提供:2025年日本国際博覧会協会
本年2022年6月2日(木)に開催された大阪府議会で、公明党の八重樫善幸議員が大阪府政策企画部川端隆史部長と大阪府山口信彦副知事に対して、大阪におけるアートを活用した成長戦略について質問を行いました。
これに対して川端部長は、「行政として、アートを大阪の成長にどのように活用していくことができるか、関係部局とも連携し、検討していきたい」と回答しました。
さらに八重樫議員は、「アートは、欧米を中心とする富裕層から、投資対象としても極めて高い関心がもたれていると聞く。ここ大阪に、世界的なアート市場をつくることができれば、世界からの注目を集めるハイエンド都市として、新たな価値を獲得、大阪への投資の呼び水ともなるのではないか。万博を機に、世界中から人やモノ、投資を呼び込み、『国際金融都市』をめざす大阪にとって、アートはまさに、成長戦略として取り組むべきものと考えるが、改めて、今年1月にグランフロント等で開幕した『Study:大阪関西国際芸術祭』をご覧になったという山口副知事の見解を問う」と述べました。
これに対して山口副知事は、「この2月、『Study:大阪関西国際芸術祭』を拝見。絵画や彫刻、工芸品など、様々なアート作品に魅了されると同時に、多くの人たちが、その場で展示されている作品を購入する姿を見させて頂いて、アートを『文化振興』の対象として捉えるだけでなく、ビジネスとして国内外の人々を惹きつける力や、投資を呼び込む力があることを認識。改めて、アートには文化という面で、都市格を上げる重要なツールであるとともに、ビジネスとして発展することで、都市の『成長』にもつながる可能性があるのではないかと強く感じたところ」と答弁。
さらに、万博を契機とするアートを活用した成長戦略の推進について、「2025年には大阪・関西万博が開催。大阪が持つ文化や芸術、とりわけ多彩なアートを世界に向けて発信するまたとないチャンスだと考えている。万博のインパクトを活かしながら、アートを大阪の成長に結び付けていくためには、まずは行政としてどのような取組みを進めていくことができるか、明らかにする必要がある。この4月に設置した成長戦略局を中心に関係部局とタッグを組んで、また、アートビジネスに関わる民間の協力も得て、大阪が持つポテンシャルや課題を分析するなど、取組みの方向性をしっかり検討していく」と、より具体的で踏み込んだ発言をしました。
その後、大阪維新の会の大橋一功議員が大阪府府民文化部江島芳孝部長に対して、万博を契機とした文化芸術の振興について質問を行ないました。
これに対して江島部長は、「今後、国とも連携を図りながら、『大阪・関西万博』を見据え、さらなる大阪の文化芸術の魅力発信にしっかりと取り組んでいく」と回答しました。
さらに、大橋一功議員は、「「芸術」を「大阪の成長戦略」と位置づけるとともに、「大阪・関西万博」に向け、国の予算も獲得し、大阪市をはじめ府内の市町村とも連携を図りながら、文化芸術の振興、発信に一層取り組んでいただきたい。」と念を押しました。
アートローグでは、「国際芸術都市大阪」の樹立を視野に、2025年大阪・関西万博を契機として、ソーシャルインパクトをテーマとした、世界最大級のアートフェスティバル「大阪関西国際芸術祭(仮)」の開催を目指し、2022年からそれらの実現可能性をスタディするためのプレイベント「Study:大阪関西国際芸術祭」を実施しています。
今回の一般質問においては、大阪府山口信彦副知事をはじめ、大阪府において万博を契機にアートを成長戦略として位置付ける方針が表明されました。今後、これらの方針が具体的にどのような政策として進められていくのか、引き続き注目していきたいと思います。
大阪府議会 議会中継 http://www.gikai-chukei.jp/
6月1日 EXPO PLL Talks 平田オリザ ✕ 南條史生「アート & インパクト:イノベーターと共に考えるアフター万博の世界」開催! by 万博協会 ✕ ARTLOGUE
「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創チャレンジで、大阪・関西万博が開催される2025年にソーシャルインパクトをテーマした世界最大規模の「大阪関西国際芸術祭」の開催と、「国際芸術都市大阪」の樹立を目指しているアートローグのCEO 鈴木大輔が、アートやクリエイティブのみならず様々なジャンルでご活躍の方々をゲストにお迎えします。ゲストの活動も通して、2025年の万博以降に目指したい社会や、アートの持つ可能性について思考を重ねます。
【開催概要】
◯司 会:鈴木大輔(株式会社アートローグ 代表取締役CEO、Study:大阪関西国際芸術祭 総合プロデューサー)
◯ゲスト:
平田オリザ氏(劇作家・演出家、芸術文化観光専門職大学 学長)
南條史生氏(森美術館 特別顧問)
◯日 時:2022年6月1日(水)18:30~20:30(予定)
◯会 場:大阪工業大学梅田キャンパス OIT梅田タワー 3F 常翔ホール
(Google Map:大阪市北区茶屋町1-45 )
◯料 金:無料(要事前予約)
※本イベントは後日配信を予定しております。
◯御申込締切:2022年6月1日(水)14:00
お申込フォーム:https://forms.gle/Zj6CY4EZv4qBGtgv5
主催:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会、株式会社アートローグ
協力:学校法人常翔学園
助成等:令和4年度日本博イノベーション型プロジェクト 補助対象事業(独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁)、大阪市芸術活動振興事業助成金、TEAM EXPO 2025
※こちらの連続トークプログラムは、大阪・関西万博テーマ、「People’s Living Lab(PLL、未来社会の実験場)」のコンセプトのもと、会期前から、多様な実践者や有識者が、それぞれの立場からテーマに関する取り組みを国内外へ発信し、万博を共に創り上げていく場として開催するオンライントークイベントEXPO PLL Talksの一プログラムであり、「Study:大阪関西国際芸術祭」の一環として開催します。
※入場には必ずマスクをご着用ください。未着用の場合はご来場いただけませんので、あらかじめご了承ください。未就学児など、ご事情がある場合は、事前にスタッフまでお申し出ください。
※以下の症状をお感じの方はご来場をお控えください。
・風邪の症状がある(来場時の検温で37.5度以上の熱がある場合は入場をお断りいたします)
・倦怠感(強いだるさ)がある
・呼吸が困難である(息苦しい)
・過去 2週間以内に感染が引き続き拡大している国・地域への訪問歴がある
※本イベントでは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、お申込時に、ご同伴者様含め、個人情報(氏名、連絡先等)をお伺いしております。 感染者発生が出た場合にはこれらの情報が保健所等の公的機関へ提供されることがあります。ご記入いただいた情報は、個人情報保護法等の関係法令を遵守して適切に管理し、感染の発生がない場合、ご来場から1ヶ月間保管した後、速やかに破棄いたします。感染経路追跡のためにのみ使用し、他の目的では使用いたしませんのでご協力をお願いいたします。
コロナのパンデミックの影響を受け、制約のある生活を強いられる中、日本が世界に誇る国際都市・東京に新たな光を灯し、エンターテインメントやアートを通して世界中に希望を届けようと企画された光の祭典「TOKYO LIGHTS(トウキョウライツ)」。本年度が第1回目となり、2021年12月9日(木)から12月12日(日)まで、明治神宮外苑 聖徳記念絵画館、及び総合球技場軟式球場にて開催中です。何でも、日本の新たな冬の風物詩として、本祭典を盛り上げていきたいとのこと。
本祭典は、アジア最大級のプロジェクションマッピング国際大会「1minute Projection Mapping Competition」をメインコンテンツに、100mにも及ぶ国内最⻑の没⼊型光のレーザートンネル「MIRAI SANDO」、リアルパフォーマンス×映像テクノロジー×最先端レーザー技術が融合したショー「REFLECTION ―いのりのひかり―」、そしてイベントシンボルとなる光のモニュメント「TOKYO LIGHTS」といった4つの企画で構成されています。
次に、各企画について、詳しくみていきましょう。
2012年にスタートした本⼤会は、今回が東京での初開催となり、1分台という短い作品とテーマで競い合うもの。「希望/HOPE」を制作テーマにした今回は、世界54の国と地域から246組ものエントリーが寄せられ、⼀次審査を経て19組のファイナリストが決定しました。日本はもちろん、カナダ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ベトナム、インドネシアなどから参加したトップクリエイターたちのプロジェクションマッピングが映し出されるのは、重要文化財である明治神宮外苑の聖徳記念絵画館。世界中から集まるハイレベルで個性豊かな作品を、同じ会場で⼀度に⾒ることができる、唯⼀無⼆のプロジェクションマッピング国際⼤会です。
今回の審査員には、森美術館特別顧問で美術キュレーターの南條史⽣⽒、世界的メディアアーティストのRhizomatiks真鍋⼤度⽒、『踊る⼤捜査線』の監督で舞台演出も⼿掛ける本広克⾏⽒、グラミー賞など数々の受賞歴を誇り、USJのプロジェクションマッピングなどを⼿掛けるプロジェクション演出の世界的先駆者のBart Kresa(バート・クレサ)⽒、そして本⼤会の総合プロデューサーを務めるプロジェクションマッピングの世界的識者でクリエイティブディレクターの⽯多未知⾏⽒など、錚々たる顔ぶれとなっています。
審査員のBart Kresa氏が手掛けるBARTKRESA studioの作品も特別に上映
