安藤忠雄が美術館として建築、1994年に竣工した「大阪文化館・天保山」
2025年4月13日から10月13日の期間に開催される「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の会期に合わせて、安藤忠雄建築の大阪文化館・天保山、黒川紀章建築の大阪国際会議場・中之島、西成、 船場、JR大阪駅エリアなど、大阪・関西地区の様々な場所で展覧会やアートフェア、アートプロジェクトを展開する国際アートイベント「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」が、2025年4月6日から10月13日まで開催予定です。
文化芸術・ 経済活性化や社会課題の顕在化を意味する「ソーシャルインパクト」をテーマに、大阪市内一帯を利用した関西発の文化芸術を世界に向けて発信するほか、ドイツや韓国、アフリカ諸国の機関とコラボレーションしたプロジェクトなど、アートを通じた国際交流を行います。また本芸術祭の財源の一部として、文化芸術分野への民間資金の活用促進を図るため、地方自治体と連携し、企業版ふるさと納税を活用します。
関西地区は、古くは千利休や江戸時代の上方文化など、芸術文化と産業でその歴史を牽引してきました。しかしながら近年、東京に文化リソースが集中しており、文化庁が「関西元気文化圏推進・連携支援室」を開所するなど、日本文化が集積・保存されている関西からの文化振興の必要性が唱えられています。2023年3月には文化庁が東京から京都に移転され、「地方創生」の一環として、新たな文化行政への展開を進めるうえで、関西地方は重要な役割を担っています。
2025年に開催される大阪・関西万博には、現在161の国や地域が参加を表明。大阪・関西地区に世界中から多くの人々が集う万博開催期間と並行して芸術祭を開催することで、日本の文化芸術を世界に広め、文化芸術立国の樹立に寄与すると共に、アートを通じた地域活性化や文化の発展に貢献したいと考えています。
「Study:大阪関西国際芸術祭」は、先にも述べたように、文化芸術・経済活性化や社会課題の顕在化を意味する「ソーシャルインパクト」をテーマとした大規模アートフェスティバルの開催を目指し、その実現可能性を検証するためのプレイベントとして、2022年より過去3回国際芸術祭を開催してきました。このアートの力は観光コンテンツとしての活用など、大阪・関西のみならず日本全国の地域経済活性化に寄与できるものです。
■地方創生の財源として松原市と連携し企業版ふるさと納税を活用
企業と地方双方にメリットがあり、最大で約9割の法人関係税が軽減
今回の芸術祭を活用した地方創生の財源として、松原市(大阪府)の企業版ふるさと納税が活用されます。企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、国が認定した自治体の地方創生プロジェクトに対し企業が寄附を行った場合に、税制上の優遇措置が受けられる仕組みです。2020年度税制改正により、税額控除額の申請手続きの簡素化など大幅な見直しが実施されました。これにより寄附を行う企業の法人関係税の負担割合は最大約9割軽減されることとなり、今後、制度を活用する企業が増え、地方創生事業への民間資金の活用が進むと想定されます。また、大阪府松原市が窓口になることによって大阪市をはじめ、全国の企業も寄付することが可能なものとなります。
今回の芸術祭は、大阪・関西を起点にアートを世界に発信するという点で松原市に賛同いただきました。澤井宏文松原市長は、全国666市区町村が参加する万博首長連合会長及び、近畿の111市で構成される近畿市長会会長として、アートを通して地域活性化を目指しています。本取り組みを通じて、文化芸術産業を関西から盛り上げていけるような芸術祭の実現を目指します。
■安藤忠雄建築の大阪文化館・天保山、黒川紀章建築の大阪国際会議場、そして、これまでの西成エリア、船場エリア、JR大阪駅エリアなど大阪一帯を会場に「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」 を開催
1. 安藤忠雄建築の大阪文化館・天保山では、ドイツの研究機関と共に、「人間とは何か。」を問う“Reshaped Reality(仮)”を開催
建築家・安藤忠雄が美術館として建築、1994年に竣工した「大阪文化館・天保山」(旧サントリー・ミュージアム)会場ではドイツの研究機関 ”Institut für Kulturaustausch - The Institute for CulturalExchange”と共に、「Reshaped Reality〜ハイパー・リアリスティック彫刻の50年〜(仮)」展を、2025年4月より開催します。
ハイパー・リアリスティック彫刻は、人体や身体の一部の形態、輪郭、質感をリアルに表現し、それによって鑑賞者を視覚的錯覚に陥らせます。1960年代後半から、さまざまな現代アーティストが、モデリング、鋳造、ペインティングといった伝統的な技法を駆使して、人体の物理的な実物そっくりの外観に基づくリアリズムの表現によってもたらされる哲学的な発想や新しい芸術体験に挑戦してきました。
本展では、過去50年間におけるハイパーリアリスティック彫刻における人物像の発展を展示し、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博年に「人間とは何か。」を考察します。
2. 黒川紀章建築の大阪国際会議場(グランキューブ大阪)にて日韓合同の国際アートフェア「Study × PLAS : Asia Art Fair」を開催
日本・韓国の国交正常化60周年を記念し、韓国で2016年に誕生した現代アートフェア「Plastic Art Seoul(通称、PLAS)」と株式会社アートローグが共同開催する国際アートフェア「Study × PLAS : Asia Art Fair」を、黒川紀章建築の大阪国際会議場(グランキューブ大阪)にて開催します。本アートフェアを開催する同じ週には、1000年以上の歴史を誇り、毎年130万人もの人が訪れる日本三代祭の一つ「天神祭」が大阪天満宮・大川を中心に開催されます。
