⽇本有数のビジネス街である⼤⼿町・丸の内・有楽町(⼤丸有)を舞台に、未来に向けた問いと対話を発信する都市型イベント 「FUTURE VISION SUMMIT 2024」 が開催中 

2024/11/14
by 遠藤 友香

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⽇本有数のビジネス街である⼤⼿町・丸の内・有楽町(⼤丸有)から、社会や経済の未来をアートによるビジョンメイキングを交えて考える都市型のカンファレンスイベント「FUTURE VISION SUMMIT 2024」が2024年11月15⽇まで、⼤⼿町・丸の内・有楽町といった⼤丸有エリアの丸ビル、国際ビル等の複数拠点にて開催中です。

環境問題や資本主義経済の行き詰まり、紛争に格差、予期せぬ疫病や自然災害など、私たちが考える様々な課題を乗り越え、社会経済の新たなモードを築いていくには、ヴィジョナリーやフューチャリストと呼ばれるリーダーたちに見られるクリエイティブ・マインドを持って、まだ見ぬ未来像を描く力が求められていると、FUTURE VISION SUMMITは考えています。その中で「アート」は問題提起力やヴィジョンメイキング、価値創造の源泉とも言え、今後の社会において必要不可欠と言えます。

このような背景において、より良き未来社会を考えていくべく、「アート」を軸に、SDGs、環境問題などの社会課題やこれからの経済について考え、学び合う都市型のイベントがFUTURE VISION SUMMIT 2024です。

東京の国際競争力向上のために、「ビジネスの集積地」である⼤丸有地区がどのような街づくりをするべきかを考えたとき、貨幣経済から共感経済への時代転換を見据え、才能ある尖った人材が惹き付けられる面白い街をつくることで、社会や企業のクリエイティビティやイノベーション力の向上を図りたいとのこと。

本イベントは、リーダーたちのヴィジョンが⽰される「カンファレンス」と、アートを媒介とした多彩な実践・実験的な取り組みを展⽰・ワークショップで紹介する「ショーケース」の2セクションで構成され、今回は「ショーケース」に着目してご紹介します。

1.『どうすれば都市で“ガラス”はサーキュレーションできる?』

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普段意識することの少ない建築物のガラス。ですが、周りを見渡すと都市にはたくさんのガラスが使用されています。これらのガラスは建築物の解体後、どこにいくのでしょうか? 実は、建材ガラスのほとんどは埋め立てられています。

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ガラスは何度でも同じガラスとしてリサイクル可能な素材であり、今都市づくりに取り組むにあたり、建築ガラスの循環を考えることは重要なアジェンダです。こうした課題認識をともに持つ、世界的なガラスメーカーAGCと丸の内エリア(⼤⼿町・丸の内・有楽町)というビジネス街で、アーティストの活動を呼び込みエリアのサステナビリティ向上に取り組む「有楽町アートアーバニズム (YAU)」は、「都市における素材サーキュレーション」を思索するプロジェクトを2023年秋にスタートしました。

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本プロジェクトでは、鉱山や工場への訪問、長い歴史を持つガラスという素材の探求などを、アーティストの内海昭⼦、磯⾕博史とともに実施。このリサーチをベースにしたインスタレーションを展示しています。

2.『クリエイティブ・エコシステムが⽣み出す資本を超えた価値とは?』

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ニューヨークにある美術館「NEW MUSEUM」の「新しい芸術、新しいアイディア」を軸とする活動から、2013年に設⽴された「NEW INC」は、アートやデザイン、テクノロジー、サイエンス、起業家といった領域横断的なインキュベーションプログラムを運営しています。これまで600組以上が参加し、27.3万ドルの資⾦調達に寄与してきたプログラムから、今回ナット・デッカーとアミーナ・ハッセンといった2⼈のアーティストを招き、その⼀端を展⽰で体感することができます。

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⽇常⽣活において⾞いすを使⽤するナット・デッカーは、クィア、障害を持つアーティストとして、バーチャリティ・アクセシビリティを探究しています。集団的なケアのネットワークや解放から引き離された身体・精神の政治性に着目してリサーチを行い、作品を制作。よりアクセス可能で収容力を持つ実践としてテクノロジーを用い、コンピューターはそれを実現させるための補助的デバイス、また搾取と削除のパターンを映し出す方法に論争を要する、潜在的な空間として捉えています。