最終日の12日には、公開審査会並びに授賞式が開催されます。グランプリとして「東京都知事賞」、準グランプリに「TOKYO LIGHTS賞」、その他、「審査員特別賞」、「Tokyo Tokyo賞」、そしてオンライン上での投票結果で決まる「オーディエンス賞」も実施され、どの作品が賞を獲得するのか、目が離せません。
前回優勝し、今回審査員も務めるJulia Shamsheieva氏によるスペシャル作品上映も
全⾝に浴びることができる安全性の高い最先端のレーザーとファイバービームの光の3D体験に、⾳響技術を組み合わせた100mにも及ぶ国内最⻑の光のレーザートンネル「MIRAI SANDO」。会場の入り口は、「○」「△」「□」という日本古来のモチーフが取り入れられています。歩を進めていくと、スモークが焚かれており、レーザーの線が面に見えてきます。これは、光の旅の始まりをイメージしており、川の⽔⾯のように流れ煌めく光の粒⼦が全⾝を包み込んでくれます。浴びる光によって、⾃⼰をミクロの世界まで分解すると同時に、優しく温かなサウンドによって⼤⾃然と溶け合う空間を演出しており、ぜひ没入感を味わっていただきたいとのこと。演出は、東京2020パラリンピック競技⼤会閉会式で、クリエイティブディレクターとして演出チームに参加した潤間⼤仁氏が担当しています。
リアルなパフォーマーと映像テクノロジー、最先端のファイバービーム技術を融合した演出による、未だかつてない東京発未来型エンターテイメント。古くから、⾃然の恵みへの感謝と無病息災を願い⾏われてきた伝統芸能である、⽇本の「獅⼦舞」を雛形に、共に輝く未来を想像し、他者との関わりへの感謝を表現します。ファイバービームによるロボットアームを駆使することで、光の⽴体的な空間が演出され、⽣のパフォーマンスとデジタルアートが融合した新しいエンターテインメントを届けるとのこと。ショー以外の時間帯は、フォトスペースとして、⾃由に利⽤することが可能です。
「TOKYO LIGHTS」は、世界中からの希望や祈りを集め共有する、イベントのシンボルとなるモニュメントです。来場者の参加型インスタレーションとして、事前にSNSで募集したメッセージがアクリル板に印字されています。中から照明を当てて、空へ願いを届けるよう、光が上っています。来場者が思い思いに描く未来への希望、誰かのためを想う願いが、このモニュメントを彩っています。
「TOKYO LIGHTS」が東京から世界へ、新たな冬の⽇本のシンボルとなる、新しい光のエンターテインメントをぜひ体感してみてはいかがでしょうか。
開催概要
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■「TOKYO LIGHTS」
日 時:2021年12⽉9⽇(⽊)~12⽉12⽇(⽇)
12⽉9⽇(木)〜12⽉11⽇(土)
第1部 16:45~18:45 第2部 19:00~21:00(各⽇2部⼊れ替え制)
12⽉12⽇ 1回公演・公開審査会及び授賞式 17:30~21:00
会 場:明治神宮外苑 聖徳記念絵画館及び総合球技場軟式球場
料 金:無料(事前予約制)
*TOKYO LIGHTS会場への⼊場、各演⽬の観覧には、以下のチケットが必要になります。
①⼊場券(座席エリア)各回1,000枚程度
会場内への⼊場、及び絵画館前にて開催される「1minute Projection Mapping Competition」を着席での観覧希望の⽅は、こちらのチケットが必要になります。
②⼊場券(⽴⾒エリア)各回3,800枚程度
会場内への⼊場、及び絵画館前にて開催される「1minute Projection Mapping Competition」を⽴ち⾒エリアでの観覧希望の⽅は、こちらのチケットが必要になります。
TOKYO LIGHTS | トウキョウライツ
(左から)横山有次 岡山芸術交流実行委員会副会長(岡山県副知事)、リクリット・ティラヴァーニャ 岡山芸術交流2022 アーティスティックディレクター、石川康晴 岡山芸術交流2022 総合プロデューサー、大森雅夫 岡山芸術交流実行委員会会長(岡山市長)、那須太郎 岡山芸術交流2022 総合ディレクター、木ノ下智恵子 岡山芸術交流2022 パブリックプログラムディレクター、和氣健 岡山芸術交流実行委員会顧問(岡山市議会議長)
岡山市で3年に一度開催されている国際現代美術展「岡山芸術交流」。2016年の初回から、2019年、そして今回の2022年と、これまで3回行われてきました。総合プロデューサーに石川康晴(公益財団石川文化振興財団理事長)、総合ディレクターに那須太郎(TARO NASU代表/ギャラリスト)、そして本年度はアーティスティックディレクターにリクリット・ティラヴァーニャを迎え、岡山城や岡山後楽園周辺エリアの様々な歴史文化施設10会場を舞台に展開。すべて徒歩圏内でまわれるので、街歩きをしながらアートに触れることができます。13カ国から28組のアーティストが参加し、2022年9月30日(金)から11月27日(日)までの51日間開催中です。
また、本展が地域に開かれ、根ざし、持続可能な芸術祭になるように、パブリックプログラムも充実。例えば、アーティストトークや対話型鑑賞、子供ナビと楽しむアートツアー、クロージングイベントなど、岡山内外の人・場所・文化遺産の3つのポテンシャルを活かした様々な企画が展開されるので、ぜひこちらもお見逃しなく。
記者説明会において、リクリット・ティラヴァーニャは「本展のテーマは『DO WE DREAM UNDER THE SAME SKY(僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか)』で、これはお互いを理解するためのもの。夢はどんなものなのか、意識、無意識は別として、不安定な世の中だが、一緒に夢をみることができるか、その可能性を考えることが需要。たくさんのアーティストの素晴らしい作品を、岡山の方々に観て欲しい。夢に対して、眼と心を開いていきたい」と述べました。
オープニングセレモニーには、岡山芸術交流実行委員会会長の大森雅夫岡山市長が登壇し、「疑問文でない本展のタイトルの説明を受けていないが、一昨日ティラヴァーニャと会話をした際、彼はシャドウという言葉を使っていた。男女の差、民族の差、障害の差など、影からみた夢だと理解した。現代アートは、作品を観ながら自分で新たな解釈をするもの。今回は旧内山下小学校の体育館にある滑り台の作品など、参加型のものも用意している。地元の方々や子供たちに楽しんでいただき、考えていただく場としたい」と話しました。
今回は、本展に展示されているアート作品の中から、10作品を選りすぐってご紹介します。
リクリット・ティラヴァーニャ《DO WE DREAM UNDER THE SAME SKY(僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか)》 の作品に人文字で疑問符を描く、岡山市立岡山中央小学校の2年生の児童たち
タイ人アーティストであるリクリット・ティラヴァーニャは、料理や食、読書といった日常的な行為の共有を通じて観客と交流する場を設け、従来の展示形式を覆す表現で知られています。そんな彼の作品は、旧内山下小学校の校庭の芝生に、「DO WE DREAM UNDER THE SAME SKY」との文字を刈り込んだもの。
ティラヴァーニャは「疑問文としてすべての要素を備えていながらも、文末に疑問符のないこのセンテンスは、アイデアの入り口にしか過ぎない」と語っています。「この数年間、世界的パンデミックに加え、アメリカ国内の白人至上主義や世界各地のナショナリスト的ポピュリストの考えが強まってきた背景を踏まえ、この展覧会を、私たちの意識や起点を変革するものにしたい」と想いを述べています。
オープニングセレモニーの後、岡山市立岡山中央小学校の2年生の児童120名が来場し、この作品に人文字で疑問符を付けました。将来に対する夢を持つ児童たちの人文字は、胸に迫ってくるものがありました。
曽根裕
曽根裕《Amusement Romana(アミューズメント・ロマーナ)》
2000年、イタリア・ローマで開催されたグループ展の際に構想された、曽根裕の作品《Amusement Romana(アミューズメント・ロマーナ)》。遊園地にあるジェットコースターをモチーフにしたもので、実際に滑ることができます。2001年にドイツ・ビーレフェルトの野外彫刻展のためにプロトタイプが制作され、その後2002年に日本の豊田市美術館、2004年にアメリカ・ニューヨークのデビッド・ツヴィルナー、2005年に金沢21世紀美術館でも展示されました。
この滑り台のような作品は、大人も子供も実際に体験することができますが、高所から滑り降りるため、予想外のスピードがでます。「ちょっと怖いな」と感じたら、体験を中止することも可能。衣服を守るために、滑る前に白衣を着用します。衣服や身体への摩擦が心配な方は、腰布や肘当てを使用してください。身長110cmから滑ることができ、お子さんの場合は保護者の同意が必要です。
片山真理
片山真理《possession》
先天的な四肢疾患のため、9歳で両足を切断し「義足のアーティスト」として知られる片山真理。片山は「作家として生きること=経済活動をしていくことは社会に関わることであり、この社会では、私は障害者であり、女であり、母であり、いろんなタグがついている」と語っています。
20代の頃は、「特異な身体を被写体にすれば注目されるだろう」、「君の作品が評価されるのは君自身が障害者で若い女の子だからだよ」という心ない言葉を投げかけられることがよくあったそう。また、「ダイバーシティがテーマだから障害者が必要なんだ」と展示に誘われたり、妊娠に際して「障害のある子が生まれる」と他人に説教されたり、「セックスしてあげる」とホテルに呼び出されたリ、飛行機の検査やポートレートの撮影で突然大勢の前で「脱ぎますか」と言われることもあったといいます。
最近は、そんなことを気にも留めず、そのせいで落ち込むこともなくなったそう。彼女の作品《possession》シリーズは、教室に設置された暗幕と電飾の空間で、片山のセルフポートレートの作品を鑑賞できるもの。「よりよく生きることが最大の復讐だ」と述べる彼女の強い信念が伝わってきます。
プレシャス・オコヨモン
