(左から)株式会社世界貿易センタービルディング 常務取締役 大志万 延也氏、東急不動産株式会社 取締役 常務執行役員 宇杉 真一郎氏、フェアモント東京 総支配人 カラン シン氏、東京都技監 (都市整備局長兼務)谷崎 馨一氏、野村不動産株式会社 代表取締役社長 松尾 大作氏、野村不動産ホールディングス株式会社 代表取締役社長 新井 聡氏、東日本旅客鉄道株式会社 常務取締役 中川 晴美氏、株式会社槇総合計画事務所 代表取締役 亀本 ゲイリー氏、芝浦一丁目町会 会長・芝浦一丁目地区まちづくり協議会 会長 岡田 祥男氏、港区立芝浜小学校 校長 宮﨑 直人氏
執筆者:遠藤友香(Yuka Endo)
野村不動産株式会社と東日本旅客鉄道株式会社は、共同で推進している国家戦略特別区域計画の特定事業である「BLUE FRONT SHIBAURA」のツインタワーのうち南側の1棟目「TOWER S」が、2025年9月1日に商業エリアのグランドオープンを迎え、全体開業したことを記念し開業式典を行いました。
「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」は、空・海・緑との繋がりを意識した開放的な空間づくりを特徴としており、多様なニーズに応える、地域にひらかれた施設です。
TOWER Sは 主にラグジュアリーホテル、オフィス、商業店舗から構成された複合施設で、TOWER S全体の商業店舗は、飲食店を中心とする約40の商業店舗により、地域に新たな賑わいやコミュニティ醸成の舞台を提供します。
グランドオープンしたTOWER Sの1階から3階までの低層商業エリアは、水辺や緑に面した“まちのコミュニティハブ”をテーマとし、多様なジャンルかつクオリティの高い店舗の飲食専門店等が集結。水辺や緑とのつながりを体感できる約1,000席(店舗内客席約230席、共用席約770 席※テラス席約230席含む)の開放的な空間にて美味しい食事を楽しむことができます。
また、オフィスユーザーだけではなく、このエリアで暮らす地域の皆さまに、一部エリアを地域のパブリックスペースとして開放し、仕事や勉強、コミュニティ形成の場として利用するなど誰もが気分に合わせて自由な時間を過ごすことも可能です。
開業式典では、野村不動産株式会社 代表取締役社長の松尾大作氏より、「本プロジェクトは2018年3月国家戦略特区の認定を受けてから約7年、関係者の皆さま方から多くのご指導ご鞭撻を承り、本日BLUE FRONT SHIBAURA TOWER Sの開業式典を迎えられることを大変嬉しく思います」との挨拶がありました。
また、東京都技監(都市整備局長兼務)谷崎 馨一氏は「都は新たな長期計画である「2050東京戦略」で、東京のポテンシャルを磨き上げ、『世界が憧れる魅力あふれる都市』へと進化させることを目指しており、その実現に向けて本地区が大きな役割を担っていただけるものと、ご期待申し上げます」と祝辞を述べられました。
この度、全体開業を迎えたことを記念し、2025年9月1日(月)から9月15日(月・祝)までの期間中、新しい水辺のライフスタイルを体感できる「OPENING EVENT」を開催中です。本イベントでは東京都心でありながら、自然の豊かさに恵まれた芝浦ならではの環境を生かした、12種類の体験に出会えます。
例えば、潮の香りを運ぶ風でくるくるまわる「かざぐるま」をモチーフにした参加型のインスタレーションが、施設の広場や開業を記念して運航する船の上を彩ります。
また、このまちのコミュニティの中心となる2つのダイニングホールでは、食事と共にお楽しみいただける映画の上映やワークショップを開催。緑に囲まれた公園や芝生広場、そして船の上で潮風を感じながらピクニックを楽しめるテイクアウトメニューの販売や、ピクニックツールのレンタルサービスもご用意。
さらに、地上約140mから東京ベイエリアを一望できる展望テラス「BLUE SKY LOUNGE」を特別に解放するほか、本施設のために制作されたアート作品を巡るツアーも実施予定です。
そして、本施設の開業を記念して、フェアモント東京のレストランとダイニングホールにおけるキャンペーンも行います。
以下、主な体験をピックアップします。
1.KAZE GURUMA:風を感じる1000個のかざぐるまで彩る、参加型インスタレーション
・風を感じる1000個のかざぐるま KAZE GURUMA
1000個のかざぐるまが、BLUE FRONT SHIBAURAの玄関口に期間限定で登場。風を受けて回る7色のかざぐるまは、季節や時間とともに変化するこのまちの自然の移ろいを表現しています。そのほかにもクルーズ船やHi-NODEなど、まち中に彩られたかざぐるまを探してみてください。
開催日時:9月1日(月)~15日(月・祝)
開催場所:A.サウスプラザ(1F・屋外)Hi-NODE
料金:無料
予約:不要
\願いよ回れ!みんなで作る「願いぐるま」/
イベント総合受付で配布される「願いぐるま」を広場に置かれた木枠に取り付けて、みんなで一つの作品を作ります。風が吹くたびに色とりどりの「願いぐるま」がくるくると回り、みんなの願いがそっと動き出します。
開催日時:9月1日(月)~15日(月・祝)11:00~22:00
配布場所:B.イベント総合受付(2F・ SHUTTERS前)
料金:無料
予約:不要
2. BLUE FRONT SKY&SEA:地上140mから望む圧倒的なオーシャンビュー、期間限定の展望台
地上約140mから東京ベイエリアを一望する「BLUE SKY LOUNGE」。普段はオフィスユーザーのみが利用できる特別な空間が、イベント期間中に限り展望台としてオープンします。
開催日時:9月6日(土)~7日(日)、9月13日(土)~15日(月・祝) 10:00~22:00 ※6日(土)のみ19:00~22:00
集合場所:C.イベント集合場所(2F・オフィスエントランス内)
料金:無料
予約:事前予約制
\空の上で楽しむ特別な一杯/
BLUE SKY LOUNGE内に併設されたカフェBARにて、スパークリングワインとミニスナックを提供します。ドリンク片手にBLUE FRONT SHIBAURAならではの広がる海と空の絶景をお楽しみください。
料金:無料
※お一人様1回の来場に付き1回限り。
※お子様やお車でお越しの場合などアルコール摂取が出来ない方はカフェスタッフにお申し付けください。代わりにグアバジュースを提供します。
3.BLUE SIDE PICNIC:ピクニック用テイクアウトメニューの販売及びピクニックツールのレンタル
都心にありながら豊かな自然に包まれる BLUE FRONT SHIBAURA。この特別なロケーションでのお食事をもっと自由に心地よく過ごしいただくため、期間限定でピクニックツールのレンタルサービスを実施します。ピクニックシートやバスケットなどを手に館内のテイクアウトメニューを持ち寄って、海風と緑の中で気軽にピクニックをお楽しみください。
開催期間:9月1日(月)~15日(月・祝)
11:00~23:00 ※最終貸出受付 22:00
貸出場所:B.イベント総合受付(2F・SHUTTERS 前)
料金:無料
予約:事前予約制
\ピクニックツール 10 点セットを無料レンタル/
新宿御苑で大人気のピクニックツール貸出サービス「nuibox」と BLUE FRONT SHIBAURA が期間限定でコラボレーション。バスケット、ピクニックシート、ミニテーブルなど10点セットを貸出します。
\ピクニックにぴったりのテイクアウトグルメ/
BLUE FRONT SHIBAURA ではバラエティ豊かなテイクアウトメニューをご用意。BLUE FRONT SHIBAURA 公式 WEB サイト内のSHOP LIST(店舗一覧)より、テイクアウトメニュー実施店舗を確認してください。
※カテゴリから探す→施設・情報サービス→テイクアウトを選択し、絞り込みください。
4.CELEBRATION CRUISE:船上BARや船上ピクニックなど、新しい東京の水辺の楽しみ方
船上 BAR を堪能できる最新のクルーズ体験や、開業を祝して彩られた船で船上ピクニックを楽しめる、新しい水辺のライフスタイルをお楽しみください。
開催日時:9月5日(金)~7日(日)、13日(土)、14日(日)
乗船場所:D.BLUE FRONT クルージング受付(2F・テラス)
料金:3,000円(税込)
予約:事前予約制
5. 海とつながる暮らし、はじめよう。–Seavege- Neighbors
