執筆者:遠藤友香
東京クリエイティブサロン実行委員会は、国内最大級のクリエイティブの祭典「Tokyo Creative Salon 2025」を2025年3月13日(木)に開幕しました。3月23日(日)まで、東京を代表する10のエリア(丸の内、日本橋、銀座、有楽町、赤坂、渋谷、原宿、羽田、六本木、新宿)にて展開しています。
Tokyo Creative Salon 2025とは、毎年3月、桜の咲く東京を舞台に開催する年に一度のクリエイティブの祭典です。ファッション・デザイン・クラフト・サステナブルなど多彩なジャンルが集い、日本のクリエイティブの魅力を東京から世界へと発信しています。
Tokyo Creative Salonのミッションは、日本の創造力をより良い世界へとつなげることです。「伝統をつないできた技」や「新技術(デジタル・サステナビリティ)」、日常に新しい視点を加えたアイデアを世界に届け、東京・日本の都市としての価値向上を目指しています。
日本人におけるクリエイティビティへの自信は、他国と比べて極端に低いと言われています。しかし、Tokyo Creative Salonは、その現状を打破し、東京を世界のトップクリエイティブシティへと導くことを目指し、クリエイティブの可能性を追求し続けています。
2025年は、日本が誇る知恵や技術、そして美意識を「再発見し、再定義」することを目的に掲げ、「QUEST|さがそう〜創造性・美意識の探求〜」をテーマに様々な活動を展開。世界から注目される地域づくりや見過ごされてきた知恵や技術、創造性に光を当て、多くのクリエイター、企業、地域が共に未来を創る場を提供します。
東京クリエイティブサロン実行委員会 廣内武会長
東京クリエイティブサロン実行委員会の廣内武会長は、Tokyo Creative Salon 2025の開催に際し、「6年前、Tokyo Creative Salon は東京をクリエイティブシティにしていくことを目標にスタートしました。
日本には伝統・文化など世界に誇れる素晴らしい魅力があり、東京からそれらを発信していきたいと思っています。そのためにはいろんな人々が一緒になって、一つひとつ解決していく必要があります。また、こういうイベントは楽しくなければ意味がないので、楽しんでいただきながらみなさんと共に広めていきたいと思っています」と述べています。
東京クリエイティブサロン実行委員会 齋藤精一統括クリエイティブディレクター
東京クリエイティブサロン実行委員会 齋藤精一統括クリエイティブディレクターは、「今年からfestival creativeを目的にし、お祭りのように様々なクリエイティブに参加していただこうと思っています。
今年のテーマは「QUEST|さがそう〜創造性・美意識の探求〜」。このテーマを設定した背景として、文化・政治・経済・地方創生・人や団体に軸に、クリエイティブを通じて過去がどうだったのかを探求していただきたい。そのため各エリアへの入念なリサーチを行い、コンテンツを作っていったので、参加者が展示を通してなぜこのコンテンツがあるのかなどを対話しながら楽しんでいただければ嬉しいでです。1年で終わるのではなく、探求したものを解体する・再構築するなど、できるだけ発展していけるよう今後も続けていきます」と長期的な意気込みも語りました。
10エリアで計120以上のコンテンツが展開されるTokyo Creative Salon 2025に、ぜひご注目ください。
■Tokyo Creative Salon 2025
開催期間:2025年3月13日(木)~23日(日)
開催エリア:丸の内、日本橋、銀座、有楽町、赤坂、六本木、渋谷、原宿、新宿、羽田
メイン会場:東急プラザ原宿「ハラカド」
主催:東京クリエイティブサロン実行委員会
公式HP:https://tokyo-creativesalon.com/
公式Instagram:ttps://www.instagram.com/tokyocreativesalon/
執筆者:遠藤友香
スイスネックス・ジャパンが、スイスの名門アートスクール「ローザンヌ州立美術学校(ECAL)」と協力し、伝統×テクノロジーが生み出す新たな展覧会「Folklore Fusion」を2025年4月3日(木) まで、在大阪スイス領事館にて開催中です。(紹介動画はコチラから)
在大阪スイス領事館は、日本で初めての科学技術とイノベーションに特化した領事館です。スイスネックスのグローバルネットワークの一員として、教育、研究、イノベーション分野で、スイス、日本、そして世界をつなぐ役割を果たしています。スイスの大学、研究機関、スタートアップ企業の国際展開を支援し、知識やアイデア、才能の交流を促進しています。