プレシャス・オコヨモン《太陽が私に気づくまで私の小さな尻尾に触れている(Touching My Lil Tail Till the Sun Notice Me)》
巨大なクマのぬいぐるみが、廃校になった小学校の水の抜かれたプールに横たわっているプレシャス・オコヨモンによる作品《太陽が私に気づくまで私の小さな尻尾に触れている(Touching My Lil Tail Till the Sun Notice Me)》。空を見上げるぬいぐるみが、鑑賞者に見おろされる様子は、まるで服従を意味しているよう。レースの下着を着用したクマという思いがけない倒錯性が、禁じられ、逸脱したセクシャリティを想起させます。
オコヨモンはこれまでの作品と同様に、本作品でも可愛らしさを概念的な戦略として利用し、鑑賞者の敵意を和らげることを試みてきました。性的概念を、大きなクマの愛らしい姿によって、芸術として昇華させています。
島袋道浩
島袋道浩《白鳥、海へゆく(Swan Goes to the Sea)》
神戸市出身で、旧内山下小学校の卒業生の母を持つ島袋道浩。幼少期、岡山城周辺を頻繁に訪れ、後楽園脇の旭川の茶店でも、ボートに乗って家族や親戚と共に遊んでいたといいます。
大人になり、アメリカやヨーロッパといった海外での活動や生活を経て、久しぶりに岡山を訪れた島袋は、子供の頃に遊んだ白鳥のボートが変わらずにそこにあることを見つけ、大変驚いたそう。世界中を旅してきた自身の人生と照らし合わせ、彼は白鳥のボートを海へ連れていくことを思いつきます。
海に連れていくことは、2012年と2014年の二度行われ、2012年は旭川河口の海の入り口までしかたどり着けませんでしたが、2014年には瀬戸内海、犬島まで到達。島袋が白鳥のボートに乗って海へ向かうときの高揚した気持ち、そのとき頭に流れていたメロディーを友人の音楽家である野村誠に伝えながら共に作曲し、ピアノの流れる映像作品《白鳥、海へゆく(Swan Goes to the Sea)》が完成しました。母が幼い頃に過ごしたであろう教室での展示は、島袋にとって特別な意味を持っています。
バルバラ・サンチェス・カネ
バルバラ・サンチェス・カネ《悪臭の詩(Versos Rancios [Rancid verse])》
メキシコ出身で、メキシコを拠点に活動しているバルバラ・サンチェス・カネ。サンチェス・カネの作品《悪臭の詩(Versos Rancios [Rancid verse])》は、主な素材として生の皮を使っています。物事が腐敗して、再生していく過程を表現しているといいます。身体の一部である皮膚を、どう変化させるのかがテーマとのこと。
サンチェス・カネは「私たちの身体の最大の器官である皮膚は、その審美的な特性によって人間を分け隔て、また引き離すものでもある。それは人を差別するツールとして、私たちのアイデンティティに根づいている。さらに皮膚は、それが覆っているもの、その内側にあるもの、見ることも触れることもできないものとして、私たちが守っているものを映し出す。
暴力の歴史を、虚弱性を、そして儚い生き物の死すべき運命を表すものを守るために、皮膚はその盾として機能している。私たちに押しつけられたものを守り、そしてその押しつけられたものの象徴的な再解釈を守るための盾となっているのだ」と述べています。
モダニズム建築の巨匠・前川國男によって手掛けられた「岡山県天神山文化プラザ」。屋上庭園やピロティなど、当時のモダンなデザインが随所に見られ、文化芸術の発信拠点となっています。
デヴィッド・メダラ
デヴィッド・メダラ《雲の峡谷(Cloud Canyons)》
2020年に逝去された、フィリピン出身の国際的アーティストであるデヴィッド・メダラ。作品は彫刻やキネティックアート、絵画、インスタレーション、パフォーマンスアートまで多岐にわたります。19世紀および20世紀のヨーロッパの芸術や文学に強く影響を受け、戦後ロンドンの前衛芸術界でも活躍しました。
本作《雲の峡谷(Cloud Canyons)》は金属や水、石鹸でできた、定型のない立体作品。生まれては消えていく石鹸の泡が、まるで人生を彷彿とさせて、感慨深いものがあります。
1964年に岡山市内で初めて開館した美術館として名高い「林原美術館」。実業家の故林原一郎が蒐集した、日本をはじめとする東アジア地域の絵画や工芸品と、旧岡山藩主池田家から引き継いだ大名調度品を中心とするコレクションを収蔵しています。
アート・レーバーとジャライ族のアーティストたち
アート・レーバーとジャライ族のアーティストたち《JUA-サウンドスケープの音(JUA-SOUND IN THE SOUNDSCAPE)》
アート・レーバーとジャライ族のアーティストたちの作品《JUA-サウンドスケープの音(JUA-SOUND IN THE SOUNDSCAPE)》。本作は、水田に設置され、農作物の苗を狙う野鳥を追い払うための、人間ではなく、空気や水、風によって演奏されるジャライ族の伝統的な竹製楽器に着想を得たもの。
この現代的なサウンドスケープは、竹や木などの自然素材と、鉄や波板、モーターといった工業化された素材の両方が組み合わされていて興味を引きます。カタンカタンと心地良い音を響かせる作品は、木製の鳥のオブジェなどもあしらわれており、見た目にもほっこりとあたたかいです。
1979年開館の、公立では国内唯一のオリエントを専門とする「岡山市立オリエント美術館」。美術館建築としては稀である、自然光が取り入れらており、柔らかな光が趣のある空間を生み出しています。
ヤン・ヘギュ
ヤン・ヘギュ《ソニック コズミック ロープ―金色12角形直線織(Sonic Cosmic Rope-Gold Dodecagon Straight Weave)》
ヤン・ヘギュの《ソニック コズミック ロープ―金色12角形直線織(Sonic Cosmic Rope-Gold Dodecagon Straight Weave)》は、金属製の小さな鈴を幾何学的なパターンで編んだ全長10mの作品。タイトルの通り、ロープ状の作品は吹き抜けの天井から吊り下げられ、1階のフロアに今にも届きそうです。
童話に登場するロープは、脱出の手段として用いられることが多く、ヘギュが着想を得たのも、韓国の昔話のひとつで、地上と空を結ぶ綱を登って危険を逃れた兄妹の物語だといいます。
ヘギュの作品の多くがそうであるように、この彫刻も人が触れることによって動くキネティックな要素を備えています。作品の鈴を手で操ると、共鳴してシャランシャランといった音を奏で、柔軟な構造を持つ作品が曲線を描きながら振動し、宇宙的な視座を彷彿とさせます。
戦国時代の大名・宇喜多秀家によって、8年の歳月を費やして1597年に完成した「岡山城」。岡山城は、歴代城主の下で岡山の町並みの発展を見続け、近代都市の礎となっています。
池田亮司
池田亮司《deta.flux [LED version]》
岡山城 中の段に設置されている全長24mの大型LEDスクリーンに映像が映し出される作品《deta.flux [LED version]》。これは、日本を代表する作曲家でアーティストでもある池田亮司によるサイトスペシフィックなオーディオヴィジュアル・インスタレーションです。
データとサウンドは、基本的には実体として目に見えるものではありませんが、本作は不可視なものを可視化、可聴化、体験化し、来場者がその場でしか知覚できない作品に完全に没入することを狙いとしています。
映像は、宇宙の地図やタンパク質の分子構造、DNAの塩基配列、数学的な四次元空間の超立方体「ハイパーキューブ」、生データの情報スーパーハイウェイなど、膨大な科学データが数学的に次々と映し出されていき、圧巻の世界感です。
■岡山芸術交流2022
会期:2022年9月30日(金)-11月27日(日)[51日間]
時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
※一部、開催時間が異なる施設がありますので、HP等で事前にご確認ください
休館日:月曜日(10月10日(月・祝)は、翌日の火曜日休館)
チケット:一般 1800円
一般(県民) 1500円
学生(専門学生・大学生) 1000円
シルバー(満65歳以上) 1300円
団体(8名以上) 1300円
単館 500円
会場:旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園 観騎亭、岡山神社、石山公園、岡山城 中の段、岡山天満屋(表町商店街側ショーウィンドウ)
岡山芸術交流 OKAYAMA ART SUMMIT 2022
山梨県北杜市とHOKUTO ART PROGRAM実行委員会が主催となり、公益財団法人 清春芸術村、中村キース・へリング美術館、公益財団法人 平山郁夫シルクロード美術館、女神の森 セントラルガーデン、そして身曾岐神社において、「HOKUTO ART PROGRAM ed.1」が、2021年12月12日(日)まで開催中です。芸術と観光という二つの要素を多面化し、「時間をかけてここに来ていただくことの価値」を磨き続けることを目的としています。
前回の「HOKUTO ART PROGRAM ed.0」の「アート」、「建築」、「ライブ」、「食とお酒」、 「星空」という、これらの要素を一つに溶け合わせるコンセプトは変わらず、更なる観光資源の真価としての成長を目指すとのこと。
本展では、自然を活かした持続可能性、テクノロジー、サイエンス、バイオ、伝統的な日本の美を中心として、アートとは何かという問いをテーマに、アート、建築、映画、音楽、伝統文化、パフォーミングアーツなど、多様なジャンルのアーティスト・クリエイターが参加します。
中でも注目したいのが、清春芸術村の自然豊かな広大な敷地内で開催される作品群の展示。西には南アルプス、北には八ヶ岳が迫り、富士山も遠望できる清春芸術村は、1977年に創設者である吉井長三が、小林秀雄や谷口吉郎、白洲正子、東山魁夷夫妻らと桜の季節にこの地を訪れ、その美しさに魅せられたことから始まりました。