都会の真ん中で「海藻」に出会うイベント。誰かに話したくなる海藻のふしぎや、親子で楽しめる海藻ハーバリウムづくりワークショップ、自宅で楽しめる海藻の販売など、五感で海とつながる体験を多数ご用意。
開催日時:POPUP 9月1日(月)~30日(火)
ノベルティキャンペーン:9月1日(月)~7日(日)
ワークショップ:9月6日(土)、7日(日)、14日(日)、15日(月・祝)
※各日 13:30~/15:00~
開催場所:G.ポップアップエリア(1F・GREEN DINING HALL 内)
料金:POPUP 無料/ワークショップ 2,000 円(税込)
予約:事前予約制(ワークショップのみ)
自然の豊かさに恵まれた芝浦ならではの環境を生かした本施設で開催中のイベントに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」東京, 麻布台ヒルズ ©チームラボ
執筆者:遠藤友香
2001年から活動を開始したアートコレクティブ「チームラボ」。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的な学際的集団として名を馳せています。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストで構成されていることで知られています。
森ビル株式会社がチームラボと手掛ける「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」は作品群による境界がなく、連続する1つの世界として構成。来館者は境界のないアートに身体ごと没入し、「境界なく連続する1つの世界」の中を「さまよい、探索し、発見」する唯一無二の体験をすることが可能です。米国の国際的なニュース雑誌「TIME誌」の「World's Greatest Places 2024(世界で最も素晴らしい場所 2024年度版)」に選ばれています。
この度、エプソン チームラボボーダレスが、グローバルオンライン旅行サービスプロバイダー「Trip.com Group」が主催する「2025年度グローバル観光イノベーションプロジェクト大賞(2025 Tourism Innovation Awards)」の大賞を受賞しました。
本賞は、Trip.comが旅行のあり方を再定義する画期的なアイデアと商業的イノベーションを支援することを目的に、本年設立したTrip.com Group Tourism Innovation Fund(観光イノベーション基金)の取り組みの一つです。旅行体験の向上、テクノロジーの活用、文化交流の促進、および観光エコシステムにおける持続可能な繁栄の推進において、優れた実績を上げたプロジェクトや個人を表彰しています。
今回の受賞は、チームラボボーダレスの業績および観光産業への卓越した貢献と、革新性・没入型体験が高く評価されたもので、日本からは唯一の選出となりました。
大賞への選出に際し、Trip.comは、「アート、テクノロジー、そして空間の境界を曖昧にするダイナミックな作品は、来館者にアートと触れ合うユニークな機会を提供しています。この唯一無二の体験は、アート愛好家とテクノロジー愛好家の両方を魅了し、文化ツーリズムにおける真のゲームチェンジャーと言えるでしょう。」とコメントしています。
また、Trip.comが発表する旅行ランキングコンテンツ「Trip.Best」においても、チームラボボーダレスは東京のナイトアクティビティ部門で上位にランクインしており、魅力的な東京観光のスポットとして高い評価を得ています。
次に、チームラボボーダレスの主な作品をピックアップしてご紹介します。
1.《人々のための岩に憑依する滝》
チームラボ《人々のための岩に憑依する滝》、《花と人、コントロールできないけれども共に生きる – A Whole Year per Hour》、《追われるカラス、追うカラスも追われるカラス:境界を越えて飛ぶ》 ©チームラボ
「人々のための岩」に降り注ぐ滝は、岩と人々の存在、そして、この空間に入ってくる他の作品の影響を受け、変容し続けます。また、水の流れそのものが、この空間に入ってくる他の作品に影響を与えていきます。今この瞬間の絵は二度と見ることができません。滝が映し出された壁や床は、我々と作品との境界面にならず、滝の作品空間は、人々の身体のある空間と連続します。
2.《Bubble Universe: 光の球体結晶、ぷるんぷるんの光、環境が生む光 - ワンストローク》
チームラボ《Bubble Universe: 光の球体結晶、ぷるんぷるんの光、環境が生む光 - ワンストローク》 ©チームラボ
人が立ち止まると、最も近い球体が強く輝き、球体の光は、それぞれの球体から常に最も近い球体へと連続していきます。そして、他者が生んだ光とも交わります。
ランダムに見える空間上の球体の配置は、どの球体から始めても、常に最も近い球体へと線を引き続けていくことで、一筆書き(unicursal)のように全ての球体を一度ずつ通る一本のつながった光の軌跡となるよう、数学的に導き出されたものです。
人に呼応した球体の光は、常に最も近い球体へとつながりながら、全ての球体を必ず一度だけ通り、空間全ての球体に伝播します。これは、人々の存在によって生まれる連続する光の、連続していることそのものの美しさを模索した作品です。
3.《マイクロコスモス:ぷるんぷるんの光、環境が生む光》
チームラボ《マイクロコスモス:ぷるんぷるんの光、環境が生む光》©チームラボ
奥行きのわからない無限遠の空間の中を、無数の光が走り続ける作品です。「構成要素が空間的にも時間的にも離れていたとしても、構成要素全体に異なった秩序が形成され、それらが重なり合う時、それは、宇宙か?」を模索します。球体の中には、ゼリーの塊のような「ぷるんぷるんの光」と「環境が生む光」が重なり合うものも現れます。
■森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
所在地:麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1(東京都港区虎ノ門5丁目9)
(麻布台ヒルズ)
開館時間:8:00 - 21:00
※開館時間は変更になる場合があります。最新情報は公式ウェブサイトをご確認ください。
※最終入館は閉館の1時間前
※EN TEA HOUSEは開館の30分後にオープン、ラストオーダーは閉館の30分前
休館日:公式ウェブサイトをご確認ください。
チケット価格:大人(18歳以上):3,600円~
中学生・高校生(13 - 17歳):2,800円
子ども(4 - 12歳):1,500円
3歳以下:無料
障がい者割引:1,800円~
※事前日時指定予約制です。
※大人と障がい者割引につきましては変動価格制を導入しています。
日時別の価格をご確認の上、日時指定チケットをお買い求めください。
*現地での購入の場合、上記価格に+200円となります。
チケット購入はコチラから。
執筆者:遠藤友香
2024年3月に和歌山県白浜町に開業したオールインクルーシブリゾートホテル「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA」が、イギリスに本部を置く世界的ホテルブランドグループ「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(Small Luxury Hotels of the World、以下SLH)に加盟しました。
SLHは、世界90か国以上で620件を超える独立系ラグジュアリーホテルが加盟する世界有数のホテルブランドのグループであり、独自性と高いホスピタリティを備えたホテルのみが選ばれています。
各ホテルのクオリティは欧米市場で認められ、SLHは世界でもトップクラスのホテルブランドの一つとなりました。SLHは20年以上にわたって高いクオリティを維持し続け、ゲストから支持を得ています。独立を重んじる、パーソナルになる、価値ある存在であることを価値観として据えながら、個々の特徴と創造性を持つホテルや体験や旅行者を中心に据えた特注の体験を通して価値あるコミュニティを作り上げることを目指しているそうです。
