希望をテーマにした国際展である、第8回横浜トリエンナーレ 「野草:いま、ここで生きてる」が、2024年6月9日に無事閉幕

2024/06/12
by 遠藤 友香
撮影:⼤野隆介

撮影:⼤野隆介


執筆者:遠藤友香


横浜で、3年に一度開催される現代アートの祭典「横浜トリエンナーレ」。2001年にスタートし、200を数える国内の芸術祭の中でも20年以上の長い歴史を誇っています。第8回となった横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」は、全78日の会期を経て、2024年6月9日(日)に無事閉幕しました。

今回、横浜トリエンナーレ組織委員会総合ディレクターの蔵屋美香氏と、アーティスティック・ディレクターのリウ・ディン氏(劉鼎氏)、キャロル・インホワ・ルー氏(盧迎華氏)より、みなさまのご来場とご協力に感謝するメッセージが届きましたので、ご紹介します。

1.横浜トリエンナーレ組織委員会総合ディレクター/横浜美術館館長 蔵屋美香氏からのメッセージ

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」は、6月9日、無事閉幕しました。アーティスティック・ディレクター(AD)を務めたリウ・ディンさんとキャロル・インホワ・ルーさん、31の国や地域から参加してくださった93組のアーティストのみなさま、ご支援、ご後援、ご助成、ご協賛、ご協力いただいたみなさま、アーティストの制作を助け、あるいは会場に立って大活躍してくだった市民サポーターのみなさま、そしてなにより足を運んでくださったたくさんの観客のみなさまに、心よりお礼を申し上げます。

また今回、「アートもりもり!」の名称で、「野草」の統一テーマのもと、BankART1929、黄金町エリアマネジメントセンター、象の鼻テラス、急な坂スタジオ他の連携先のみなさまと共に、市内に広がる大きなトリエンナーレをつくり上げることができたのは、何よりの喜びでした。

ADの二人は、約100年前、中国の作家、魯迅(ろじん)が絶望の中で書いた詩集『野草』からこの企画を発想しました。つらい時こそ創造の力が花開く。ふつうの人が暮らしの中で積み重ねる小さな実践が世界を変える。国と国ではなく個人と個人としてならわたしたちはわかり合える。ADが『野草』から引き出したこれらのメッセージが、とりわけ次の世界を担う若いみなさんの胸に長く残ることを祈っています。

2.アーティスティック・ディレクターのリウ・ディン氏(劉鼎氏)とキャロル・インホワ・ルー氏(盧迎華氏)からのメッセージ

第8回横浜トリエンナーレは、絶望についての文学作品をもとに企画されましたが、多くの来場者がお気づきの通り、希望をテーマにした展覧会です。希望は、思考、行動、感情、想像力、友情、失敗、対立、そして何よりも人間の主体性に宿ります。

この展覧会では、アートの人間的価値を重要視し、歴史と現代における個人の主体性の物語を数多く語り直しました。これらの個人の声や経験は、現代の私たちにとって重要なシグナルです。それらは、私たち自身の主体性を掘り起こして発揮し、あらゆる面で紛争や挑戦が激化している時代に希望の種を蒔くための隙間を見出すよう、私たちを鼓舞します。

「野草:いま、ここで生きてる」が終わりを告げるいま、この展覧会を希望のしるしや場所とするためにご尽力いただいたすべての方々に、心から感謝の意を表したいと思います。

横浜トリエンナーレのチームと密に協力してきた私たちは、当トリエンナーレが今後も、最先端の芸術的実験と真摯な知的言説を支援する重要な役割を果たし、アートの分野に真の貢献を果たすことを固く信じています。

(アーティスティック・デイレクター挨拶原文)

The 8th Yokohama Triennale was conceived based on a literary work thinking about despair, yet as many visitors have discovered, it is an exhibition about hope. Hope resides in thoughts, actions, emotions, imagination, friendship, failures, confrontations, and above all, human agency. 

In this show, we have retold many stories of individual agency in history and from our contemporary times, foregrounding the humanistic values of art. These individual voices and experiences are important signals to us today. They inspire us to unearth and exercise our own agency, and to find cracks for planting seeds of hope in a time of escalating conflicts and challenges on all fronts. 

At this moment of bidding farewell to the exhibition, we want to express our heartfelt gratitude to everyone who has contributed to making "Wild Grass: Our Lives" a sign and site of hope. 

Having worked closely with the team of Yokohama Triennale, we firmly believe that it will continue to play a vital role in supporting cutting-edge artistic experiments and serious intellectual discourses, making a true contribution to the field of art.

LIU Ding and Carol Yinghua LU
Artistic Director,  8th Yokohama Triennale

閉幕に際して発信した動画は、コチラから。


■第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」

アーティスティック・ディレクター:リウ・ディン(劉鼎)、キャロル・インホワ・ルー(盧迎華)

会期:2024年3月15日(金)ー6月9日(日)   

開場日数:78日間  

会場:横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路

主催:横浜市、(公財)横浜市芸術文化振興財団、NHK、朝日新聞社、横浜トリエンナーレ組織委員会

連携拠点:BankART1929 黄金町エリアマネジメントセンター 象の鼻テラス 急な坂スタジオ

公式WEBサイトhttps://www.yokohamatriennale.jp/


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