多数の名建築が集まっていることでも知られ、建築家の谷口吉生の設計で、武者小路実篤、志賀直哉など白樺派の作家たちが建設しようとしてその夢を果たせなかった〈幻の美術館〉を、武者小路、志賀の両氏を敬愛し、個人的にも親交のあった吉井が実現した「清春白樺美術館」や、安藤忠雄による設計で建てられた、人工照明ではなく、季節や時間とともに変化する自然光のみの「光の美術館」、また、建築史家の藤森照信による一本足の「茶室 徹」など、建築に携わっている方や建築好きにはたまらないスポットとなっています。
そんな清春芸術村の庭園には、重松象平、島田陽、谷尻誠(SUPPOSE DESIGN OFFICE)、永山祐子、長谷川豪、藤村龍至のモビリティをテーマとした、デザインの中にも実用性を兼ね備えた作品が点在しています。
例えば、谷尻の作品は「サウナ」で、「モバイル」という言葉を「可逆性」と「簡易性」という2つのキーワードから再解釈し、自然の中で循環する建築です。建築の構成には大地を構成させる「石」を使用しています。通常構造物を作る際に使われることが少ない蛇篭を用いて、サウナを制作。ワイヤーで石が吊ってあるなど、浮遊感を演出しています。こちらは実際にサウナとして機能し、中には薪ストーブやサウナストーンを設置。また、外には水風呂も用意されています。何でも、谷尻氏自身がサウナ好きのため、生まれた作品だといいます。
長谷川は、アウトドア用のテントは自然豊かな場所に設営するものであるにも関わらず、内部は閉鎖的で自然との関わりが薄いため、大地と近いテントならではの人間と自然の関係について考えたそうです。テントの中央部分には、草花が透明の筒に入れられており、人間と植物の共生を感じることができます。そこにあった自然と一晩だけ一緒に過ごすことができる、大地を切り取るテントです。
藤村は、伊東豊雄が1985年に発表した「東京遊牧少女の包」に立ち戻り、大都市のインテリアから超都市の里山に飛び出し、内向きに個に閉じる「包」から多様性を包むそれへと進化させる、現代の遊牧民のためのテントを考えたそうです。内側から膨らむように自立するフレームの外側を、立体裁断によって洋服のようにそのかたちを定められたテント生地が少しルーズに包むことで、半分閉ざし半分開いたクロープンな空間をつくり、寝るためではなく、過ごすためのテントを作りました。
また、光の美術館には、田所淳、長谷川愛、藤元翔平、HUMAN AWESOME ERRORの作品が展示されています。例えば、田所の作品は、4つの映像から構成されています。
その色彩と形態によるハーモニーは、協和的なものから不協和なものへと揺らぎながら、絶えず変化し続けます。それぞれの映像が、互いにその調和的な構造へ介入して、混沌の中からまた秩序が生まれてきます。田所は、前橋工科大学で教鞭をとっており、作品からアカデミックとアートの融合を感じることができます。
その他、谷口が設計したルオー礼拝堂では、世界的映画監督である河瀨直美による新作の撮り下ろし映像を初公開。沖縄・奄美大島のイメージで制作され、時間の流れの中でも、記憶は残っていくことを表現しています。
茶室 徹では、茶道宗徧流不審庵11世家元山田宗徧が、実際に茶室 徹でお茶を点てている映像作品《手なりの美しさ 先にお茶始めていてください》を観ることができたり、清春白樺美術館では、特別企画展として、写真家デヴィッド・ダグラス・ダンカンが、晩年のピカソと妻ジャクリーヌの生活をとらえた写真展 『人生で最もすばらしい癒し、それが愛なのだ』が開催されるなど、盛りだくさんの内容で、見応え十分。
清春芸術村の理事長で、本展の総合ディレクターである吉井仁実は「日本全国には様々な芸術祭があるが、本芸術祭は新たな取り組みとして、バイオ、サイエンス、テクノロジー、建築、映画など、様々な要素を盛り込んだ。これからの日本のスタディモデルとなるように作ったので、ぜひ楽しんでいただきたい」と語っています。
吉井仁実氏
感性を磨くため、自然豊かな山梨県北杜市を舞台にしたアートの祭典に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
開催概要
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■HOKUTO ART PROGRAM ed.1
会 場:清春芸術村 山梨県北杜市長坂町中丸2072
会 期:2021年10月30日(土)〜12月12日(日)
※清春芸術村 月曜日休館
10:00~ 17:00(入館は16:30までとなります)
料 金:一般(特別料金)2,000円 大・高校生1,000円 小・中学生無料障がい者手帳をお持ちの一般の方1000円
障がい者手帳をお持ちの学生の方入場無料
付き添いの方500円
<出展アーティスト>
●清春芸術村・庭園 — 重松象平/島田陽/谷尻誠 (SUPPOSE DESIGN OFFICE)/永山祐子/長谷川豪/藤村龍至
●安藤忠雄 光の美術館 — 田所淳/長谷川愛/藤元翔平/HUMAN AWESOME ERROR
●谷口吉生 ルオー礼拝堂 — 河瀨直美
●谷口吉生 清春白樺美術館 — パブロ・ピカソ/ デヴィッド・ダグラス・ダンカン
●白樺図書館 — 長場雄
●藤森照信 茶室徹 — 茶道宗徧流不審庵11世家元山田宗徧
1933年に「大礼記念京都美術館」として開館した「京都市京セラ美術館」。第二次世界大戦後には、「京都市美術館」として活動してきました。開館以来、85年余りの長きにわたって親しまれてきた本館は、今や現存する日本で最も古い公立美術館建築として知られています。2020年春、建築家・青木淳氏と西澤徹夫氏の設計でリニューアルオープンし、この度京都市京セラ美術館の開館1周年を記念して、「モダン建築の京都」展が2021年12月26日まで開催中です。
明治時代、東京への遷都を機に衰退した京都は、その後の復興を経て、教育や先端技術、文化、観光などにおける先駆的な都市として発展し、それらを象徴するように数々の名建築が生まれました。そして幸運なことに、震災や戦災の被害がほとんどなく、明治以降に建てられた洋風建築や近代和風建築、モダニズム建築など、いわゆる「モダン建築」の多くが現存しています。京都は「生きた建築博物館」と言っても過言ではありません。
本展は、京都を代表するモダン建築の一つ、京都市京セラ美術館を会場に、建築を通して京都を知る大規模建築展です。明治元年から1970年代初頭までに竣工した100の建築の中から厳選した36プロジェクトを、「古都の再生と近代」「様式の精華」「和と洋を紡ぐ」「ミッショナリー・アーキテクトの夢」「都市文化とモダン」「住まいとモダン・コミュニティ」「モダニズム建築の京都」といった7つのセクションに分けて、400以上の貴重な資料とともに紹介しています。展覧会初出展の重要文化財などの図面、写真、スケッチ、模型、家具、映像、言葉といった多様な資料が展示されており、建築に携わっている方や建築好きの方はもちろん、建築初心者の方も十分楽しめる内容になっています。
今回は、7つのテーマの中でもおすすめの3セクションをピックアップ! 早速、みていきましょう。
平安京の時代から千年、皇室をはじめ公家や諸侯らのお膝元として栄えてきた京都。明治に入ってからは、東京遷都によって一気に衰退し、官民が一致して復興に取り組みます。中でも推進力となったのは教育と殖産興業です。初めに紹介するのは、西洋の文化や技術を取り入れ、京都の再生を成し遂げた象徴的なプロジェクトです。
ここでは、第四回内国勧業博覧会と平安神宮、琵琶湖疏水と旧御所水道ポンプ室、京都市明倫尋常小学校(現・京都芸術センター)、島津製作所河原町旧本社(現・フォーチュンガーデン京都)が展示プロジェクトとなっています。
「モダニズム建築の京都」展示風景
「日本に建つべき建築とは」という問いは、日本が西洋建築を学び始めた明治初期から投げかけられていました。日本からアジア、ヨーロッパを捉え直し、時には中国や中東などの要素も混ぜ合わせることで、和と洋の隔たりを埋めようと試みました。こうした日本と多様な文化が折衷した建築は、京都にこそ相応しいのかもしれません。
このセクションでは、真宗信徒生命保険株式会社本館(現・本願寺伝道院)、京都大倉別邸(現・大雲院)祗園閣、京都市庁舎本館、聴竹居(旧藤井厚二自邸)、大礼記念京都美術館(現・京都市京セラ美術館)が展示プロジェクトです。
「モダニズム建築の京都」展示風景
意匠、設備、施工などの側面から合理的な建築を追求し、様式建築からの脱却を目指した戦前。国際的な潮流を受容し、それを進化/深化させた戦後。新しい時代の到来を予感させる名作から、モダニズムの美学を継承しつつ、環境や伝統文化を取り込み、風土に馴染む空間の創造に成功した傑作まで、未来へ遺したい建築が京都には存在します。
ここでは、京都中央電話局西陣分局舎(現・西陣産業創造會舘)、京都帝国大学(現・京都大学)楽友会館、旧本野精吾邸、鶴巻邸(現・栗原邸)、京都帝国大学(現・京都大学)花山天文台、同志社アーモスト館ゲストハウス、京都大学総合体育館、国立京都国際会館のプロジェクトが展示されています。
「モダニズム建築の京都」展示風景
本展では、建築を建築史、建築家の視点からだけではなく、その建物を取り巻く関係人脈、時代背景などからも考察して展示されています。美術館内での「展示鑑賞による知見」と、オフィシャルブック「モダン建築の京都100」や、人気声優によるまち歩き音声ガイドアプリ「モダン建築クロニクルKYOTO」もあわせて体験することで、「生きた建築博物館」としての京都の魅力を改めて実感することができるでしょう。また、HISによる特別ツアー「モダン建築の京都」や、大雲院 祇園閣や旧三井家下鴨別邸などの特別公開、レストラン&カフェとのコラボ企画、関連イベント「京都建築映像祭2021」の他にも様々な連携企画があり、盛りだくさんの内容で皆さんをお待ちしています。
ぜひ、会場に足を運んで、建築の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
開催概要
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■京都市京セラ美術館開館1周年記念展 モダン建築の京都
会 期:2021年9月25日(土)〜12月26日(日)
会 場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