白浜の雄大な海岸線と豊かな緑に囲まれた広大な敷地で、紀州の食材を取り入れた料理体験と湯元源泉掛け流しの白浜温泉(五光の湯)で癒されるウェルネス体験、そしてそれらを紡ぐきめ細やかなホスピタリティが評価され、「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA」は、この度加盟に至りました。加盟により、SLH のロイヤルティプログラムであるSLH Club 会員の方々も利用可能です。
「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA」は、今後も白浜という土地が持つ自然、文化、食、温泉といった唯一無二の魅力を、オールインクルーシブなリゾートホテルでの非日常体験を通じて提供し、国内外から訪れるゲストへ“新しい日本のラグジュアリー”として発信いていくとのことです。
「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA」は、全室24時間湯元源泉掛け流し温泉(純泉)、温泉プールと大浴場を完備したオールインクルーシブ・ラグジュアリーアートリゾートホテルです。綺麗な白浜の海に抱かれ、温泉、料理、アートと共に、野外演奏や1,000坪スクリーンでのレーザーマッピングショーを楽しみながら、非日常の解放感を体感できるスペースと時間を提供しています。
1.日本では珍しい純泉を使用した大浴場や温泉プール
白浜温泉は日本三古湯の1つ。敷地内地下1,000Mから直接掘削した成分無調整の「純度100%の温泉水」が、大浴場や客室風呂、当ホテルの目玉でもある温泉プールに使用されています。白浜町で自社敷地内に「純度100%の白浜温泉水」が湧き出るのは57年ぶりとなっています。冬の設定温度は32~35℃ と年中入れる温泉プールは客室からそのまま入水可能な部屋もあり、2025年にはバレルサウナも新設されました。
2.全室スイート・全室温泉付き。極上空間でアートに触れられるスイートルーム
90㎡のお部屋からプールに入れる客室「DRAGON」
120㎡の露天風呂・ジャグジー付き客室「GIRAFFE」
145㎡のジャグジー付きオーシャンビュー「GREAT BEAR」
タイプの異なる3棟の合計18室の客室。お部屋から温泉プールにそのまま入ることが出来る「DRAGON」、田辺湾と太平洋を遠くに眺め、半露天風呂を備えた「GIRAFFE」、広さ145㎡で心地よい潮風と絶景を楽しむオーシャンビュー客室「GREAT BEAR」の3タイプです。
3.レストランフロアがリニューアル。紀州を味わうビュッフェスタイル朝食「割烹会席」
2025年6月にレストランフロアがリニューアルしました。個室仕様になり、よりプライベートな空間でお食事をお楽しみいただけます。伊勢海老、鮑、熊野牛など和歌山県産の食事が並ぶビュッフェスタイルの朝食や、本場紀州の海の幸を使った割烹会席はどれも繊細で感動の味わいが魅力。料理長渾身の一品一品をお召し上がりください。
執筆者:遠藤友香
東京都は2040年の都立公園のあるべき姿として、豊かな緑を育み、次世代につなぎ、国内外の人を惹きつけ、一人ひとりのウェルビーイングに貢献できる公園を目指しています。その一環として、公園を利用するすべての方に、公園の新しい価値を提案・共有したいという想いから、都立公園の一部では、四季を通じた花と光の演出を行ってきました。
例えば、葛西臨海公園は、平成元年に緑と水と人のふれあいをテーマに五つのゾーンを配して誕生した歴史ある公園です。葛西臨海水族園や隣接する葛西海浜公園と共に、広大な敷地を活かして、独自の自然環境を利用した取り組みを実施しています。
遠きにわたり、海と深いつながりを持ってきた地域の歴史を踏まえながら、多様な生き物の生息・生育環境に配慮した環境整備を進めるとともに、海辺のレクリエーション空間としての魅力を向上させてきました。「生命」の源である海とつながり、人と自然の調和を五感で感じる葛西臨海公園は、自然環境を体感しながら、地球の未来に想いを馳せる貴重な場として、これからも役割を果たし続けていくとのこと。
この度、葛西臨海公園では「海と自然と、いのちとつながる。― Connect with Everything ―」を、2025年8月17 日(日)まで開催中です。都心からほど近くにありながら、空と海が大きく広がる葛西臨海公園は、四季を通じた花と光の演出によって公園の新たな楽しみ方をお届けする「花と光のムーブメント」を令和4年度より実施しています。今年も約 3,800 ㎡の敷地に、3種類・約4万本のひまわりが咲き誇るひまわり畑がお目見え。夜には、ひまわり畑を舞台に、光の演出とアートを組み合わせたインスタレーションも体感可能です。
1.イベントコンセプト
2.花と光の演出
観覧車のそばには、今年も約3,800 ㎡のひまわり畑(約40,000 本)が登場。ひまわりの品種は、「ソニア」「バレンタイン」「はるかのひまわり(復興ひまわり)」の3種です。
昼間は、夏の太陽に向かって背筋をピンと伸ばして咲くひまわりに囲まれた別世界のような写真や、観覧車を背景に、色鮮やかな黄色いひまわりの写真撮影はできます。夜のひまわりは光やアート作品と共に、昼間とは違ったここだけ、今だけの姿を見せてくれます。
3.アート紹介
本イベントでは、アーティストの宮島達男氏を起用。「生命・永遠・関係性」をテーマに、夜のひまわり畑をデジタルカウンターを用いたアートで彩ります。出現したデジタルカウンターは、時間の流れ、生命のリズムや輪廻転生、そして自然との深いつながりを表現。広大な自然を感じられる葛西臨海公園で、アートを通して夏の特別な夜をお楽しみください。
ひまわり畑の中には、「自然とアート」「時間と生命」「人と環境」をテーマに、ひまわり畑に29本のデジタルカウンターを設置。デジタルカウンターは、9から1までカウントダウンし、それぞれのデジタルカウンターが、かけがえのない一人一人の「命」を表現しています。
4.その他
「海と自然と、いのちとつながる」というイベントコンセプトを、ご自宅でも再体験いただきたいという思いから、この度、宮島達男氏デザインによるシードペーパー(古紙を原料にした紙に花の種を漉き込んだペーパーのこと)をご用意。期間中の各日、アンケートやSNS投稿にご協力いただいた方に、先着順でプレゼントします。
ひまわりと光・アートによってもたらされる、命の鼓動や人と自然との繋がりを、ぜひ葛西臨海公園で体感してみてはいかがでしょうか。
アーティストプロフィール
Photo: Lisson Gallery Milano
宮島 達男(TATSUO MIYAJIMA)
現代美術家。
1957年生まれ。1988年 ヴェネツィア・ビエンナーレ新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催し、世界30カ国250か所以上で作品を発表している。1990年ACCの招きでニューヨーク滞在。1993年 カルティエ現代美術財団の招聘でパリ滞在。
プロデューサープロフィール
杉山 央(OU SUGIYAMA)
新領域株式会社CEO/アートとテクノロジーの交差点に立ち“新しい体験=新領域”を創出するプロデューサー。
2018年「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」室長として世界最大規模の没入型ミュージアムの立ち上げを牽引。2023年虎ノ門ヒルズ「TOKYO NODE」開業の責任者として、Rhizomatiksや蜷川実花との共創による革新的な体験型展覧会を連続して プロデュースした。2024年新領域株式会社を設立。2025年大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちのあかし」計画統括ディレクター、2027年横浜国際園芸博覧会 テーマ事業館・展示ディレクターを務め、アートとテクノロジーを横断しながら新たな体験と空間の創造に取り組んでいる。
「海と自然と、いのちとつながる。― Connect with Everything ―」 特設サイト
会期:2025年8月 1日(金)〜17日(日)
(各日18時00分〜20時30分は光・アートによるインスタレーションを実施)
会場:葛西臨海公園(ひまわり畑)
展示:宮島達男氏による「Peace to the Sunflowers」
料金:入場無料
■関連情報
・葛西臨海水族園
イベント期間中、8月10日(日)から14日(木)は、開園時間を延長します。
・場所:葛西臨海水族園 https://www.tokyo-zoo.net/zoo/...
