世界屈指の文化芸術都市・京都を舞台に開催される、 アジアで最も大きな国際写真祭の一つである「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。 国内外の気鋭の写真家による作品展示を中心に、 子どもから大人、アマチュアからプロ写真家までを対象とする様々な教育プログラムも開催し、 写真を通して歴史や社会など関連分野にも造詣を深めていけるように取り組んでいます。 KYOTOGRAPHIEは、多くの観客、写真関係者、 多様な分野の第一人者たちが集い、 交流していくことで新たな創造性が生み出せるような、 国際的なプラットフォームの構築を目指しているとのこと。
この度、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭は、世界最古の写真祭「アルル国際写真フェスティバル」にて、「TRANSCENDANCE(超越)」展を、2024年9月29日(日)まで開催中です。本展では、写真の多様な言語を探求し、写真表現を肯定とレジリエンスへと昇華する 6 人の日本人女性写真家、細倉真弓、岩根愛、岡部桃、鈴木麻弓、殿村任香、吉田多麻希の作品が一同に会します。
(左から)仲西祐介、ルシール・レイボーズ(KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 共同創設者& 共同ディレクター)
「TRANSCENDANCE(超越)」展は、 第10回 KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭を記念し、ルシール・レイ ボーズ、仲西祐介、ポリーヌ・ベルマールの企画により2022年に開催された「10/10 現代日本女性写真家 たちの祝祭」展にインスパイアされ、同展に参加した写真家の数名の作品に焦点を当てています。彼女たち の作品に内在する親密性や集団社会における体験は、現代の日本社会の複雑性やその先にあるものを私たちに投げかけています。
「TRANSCENDANCE(超越)」展は、いわゆるグループ展ではなく、6人の写真家それぞれに光を当てる万華鏡のような展覧会とも言えるでしょう。写真の力を通して、ヴァルネラビリティ(脆弱性)、多様性の美しさ、そして自分の物語や歴史を新たに作っていく勇気を持つ女性たちの不屈の精神を讃えています。日本で制作された6名の作品は、KYOTOGRAPHIEが第1回からタッグを組んでいる小西啓睦のデザインによる洗練されたセノグラフィーにより展示されています。
展示会場となるVAGUEは、南フランスの古都アルルの閑静な通りに面した、自然光あふれる石造りの建造物で、日本出身のデザイナー兼クリエイティブ・ディレクターの柳原照弘がリノベーションを手掛けています。時を超越したこの空間では、建築、デザイン、現代アート、工芸が出会い、展覧会、ワークショップ、 フード・ポップアップ、マテリアルリサーチ、現代工芸、レジデンスなど、多様なコラボレーション・プロジェクトが生まれる場となっています。
■ケリング「ウーマン・イン・モーション」の協力
ファッション、レザーグッズ、ジュエリー製品を扱うメゾンおよびケリングアイウエア、ケリング ボーテを擁するグローバル・ラグジュアリー・グループである「ケリング」。傘下のブランドは、グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ブリオーニ、ブシュロン、ポメラート、ドド、キーリン、ジノリ1735。戦略の中心にクリエイティビティ(創造性)を掲げるケリングは、 サステナブルで責任のある方法により未来のラグジュアリーを築きながら、各ブランドがそれぞれの創造性を自由に表現することを可能にしています。
2015年、ケリングは映画界の女性に光を当てることを目的に、カンヌ国際映画祭にて「ウーマン・イン・ モーション」を立ち上げました。芸術分野における平等のための闘いは映画界に限ることなく、「ウーマン・ イン・モーション」は写真を始めとする他の芸術分野にもその取り組みを広げています。
2019年3月、ケリングはアルル国際写真祭とのパートナーシップを発表し、同写真祭での「ウーマン・イン・ モーション」プログラムをスタートしました。このパートナーシップは、女性写真家の認知度向上に貢献し、 同分野における男女平等を達成することを目的としています。ケリングは、2016年から支援しているマダム・ フィガロ・アルル・フォトグラフィー・アワードを通じて、才能ある次世代の女性写真家を支援し続ける一方で、 アルル国際写真祭にて「ウーマン・イン・モーション」ラボと「ウーマン・イン・モーション」フォトグラフィー・アワードを立ち上げました。同賞は象徴的な女性写真家のキャリアを称えるもので、受賞作家の作品を写真祭のコレクションとして購入するための賞金2万5000ユーロが含まれています。2019年はスーザン・ メイゼラス、2020年はサビーヌ・ヴァイス、2021年はリズ・ジョンソン・アルトゥール、2022年はバベット・ マンゴルト、2023年はロザンジェラ・レンノ、2024年は石内都が受賞しました。
日本でも、ケリングはKYOTOGRAPHIEを支援しています。2021年は、ヨーロッパ写真美術館 (MEP)による「MEP Studio(ヨーロッパ写真美術館)による5人の女性アーティスト展 ‐ フランスにおける写真と映像の新たな見地」、2022年に10名の日本人女性写真家の展覧会「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」、2023年は石内都・頭山ゆう紀「A dialogue between Ishiuchi Miyako and Yuhki Touyama |透視する窓辺」展、2024年は川内倫子・潮田登久子「From Our Windows」展を支援しました。
南仏に行かれる方は、世界最古の写真祭「アルル国際写真フェスティバル」にて開催中の「TRANSCENDANCE(超越)」展を、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。
■「TRANSCENDANCE(超越)」展
出展作家:細倉真弓、岩根愛、岡部桃、鈴木麻弓、殿村任香、吉田多麻希
会期:2024年7月1日(月) - 9月29日(日)
会場:VAGUE ARLES(フランス・アルル) 14 Rue de Grille, 13200 Arles, France
会場時間: 10:00―19:30
入場料:€ 6
キュレーション:ルシール・レイボーズ、仲西祐介(KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 共同創設者& 共同ディレクター)
共同プロデュース:SIGMA
With the support of Kering | Women In Motion