ECALは、世界トップクラスのアート&デザインスクールとして知られ、革新的な教育を提供しています。最先端技術を取り入れた実践的なカリキュラムを通じて、学生は視覚コミュニケーション、インタラクションデザイン、アートディレクションなど、多様な分野でスキルを磨きます。特に「メディア&インタラクションデザイン学士課程」では、デジタルメディアとAIを活用したデザインの新たな可能性を探求し、創造的な未来を切り拓いています。
この度のFolklore Fusionでは、東京でのフィールドリサーチをもとに、ECALのメディア&インタラクションデザイン専攻の学生たちが、スイスと日本の要素を融合させたキャラクター「Swijus(スウィジュス)」を制作。彼らは、両国の文化を組み合わせることで、現代的な解釈を加えた新たな物語を生み出しました。
展示では、プリント作品、拡張現実(AR)、インタラクティブ・プラットフォーム、書籍、トレーディングカードゲームのコレクションを通じて、フォークロアに対する新たな視点と異文化間対話の可能性を探ります。
1.ビジュアルプリント展示
・ 13体の「スイジュ」を描いたA3サイズのプリント展示
・大型パネルや「のれん」に近接画像をプリントし、没入感のある空間を演出
2.拡張現実(AR)体験
・ スマートフォンをかざすと、展示された「スウィジュス」がデジタル空間で動き出すAR体験
3.インタラクティブウェブサイト
・展示空間のスクリーンを通じて、キャラクターの詳細や制作背景を閲覧可能
・ 書籍やトレーディングカードの購入リンクも設置
4.書籍&トレーディングカード(オンライン購入可)
・プロジェクトの成果をまとめた書籍と、全56種類のトレーディングカード
・デジタルとアナログが融合した新たな表現手法を提示
本展は一般公開されており、来場者はAR技術を活用した没入体験を楽しむことができます。伝統と最新テクノロジーが融合する唯一無二のアート体験を、ぜひ会場でご体感ください。
■Folklore Fusion
会期:2025年3月11日(火)〜4月3日(木)
会場:在大阪スイス領事館
大阪府大阪市北区堂島1-1-5 梅田新道ビル 1F
主催:在大阪スイス領事館、ローザンヌ州立美術学校(ECAL)
来館予約はコチラから
「CRAFT SAKE WEEK 2024 at ROPPONGI HILLS」の様子
執筆者:遠藤友香
中田英寿氏が代表を務める株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANYは、日本食文化の祭典「CRAFT SAKE WEEK 2025 at ROPPONGI HILLS」を、2025年4月18日(金)から4月29日(火・祝)までの12日間、六本木ヒルズアリーナにて開催します。
オーガナイザーを務める中田氏が日本全国を巡り、日本酒、農業、工芸を中心に数多くの生産者と出会い、日本が誇る文化や技術に触れる中で、特に日本酒の奥深さと可能性を強く感じたことから、「日本文化の素晴らしさを多くに人に伝えたい」と2016年にスタートした本祭典。東京・六本木を皮切りに、九州では博多、東北では仙台でも開催し、これまで延べ100万人以上の人々が来場しました。
中田氏をはじめ、専門チームにより選び抜かれた、その時の最高峰の酒蔵が全国から集まり日替わりで出店するため、毎日新しい発見があり、自分の好みにあった日本酒をみつける楽しさがあります。
また、会場では酒蔵メンバー自らが日本酒を振る舞うことで、来場者は日本酒の楽しみ方や食事との組み合わせ方、それぞれの酒蔵のこだわりや特徴などを知ることができ、日本酒の魅力をより一層感じる機会を創出します。
会場デザインには日本の文化や四季などのエッセンスを取り入れ、これまでには櫓(やぐら)、桜、竹、縄、枡など、毎回異なるテーマを設け、国内外で活躍する人気建築家がインスタレーションを担当。「CRAFT SAKE WEEK」だけのために設計された幻想的な空間演出を通して、会場全体で日本文化を発信しています。
原田真宏氏
原田麻魚氏
今回は、会場デザインを原田真宏氏と原田麻魚氏が率いる建築事務所「MOUNT FUJI ARCHITECS STUDIO(マウントフジアーキテクツスタジオ)」が担当することが決定しました。
マウントフジアーキテクツスタジオは、日本の建築業界において最も権威のある賞の一つである「建築大賞」や「建築学会賞」、さらに、日本国内の優秀な建築作品を表彰する「BCS賞」など、国内主要建築賞を総なめにした「道の駅ましこ」をはじめ、注目すべき木を使った建築を数多く手掛けています。その土地の素材にこだわり、その場所特有の風景の一部となることを目指す建築は、多くの人の共感を得るとともに、国内外で数多くの賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