・時間:9時30分~20時00分(入園および入園券の販売は19時00分まで)
・クリスタルビュー
イベント期間は、9時から19時まで開館します。(通常は17時閉館)
・ キッチンカー
イベント期間は、キッチンカーが出店し、軽飲食の販売を行います。
詳細は特設サイトをご参照ください。
・場所/時間:中央園路 水族園入口付近/9時00分~20時00分
ひまわり畑付近 /9時00分~16時30分
※キッチンカーは、荒天時には休業する場合があります。
※当日の出店業者は変更になる場合があります。
■ 葛西臨海公園へのアクセス
◇公共交通機関を利用される場合1分
・「東京」駅から約20分(JR京葉線利用)・「西船橋」駅から約20分(JR武蔵野線利用)
バス:都バス「葛西臨海公園駅前」停留所、京成バス「葛西臨海公園駅」停留所下車、徒歩1分
執筆者:遠藤友香
株式会社アブストラクトエンジンは、経済産業省とともに、経済産業省の令和 6 年度補正予算「クリエイター・エンタメスタートアップ創出事業費補助金(アート分野)」を活用し、アート領域でのクリエイター・エンタメスタートアップ創出プログラムである「ART X JAPAN CONTEXT(※呼称 アート バイ)」を2025年7月下旬から2026年3月まで実施します。この度、参加する8 組のアーティスト・チームが決定いたしました。
「ART X JAPAN CONTEXT」で目指すのは、企業や地域産業が有する文化的資源(プロダクト・技術・知恵・場所等)とかけ合わせて制作したアート作品等を通じて、海外市場において評価されるアーティストを核としたチーム・企業・団体の創出です。
日本人アーティストが海外市場で評価されるアート表現には、メディアアートやインスタレーションなど様々なフォーマットに共通して、「海外からの評価につながる日本らしさ」とその「多重な文化・文脈」への理解が必要だと考えているとのこと。
本事業では、アート表現に関する教育・メンタリングに加え、クリエイティブ、デザイン、ビジネスなど多分野のトッププレイヤーから「海外からの評価につながる日本らしさ」とその「多重な文化・文脈」に関するレクチャーシリーズを提供することで、海外市場での需要を創出するアートの制作を支援し、世界に通用するアーティスト・スタートアップの創出を目指すそうです。
■参加アーティスト × 文化的資源を有する企業一覧(敬称略)
池田翔×Lada
井村一登×ExtraBold
EXP2FLOOR×WOMB
杉浦久子×東洋竹工
松山周平×スズサン
涌井智仁×Design Solution Forum
石田康平
snipe1
※石田康平氏、snipe1 氏の連携企業は今後決定予定。
なお、記載の企業・団体については、アーティストが自らの創作テーマや視点に基づき、JAPAN CONTEXT を有する者とマッチングされたもので経済産業省が特定の企業を選定したものではありません。
統括プロデューサー/クリエイティブ・ディレクターの齋藤精一氏は、以下のコメントを寄せています。
「アートは今、単なる文化活動にとどまらず、社会や経済の可能性を広げる媒体の時代に入っています。世界のコンテンツ市場が拡大を続けるなか、日本もまた“アート×産業”という挑戦に本格的に踏み出そうとしています。本プロジェクトでは、日本の伝統工芸や技術、場所、知恵といった文化資源とアーティストの創造性を掛け合わせ、新たな価値の創出とその世界発信、ビジネス創造を目指します。
今回採されたアーティストの皆さんは、それぞれが独自の視点と手法で、日本の文化と向き合い、未来を描く創作に挑みます。そこに、企業や職人の知見が交わり、これまでにないアートと産業の融合がかたちづくられていきます。今後、作品の制作過程や展示を通じて、日本が「アートで国際ビジネスが出来る国」へと変わろうとするダイナミズムが見えてくるはずです。このプロジェクトからどんな驚きや美しさが生まれるのかーぜひ、その最終形を楽しみにいただければ幸いです」。
経済産業省文化創造産業課は、以下ように述べています。
「本事業を通じて世界のアートシーンで評価される作品やビジネスモデルが生まれるとともに、アーティストを核としたチームが持続的にアート制作・経済活動を行うことを目指しております。8組のアーティストがメンタリング・レクチャリング等を通じ互いに刺激し合いながら、アート界、産業界双方に驚きを与える成果が発表できることを楽しみにしております」。
次に、参加アーティスト・チームの詳細とコメントを厳選してお届けします。
1.池田翔×Lada
池田翔|サウンドエンジニア、サウンドアーティスト
2000 年新潟県生まれ。東京藝術大学音楽環境創造科、同大学大学院音楽音響創造分野修了。音による空間表現・空間演出への興味から、録音と再生によって生じる音響空間に着目し、立体音響を特徴とした制作を行っている。「東京藝大 ART FES 2023」優秀賞や日本オーディオ協会第 7 回「学生の制作する音楽録音作品コンテスト」最優秀賞等受賞している。
HP:https://ikeda283.com/
X:https://x.com/ikeda_283ch
Instagram:https://www.instagram.com/iked...
【池田翔のコメント】
音を用いて空間を再構成・演出するインスタレーション表現をさらに掘り下げることで、自身の表現の深化だけでなく、音を媒介とするメディアアート作品をさらに普及させていきたいです。
Lada
文化資源・技術:サウンドクリエイティブを軸としたコンテンツ企画、制作、プロデュース
広告やブランドコンテンツの企画制作、空間プロデュースの企画、体験プロデュース事業。IP
コンテンツ、アーティストのプロデュース制作支援、レーベル事業の IP コンテンツ事業。ク
リエイターの発掘、育成のマネイジメント事業。
HP:https://www.lada.co.jp/
【Lada のコメント】
地域ごとの音環境を再構成した音響空間を横断的に体験できる作品を通して、視覚に偏重しがちな現代社会に、 聴覚による空間認知の可能性を提示することを目指します。
2.杉浦久子×東洋竹工株式会社
杉浦久子|建築家・アーティスト、昭和女子大学 非常勤講師、サイト・リノベーション・ラボ代表
1958 年東京生まれ。1987 年早稲田大学大学院・建築専攻修了。1989 年から 1994 年にフラ
ンス国立建築学校パリ・ラ・ヴィレット校修了。1992 年から昭和女子大学(現)環境デザイン学科(建築)専任講師に就任し、2024 年に退任。現在は同大非常勤となり個人活動へ移行。1986 年「現代の茶室」最優秀賞(旧姓:平井)や 2019 年 「サイト・リノベーション(その17)」や 2023 年 「同(その 21)」日本建築学会 発表表彰(南京玉簾システム)等、数多くの賞を受賞。
HP:https://sugiurahisako.wixsite....
【杉浦久子のコメント】
「その場所と人との関係性や意味を発見し、場を再構築すること」を「サイト・リノベーション」と称し、「大地の芸術祭」等で地域の人・もの・環境など「風土性」と呼応した大型のインスタレーションを展開してきました。人の手の技・素材・ブリコラージュ。まだ沢山の宝が眠っています。
物質を伴うインスタレーションは保管、廃棄の問題があります。「南京玉すだれ」の構造システムと竹の菜箸を利用した、旅する茶室「WA-AN 和庵」(テヘラン「間」展出品)の「バージョン 2.0」を、竹加工技術とのコラボにより、より高品位、一過性でないものにしたいです。
東洋竹工株式会社
文化資源・技術:京都特産の優れた孟宗竹・真竹・胡麻竹等の京銘竹を主たる材料とした、竹工芸品「京竹工芸」明治時代に竹材業をはじめ、加工部門を昭和 34 年に独立させ、伝統的な茶華道具から最近では竹を使ったハイテク関連商品・現代的デザインのインテリア商品など新たな竹の用途開発にも力を入れています。
HP:https://www.toyo-bamboo.com
3.松山周平×スズサン
松山周平|テクノロジスト、ヴィジュアルアーティスト
テクノロジーを用いた、アート作品、空間体験設計を手掛け、国内外のミュージアム、アート
フィスティバルでの展示を行う。著書に『TouchDesigner 解説書』、Forbes JAPAN「NEXT 100」2025 選出。第 20 回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出、2020 アジアデジタルアート大賞展 FUKUOKA エンターテインメント部門 大賞/経済産業大臣賞を受賞している。
Instagram:https://www.instagram.com/shuh...