時 間:10:00〜18:00
*最終入場は17:30
休 館:月曜日
料 金:一般1,900円(1700円)、大学専門学生1,400円(1200円)、高校生900円(700円)、小中学生400円(200円)
*( )内は前売・20名以上の団体料金(前売は本館公式オンラインチケットe-tixのみで販売)
URL: kyotocity-kyocera.museum
皆さんは、「能」と聞いてどんな印象を抱くでしょうか? 「難しそう」「敷居が高い」などのイメージがあり、実際に能を鑑賞したことがある方は、もしかしたらそれほど多くないかもしれません。そんな能を少しでも多くの方々に体験してもらうべく、室町時代より続く能楽の名⾨・宝⽣流と、写真家・瀬尾浩司氏とのコラボレーション企画「夜能『清経』×BEYOND PHOTO BY HIROSHI SEO」が、2021年11月26日(金)に宝⽣能楽堂にて開催されます。
本公演と写真展は、11月26日(金)の回の前に、9月24日(金)と10月29日(金)の2日間にも行われ、10月29日(金)の回を取材させていただきました。平家物語「清経」の悲恋の修羅の物語と、瀬尾氏の写真作品「BEYOND」が、物語の鍵となる「⽔」をテーマに繋がる特別共同企画展です。
「夜能」は、朗読と能楽による新しい形の能楽公演です。⼈気声優の語りと共に能「清経」が上演され、能楽を鑑賞したことのない方にも分かりやすく楽しめる内容となっています。「清経」の能は、能楽の大成者・世阿弥の傑作として受け継がれている作品です。ここで、あらすじに触れておきましょう。
平清経の家来・淡津三郎は、都に残った清経の妻に清経の⼊⽔のことを報告し、船に残されていた形⾒の⿊髪を⼿渡します。妻は形⾒を前に、悲しみが増すからと、遺髪を宇佐八幡宮に返納してしまいます。夢になりとも姿が⾒たいと嘆き悲しむと、清経の霊が在りし姿で現れます。再会を喜ぶものの、妻は再会の約束を果たさなかった夫を責め、夫は遺髪を返納してしまった妻の薄情を恨み、互いを恨んでは涙します。清経は⾃死して⾏く⾃分からせめて贈った形⾒への想いを述べ、⼊⽔までのいきさつを仕⽅話に語り、修羅道に落ちた苦しみを⾒せて去って⾏きます。恋の修羅と⾔われる異⾊の修羅能です。
本企画展のご案内をいただいた際、ある種の必然性を感じました。なぜなら、私の祖父は13代目春藤流能楽師で、その昔祖先は戦国武将・伊達政宗に能を披露していたから。私がまだ幼い頃に祖父が亡くなったので、能に関する話を直接聞けなかったことが大変悔やまれます。結局、誰も跡をつがなかったので、春藤流は消滅してしまい、幻の流派と呼ばれています。武士は能を教養として鑑賞していたと聞いたことがあり、宝生流第二十代宗家・宝生和英氏にうかがったところ「戦国時代は、戦地に行く前に心を落ち着かせたり、力を見せつける役割があった」のだとか。「江戸時代に入ってから教養の要素が強くなり、また方言の修正のために舞台を使った」と言います。
本企画展は瀬尾氏が能や茶道、華道など様々なジャンルの家元を撮影する「OIEMOTO」というプロジェクトを行った際に、宝生氏と出会ったのが始まり。その後、今年4月に開催された瀬尾氏の写真展「BEYOND-PHOTO BY HIROSHI SEO」に宝生氏が出向き、瀬尾氏の作品を観て、コラボの話を持ち掛けたことで実現したそうです。
(左から)写真家・瀬尾浩司氏、宝生流第二十代宗家・宝生和英氏
瀬尾氏は、日本を代表する写真家・植田正治氏に師事し、独立後は福山雅治氏などのアーティストのCDジャケットやファッション広告、雑誌など、第一線で活躍。
2020年3月に緊急事態宣言が発令され、人と会えなくなった。普段行っている広告の現場ではポートレートやモデルの撮影が止まってしまった。
そんな中、世の中では飲食店がデリバリーを始めるなど、皆新しいことにチャレンジしていて、写真家も変わらなくてはいけないと思った。
自分も今までの発想を変えて、人を撮れないならと風景写真を撮ろうと決意。カメラを持って、被写体を探しているうちに、とある水面に出会い、『BEYOND』が生まれた。
また、この機会に現代の能楽の基礎を築いたとされる世阿弥の道を辿るべく、世阿弥の流刑の地であり能楽堂が多く存在する佐渡島へも赴き、本展のために追加で撮影を行った。
コロナ禍で、これまでの写真の常識である印画紙へのプリントはいったん忘れて、やってないことをやってみようと思った。そこで、今回のアクリルやビニールに写真をプリントした作品が完成した
と瀬尾氏は語っています。
「BEYOND」は多くの知覚を私たちに与えてくれます。シュールレアリストや、印象派、ミロやダリ、セザンヌやクレー、ピカソなど、多くの巨匠たちも見つめていたこの水面の風景は、私達に知覚芸術の宇宙を再確認させてくれます。この無限的反復を、視覚における生と死と捉えた瀬尾氏は、「その中にこそ幽玄なるものが存在する」と語ります。幽玄とは、芸術領域における日本文化の基礎となる理念の一つ。趣が奥深くはかりしれないさまであり、能楽や禅・連歌・茶道・文芸・絵画・建築など、様々な芸術文化に影響を与え続けている言葉です。瀬尾氏が「BEYOND」で提示した、絵画ともグラフィティとも見えるイメージは、写真という瞬間をカットアウトする行為によって、死の先にある生や、生の先にある死を再確認させ、私たちに生と死を超えた無限的反復の瞬間を見せてくれます。本展のために、日本の能舞台の3分の1が集まる能の地・佐渡島にて撮影された新作の風景と、宝生流第二十代宗家・宝生和英氏による「清経」の写真を加え、展示しています。
宝生氏は今回の取り組みに対して次のように述べています。
瀬尾さんの「BEYOND」は、能楽に通じる部分がある。水面の写真は、蛍や星空、宇宙にも見えるし、一体何なのかゆとりのある作品。作品そのものに明確な答えやメッセージ性を持たないアンビエント・カルチャーの観点から見ても、能楽との結びつきを感じた。エントランスで「BEYOND」を観ることで、より夜能で表現する水の中を感じ取ることができる。能は約700年の歴史があり、伝統芸能を受け継いでいくために、イノベーションを忘れたことはない。観る側の立場を考えたり、楽しみ方を現代に落とし込んでいくのが大切だと思う。歌舞伎は、エンタメのように興奮するものだが、能は精神鎮静といったチルアウトの側面がある。能も「BEYOND」も、観る人によって感じ方が違うといった共通点がある
秋の夜、能と写真展が⼀つになった異⾊のコラボで、古代と現代のアートが重なる新しい世界に触れてみませんか。
開催概要
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■夜能「清経」×BEYOND PHOTO BY HIROSHI SEO
日 時:2021年11⽉26⽇(⾦)17:00開場~21:30閉場(18:30開演~21:00終演)
会 場:宝⽣能楽堂
料 金:〈指定席〉プレミアA 11,000円 プレミアB 8,800円
〈指定席〉指定席A 6,600円 指定席B 5,500円
〈⾃由席〉3,300円
URL:http://www.hosho.or.jp/3161/ (公益社団法人宝生会)
URL:https://nohlife.myshopify.com/pages/%E5%A4%9C%E8%83%BD (公演サイト)
*能の公演に関するお問い合わせ:
宝⽣会事務局(⽕曜日~⽇曜日:10:00~17:00)
Tel. 03-3811-4843
*写真展・取材に関するお問い合わせ:
POP UP GALLERY BEYOND
E-mail:info@vision-tokyo.net/担当 吉⽥
変化や災難がのっぴきならないかたちで全人類を呑み込む今、多くの人はそのことを「グレートリセット」という言葉で例える。その状況をある人は畏れ、ある人はチャンスとして踊り続け、また、たくさんの人々は呑み込まれないように日々を生きている。
変化や災難、COVIDパンデミック、シンギュラリティとAIの社会実装、一帯一路に代表される新たな経済圏の勃興と経済情勢の劇的変化と「分断」、地球環境とエネルギー、 民間の力での宇宙開発、AIの社会実装、そして人新生、わたしたちはこれまでとは違った世の中へといやが上にでも放り込む「グレートリセット」。それは「陰謀論」的な言説だけではなく、まさにそんな災禍に吞み込まれて中止となった2021年の世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」のテーマとして掲げられ、グローバルイシューにまで高まった強烈なキーワードとなっている。
はたして、わたしたちはこの「リセット」を前になすがままでいるのだろうか?
芸術家や作り手の中には、その後の地図を自らの手で、さまざまな人々とともにつくりだして、創造の旗をたてる才能たちがいる。
そんな、つくり手達による手づくり(しかし最先端)の未来へのクリエイティブな取組から、私達一人一人の道しるべとなる羅針盤を探す展覧会としてつくったのが『グレートリセット・スモールリブート』展である。
この小さいが、確実にわたしたちの未来にあかりを灯す創造を、本展から「スモールリブート」(身の丈からの再起動)と提唱し、展示を通じて実感できる場をつくることで、観た方にとってのこれからの糧になればというコンセプトがここにはある。
この展覧会ではテーマに基づいて、キュレーターである岡田が4つの「まなざし」をもとに作家を選び、展示を構成している。そのことで、「グレートリセット」の時代に生きるわたしたちの糧となる「アート思考」を涵養できるようにすることを狙っている。
ここでの「アート思考」とは、多くあるようなアートや作家のあり様を利用して価値を得るための研修的ツールではなく、作家そのものが起こす「スモールリブート」に触れることでそれぞれの方々がより、自らのこれからを築いていける多様な選択肢を得られる思考の涵養をいう。
アートから生まれる創造的な構想力が、物質とデータの両方がリアルになる時代の未来のわたしたちを指し示してくれる。宇宙にまで広がる私たちの生存世界の中で得る精神的やすらぎとは、AIと人間どちらにも心地よいランドスケープとは?
