執筆者:遠藤友香
岩手・宮城・福島 MIRAI文学賞・映像賞実行委員会は、2024年3月30日に仙台市内にて、「第二回岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞」授賞作品の授賞式を開催しました。
「岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞」は、震災の記憶を風化させず未来を志向するために、未来を担う若者に地域の魅力・希望・未来を切り取ってもらい、文字と映像の力で3県を訪れる人が増えることを期待し設立されました。選考は、実行委員会が依頼した各界の有識者により審査されました。
MIRAI文学賞 授賞作品には、ファラ崎士元氏(33歳・団体職員)による作品「日本のグリムを追って」と、梅若とろろ氏(23歳・大学生)の作品「かえるところ」が選ばれました。
MIRAI映像賞 授賞作品には、なないろ氏(21歳・大学生)の作品「東北サプライズ 〜胸がときめく、面白い旅へ〜」 と、Arrangers‘氏(21歳・大学生)の作品「心を調律する東北「音旅」」が選考されました。
受賞作品は公式ホームページでの公開に加え、3県の観光PR等での活用を予定しています。
授賞式において、岩手・宮城・福島 MIRAI文学賞・映像賞実行委員会事務局の八重嶋拓也氏は、「今年受賞した作品は素晴らしかったですし、応募いただいた作品を拝見拝読しますと、かなり1年目に比べて表現の幅が広がったなと感じております。東北の自然ですとか、文化、歴史、食、観光、人の温かさを、こんなふうに切り取って表現してくださるんだなってことを事務局としてもそうですし、地元の1住民としてもすごく嬉しく感じました。この作品を通じて、実際に3県に足を運ぶ人がもっと増えたらと考えております」と述べました。
MIRAI文学賞を授賞された梅若とろろ氏の作品「かえるところ」は、主人公の創がバイト先の先輩の実家がある福島県須賀川市を訪れ、様々な人や店と出会い、温かみに触れる中で、心に引っかかっていた悩みを見つめ直していくストーリーです。
梅氏は「この度は、素晴らしい賞をいただき、大変光栄です。私は福島県須賀川市生まれました。円谷英二監督の生家が近所にあり、幼い頃、父に連れられ、レリーフを見に行ったのを覚えております。そのため円谷英二監督は私にとって、身近な存在でした。歴史と文化に恵まれた須賀川市を訪れていただきたく、この地を訪れた青年の心の回復を描きました。震災当時から今日まで、私達は日々の生活を、一歩一歩歩んでまいりました。次世代へバトンを繋げられるよう、微力ながら故郷へ貢献できればと思います」と語りました。
MIRAI映像賞を授賞された「心を調律する東北「音旅」」のArrangers‘氏は、「昨年の9月に合宿で東北を訪れまして、みんなで東北の魅力や未来性というものをたくさん話し合った結果、やはりリラックスだとか、癒しというものが出たんですけども、それに加えて、東北の人の温かさとか、あまり多くを語らないような、東北の人の人柄だったり喋り方、そして他の観光地とはどこか違う素朴さというものが東北の魅力なんじゃないかというふうに感じました。
SNS映えとか、スマホというものに無意識的に疲れてしまっている若者が東北に足を運んで、スマホというものを忘れて自分に浸る、そして東北という環境に浸るというストーリーを表現しようと考えました。東北ならではの三陸鉄道とか、街作りとか、他にも、サウナ、そしてサウナから直接目の前の湖に飛び込むという、あまり東京でできないような経験がありまして、そのような若者にも刺さるような、琴線に触れるポイントも詰め込みましたので、ぜひ視聴いただき、よければ足を運んでいただきたいなというふうに思っています」と述べました。
文学賞を審査された、石巻専修大学の遠藤郁子教授は、「今回も非常に意欲的な作品が集まって、こちらも読みながら、いろいろなことを考えさせられました。授賞作の2作品は、両方とも紀行文的な性格の文学だったのすが、本当にその地に何か根ざしたような手触りを感じるような文章でしたし、若い感性によるで瑞々しい描き方で、その場の文化と触れ合っている様子がとても魅力的でした」とコメントしました。
映像作品を審査された福島大学の奥本英樹教授は、「映像賞最終選考に残った5作品を見て感じたことは、本当に今の若い世代っていうのは、絵作りがすごく上手になったなって感じました。生まれたときからスマホがあって、多分いろいろな映像を自分で作るっていうことも、もうすごく経験してる子たちが多いんだなっていうまず思いがあります。全て、すごくレベルが高かったので、そこに驚きました。
「心を調律する東北「音旅」」は、切り口がやっぱり素晴らしかったなと思います。この映像は音にフィーチャーしてるんですけれども、都会はあまりにも音が多すぎて、その音の一つ一つには実は意味があるのかもしれないけれど、それは多すぎると雑音になってしまう。だけど、こういう静寂の中に、一つ一つの音を切り取って聞いてみると、そこには自然だったり人だったり、いろんな営みが感じられて、そういったその音の素晴らしさ、我々は五感で生きているわけですから、その一つの五感にフィーチャーしたその切り口がすごく素敵だったなと思います」と述べました。
■「岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞2024」作品募集開始
「岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞2024」は、2024年4月1日から2024年11月30日 23時59分までの期間、作品の募集を行っています。
募集作品は、岩手・宮城・福島に足を運びたくなることをテーマとした未発表作品で、文学賞は12,000字以内で、現地を訪ねたくなる、若者を主人公にした小説、映像賞は、3~5分以内の現地を訪ねたくなる、ジャンル不問の動画です。
応募資格は、18歳(高校生可)~35歳までで、国籍・プロアマを問いません。文学賞・映像賞ともにMIRAI賞として、2名ずつに記念品と賞金50万円が贈呈されます。我こそは! と思う方は、ぜひ応募されてみてはいかがでしょうか。