【松山周平のコメント】
日本の伝統文化とのコラボレーション作品制作と現代的な日本観の追究をテーマにした制作をより一層深めグローバルへの展開を目指していきます。江戸時代から続く伝統工芸「有松鳴海絞り」のスズサン様とのコラボレーションの元「絞り染め」手法そのものに注目し、「絞りが引き起こす情報変容」と生地に情報を定着させる「絞り」というメディアの味わいの本質を探ります。
株式会社スズサン
文化資源・技術:愛知県名古屋市の有松・鳴海地域で、江戸時代初期から受け継がれてきた伝
統的な絞り染め技法「有松鳴海絞り」400 年の歴史を持つ有松鳴海絞りをルーツに、日本・有松とドイツ・デュッセルドルフを拠点として、オリジナルブランド<suzusan>の企画・製造・販売を行っています。職人と協業しながら一貫して有松でものづくりを行うことで、次世代への技術継承に取り組んでいます。
HP:https://suzusan-shibori.com/ca...
Instagram:https://www.instagram.com/suzu...
【株式会社スズサンのコメント】
今回のプロジェクトは、伝統技法の有松鳴海絞りでアナログとデジタルを行き来するという一つの挑戦だと捉えています。そもそも2次元のテキスタイルの表面に絞り加工を加えることで3次元にする、という特徴を有する有松鳴海絞りですが、映像や音、空間に広がりを持たせさらなる高次元に向かうかのようなリサーチプロジェクトです。制作工程の中で多くの発見があることを期待しています。
スズサンは、明治初期から 100 年に渡り、有松鳴海絞り職人としての家業で築き上げてきた感性と設計のバランスや意匠アーカイブを継承、事業の形を変えながら、新しい挑戦を続けてきました。本事業においても、アーティストと協業することで、有松鳴海絞りという伝統技術の新しい表現方法を模索し、伝統のさらなる可能性を次世代につなげていくことを目指します。
執筆者:遠藤友香
1921年に、イタリア・フィレンツェで創設した「GUCCI(グッチ)」。世界のラグジュアリーファッションを牽引するブランドとして、世界中にファンを抱えています。
2025年、GUCCIは創造性を通じたコミュニティとの共創をテーマに、日本国内でアートプロジェクトを多面的に展開。そのメインとなったのが、東京・銀座「グッチ銀座 ギャラリー」にて開催された、日本を代表するアーティスト 横尾忠則氏の展覧会「横尾忠則 未完の自画像 - 私への旅」です。展示作品約30点のうち新たに制作された6点は、自画像や家族をテーマとした作品群となっています。
美術評論家・南雄介氏がキュレーションを担当した本展のテーマは「未完」。それは「芸術の創造性は完成された瞬間よりも、むしろ未完成であることにこそ宿る」といった、横尾氏が一貫して掲げてきた美学に基づいています。
この展覧会自体は大成功を収め、「未完」の精神は3年に一度開催される国際的な現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」の開催地のひとつ、豊島にも引き継がれました。2025年5月22日には、横尾氏との最新コラボレーションとして、新たなアートウォールが公開されます。
新たなアートウォールは、日々刻々と変化する豊島の風景と呼応しつつ、常に新しい表現の可能性に挑戦しながら変貌を重ねるといった、横尾氏とGUCCIに共通するスピリッツを提示するもの。
さらに、この「未完」をテーマにしたインスタレーションは、「グッチ大阪」、「心斎橋大丸 グッチショップ」、「心斎橋大丸グッチ サテライトショップ」でも展開中です。こうした取り組みを通じて、ファッションとアートの開かれた対話の場を提供していく方針とのこと。GUCCIは今年2025年、ファッションブランドとして初めて「瀬戸内国際芸術祭」の公式パートナーを務めています。
また、GUCCIは「瀬戸内国際芸術祭 2025」において、「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)」と写真家・ホンマタカシ氏のコラボレーションによる作品展「SONGS - ものが語る難民の声」に協賛しています。本企画では、ホンマタカシ氏のレンズを通じて、世界では1億2千万人を超えるといわれる難民の一人ひとりの物語に光をあてて可視化しています。UNHCRとの長年の協働を背景に、GUCCIは芸術を通じたポジティブな社会変革のきっかけづくりに貢献しています。
ぜひ会場に足を運んで、横尾忠則氏の展覧会で展開されている「未完」の世界感を体感してみてはいかがでしょうか。
横尾忠則
現代美術家。1936年兵庫県生まれ。72年にニューヨーク近代美術館で個展。その後もパリ・ベネチア・サンパウロの世界3大ビエンナーレに招待出品。アムステルダムのステデリック美術館、ハンブルグ工芸美術館、パリのカルティエ財団現代美術館、東京都現代美術館、東京国立博物館など世界各国の美術館で多数の個展を開催。2012年神戸に横尾忠則現代美術館が開館。2013年香川県 豊島に豊島横尾館が開館。2000年ニューヨークアートディレクターズクラブ殿堂入り。2015年高松宮殿下記念世界文化賞受賞。2023年文化功労者、日本芸術院会員。作品はメトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、大英博物館、ポンピドゥ・センター・メス、ウフィツィ美術館など世界各国の主要美術館に収蔵されている。2026年春にイギリスのThames & Hudsonより500ページの作品集が世界発売される。
■「瀬戸内国際芸術祭2025」
春会期:2025年4月23日(金)– 5月25日(日)
夏会期:2025年8月1日(金) – 8月31日(日)
秋会期:2025年10月3日(金)–11月9日(日)
■ 「横尾忠則 未完の自画像 - 私への旅」
開催場所:グッチ銀座 ギャラリー(東京都中央区銀座4-4-10 グッチ銀座7階)
日程:2025年4月23日(水) – 8月24日(日)予定(会期中無休)
営業時間:11:00 – 20:00(最終入場:19:30)
入場:無料(予約優先制)
来場予約:https://line.me/R/app/16018422...