本祭典では、「棟上ゲ」をテーマに、開催期間中に会場に巨大な棟上げの空間が出現します。「棟上げ」とは、建て方の最後の部材である棟木をとりつけること。地元の神社や神主などを招き、神事をとり行う日本独自の伝統を、会場で現代的に再現。建物の骨組みが無事に立ち上がったことを感謝し、祝祭となるその日には「日本酒」が用意されることから、今回のテーマを「棟上ゲ」に決定したとのこと。全国の酒蔵が一堂に集結する本イベントにて、「棟上ゲ」の空間性を再解釈し、最新のシミュレーション技術で解析されたテンセグリティ構造によって、宙に浮かぶようにして配列された超現実的な本組みの様子は、日本酒や木造技術の伝統を新しく喜びに満ちた未来へと継承していく象徴となってくれることでしょう。
また、会場には世界的な星付きレストランをはじめ、通常では予約困難なレストランが数多く出店。国内外で高い評価を受ける一流シェフによるこだわりの料理は、日本酒との相性はもちろん、お酒を飲まない方にもお楽しみいただける本イベントならではの特別メニューとなっています。お酒や料理を提供する器にもこだわり、日本の技術や美意識を感じることができます。
さらに昨今、日本酒イベントとしてだけでなく、より日本の文化を楽しんでいただけるように、日本茶の展開もスタート。近年、日本酒とともに海外への輸出量が増え、世界から注目を集める日本茶にもフォーカスし、2023年の開催時は、全国各地のお茶農家から厳選された全10種類のカテゴリーをラインナップ。アルコールを飲まない方でも食事とのペアリングを楽しめ、また、絶えず進化している現代の日本茶文化の奥深さを知ることができるよう、様々な種類や産地の日本茶を用意しています。
「CRAFT SAKE WEEK」は、日本酒イベントからさらに進化し、様々なコンテンツを通して世界に誇る日本の食文化の価値と可能性を発信していきます。「CRAFT SAKE WEEK 2025 at ROPPONGI HILLS」は、公式HPにてスターターセット、および会場で使用可能な飲食用のコインの事前販売を開始しています。今後、出店レストラン、出展ブース、参加DJなど、順次発表する予定です。 ぜひ、会場に足を運んで、日本食文化と会場デザインを堪能してみてはいかがでしょうか。
■CRAFT SAKE WEEK 2025 at ROPPONGI HILLS
日時:2025年4月18日(金)~29日(火・祝)/平日 15:00〜22:00 (LO21:30)
土日祝 12:00〜21:00 (LO20:30)
※平日の営業時間が昨年より変更しました
場所:六本木ヒルズアリーナ(東京都港区六本木6丁目9-1)
参加蔵数:各日10蔵 計120蔵 (予定)
レストラン数:15店(予定)
料 金:スターターセット ¥4,200(オリジナル酒器グラス+飲食用コイン12枚)
追加コイン 10枚/¥1,600 25枚/¥3,900 40枚/¥6,000 100枚/¥15,000
※2回目以降の来場の際は、スターターキットのグラスを持参すると、追加コイン購入のみ
で楽しむことができます。
事前販売:「CRAFT SAKE WEEK」公式HPにて販売中
主催:株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANY
特別協力:六本木ヒルズ
協賛:株式会社ロッテ
後援:J-WAVE 81.3FM
ウェブサイト : https://craftsakeweek.com/
公式アプリ : Sakenomy https://www.sakenomy.jp/
執筆者:遠藤友香
ふと目に入った、何気ない日常の「モノ」にレンズを向けるー。カメラを手にしたことのある人であれば、誰しもが経験したことがある行為ではないでしょうか。カメラからスマートフォンへ、撮影するという行為はさらに一般的になり、SNSの普及により「モノ」を撮影した多くの写真が世界中に溢れています。
滋賀県立美術館開館にて、2025年3月23日(日)まで開催中の写真展「BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現」。ブツドリとは、もともとは商業広告などに使う商品(モノ)を撮影することを表現する言葉です。
本展は「モノ」を撮影することで生まれた写真作品を、この「ブツドリ」という言葉で見直し、日本における豊かな表現の一断面を探る試み。展覧会は6章で構成され、広告写真が生まれるよりずっと前の時代から始まり、構成主義やシュルレアリスムの時代を経て、戦時のプロパガンダ写真やバブル経済期の洗練された広告写真、そして現代のブツドリまで200点以上の写真作品を鑑賞することができます。中でもおすすめの作品をピックアップしてご紹介します。
1.たんなるモノ
本章では、幕末の写真家・島霞谷(しまかこく)が撮影した《鮎》と《頭蓋骨標本》、モノを撮影することを実験的に思索した大辻清司の「大辻清司実験室」に掲載された作品、日常を独自の表現として昇華した川内倫子の《M/E》を展示しています。
