執筆者:遠藤友香
エイベックスのアート領域における事業「MEET YOUR ART」から、バカルディ ジャパン株式会社が輸入し、サッポロビール株式会社が販売するジンブランド「ボンベイ・サファイア」とコラボレーションし、「五感」をテーマに90年代以降のアーティストと共創する展示企画「5 SENSES」が、2024年6月29日(土)まで、港区・西麻布にあるWALL_alternativeにて開催中です。
本展では、今回のプロジェクトで共創する気鋭アーティスト、和泉侃氏(嗅覚)、菅原玄奨氏(触覚)、高山夏希氏(視覚)、布施琳太郎氏(聴覚)によるそれぞれの感性にまつわる作品を展示するほか、日比野菜穂氏(味覚)が和泉侃氏(嗅覚)とともに、この空間のためだけに開発したボンベイ&トニックのツイストカクテルのフードペアリングを無料で楽しむことができます。
次に、各アーティストの言葉をご紹介します。
和泉侃(嗅覚)
「本作品では、空間全体を香りで満たし、ボンベイ・サファイアの味わいの源となるボタニカルに、嗅覚からアプローチする実験工程にご参加いただきます。漂う香りは、ジンの世界ではまだ使用例の少ないレモンティーツリーやホーリーバジルなど、新たな素材を調香領域の視点からセレクトしました。柑橘類の爽やかさを彷彿とさせるリモネンの含有量が高い原料をメインに揃え、明るくビビッドな色彩を感じる、エネルギッシュな香りに仕上げました。嗅覚に焦点を当てる本作品を通じて、ボンベイ・サファイアのキャラクターをより深く感じ、新しいペアリングの可能性や楽しみ方を発見するきっかけになれば幸いです」。
日比野菜穂(味覚)
「嗅覚を担当する和泉さんの原材料をもとに、カクテルと一口菓子を制作しました。バーテンダー・齋藤隆一さんのお力添えをいただき、ボンベイ・サファイアと蒸留水を使用した爽やかなカクテルとともに、フードペアリングとして、和泉さんが蒸留したレモングラスの精油を、ボンベイ・サファイアで希釈した琥珀糖を制作しました。口にした瞬間、レモングラスの畑が目に浮かび、梅雨晴れのような清々しい気持ちになっていただくことをイメージして制作しました。味覚を通して、皆様に想像力が広がるような体験をしていただけると嬉しいです」。
菅原玄奨(触覚)
「『5 SENSES』では触覚性をテーマに、過去に制作した人物像や触覚的な手の痕跡を残したレリーフ作品『Tactile』シリーズ、近年実験的に取り組んでいる照明を展示什器に取り入れることで、表面のテクスチャーをよりフラットに可視化した近作を展示します。これらの作品は共通して、粘土原型段階の湿気と乾燥、型取り段階のネガとポジ、そして成型による内側と外側といった対極的な二つの要素の間に成り立っています。世の中の相反する様々な事柄や意見の間に、人々もまた、かろうじて立っているように思うのです」。
布施琳太郎(聴覚)
「視界を埋めつくす青い光に包まれながら『機械の音』を聞いてもらう作品。ボンベイ・サファイアとのコラボレーションということで、アルコールを舌につけるように鼓膜を敏感にしていただいて、複数の言語の間を泳ぐような時間を作りました」。
高山夏希(視覚)
「6月6日からの展示では、ブルーを基調にした大型作品を中心に、ボンベイ・サファイアとのコラボレーショングラス/ボトルボックスデザインに採用された作品を展示します。今後の作品に向けては、ボンベイ・サファイアの特徴的なボトルを溶かし、セラミック作品との融合で再生成します」。
以上、WALL_alternativeにて開催中の、「五感」をテーマに90年代以降のアーティストと共創する展示企画「5 SENSES」についてご紹介しました。五感にひらめきを与えてくれる本展に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。