※開催内容・時間は予告なしに変更となる可能性があります。
※屋上スペースの展示は、天候・時間によってはご覧いただけない場合があります。
共同アーティスティク・ディレクター ©︎Wichaya Artamat
執筆者:遠藤友香
2010年より毎年京都市内で開催している、京都を舞台にした「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」。国内外の「EXPERIMENT(エクスペリメント)=実験」的な舞台芸術を創造・発信し、芸術表現と社会を、新しい形の対話でつなぐことを目指しています。
演劇、ダンス、音楽、美術、デザイン、建築など、ジャンルを横断した実験的表現が集まり、そこから生まれる創造、体験、思考を通じて、舞台芸術の新たな可能性をひらいていることで知られており、多くのファンを抱えています。
この度「KYOTO EXPERIMENT」は、2025年度より新たなディレクター体制変更されます。「KYOTO EXPERIMENT」のプログラム・ディレクターの任期は1期を5年間とし、以降最大10年まで延長可能。2020年から2024年度までの5年間は、川崎陽子氏、塚原悠也氏、ジュリエット・礼子・ナップ氏による3名のコレクティブ体制をとってきました。
今回、ナップ氏は1期5年間の任期を終えて退任し、2025年度からは川崎氏と塚原氏が共同アーティスティック・ディレクターとしてプログラミングを行う体制に変更されることとなります。これまでに構築してきた、国内でも類を見ない先駆的な舞台芸術祭としての特徴を活かし、今後も本芸術祭の発展に努めていくとのこと。
以下、川崎氏と塚原氏、ナップ氏から届いたメッセージをご紹介します。
KYOTO EXPERIMENT 共同アーティスティック・ディレクター
川崎陽子/塚原悠也からのメッセージ
「共同ディレクターチームとして、KYOTO EXPERIMENTのような、国際的で現代的表現を扱う舞台芸術のフェスティバルがこの時代に開催されることの意義を問い続けてきたこの5年間、そして、体制の変化と共に、これから6年目に入ろうとしています。閉鎖的でナショナリスティックな傾向が強まっていく世界において、舞台芸術を通した国際交流を途切れさせず継続すること、二項対立的かつ単純でわかりやすい価値観がものごとを規定しがちななかで、複眼的な視点を持つ現代の舞台芸術表現を通して、複雑性や流動性を提案していくこと、これらの表現を、単純化せずに複雑なまま観客に提示することで生まれるであろう対話… KYOTO EXPERIMENTは、実験的な遊びと共にこのようなことを思考できる場であることを目指してきました。そのなかで発見したことは、このフェスティバルがさまざまな失敗、生成の過程、結論の出ない議論を内包するプラットフォームとしても機能してきたということです。これらの失敗や生成、議論が、何かと何かのあいだにあるもの、違和感や不透明なものとの出会いを生み出し、いまを生きる手がかり、そしてこれからを想像することにつながっているのではないでしょうか。
2025 年の KYOTO EXPERIMENTでは、これまでの継続性のなかから、違和感や不確定性にこそ魅力を見出していくようなプログラムを準備しています。ぜひ、7月のプログラム発表まで楽しみにお待ちいただければ幸いです。また、このフェスティバルを次へとつなげていくための、次代のクリエイター育成事業を開始しています。今後のKYOTO EXPERIMENT の展開にも、どうぞご注目ください」。
前KYOTO EXPERIMENT 共同ディレクター
ジュリエット・礼子・ナップからのメッセージ
「KYOTO EXPERIMENTの共同ディレクターを2020年から2024年まで、川崎陽子さんと塚原悠也さんとともに、務めさせていただいたことは大変光栄でした。10年間の歴史を持ったKYOTO EXPERIMENTを引き継いだ私たちは、その歴史を踏まえて、この5年間でフェスティバルをさらに先鋭的で、革新的、かつ境界線を押し広げる、実験的な表現の場に近づけることができたのではないかと思っています。
私たちは(そしてフェスティバルは今も)多くの課題に直面しました。その中には、新型コロナウイルス感染症拡大の余波、京都市の行財政改革の影響、円安などがあり、フェスティバルの財政は苦しい状況が続いています。今の経済・政治環境の中で実験的な舞台芸術祭を作ることは非常にチャレンジングなことであり、フェスティバルを作り上げる一人一人のサポートなしには不可能なことです。みなさんとともに問いかけ、また考えた様々な質問、創造した作品、空間、体験、そして実現した交流や出会いをとても誇りに思っています。
退任することは寂しいですが、自分自身の新たな章が始まるのを楽しみにしています。また、関わるスタッフのみなさんにこのフェスティバルを託せることを嬉しく思っています。この5年間は、私にとって本当に豊かな経験であり、KYOTO EXPERIMENT、そしてアーティスト、観客、スタッフの皆様から、多くのことを学ばせていただきました。フェスティバルの実現に貢献してくださった皆様に、心より感謝申し上げます」。
KYOTO EXPERIMENT 2025の全プログラム発表は7月下旬を予定しています。 これからも、観客の感性を刺激し続けてくれるKYOTO EXPERIMENTにどうぞご期待ください。
■「KYOTO EXPERIMENT 2025」
会期:2025年10月4日(土)~10月26日(日)[23日間]
会場:ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、THEATRE E9 KYOTO ほか
主催:京都国際舞台芸術祭実行委員会[京都市、ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)、京都芸術大学 舞台芸術研究センター、THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)]、一般社団法人 KYOTO EXPERIMENT
執筆者:遠藤友香
世界的な文化アイコンであり、アーティスト、詩人であるPatti Smith(パティ・スミス)と、ベルリンを拠点に活動する現代音響芸術集団のSoundwalk Collective(サウンドウォーク・コレクティヴ)による現在進行形の最新プロジェクト「CORRESPONDENCES(コレスポンデンス)」のエキシビションが、2025年6月29日まで東京都現代美術館にて開催中です。
パティ・スミスは50年以上にわたり創作活動を続けるミュージシャン、詩人、画家、パフォーマーです。デビューアルバム『Horses(ホーセス)(1975年)』は詩とロックを融合させた革新的な作品として音楽史にその名を刻み、ソニック・ユースのキム・ゴードンやPJ ハーヴェイにインスピレーションを与えるなど、パンクやロックにおける表現の可能性を切り拓いたことで知られています。
1960年代後半からは写真やドローイングの制作を開始し、近年ではインスタレーションを手掛けるなど創作活動の幅を広げています。カルティエ現代美術財団での大規模個展「Land 250」(2008年)をはじめ多くの美術館で作品を発表し、その作品はニューヨーク近代美術館に収蔵されています。
アーティストのStephan Crasneanscki(ステファン・クラスニアンスキー)とプロデューサーのSimone Merli(シモーヌ・メルリ)が率いるサウンドウォーク・コレクティヴは、場所や状況に応じたサウンドプロジェクトを制作する現代音響芸術プラットフォームです。
音の具象的かつ精神的な力を通じて物語を立ち上げ、記憶、時間、愛、喪失といったテーマを探求しています。また、コンセプトや文学、芸術的テーマをもとに、写真家のナン・ゴールディン、ジャン=リュック・ゴダールアーカイブ、振付家のサシャ・ヴァルツといったアーティストらと協働し、綿密なリサーチにもとづく作品を多数制作してきました。
ドクメンタ14(2017年)ではラジオプロジェクト「Every Time a Ear di Soun」に楽曲を提供し、2019年にルーヴル・アブダビでサウンドインスタレーション《Mirage》を発表。さらにナン・ゴールディンを追ったドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』では劇伴を手掛け、本作品は2022年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しています。また、楽曲制作も精力的に行い、数多くのレコードをリリースしています。
パティ・スミスとサウンドウォーク・コレクティヴとの創造的な共同制作は、10年以上にわたって継続し、べネチア・ビエンナーレ(映画部門)やNYのクリマンズット・ギャラリー、コロンビアのメデジン近代美術館をはじめ、世界各地でライブパフォーマンス、展覧会、上映、詩の朗読会、ワークショップと多岐にわたる形式で両者のコラボレーションによる作品を発表してきました。2022年にはパリのポンピドゥー・センターで展覧会「(Evidence)エヴィデンス」を開催しています。
Mathilde Brandi, taken at Kurimanzutto gallery NYC 2025
