超現実主義的なパフォーマンスシリーズが展開。プラダ財団の企画による展覧会「MIRANDA JULY: F.A.M.I.L.Y.」

2024/06/23
by 遠藤 友香

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執筆者:遠藤友香


「PRADA(プラダ)」は、プラダ財団の企画による展覧会「MIRANDA JULY: F.A.M.I.L.Y.」を、2024年8月26日(月)までプラダ 青山店にて開催中です。

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ミランダ・ジュライ:映画監督、アーティスト、作家。カリフォルニア州バークレーで育ち、現在はロサンゼルス在住。『ザ・フューチャー(The Future)』、『君とボクの虹色の世界(Me and You and Everyone We Know)』(カンヌ国際映画祭カメラ・ドール賞とサンダンス映画祭審査員特別賞受賞、2020年にクライテリオン・コレクション社から再リリース)の脚本、監督、主演を務める。直近の映画作品は『さよなら、私のロンリー(Kajillionaire)』(2020年)。アート作品は、ウェブサイト《Learning to Love You More》(ハレル・フレッチャー共作)、《Eleven Heavy Things》(2009年ヴェネチア・ビエンナーレのために制作されたスカルプチャー・ガーデン)、《Somebody》(ミュウミュウと共同制作したメッセージアプリ)、高級百貨店内の異宗教リサイクルショップ(Artangel提供)など。2022年にMACK Booksが直近の作品《Services》のリミテッドエディションを製作。現在までの活動のモノグラフが2020年4月に出版されている。著書には、『あなたを選んでくれるもの(It Chooses You)』、『最初の悪い男(The First Bad Man)』、『いちばんここに似合う人(No One Belongs Here More Than You)』(フランク・オコナー国際短篇賞受賞)などがある。ジュライの小説は23か国で出版され、『The Paris Review』や『The New Yorker』、『Harper’s』諸誌に掲載。小説最新刊『All Fours』は2024年5月にRiverhead Booksから発売予定。



アメリカのアーティストであり映画監督でもあるミランダ・ジュライ(1974年生まれ)は、30年以上にわたり、パフォーマンスやビデオ、インスタレーション作品を制作してきました。1990年代のパンククラブにおける初期のパフォーマンス作品から、舞台で行われる複雑なマルチメディア作品に至るまで、ジュライは力や脆さに対して私たちが抱く思い込みに疑問を呈する、想像力に富む社会的世界を創り出しています。ジュライの作品は様々なテクノロジーを取り入れ、時には意図的に誤った使い方を行いながら、コラボレーションやコネクションの新たな可能性を探求しています。

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東京のプラダ 青山店で開催中の最新作《F.A.M.I.L.Y.(Falling Apart Meanwhile I Love You)》(2024)は、マルチチャンネルのビデオインスタレーションで、Instagramを介して、7人の見知らぬ人たちとのコラボレーションによるパフォーマンスで構成されています。ミア・ロックスのキュレーションによる本展は、東京で開催するジュライにとって初となる個展です。同時開催中のミラノのOsservatorio Fondazion Pradaを会場として、2024年10月まで行われる《MIRANDA JULY:New Society》は、ミュージアムで開く自身初の個展となります。

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2020年に始まった《F.A.M.I.L.Y.》は、Instagramのプライベートチャンネルを通して、ジュライのプロンプトシリーズに返答した7人の参加者とのコラボレーションによって制作されたもの。ジュライは、ソーシャルメディアコンテンツ向けにデザインされた無料編集アプリの「切り抜き」ツールを使用し、ジュライと参加者が親密性と境界を探求する超現実主義的なパフォーマンスシリーズを生み出しています。ロサンゼルスにあるジュライのスタジオで流れている映像を背景に映し出される、拡大されたコラージュのポスターを手に取るよう、見る人たちを誘います。

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(左から)ミランダ・ジュライ、ミア・ロックス


ジュライは「《F.A.M.I.L.Y.》で、私はInstagramで期待されている事柄の一つとして認識している、『自分の心が満たされるほど美しく素晴らしいと人の目に映ること』に労力をかけて、手作業で実現しようと試みています」と語っています。

キュレーターのミア・ロックスは「これは、ジュライが積極的に取り入れている作品形式で、ジュライ自らが開始し、ある程度支配し、やり取りはしますが、それだけではなく、他の人の望みや行動をその中に積極的に取り込んでいます。力と支配の共有を試行錯誤しているということであり、時には遊び心がある方法でそれを行っているのです」と述べています。


以上、プラダ 青山店にて開催中の展覧会「MIRANDA JULY: F.A.M.I.L.Y.」についてご紹介しました。気になる方は、ぜひ会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。


■「MIRANDA JULY: F.A.M.I.L.Y.」

場所:プラダ 青山店 東京都港区南青山5-2-6

会期:2024年5月9日~8月26日

時間:11時~20時(月曜日~日曜日)

Miranda July F.A.M.I.L.Y. Prada Aoyama | PRADA