第8回横浜トリエンナーレにて、小熊英二監督映画『首相官邸の前で』の上映会&小熊英二×蔵屋美香のトークショーを開催

2024/05/24
by 遠藤 友香
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2024年6月9日(日)まで開催中の第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」。本展覧会は、災害や戦争、環境破壊、経済格差、不寛容など、世界が抱えている多くの課題を私たちに投げかけます。

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オープングループ《繰り返してください》(video still)Courtesy of the artists


例えば、こちらはウクライナのアーティスト「オープングループ」の作品です。この映像作品は、ロシアによるウクライナ侵略に伴って、リヴィウの難民キャンプに逃れた人々を取材したもの。国民に配布された戦時下の行動マニュアルに想を得ています。そこには、音によって兵器の種類を聞き分けた上で、いかに行動するべきか、という手引きが示されています。武器の音を口で再現する人々の姿は、生きるために新たな知識が必要となったウクライナの今ある現実を生々しく伝えています。

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©2015Eiji OGUMA


この度、第8回横浜トリエンナーレにおいて、「野草の生きかた:ふつうの人が世界を変える」と題し、小熊英二監督 映画『首相官邸の前で』の上映と、小熊英二を招き蔵屋美香(横浜トリエンナーレ組織委員会総合ディレクター/横浜美術館館長)によるスペシャルトークイベントが、5月26日(日)に開催されます。

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小熊英二氏 撮影:生津勝隆


小熊英二は、慶應義塾大学総合政策学部教授で学術博士。社会学から日本近現代の研究に従事しています。主な著書に『単一民族神話の起源』(新曜社、1995年、サントリー学芸賞)、『<日本人>の境界』(新曜社、1998年)、『<民主>と<愛国>』(新曜社、2002年、大仏次郎論壇賞、毎日出版文化賞、日本社会学会奨励賞)、『日本社会のしくみ』(講談社、2019年)、A Genealogy of ‘Japanese’ Self-Images(Transpacific Press, 2002) などがあります。

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蔵屋美香氏 撮影:加藤甫


横浜トリエンナーレ組織委員会総合ディレクターで横浜美術館館長の蔵屋美香は、千葉大学大学院を修了(教育学修士)後、東京国立近代美術館勤務を経て、2020年より横浜美術館館長/横浜トリエンナーレ組織委員会総合ディレクターを務めています。また、第55回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館(アーティスト:田中功起)ではキュレーターを務め、特別表彰されています。現在、多摩美術大学客員教授で、その他慶應義塾大学、東京藝術大学をはじめ、多数の大学でゲスト講師として活躍中です。

小熊英二監督によるドキュメンタリー映画『首相官邸の前で』は、2012年夏、ごくふつうの20万人の人びとが首相官邸前に集まり、原発にまつわる政策に抗議した、奇跡的な瞬間をとらえた作品です。ひるがえって、第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」は、中国の作家、魯迅(ろじん、1881–1936)の詩集『野草』(1927年刊)からタイトルをとっています。

魯迅はこの本の中で、わたしたち一人ひとりが日々の暮らしの中で小さな行為を積み重ねれば、世界は変えられる、と述べています。世界を変えるのは、特別な英雄ではなく、魯迅にとってもやはり野の草のような「ふつうの人びと」なのです。

先にも述べた通り、気候変動、災害、戦争、経済格差に不寛容など、私たちの時代は多くの生きづらさを抱えています。「ふつうの人びと」は、これらを変える力となりうるのでしょうか。映画の上映とトークイベントを通して、みなさんと共に考えたいとのことです。

【開催概要】
日時:2024年5月26日(日)13:30-16:30 

会場:横浜美術館 レクチャーホール

定員:240名 ※定員になり次第、締め切ります。

参加費:無料

※事前予約不要、映画のみ、トークのみの参加も可能。

【プログラム】
・ごあいさつ(13:30~13:40)

・上映 映画『首相官邸の前で』(13:40~15:30) 

2015年|日本|109分|企画・製作・監督:小熊英二|配給:アップリンク 休憩(10分)

・トーク「野草の生きかた:ふつうの人が世界を変える」(15:40~16:30)
小熊英二(慶應義塾大学総合政策学部教授)
蔵屋美香(横浜トリエンナーレ組織委員会総合ディレクター/横浜美術館館長)

野草の生きかた:ふつうの人が世界を変えるー映画『首相官邸の前で』上映会 & トーク 小熊英二×蔵屋美香 | 第8回 横浜トリエンナーレ (yokohamatriennale.jp)