本展では、彼らの最新プロジェクトとなる「コレスポンデンス」をご紹介。これまでトビリシ写真マルチメディア美術館(2023年、ジョージア)、メデジン近代美術館(2024-2025年、コロンビア)、オナシス文化センター(2024年、ギリシャ)、メンデス・ウッドDM(2025年、ブラジル)、クリマンズット(2025年、アメリカ)を巡回してきました。この度、、日本では初公開となります。
Mathilde Brandi, taken at Kurimanzutto gallery NYC 2025
エキシビション「MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス」は、「MOT Plus」としての初の取り組みです。「MOT Plusプロジェクト」はパフォーマンスや上映など、従来の展覧会の形式にとどまらない実験的なプロジェクトを展開する場として、2025年に開館30周年となる東京都現代美術館の新企画。
その第一弾の企画となる本展は、カルチュラルプラットフォームYYとの共同主催、実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するイベントシリーズ「MODE」の企画協力により開催中です。
1.最新プロジェクト「CORRESPONDENCES(コレスポンデンス)」とは
Soundwalk Collective & Patti Smith ‘Correspondences’ - kurimanzutto NY (installation view), courtesy of kurimanzutto
「コレスポンデンス」はサウンドウォーク・コレクティヴとパティ・スミスによる10年以上におよぶ協働プロジェクトであり、彼らが現在まで交わしてきた“対話”から生まれた作品です。現在進行中で絶えず進化し続けるこの協働プロジェクトは、さまざまな土地の「音の記憶」を呼び起こし、芸術家や革命家、そして気候変動の継続的な影響の足跡を体現しています。
ステファンが詩的な霊感や歴史的な重要性をもつ土地を訪れ、フィールドレコーディングによって「音の記憶」を採集し、パティがその録音との親密な対話を重ねて詩を書き下ろし、さらにそのサウンドトラックに合わせてサウンドウォーク・コレクティヴが映像を編集。こうした“往復書簡(=コレスポンデンス)”によって生まれたのが、本展の根幹を成す8つの映像《Pasolini》《Medea》《Children of Chernobyl》《The Acolyte, the Artist and Nature》《Cry of the Lost》《Prince of Anarchy》《Mass Extinction 1946-2024》《Burning 1946-2024》です。
Soundwalk Collective & Patti Smith ‘Correspondences’ - kurimanzutto NY (installation view), courtesy of kurimanzutto
これらの映像は本会場に合わせて構成されたオーディオビジュアル・インスタレーションとして展示され、展示空間全体をサウンドウォーク・コレクティヴのフィールドレコーディングとサウンドデザイン、パティ・スミスの声で包み込み、観る者を合計約2時間の没入型体験へ誘います。それぞれに異なるテーマをもつ8つの映像は、複数のスクリーンに投影され、映像同士の対話や、展示内のほかのインスタレーションとの相互作用を生み出します。
Soundwalk Collective & Patti Smith ‘Pasolini / Medea’, photo courtesy of Soundwalk Collective
映像のインスピレーション源と制作過程で行なわれたリサーチの蓄積を示すライトボックスでは、パティ・スミスによる直筆の詩やファウンド・オブジェのスキャン画像、ドローイング、写真、科学的データ、手書きの原稿や歌詞が展示され、サウンドウォーク・コレクティヴとパティ・スミスによるリサーチと対話の視覚的洞察を提供しています。
「コレスポンデンス」は、チェルノブイリ原発事故や森林火災、動物の大量絶滅といったテーマを探求するとともに、アンドレイ・タルコフスキー、ジャン=リュック・ゴダール、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ピョートル・クロポトキンといった芸術家や革命家を参照しながら、人間と自然の関係やアーティストの役割、人間の本質について問いかけます。
2. 「CORRESPONDENCES(コレスポンデンス)」の見どころ
1)貴重な映像素材
Soundwalk Collective & Patti Smith ‘Correspondences’ - kurimanzutto NY (installation view), courtesy of kurimanzutto
Soundwalk Collective & Patti Smith ‘Correspondences’ - kurimanzutto NY (installation view), courtesy of kurimanzutto
本展の映像は、アンドレイ・タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』や、マリア・カラスがギリシャ悲劇の王女を演じたピエル・パオロ・パゾリーニの『王女メディア』(Cinemazero 提供)、殺害されたイタリアの巨匠ピエル・パオロ・パゾリーニの最期の一日を描いた、アベル・フェラーラの『パゾリーニ(原題)』といった、映画の貴重な未公開映像のほか、NASAの衛生写真、研究財団TBA21-Academyとの協業により可視化した海洋データ、さらにはジャン=リュック・ゴダールの肉声を使用し、編集しています。
2)パティ・スミスによる最新表現
ビジュアルアーティストとしてキャリアを開始したパティ・スミスは、詩とロックを融合させた革新的なデビューアルバム『ホーセス』以来、半世紀にわたり表現の新しい地平を切り拓いてきました。1960年代後半から制作を続けている絵画と写真に加え、2010年代からはインスタレーション作品にも創作の幅を広げています。
80歳を目前に控えた今、パティはサウンドウォーク・コレクティヴとの協働により、新しいオーディオビジュアル表現を生み出しました。フィールドレコーディングに耳をすませて書き下ろした力強い言葉は、その土地の“音の記憶”を増幅させ、わたしたちが見つめるべき世界のビジョンを提示します。
3)日本で滞在制作する新作
世界各国を巡回する「コレスポンデンス」は、開催地ごとに新しい作品を制作し、サイトスペシフィックな展示をすることで、常にかたちを変え続けています。これまでジョージア、コロンビア、メキシコ、アメリカなどで滞在制作を行ない、その土地の歴史や文化的風景と結びついた作品を通じて、観客とのあいだに多層的な応答関係を築いてきました。
今回はサウンドウォーク・コレクティヴとパティ・スミスが日本の協力者とともに滞在制作をし、本
展で新作として発表します。
Patti Smith(パティ・スミス)
1946年シカゴで生まれ、ニュージャージー州南部で育ったのち、1967年ニューヨークに移住。詩とロックを融合させた革新的なアルバム『Horses(ホーセス)』(1975年)でデビューして以来、数々のアーティストやミュージシャンに影響を与え、世界的な文化アイコンとして知られる。音楽、著作、パフォーマンス、視覚芸術における業績は各分野で高く評価されており、グラミー賞に4度ノミネートされたほか、『ホーセス』は米国議会図書館の国家保存重要録音物登録簿に登録されている。また写真や絵画、インスタレーションを手掛けるアーティストとしても活躍し、世界中のギャラリーや美術館で展示を行なっている。著作に全米図書賞を受賞したベストセラー回顧録『ジャスト・キッズ』のほか、『ウールギャザリング』『Mトレイン』『無垢の予兆』など多数。2020年にペン/フォークナー賞を受賞、コロンビア大学から名誉博士号を授与される。2022年には彼女の生涯の業績を称えて仏レジオンドヌール勲章を受勲した。
Soundwalk Collective(サウンドウォーク・コレクティヴ)
アーティストのステファン・クラスニアンスキーとプロデューサーのシモーヌ・メルリが率いる現代音響芸術コレクティヴ。アーティストやミュージシャンとの共同作業により、コンセプトや文学、芸術的なテーマを検証するために、場所や状況に応じたサウンドプロジェクトを展開。パティ・スミスや映画監督のジャン=リュック・ゴダール、写真家のナン・ゴールディン、振付家のサシャ・ヴァルツ、女優で歌手のシャルロット・ゲンズブールといったアーティストたちとの長期的なコラボレーションを行なう。彼らの実践はアートインスタレーション、ダンス、音楽、映画と多岐にわたり、音
を詩的で感触を伴う素材として扱うことで異なるメディアを結びつけ、複層的な物語を創造することを可能にしている。2022年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したローラ・ポイトラス監督の『美と殺戮のすべて』ではオリジナルサウンドトラックを制作した。これまでポンピドゥ・センター(パリ)、ドクメンタ(カッセル)、クンストヴェルケ現代美術センター(ベルリン)、ニューミュージアム(NY)などで、展示やパフォーマンスを発表している。
