものを可視化してくれます。

街のなかで誰もが出会えるアート


渋田薫《Singin’ in the Rain》《ミライムジーク》

 

REMA《The Ecosystem of Love from That Time》

大阪市内では、音を色や形でとらえるアーティスト渋田薫や、過去と未来、デジタルとアナログが交錯するREMA(レマ)など、若手アーティストの作品を中心に12カ所に作品が展示されています。

展示場所は、関西経済連合会や地元の関連企業の協力によって提供されており、ほとんどがビルのエントランスやロビーなどパブリックスペースにあり、誰もが自由に見ることができるのが特徴です。

いくつかの作品をピックアップしてご紹介します。
 

大谷陽一郎《はん/えい #1》《はん/えい #3》

中之島フェスティバルタワー・ウェスト(3階オフィシャルエントランスホール)には、大谷陽一郎の《はん/えい #1》《はん/えい #3》が展示されています。

“はんえい”は「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT (マイクスラット) -」の2024年のプロジェクトテーマ。
はん、えい、と発音する約50種の漢字が波紋のように広がる作品で、「反映」や「繁栄」といった既存の言葉を超えて、新しい文字の出会いや、そこから広がるイメージや言葉の意味に想いを寄せることができます。
 

檜皮一彦《HIWADROME_TypeΔ_SPEC3》

同ビルの地下1階では、檜皮一彦の《HIWADROME_TypeΔ_SPEC3》を見ることができます。

約70台の車いすが三角形の構造物として積み上げられ、圧倒的な存在感を放っています。車いすを使用する檜皮自身にとって三角形の構造物は乗り越えるべきものの象徴。そして同時に、社会の中で誰もが体験する偏見や障壁の象徴でもあるのだそうです。
 

いつもの大阪がアートで変わる

会期中は地図機能のあるスタンプラリーアプリケーションを使ったアート巡り企画『STAMP MAP ART』を実施しています。
街に点在するアートを巡ることで、普段見ている街の風景がアートによって変わっていく様子を目にすることができるでしょう。
アートをきっかけに、いつもは通らない道、訪れたことのない場所に連れて行ってくれるのもこのイベントの楽しさです。
 

■「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT (マイクスラット) -」
会期:2024年8月12日(月)~25日(日)
会場:SUMMER SONIC 大阪会場及び周辺  8月17日(土)~18日(日)
   大阪市内中心部の展示  8月12日(月)~25日(日)
   ※各展示場所により展示期間が異なります(以下、WEBサイトにて詳細を掲載)
Webサイト https://micusrat.com

横浜・⼭下ふ頭で現代アートの祭典が初開催! 「Art Squiggle Yokohama 2024 (アートスクイグルヨコハマ 2024)」

2024/08/13
由 遠藤 友香

株式会社マイナビを主幹事とするアートスクイグル実⾏委員会は、現代アートフェスティバル「Art Squiggle Yokohama 2024(アートスクイグルヨコハマ 2024)」を、2024年7⽉19⽇(⾦)から9⽉1⽇(⽇)までの 45 ⽇間、横浜・⼭下ふ頭にて初開催しています。

⼭下ふ頭は、明治維新から世界と⽇本を繋いで、⼈、モノ、そして⽂化が交差し続けてきた場所です。本イベントの会場である⼭下ふ頭・4号上屋もまた、⽇本の⾼度経済成⻑を⽀えてきた時代のアイコンであり、巨⼤な躯体を⽀えるトラス構造の建築は、昭和の建築技術の粋を集めた圧倒的なスケール感の内部空間を有しています。 ⼭下ふ頭は数年後に⼤規模な再開発が予定されており、本イベントは、歴史的にも貴重な建築物をアートとともに体験する試みでもあるといいます。