モノを写すとは、一体どういったことなのでしょうか。これは「写真が何を写し取るのか」といった問いにも通じるものです。写真工学的には、写真とは反射した光を写し取るもの。しかし、モノが写された写真を見たとき、それがモノに反射した光だと認識する人は少ないでしょう。多くの人は、写真を見て「モノ」そのものを認識するはずです。
モノを写すことに真摯に向き合った写真家のひとりに大辻清司(1923‐2001)がいます。大辻は、戦後間もない頃から商業写真家として活動を開始。彼の生み出す作品はシュルレアリスムの影響が色濃く、造形的で前衛的な作風が特徴となっています。写真を通じて新しい視覚的な表現を模索し続けました。
こちらは、1年間に亘って雑誌『アサヒカメラ』に全12回連載された「大辻清司実験室」の「〈たんなるモノ〉(1975年1月号)」と「いとしい〈モノ〉たち」(1975年2月号)に掲載された作品です。「いとしい〈モノ〉たち」に掲載された作品に写されているのは、大辻のアトリエにある彼にとって愛着のあるモノたち。大辻はこれを「偏見偏物写真」と呼び、それぞれのタイトルには思い出が綴られています。これらのモノたちが大辻にとって大切な存在であっても、論理的に観る側にとっては「たんなるモノ」として映ることでしょう。
しかし、ここで重要なのは、実際にはこれらの写真が観る側にとっても「たんなるモノ」が写された写真には見えないということです。写真を通して表現されたモノ自体の形状や質感、配置、光の扱い方は、観る者の記憶や感情を喚起し、モノを個人的な意味の枠を超えた普遍的な表象へと昇華させます。また、写真に添えられたタイトルも大きな役割を果たしています。タイトルを通じて、私たちはそれを単なる物質としてではなく、背後に物語性を宿した存在として認識することでしょう。
2.記録と美
文化財写真の歴史は、明治時代の初期から始まります。明治維新後に起こった仏教排斥運動、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によって、社寺の荒廃や貴重な文化財の損壊が進みました。1872年、このことを重く受け止めた明治政府によって、当時最新の技術であった写真を用いて、危機に瀕した文化財の調査を行うことが決定されました。この文化財調査は「壬申検査」と呼ばれ、写真家・横山松三郎(1838‐1884)が随行し、正倉院宝物や仏像などの写真が撮影されました。
文化財写真は、単に文化財を記録するだけでなく、その背後にある歴史や価値を伝える重要な役割を担っています。ただ形や色を写し取るのではなく、写真を通じて文化財の歴史的意義や美意識、文化的な価値を表現する意図が込められています。文化財写真は単なる記録媒体ではなく、鑑賞者に文化財が持つ「意味」を喚起させるための「媒介」として機能しているのです。
本章では、重要文化財に指定されている壬申検査のガラス原板、作家性を帯び始めた頃の古美術写真、そして仏像写真におけるそれぞれの眼差しをみていきます。また、これらの文化財写真とともに、古書をオブジェとして撮影した潮田登久子の《Bibliotheca》を展示しています。
3.スティル・ライフ
明治から大正にかけての日本では、写真に芸術性を求めるアマチュア写真家らを中心に、絵画的な写真が志向されました。いわゆるピクトリアリズムと呼ばれる写真動向において、1920年代より、一部の芸術写真家らは、静物写真に注目しはじめます。これらの1920年代、30年代の静物写真とともに、本章では母の遺品を撮影した石内都の《mother's》、物体を撮影することで他者からの見え方を模索する安村崇の《態態》を展示しています。
石内は、1979年に写真集『APARTMENT』および写真展「アパート」にて、第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。2014年には、アジア人女性で初めてハッセルブラッド国際写真賞、2024年には「ウーマン・イン・モーション」フォトグラフィー・アワードを受賞するなど、国内外で高く評価されています。
こちらの石内の《mother's》は、遺品という「死」の象徴を扱いながらも、一人の人間の確固たる「生」が写し取られています。石内にとって、母の遺品を撮影することは、亡くなった母との遺品を介した対話でした。《mother's》が展示され、個人的な記憶や感情を超え、一つの作品として自立していく中で「たくさんの見知らぬ女たちの生き様を、母の遺品を通して私は写真に託したのではないか」と、石内は考えるようになったそう。この言葉が示す通り、《mother's》は個人の物語にとどまらず、多くの女性たちの物語を今の私たちに伝えているのです。
4.半静物? 超現実? オブジェ?