また、複数フロアで展開する同会場では、前回に続きクリエイティブエコノミー領域のスタートアップを対象としたビジネスコンテスト『StARTs UPs』を開催するとともに、これまで、フランス、ドバイ、メキシコなど海外開催で旋風を巻き起こしているNFTイベント「TOKYO SOLID」を主催するNOX Galleryが国内で過去最大級の国際的大型NFTカンファレンス「NFT.OSAKA(仮)」を開催します。音楽とデジタルアートに包まれるようなイマーシブ空間でのショー、AI、ジェネラティブアート、Web3など最先端のテクノロジー表現の展示・販売や、Web3分野の国内外のトップランナーによるカンファレンスやネットワーキングの場となります。
3. 大阪の歴史を紡ぎ出す西成エリア・船場エリアもこれまでに引き続き芸術祭を開催
釜ヶ崎芸術大学のアートに出会う日常に宿泊できる“Our Sweet Home”
森村泰昌(美術家)× 坂下範征(元日雇い労働者、釜ヶ崎芸術大学在校生)
かつて高度経済成長期の肉体労働に従事するために集まってきた労働者たちが住まう場所だった釜ヶ崎(西成エリア)は、近年は高齢化や外国人の増加、あるいは不動産投資による地価上昇など、さまざまなソーシャルな事象に向き合っているエリアです。本芸術祭では、立ち上げ当初から、このエリアのアートの力に注目し、多様な出会いを生み出してきました。
2025年、本芸術祭の会期中も、NPO法人「こえとことばとこころの部屋(ココルーム)」が運営する釜ヶ崎芸術大学、および「kioku手芸館 たんす」を拠点に展開するファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」等と連携し、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博年に、新しい出会いと創造の場が日常になるような活動を生み出していきます。
また、かつて物流の拠点となり全国から人と富と情報そして、文化芸術が集積する問屋街として栄えた船場エリアにある船場アートサイトプロジェクトの拠点「船場エクセルビル」(大阪市中央区久太郎町3-2-11)。地域の共創的なまちづくりと連動しながら「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」の重要な拠点として活用します。
4. JR西日本グループと横断的なワーキングチームを発足、本芸術祭の多様なプロジェクトへの活用を検討
本芸術祭.vol3 の「ルクアイーレ」展示風景。野原邦彦作品《雲間》
「拡張される音楽 Augmented Music」の佐久間洋司
前回開催の本芸術祭.vol3では、JR西日本グループと協力し、JR大阪駅直結のランドマーク「ルクアイーレ」施設内にてアーティスト・野原邦彦氏の大規模インスタレーションや、万博大阪パビリオンディレクターの佐久間洋司氏キュレーションによる「拡張される音楽 Augumented Music」展を開催し、領域をこえて幅広い層に大きな反響がありました。人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かし、魅力的なまちづくりと持続可能で活力ある未来を目指すJR西日本グループと本芸術祭は、2025年の開催に向けて横断的なワーキングチームを発足。JR西日本グループの多様な事業の施設や空間を本芸術祭の会場やプロジェクトに活用していく予定です。
次に、「Study:大阪関西国際芸術祭2025」の第1弾アーティストをご紹介します。
「大阪・関西万博」と「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」の開催半年前、第1弾として28組のアーティストを発表
Patricia Piccinini, The Comforter,2010 ©Patricia PiccininiCourtesy of Olbricht Collection and the artist
©TonyMatelli Courtesy of the artist and Institute for Cultural Exchange, Tübingen
「Study:大阪関西国際芸術 2025」の参加アーティストとしては、実物と遥かに異なる大きさの作品で見る者に違和感を植え付ける”ロン・ミュエク(オーストリア)”、異種交配によってつくり出されたかのような見たこともない生命体をリアルな存在感で表現する”パトリシア・ピッチニーニ(シエラレオネ )”、ユーモラスでありながら現代社会の矛盾を喚起する視点を投げかける”マウリツィオ・カテラン(イタリア)”らが参加します。
以上、いよいよ5カ月後に迫った「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」についてご紹介しました。アートを起爆剤として大阪・関西地区が盛り上がっていく様に、ぜひご期待ください。
■「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」
開催期間: 2025年4月6日~10月13日
会場:大阪・関西万博会場内、大阪文化館・天保山(旧サントリーミュージアム)・ベイエリア、中之島エリア(大阪国際会議場)、船場エリア、西成エリア、JR大阪駅エリア、他(2024年10月時点)
【主催】大阪関西国際芸術祭実行委員会
概要 | Study:大阪関西国際芸術祭 2025
【協力・後援】 ※前回実績
大阪府・大阪市、公益社団法人関西経済連合会、大阪商工会議所、一般社団法人関西経済同友会、 一般社団法人 関西領事団、公益財団法人大阪観光局、辰野株式会社、他
総合プロデューサー:鈴木大輔(株式会社アートローグ代表取締役CEO)