わたしたちの気持ちが安らかになる未来を考えるまなざしだ。
チームラボの「ミュージアム」には、平均3時間以上、人々が滞在するという。
来館者はそのなかで自らを開放し、アートの中の時間に浸る。
もうすぐ多くの私たちは、辞令として、宇宙に行かないといけない時代がやってくる。その時代では、地球から火星までは2年かかるという。月や火星には花鳥風月がなく、殺伐とした環境が広がっている。極限であっても、ペンギンなどの動物が「天然のアメニティ」を与えてくれる、南極どころではない世界。そこで私たちは、必ず10年近い日々を過ごさないといけないのだ。
そこで正気になるために耐えられる「アート」こそが、チームラボではないかと岡田はいう。それに対し、チームラボ代表の猪子寿之は、いつもそれを言うとかいかぶりすぎだと返すという。
そんなある日、今回の展覧会の出展について話していた際、猪子から「岡ちゃん(岡田)、2018年になんか没になってしまって、わかってくれないんだなあ…と思った原稿があるけど、それ、この話かもしれない」と、あるマニュフェストの原稿を渡された。
このパンデミック前に没になった原稿を読んで、なるほど、チームラボにはこういうことを期待しないで、気分良くなりたい人が多いのかと、と悟らされる内容だった。しかし、これこそが、チームラボからの「スモールリブート」へのマニュフェストなのだと感じたのであった。そして「マニュフェスト」は、作品ともに同展の会場にひとつの「スモールリブート」のトリガーとして掲げられた。
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チームラボとの将来への対話
~この問答は2018年に行なわれたものである。
(問い)2030年以降の世界はどのようになっていると思いますか?
(チームラボ)人々は、全てにおいて、意味のあることを求め出すだろう。
例えば「アイスランドの氷の大地の割れ目に流れ込む滝のように、自分の存在を超越した自然の営みが創る景色」、「300年かけて築き上げたハニ族の棚田」のように、自分の存在よりもはるかに長い時間の人々の営みが積み重なって形作られた場所、もしくは「アーティスト達が何らかの意味を見出し、人生をかけて形にしようとした作品群」そのような「意味のあるもの」へ、人々はより強く興味を持つようになるだろう。
一方、世界中で、国民国家を基盤としたローカルな人々と、グローバルに生きる、もしくはさらされる人々の間には、完全な分断が起こるだろう。
日本においてはローカルな人々が圧倒的メジャーであるために、クリエイティブで自由に生きようとする多く若者は、それとは「違う場」を基盤としていくだろう。
そしてローカルな人々の価値基準は、より純化される。
つまり、科学的な事実、世界の多様な試み、歴史上での人類の多様な生き方は、全て無視され、風土病のような頑な価値基準に純化される。そして、その価値基準からズレている人や、ミスを犯してしまった人を、魔女狩りのように徹底的に裁いていくだろう。
人々が住む都市や街には、滝も棚田もなく、AIにより、ますます暇になっているだろう。
ローカルな人々は、魔女狩りくらいしか意味を見出せず、持て余す時間を魔女狩りに使う。
少しでも他者への想像力があり、科学的な事実や、世界の多様性や、歴史を知るものは、完全な不感症になるか、森の中に住むしかない。
もしくは、アートの中に籠るだろう。
(問い)2030年以降の一般的な一日の過ごし方について説明してください?
(チームラボ)自らアートを創り、その中に籠るだろう。
(問い)シンギュラリティの世界において、どのようにすれば私たちは確実にこの技術の進化をより良い生き方のために活用できるでしょうか?
(チームラボ)もしかしたら、このシンギュラリティの「知性」とは、何かしら答えがある「問題に対する知性」かもしれない。
「知性」には、永遠と答えのない問題に対する「知性」というものがある。
(問い)2030年以降の未来の可能性を最大化するために、今の日本において何ができると考えますか?
(チームラボ)少しでも他者への想像力がある人、将来「違う場」を必要とする人に対して、アートを創り、皆にそこに籠ることを勧めよう。
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既にチームラボは、わたしたちが宇宙に行かされる前に、殺伐とした「グレートリセット」の滓のような時代の中で、同じく中世がそうであった中、人々が正気を得るため、教会や寺院、モスクにアートや装飾に包まれた清浄な空間を求めたような場を、世界中の都市につくり続けているようにみえる。
そのことを確認したく、「マニュフェスト」とともに、高精細の映像生成で究極に境界がなくなった四季と花鳥風月が広がるデジタル絵画、そして、世界中の隔離された家々で描いた花を投げあうことができる作品を展示している。
左よりチームラボの作品『フラワーズ ボミング ホーム』(インタラクティブ デジタル インスタレーション)、『生命は生命の力で生きているII』(映像・8K)
AIが自動運転する時代、それでも人間はそれを管理するという「運転」をドライバーはしなければならなくなる。これからは、人間とAI、両方にとって良好な環境のデザインが必要になるだろう。
建築デザイナーの韓亜由美は、道路空間にドライバーの運転意識を誘導することで、より快適にドライブでき、運転の安全性を高めるデザインを切りひらいた第一人者。AIだけを考えたデザインだと、新東名やアクアラインを代表に、韓が手掛けてきたドライバーのためのデザインは必要のないものになりかねない。人間のための道路デザインとは、AIの時代、無駄なものになるのだろうか?
今回、このような連続性からドライバーの意識に訴求する彼女が編み出した「シークエンスデザイン」の源流となる、速度感覚を試す没入型ビデオアート作品を四半世紀ぶりに滞在制作として復刻、改めてAI時代におけるドライバーや乗客にとっての移動環境のデザインを問い直す「スモールリブート」を行なった。この作品は、ドイツにあるメディアアートの古典ともういうべきセンターであるZKMの初期につくられ、展示されたもの。メディアアートからの思考が、土木の世界に新たなデザインをもたらしていたのだ。
韓亜由美『Sensorial Dynamics 知覚風景の力学2021』(没入映像)展示風景
ほか出展作家:岡田裕子
岡田裕子『エンゲージド・ボディ』(インスタレーション)
この「グレートリセット」の時代、わたしたちはどのように希望を見出すのか?
さまざまな「今」を受け止めることで、これからを「いろいろな向き」に魅せてくれる作家がいる。あたかも地から未来を憑依した、作家たちの作品から、わたしたちの日常の「スモールリブート」を起こしていく。
Twitter にしか存在していない『クマども』。
かわいいクマが殺伐とした日常を過ごすショートアニメーションは、毎週、その新作をTwitter上で公開する。そのアーカイブが作品集となり、何度もリツイートされ、ミームとして漂う。作家のアメは、そのクマどもの造形を同じくつくり、できたものを販売すると則売り切れとなる。インターネットで完結するこの『クマども』のセカイは、麻雀やストロング系ドリンク、寝そべりスマホに包まれ、殺伐とした日々のよすががある。COVIDパンデミックで宿り木となる飲食店がなくなり、新しい世代の路上飲みがアンロックされたようなよすがの「スモールリブート」の表象がそこにある。
アメ『クマども』(インスタレーション・映像・立体・絵画)展示風景
ほか出展作家:キュンチョメ
キュンチョメ『壁を変えた話』(映像)展示風景
アーティストによる創作が、これからのライフスタイルやエンタメを創るプロダクトやそのイノベーションのためのヒントになっている。ここでは、このような日本から「未来をつくった創造」の数々を展示、あなたの「アート思考」にヒントを与えてくれる。
『nubot』はやすぎたスモールリブート。
10年前の東日本大震災の直後、多くの人がさまざまな場所に「避難」した。その中のひとつのアーティストが、東京との間で仕事を続けるためにつくったロボット、それがnubot。ハンドメイドのぬいぐるみの顔の部分にスマートフォンを装着、ダイヤルトーンで身振り手振り動かすことができるリアルなアバターは、遠隔会議だけでなく、離れた家族との会話、会えない近しい人とのコミュニケーションを大いに盛り上げたという。このコミュニケーション力に着目し、nubotを引き受けた林智彦さんは大手広告代理店を辞めnuuoを創業、2013年まだ日本では知られていなかった米国テキサスで開催されるスタートアップの巨大カンファレンス SXSW に乗り込み、日本人で初のインタラクティブビジネスの優秀スタートアップに選ばれ、シリコンバレーで創業した。クラウドファンディングも創世記のこの時代、全てがはやすぎ、結果として nubot は時代の狭間に埋没してしまった。スマートフォンが肉体の一部のような存在となり、その上、パンデミックの今こそ、多くの人が意味を感じられたこのロボットに改めての「スモールリブート」を込めて展示している。
nuuo『nubot』(ロボット)展示風景
ほか出展作家: EXCALIBUR、galcid、Jason Scuderi (lasergun factory)、Minoru Fujimoto、marimosphere、Whatever Inc.