■「MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス」
会期:2025年4月26日(土)〜2025年6月29日(日)
10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F(東京都江東区三好4-1-1)
観覧料(税込):一般1,800円/小学生以下無料 ※小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。
執筆者:遠藤友香
野村不動産株式会社と、東日本旅客鉄道株式会社は、共同で推進している国家戦略特別区域計画の特定事業である「BLUE FRONT SHIBAURA」のツインタワーのうち南側の1棟目である「TOWER S」の全体開業を、2025年9月1日に決定しました。
また、浜松町芝大門・竹芝・芝浦の3地区で開発および運営を行う事業者と共に、共通の地域課題を解決し、地域の価値向上を目指す共創型のまちづくり組織「芝東京ベイ協議会」を、2025年11月を目途に設立することを決定しました。緑に恵まれた浜松町芝大門地区での歴史的な文化財活用や、東京湾岸部のひらけた水辺を有する竹芝・芝浦地区での賑わい創出や舟運活性化を積極的に進め、地域の価値向上を図ることを目的としています。
本プロジェクトは、「TOKYO&NATURE」を施設コンセプトに、都市の利便性と自然の豊かさが融合する芝浦らしい自然の繋がりを意識した空間づくりを行い、多様なニーズに応えて、地域にひらかれた施設を目指すとのこと。「TOWER S」は2025年7月1日のフェアモント東京開業、8月のオフィステナントの入居に続き、9月1日には低層階の商業店舗の開業により、施設全体の開業を迎えます。
これらの取り組みにより水辺のライフスタイルを創出し、本プロジェクトに留まらず、東京の都市力向上とまちの活性化を目指していくそうです。2030年度に予定するツインタワーのうち、北側の2棟目「TOWER N」の竣工に向けて、引き続きまちづくりを推進していく方針とのことです。
1.ベイエリアと都心部をつなぐ共創型のまちづくり
【図 1】ベイエリアと東京都心部を「“つなぐ”まち」の概念図
本プロジェクトの開発意義は、ベイエリアと東京都心部を「“つなぐ”まち」にすることです。地域のステークホルダーの方々との共創により、これを実現していく方針です。
(1) 共創型のまちづくり組織「芝東京ベイ協議会」
【図 2】共創型のまちづくり組織
【図 3】本協議会の活動範囲
本協議会の活動範囲は、西は東京タワー・増上寺から、東は竹芝・日の出ふ頭まで及び、重点施策として「新たな回遊性向上施策」、「地域資源を活かしたコンテンツ開発」、「スマートシティサービス導入」の3つです。
本地区におけるモビリティおよび MaaSの導入検討、地域資源を活かしたコンテンツ開発、およびリアルタイムデータを活用したスマートシティサービスの導入等、各エリアマネジメント組織が取り組んできた施策を本地区全体に拡大します。生活する方や働く方、本地区内施設に訪れる方に対して、より魅力的で便利な体験を提供します。
(2)舟運ネットワーク形成の取組
【図 4】舟運ターミナルである芝浦・日の出
本プロジェクトにおける舟運ネットワークの取組として、2019年に整備した日の出ふ頭小型船ターミナル「Hi-NODE」を運営しています。また「TOWER S」の開業と共に、新たに芝浦運河沿いに整備する船着場「BLUE FRONT SHIBAURA PIER 」の運営を予定しています。また、野村不動産は2024年5月
より、東京都が推進する舟運活性化の取り組みのひとつである舟旅通勤の実装に向けた補助制度に参画し、晴海〜芝浦・日の出区間における舟運サービス「BLUE FERRY」の運航を開始しています。
今後、本運航における本桟橋の利用なども予定しているとのこと。駅からアクセスに優れた船着場を利用できることで、舟運をより日常的で便利な体験にするそう。さらに補助制度を活用し、既存船舶にバリアフリー対応等の改修を行い、本運航での就航も予定しています。これらの取り組みを通じて、ステークホルダーの方々と連携し、ベイエリアと東京都心部をつなぐことを目指していく方針とのこと。
2.都市と自然をつなぐ「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」について
(1)「TOKYO &NATURE」自然の繋がりを意識した空間づくり
本プロジェクトは、都心部の利便性と芝浦エリアの自然をともに享受する「TOKYO&NATURE」というコンセプトのもと、自然環境と調和する空間づくりを行っています。
特徴的なカーテンウォールの外壁は、周囲の情景をとらえ空を映し出し、時に空に溶け込みます。また、建物を支える柱スパンの間隔を18mに広げたことで、室内からは空や海、まちの景色のダイナミックな変化を体感でき、また随所に設けられたテラスでは海からの風を感じられます。
(2)開業を迎える「TOWER S」
【図 5】TOWER S 各施設の開業スケジュール
「TOWER S」は主にラグジュアリーホテル、オフィス、商業店舗から構成された複合施設です。このまちから水辺のライフスタイルを創造し、これを広めていきます。
(3)「まちのコミュニティハブ」となる商業エリア
① 空、海、緑に面した商業店舗
【図 6】TOWER S の商業店舗の全体像
「TOWER S」の商業店舗は、空、海、緑の自然とのつながりを意識した空間を活かした、飲食店を中心とする約40の商業店舗によって、地域に新たな賑わいやコミュニティ醸成の舞台を提供します。自然環境を取り込んだ豊かな環境が、日々の食体験を彩ってくれることでしょう。
GREEN DINING HALL
CANAL DINING HALL
「TOWER S」の1階から3階までの低層階の商業エリアは、合計専有面積約1,000 坪・29店舗で構成され、そのうち約7割は飲食店となります。「水」と「緑」とのつながりを体感できる合計約770 席(屋内約540 席/屋外約230席)の2つのダイニングホールを中心に、このまちで暮らすオフィスユーザーや地域の方々に、朝から晩まで様々なシーンで利用していただくことが可能です。ダイニングホールというひらかれた商業エリアが開業し、「まちのコミュニティハブ」としての役割を担い、東京の水辺に新たな賑わいを創出していきます。
ぜひ、都市と自然、ベイエリアと東京都心部を「“つなぐ”まち」として全体開業する「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」にご期待ください。
執筆者:遠藤友香
未来にやさしい空間づくりを⾏う株式会社船場は、「『岐⾩』を嗜み、OMOTENASHI(おもてなし)を堪能する」をコンセプトに、岐⾩公園の「岐⾩城楽市(ぎふじょうらくいち)」の総合コンサルティングなどを担当しています。創業より培ってきた賑わいづくりのノウハウを活かして、歴史資源と商業施設、そしてまちを緩やかに繋ぎ、岐⾩城の⽞関⼝に相応しい、市⺠と観光客が交わり憩う観光拠点を誕生させました。
岐⾩城楽市は、国内外の観光客や地域住⺠の⽅々の観光・周遊のベースでありながら、豊かな⽇常を彩る賑わいの拠点となる施設を⽬指して、2025年4月26日(⼟)にグランドオープンしました。7棟の⽊造平屋建ての建物に、⾷べ歩きも楽しめる岐⾩の地域⾷材を使ったお店、地元の⽂化を感じられるお店等、地域の良さを味わうことができる11店舗を誘致し、賑わいを創出しています。
岐⾩公園は年間100万⼈が訪れる市内随⼀の観光拠点でありながら、周辺に商業機能や滞在場所が乏しく、来訪者の約8割は1時間未満で⽴ち去ってしまうという課題を抱えていました。
船場は「岐⾩公園官⺠連携にぎわい創出事業」に参画し、来訪者への“おもてなし”の強化と地域住⺠の”シビックプライド(Civic Pride)の醸成”を両⽴させた公園計画を提案。「シビックプライド」とは、地域や自治体に対する住民の誇りや愛着、そして地域社会に貢献する意識を示す言葉です。地域住民のシビックプライドを育むことで、地域社会の活性化や魅力の向上に繋がり、住民の協力を促進することが可能です。
⾃然豊かで開放的なロケーションを最⼤限に活かし、各所に交流できる空間を創出したほか、⼈が集まり滞在できる店舗MDを計画。観光客のみならず近隣住⺠の居場所となっています。まちのランドマークとなる場を創り上げることで、地域の経済・観光⾯での起爆剤となることを⽬指したとのこと。
古来より交通の要衝(ようしょう)として発展してきた歴史をつなぐため、園路を中⼼とした平屋⽊造建築物の分散配置を⾏い、通りに賑わいが溢れる戦国時代の城下町の情景を、岐⾩城楽市は再現しています。また、岐⾩城や三重塔、⾦華⼭など、歴史資源への眺望と商業が調和した景観を形成することで、観光資源の価値を向上し、シビックプライドの醸成に寄与する場を創出しました。
さらに、岐⾩県産材の板張り壁や、地元企業の暖簾・店頭幕によるサインデザインを施すことで、地域の資源・⽂化を活⽤した「歴史・⽂化との調和」や「岐⾩らしさ」のある商環境を演出しています。
ぜひ、岐⾩公園内に誕生した、歴史資源と商業を調和させた滞在型観光拠点「岐⾩城楽市」に、足を運んでみてはいかがでしょうか。