本作品は、障がい者の身体の動きと静止、親密なケアのダイナミクスをデジタル上で明らかにしています。肉体の記憶と日常的な動作の魅力を映し出すことで、単純に見えるケアが特に他者の手によって操作されるプラスチックや金属の義肢に具現化するとき、いかに親密さの形として現れるかを示しています。

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アミーナ・ハッセンは、都市プランナー・エデュケーター・アーティストとして、様々な環境における公平性を前面に押し出したプロジェクトに情熱を注いでいます。2024年、ニューヨーク州よりクリーン・エネルギーの先駆者として指名され、恵まれないコミュニティにおけるクリーン・エネルギーのプロジェクト開発を専門とする独立系コンサルティング会社の創立者でもあります。

2023年6月、ニューヨーク市の空は、まるで黙示録を思わせるビビッドな琥珀色の「もや」に覆われました。制御不能となった山火事はカナダから瞬く間に流れ、煙は分厚く舞い上がって空気を乾燥させ、しばしニューヨークの上空は最悪な環境になりました。

本インスタレーションの焼けたような琥珀色のフィルムは、当時の記憶を呼び起こす視覚的装置になっています。カーラジオから流れる番組のような音声が、ニューヨーク市民の山火事の経験や空気との関わりを伝えています。

本作品は、大気汚染の主な原因である車社会のあり方へのジェスチャーであり、空気そのものの偏在性を通して、それに国境や統治はなく、私たちの空は繋がっていることを知らせてもいます。

3.《Air on Air》

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インターネットを介して、遠隔地に「息」を届ける参加型インスタレーション。鑑賞者がデバイスに息を吹きかけると、離れた場所でシャボン玉が飛び出し、空へと舞う様子をリアルタイムの一人称視点で、画面で眺めることができます。

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パンデミックを経て、移動や距離の捉え方が変化した今、この体験は画面の「向こう」に広がる世界との新たな繋がり方を示すとともに、空気や風といった見えない存在を再認識する機会となります。

4.《経験の共有》

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昨年2023年度より、YAUはアーティストの田中功起とともに、「経験の共有」プロジェクトを進めています。⼤丸有にある様々な会社組織に所属するオフィス・ワーカーが、社会生活で出会う現実(育児、介護、災害、人間関係など)、普段ならば友人や同僚にも話さないかもしれない個人的な経験をインタビューを通して話してもらい、シナリオを制作。

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本展では、そのシナリオをもとにAI音声を使用した作品を発表しています。「誰かの声は、僕の声でもあり、もしかするとあなたの声なのかもしれない」。

5.Mobillity ZERO / MAYU4X 

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グローバルな自動車部品メーカーの株式会社デンソーでは、先進的なシステム・製品を提供してきた企業として、AIなどの技術進化によって変容する未来のライフスタイルを考える「Mobillity ZERO プロジェクト」を、東京大学先端科学技術研究センターと共同して取り組んできました。

EV(電動車)や自動運転にとどまらず、移動の概念そのものを再定義するような技術開発もスコープにおかれています。

その試作機を、実証実験の一環として丸の内の「Personal Wellness Clinic Marunouchi」に設置。五感を刺激することにより、人の意識や行動の変容がどのように起こるかという研究からつくられた「MAYU4X」では、光環境変化から音声ガイドにそった心身の健康や、パフォーマンス向上を図るメディテーションプログラムを体験できます。

光による強い刺激と暗闇の交互の繰り返しで、日常から脱却しリラックスした状態で、音声ガイドに従い自身の心や身体に目を向けて客観視することで、ストレス軽減や集中力向上などを狙っています。所要時間は、約13分です。


アートを軸に未来社会を考える、ビジネス、サイエンス、エンジニアリングの交差点である「FUTURE VISION SUMMIT」。ぜひ、⼤丸有での本イベントに足を運んで、未来に向けてのポジティブ思考を実践してみてはいかがでしょうか。


■FUTURE VISION SUMMIT 2024
会期:2024年11⽉13⽇(⽔)・14⽇(⽊)・15⽇(⾦)
会場:丸ビル、国際ビル(YAU CENTER、1階エントランス、121区、124区)、三菱ビル、他
主催:「FUTURE VISION SUMMIT 2024」実⾏委員会
(構成団体:⼤丸有エリアマネジメント協会(リガーレ)、Forbes JAPAN、「有楽町アートアーバニズム (YAU)」実⾏委員会
特別協力:三菱地所株式会社
協力:東京藝術大学 芸術未来研究場