「未来をつくった創造」NFT作品展示風景
今とは違う文明の姿も、もしかしたら、あったかもしれない。
そういう存在をあるひとは「オーパーツ」などといって、不思議がり、あくなく好奇心をかきたててきた。このような、もしかしたら、別の文明があったなら、もしくは、別の文明になってしまったら?という謎かけをしてくれるアーティストの作品を展示した。私たちのとっての視覚芸術の歴史が、日本の伝統文化が、作品を通じて揺るがされるようです。
最も若い数寄屋職人でもある建築家の佐野文彦は、その若い感性で世界中からひっぱりだこ。そんな佐野は、京都から巨石が巨木を港区の高層ビルだけでなく、ドバイや中国にまで持っていき、伝統に裏打ちされた和の空間をつくりだしている。世界のどんな場所にでも塊を持っていく、その運ぶ際の仕組み、一見不安定そうだが、安定し、存在感を放つ石や巨木に「もの」の力を感じるという。
巨額の資本がデータとして飛び交い、富豪であってもその巨万が質量のない数字の羅列である「グレートリセット」のゲームプレーヤーたち、しかし、その欲望は重い質量を持つ自然物であることは変わらない。「文化を尊ぶ」人間の本質を表象する、伝統からのもうひとつの見立てに感じられる。
佐野文彦『物質 均衡』(伝統アプローチのインスタレーション)展示風景
ほか出展作家:後藤映則
後藤映則『Rediscovery of anima』(映像装置インスタレーション)展示風景
圧倒的な「グレートリセット」にあって、わたしたちにはたくさんの「スモールリブート」の方法がある。そして、この展覧会も作家にとっての「スモールリブート」となりはめているようだ。時代精神の表象と、そして創造の場から、これら数多の「スモールリブート」のバタフライエフェクトがどうなるのか、期待してやまない。
開催概要
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■『グレートリセット・スモールリブート ~その後をつくる創造力』展
会 期:2021年10月29日(金)~11月14日(日)
会 場:BankART Station
時 間:11:00~19:00
*10月29日(金)のみ13:00から
*金曜日は20:00まで
*いずれも入場は閉館30分前まで
休 館:会期中無休
料金:900円(中学生以下無料)
URL: http://reboot2021.creativecluster.jp/
筆者・本展キュレーター:岡田 智博
一般社団法人クリエイティブクラスター代表理事
テクノロジーアートが一般的に定着する前から、その萌芽に着目、2005年以降、先端的表現を世間と共有する企画展を独自企画で開催してきた。こんな時代だからしなければと、主催としては10年ぶりの開催。
南は石垣島から北は北海道、海外は台湾や東欧セルビア等各地で、新しい表現の社会実装に平素は取り組んでいる。また、2021年より東京藝術大学で教養教育の充実化をコーディネーターとして担当している。
クリエイティブクラスター= http://creativecluster.jp/
1984年8月に、滋賀県内唯一の公立美術館として開館した「滋賀県立近代美術館」。改修工事のため、2017年4月からの約4年間の休館を経て、2021年6月、名称を新たに「滋賀県立美術館」としてリニューアルオープンしました。
滋賀県立美術館館長でありディレクターの保坂健二朗氏が掲げる「リビングルームのような美術館」というコンセプト通り、公園の中にあるため親子連れが多く、小さなお子さんがいるご家庭に嬉しいキッズスペースを完備しています。ウェルカムゾーンと名付けられたエントランスロビーには休憩スペースがあり、飲食可能で持ち込みもOKなので、気負いなく美術館に足を運べます。また、株式会社 木の家専門店 谷口工務店の寄附によって、2022年3月27日(日)まで、毎週日曜日の常設展示観覧が無料になるとのこと。ぜひ、この機会に訪れてみたいものです。
そんな滋賀県立美術館のリニューアルオープンを記念して、2021年11月14日(日)まで「ボイスオーバー 回って遊ぶ声」展が開催中です。これは、本館が所蔵する作品約1800件から選りすぐりの作品を中心とする167件を、ジャンルや年代の別なく紹介するもの。出品作家として、イケムラレイコ、アンディ・ウォーホル、小倉遊亀、河原温、草間彌生、志村ふくみ、白髪一雄、アンリ・マティス、冨田渓仙、マーク・ロスコなど、見応え十分。回廊によっていくつもの展示室が繋がれているこの美術館全体を使って開催する、回遊式の展覧会です。
本展では「作品をよく観ることは、作品の「声」を聞くことと似ている」としています。その声に耳を澄ますと、思いもよらない作品同士の繋がりが聞こえてくるかもしれません。例えば、日付が淡々と描かれた絵画と、とげのある生き物のような陶の作品。室町時代の近江の風景と、オセアニアの楽園。このように、これまで本館で同じ部屋で展示されることがほとんどなかった、日本画、郷土美術、現代美術、アール・ブリュットといった4分野のコレクションを「声」を聞くことで結んでいます。さらに、本展には3組のゲストアーティスト、田村友一郎、中尾美園、建築家ユニットのドットアーキテクツも参加。彼らは、声の聞き方はそれぞれであることを軽やかに示しています。
本展覧会のタイトル「ボイスオーバー」とは、映画などの画面に現れない話者の声を、あるいは元の音声言語に翻訳したもう一つの音声を重ねるナレーションの手法を指す言葉です。こうした声の重ね方は、作品を長く保存し展示する過程で、少しずつ新しい意味を見つけて加えていく、美術館の役割そのものともリンクします。「美術館とは、作品とそれを観る私たちの声が交わり、調和するのではなく、むしろ鳴り響く場所だ」という考えが本展の根底にあります。
次に、展覧会の中身をみていきましょう!
本展は、「第1章 美術館の産声―小倉遊亀と滋賀県立近代美術館」、「第2章 いくつもの風景」、「第3章 日々つくる」、「第4章 自分だけの世界」、「第5章 交差する線」、「第6章 見えるものの先に」といった6つのテーマと、ゲストアーティストの田村友一郎、中尾美園、ドットアーキテクツの作品群から構成されます。今回は、中でもおすすめのセクションを5つご紹介します。
1979年、滋賀県に新しい美術館を建てようという計画が県教育委員会で話し合われました。同年2月に滋賀県文化賞を受賞した大津出身の画家・小倉遊亀は、自身が手元に残していた作品を新しい美術館のために寄贈したいと申し出ます。そして1980年、22件の作品が滋賀県に無事寄贈され、これが滋賀県立近代美術館の出発点となりました。新しい美術館に向けて遊亀は、「私の分身である作品が、ふるさとの美術館に飾ってもらえるのは幸せです。煌びやかでなくてもいい。訪れて楽しい美術館になることを祈っています」と語りました。本展は、美術館の産声とも言えるこの22件の作品から始まります。
また、遊亀の自画像《画人像》と、「第2章 いくつもの風景」の展示室の対面に、遊亀の師匠である安田靫彦の作品《飛鳥の春の額田王》が飾ってあり、学芸員のちょっとした遊び心が感じられます。その点にもぜひ注目してみてください。
「最も個人的なことが、最も創造的である」―ある映画監督が残したとされる言葉です。この言葉はもちろん造形美術の世界にも当てはまるでしょう。理想の家族のあり方を赤鉛筆で書き続けた小幡正雄。ニューヨークの街や、様々な印刷物から拾い集めたイメージの断片を、小さな箱の中に閉じ込めて宇宙を作りだしたジョセフ・コーネル。加納光於の抽象的なイメージ群は、現れては消えていく彼の幻影を捉えています。絡みつく不思議な生き物をもろともせず、「わたし」の内なる声を聞き、対話を続けるイケムラレイコや、湧き出る物語世界を気の遠くなるような線で刻んだ坂上チユキ。作品たちは、わたしたちの中にある密やかで大切な世界を、様々なかたちで肯定してくれるようです。
作品は目に見える以上の何かを伝えます。対象を執拗なまでに観察し、皮膚の奥の深部までをも炙りださんとする速水御舟の眼は、私たちを驚嘆させるほどの迫力に満ちています。登山を好んだ山元春挙は、雄大な山々、轟々と流れる滝の姿を、北方ロマン主義にも通じる崇高さとともに捉えます。見えない世界を描くという試みは、ユダヤ人としてのアイデンティティや信仰心を、強い求心性のある抽象絵画に託したマーク・ロスコと、色価や屈折率の異なる黒色をくみ合わせ、十字架を浮かびあがらせるアド・ラインハートの作品にも顕著です。比叡山延暦寺で修行した白髪一雄の作品には、密教の教えが横たわります。その観点から、本展では白髪の《不動尊》と、同寺が管理する重要文化財《不動明王二童子立像》(玉蓮院蔵)を、同じ空間で展示。時空を超えた両者の対話を、ぜひ感じ取ってください。
■田村友一郎/アンディ・ウォーホル
緻密かつ大胆なサーチを軸に、重層的な景色を立ち上げていく田村友一郎(1977年生まれ)は、今回20世紀を代表する作家、アンディ・ウォーホルの代表作《マリリン》と《電気椅子》に着目しました。ウォーホルが「僕がやってきた芸術は、全部死だったって気づいたんだよ」と語るように、この二つ作品はそれぞれ、女優マリリン・モンローと電気椅子による処刑制度を契機に制作されたものです。田村は両作品のイメージそのもの、つまりマリリンと電気椅子自体から様々な因果関係を見出しました。その一つ、アメリカ合衆国とカナダの国境をまたぐ「ナイアガラの滝」を起点として、《マリリン》と《電気椅子》が時間軸を超えて交錯します。
休憩スペース「ソファのある部屋」には、人を癒やす「電気椅子」であるマッサージチェアが置いてあります。実際に使用できるので、ぜひ座ってみて、マッサージチェアを起動させてみてください。
■中尾美園/小倉遊亀
「うつす」行為を通じ、消えゆくものの価値に光を当てる中尾美園(1980年生まれ)。中尾が今回向き合うのは、本館設立のきっかけとなった画家・小倉遊亀です。本館に関する作品や作家、関係資料を丁寧に調査していった中尾は、ホテル火災によって消失した《裸婦》(1954年、1964年焼失)という作品の存在を知ります。本作は本館の所蔵品ではありませんが、戦後に遊亀が取り組んだ日本画による大胆な女性表現の展開を考察するうえで、欠かすことのできない作品です。作家であり、同時に保存修復を学んだバックグラウンドを持つ中尾は、絵筆で《裸婦》に向き合うことで、失われた作品の声を拾い上げていきます。調査の際に発見された、遊亀の《「裸婦」大下絵》も合わせて展示されています。
「本展が、皆さんと作品の「声」とが重なる、豊かな雑踏となりますように」と、本展を担当した学芸員の渡辺亜由美氏は述べています。また、保坂健二朗館長は「美術館が全館を使ってコレクションに基づいた展覧会を開催するとき、複数のキュレーターからなるチームを組むのが普通かもしれません。しかし、今回は一人のキュレーターが担当しています。それは、ライブでのコール&レスポンスがそうであるように、呼びかけの声をはっきりさせたほうが、皆様からの声も(たとえ小さな声であれ)出しやすくなるのではないかと期待したからです。ぜひ、叱咤激励含めて、様々な声を、つぶやきを、いろんな空間に向けて響かせてください」と語っています。
ぜひ、会場に足を運んで、それぞれの作品が発する声を感じ取って、自身の内側から湧き上がる声とともに、作品の世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。
■滋賀県立美術館
時 間:9:30~17:00
*入館は16:30まで
休 館:月曜日
*祝日の場合は開館し、翌日が休館
料 金:一般/1200円(団体1000円)
高校・大学生/800円(団体600円)
小学生・中学生600円(団体450円)
*身体障害者手帳等をお持ちの方は無料
URL:https://www.shigamuseum.jp/
2022 グランプリ受賞展 展示風景 ユ・ソラ《私たちの住んでいる家》, 推薦人:原 真一(東京藝術大学 美術学部 彫刻科 教授), photo Kohei Matsumura
「くらしを楽しく、美しく。」を理念に、キッチンをはじめとした住宅設備機器・建築資材を開発・販売するサンワカンパニーは、現代アートの分野で活躍する新進気鋭のアーティストをサポートしています。
「sanwacompany Art Award / Art in The House 2023」では、より良いLIFEスタイル「アートのあるくらし」を提案する作品展示プランを公募します。
今回は平面作品のプランを募集します。絵画や写真に限らず壁面内で展開されるインスタレーション等のプランも歓迎します。受賞作品は外苑前駅すぐのサンワカンパニー東京ショールーム内に展示されます。
より良いLIFEスタイルを想起出来るような作品展示プランをお待ちしています。
選考にはアート、ビジネスなど、様々な分野で活躍する方々を審査員にお招きしています。グランプリ受賞者には賞金の授与やサンワカンパニー東京ショールームでの作品展示のほか、アートメディア「ARTLOGUE」での紹介記事掲載の副賞が与えられます。
スケジュール
2022年12月11日 作品プラン募集締切
2022年12月中旬 審査会、グランプリ及び入選者決定(予定)
2022年12月23日までに 結果通知
2022年12月25日頃 面談と具体的な展示プランの打ち合わせ
--作品制作期間--
2023年1月20日~ ショールームでの展示
2023年3月26日 作品撤去
※新型コロナウイルスの状況等で、やむを得ず変更する場合があります。
概要
sanwacompany Art Award
Art in The House 2023
主催:株式会社サンワカンパニー
運営協力:株式会社アートローグ
展示場所:サンワカンパニー東京ショールーム(東京都港区南青山2-27-25ヒューリック南青山ビル7F)
展示作品:1プラン(平面による構成)
※ファイナリストの作品は東京ショールーム内に展示
展示期間:2023年1月20日~3月26日(予定)
応募締切:2022年12月11日(日)23:59迄必着 ※持ち込み・郵送不可
審査委員:
高橋隆史(株式会社ブレインパッド代表取締役社長)
德山拓一(森美術館アソシエイト・キュレーター)
服部今日子(フィリップスオークショニアズ 日本代表・ディレクター)
山根太郎(株式会社サンワカンパニー 代表取締役社長)
鈴木大輔(株式会社アートローグ 代表取締役CEO)
受賞者:
1,グランプリ1名
・賞金100万円(企画・制作費、素材費、設営・撤去費、旅費を含む)
・応募プランに基づく作品をショールーム内で展示していただきます。
・アーティストトークやワークショップを行っていただく場合があります
・展示作品に関連した小作品(リサイズあるいは再構成した作品)を制作、寄贈いただきます
2,サンワカンパニー社長特別賞
・賞金15万円
・過去作品をショールーム内に展示していただきます。
3,ファイナリスト入選数名
・賞金5万円
・過去作品をショールーム内に作品展示していただきます。
4,共通
・希望者は展示作品のQRコードによる販売が可能
・「ARTLOGUE」での受賞者紹介記事掲載
募集要項
募集対象:
「sanwacompany Art Award / Art in The House 2023」では、サンワカンパニー東京ショールームに展示する作品プランを募集します。
会場となるサンワカンパニー東京ショールームは、家づくりの楽しさをより一層高めるスタイリッシュな空間です。
募集内容:
・サンワカンパニー東京ショールーム内に仮設する壁面に展示する作品プラン。
・壁面内で展開される平面作品(素材や技法は問いません)。
・未発表作に限る(ただし旧作も含めた新しい展示プランは可)。
・不快な匂い、過度の音・光を放つ作品などは禁止。
展示空間:
・サンワカンパニー東京ショールーム内に仮設する壁面
(壁面サイズ幅6,300×高さ2,400mm白経師貼り仕上げ、直線状に設置、耐荷重60kg)
・壁面近くのショールーム展示品や家具は移動できません。
・壁面以外を吊り元にすることはできません。
・映像作品の場合はモニター可(プロジェクターは不可)。再生機等は応募者が準備すること。
「sanwacompany Art Award / Art in The House 2023」に関するお問い合わせ先:
infoアットartlogue.org (アットを@に変えてください。)
サンワカンパニー東京ショールーム
仮設壁設置のイメージ
応募資格:
現代アートの分野で活動するアーティストであり、日本国内に在住の方
※国籍・経歴・性別・年齢など不問
※日本語でのコミュニケーションに支障のない方
※学生も可
応募プラン数:
1人(1組)1作品 ※日本語で提出すること
推薦状:
募集に際して推薦人の推薦状が必要です。※日本語で提出すること
推薦人の条件:以下のいずれかを満たすこと
・学芸員、キュレーター、文化芸術関連施設従事者
・アートマネージャー、アートコーディネーター、アートプロデューサー
・ギャラリスト
・批評家、アートジャーナリスト、アートライター
・大学教員(文化芸術関連)
・アーティスト(美術館相当での個展経験者)
・コレクター(年間50万円以上の作品購入実績)
・その他アート業界で顕著な実績を持つ方
審査基準:
・サンワカンパニーのショールームに来られたお客様が、「アートのあるくらし」によってより良いLIFEスタイルになるとイメージできること。
・サンワカンパニーのデザインコンセプト「ミニマリズム」を体現するシンプルで洗練された商品のある空間にも調和できる作品(作品がシンプルである必要はありません)。
・実現可能性があること。
応募について
応募締切:2022年12月11日(日)23:59迄必着
※持ち込み・郵送不可
以下の応募フォームに必要事項を記入の上、送信ください。応募の際に推薦状を含む提出書類が必要です。提出書類はGoogledrive、ギガファイル便などのサービスをご利用いただき、発行URLを応募フォームにご記入ください。郵送や持ち込みでのご応募は受付いたしかねますのでご了承ください。
応募フォーム:https://forms.gle/oZDGc2syFW93bWjTA
提出書類
・所定の推薦状(所定の書式)
・プロフィール(任意の書式):A4サイズ片面1枚
・ポートフォリオ(任意の書式):A4サイズ片面3枚以内(過去の作品や展示風景の様子がわかる写真や画像のあるもの)
・作品展示プラン(所定の書式):A4サイズ片面2枚以内
-作品タイトル、コンセプト
-展示方法、素材、サイズ、制作スケジュールなど具体的なプラン
-完成イメージがなるべく明確に伝わるよう、ドローイングや写真、グラフィック画像などでわかりやすく表現してください
推薦状・作品展示プラン(所定の書式)はこちらよりダウンロードをお願いします。
※上記の提出書類以外の資料は不要です。
※提出書類の返却はいたしかねます。
※作品制作および展示方法等について、主催者と協議の上、調整させていただく場合があります。
選考結果
2022年12月中旬にグランプリ受賞者、ファイナリスト含む各賞入選者にその旨ご連絡します。その後面接を経てグランプリ受賞者を最終決定します。サンワカンパニー及びARTLOGUEのFacebook、Twitter、メルマガなどでも、各種受賞者を発表します。
審査結果・審査基準に関するお問い合わせにはお応えいたしかねますので、ご了承ください。
過去のグランプリ
2022グランプリ:ユ・ソラ 《私たちの住んでいる家》
推薦人:原 真一(東京藝術大学美術学部彫刻科教授)
2021グランプリ:手嶋勇気(テジマユウキ) 《Convertible painting》
推薦人:今井みはる氏(アートギャラリーミヤウチ学芸員)
2020グランプリ:角 文平(カド・ブンペイ)《壁庭(かべにわ)》
推薦人:庄司秀行氏(アートフロントギャラリーギャラリーマネージャー)
2019グランプリ:顧 剣亨(コケンリョウ)《Inbetweening》
推薦人:椿 昇氏(京都造形芸術大学美術工芸学科教授・学科長)