1930年前後から、カメラやレンズによる機械性を生かし、写真でしかできないような表現を目指した写真が盛んになります。これらのいわゆる新興写真は、ドイツの新即物主義(ノイエザッハリヒカイト)やシュルレアリスムに影響を受け、前衛写真へと引き継がれていきます。
先で触れた通り、前衛写真に大きな影響を与えたシュルレアリスムは、フランスの詩人アンドレ・ブルトンが1924年に刊行した『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』に端を発した芸術運動です。文学から始まったその運動は、絵画、そして写真にも影響を与えました。それは、単なる空想の中に非現実の領域を表そうとしたものではなく、現実の中に存在する「Surreel(強度の現実)」を捉えたものであり、現実と繋がった世界を提示しようとした運動でした。現実との連続性という意味で、写真はシュルレアリスムという思想にとって適したメディアであったと言えるでしょう。
本章では、モダンフォトグラフィの潮流の中で、前衛的な写真表現をおこなった中山岩太や安井仲治などの作家の作品を展示。これにあわせて、オノデラユキの《古着のポートレート》、野菜や魚などの食材や、花や昆虫を素材として特異なオブジェを制作する今道子の作品も展示し、前衛写真との表現上の共通性を概観します。
5.モノ・グラフィズム
1920年代頃から、写真と同様に広告の世界でもモダニズムの動向が見られるようになりました。欧米の新しい美術やデザインの影響を受け、日本でも近代的なデザインが模索される中で、写真を用いたデザインが注目を集めるようになります。
1926年に金丸重嶺(1900‐1977)が鈴木八郎(1937‐2005)と共に、日本初の広告写真撮影を行う商業写真スタジオ「金鈴社」を設立するなど、着実に商業写真への意識が写真家の中に芽生え始めます。その後、1920年代後半から30年代にかけて、振興写真の時代が到来すると、写真を用いたグラフィック表現は一層加速することになります。
本章では、モノをめぐるグラフィックデザインとして、日本における初期の広告写真から、ポスターなどの広告にみられるグラフィック表現を紹介します。また、ホンマタカシが猪熊弦一郎のアンティークコレクションを撮影した『物物』のプロジェクトを展示。写真家による多種多様な「物撮り」のイメージをお楽しみください。
6.かたちなるもの
最後の章では、かたちなるものを捉えようとしているとも言える、新興写真や前衛写真に影響を受け、「造型写真」という言葉で独自の表現を目指した坂田稔、動植物を即物的に捉えた写真集『博物志』を発表した恩地孝四郎、日本の伝統的なデザインから、さまざまな「かたち」にフォーカスした岩宮武二、日本の写真における抽象表現の先駆的な存在である山沢栄子、そしてカラフルなスポンジを組み合わせ造型化した鈴木崇といった5人を取り上げています。
そもそも「かたち」とは何でしょうか。『美学辞典』を参照してみると、以下のように書いてあります。
「日本語の「かたち」は静態的な意味合いが強いが、漢字の「形」には「形成する」や「現れる」という動詞的、動的な意味があり、西洋語の場合も同様で、英語のformがそのまま動詞として用いられることに注意しなければならない。この動詞的用法は、形の前提をなす「統合」の働きに対応している。その概念に従えば、形は形成活動に先立ってその外に存在する抽象的な容器や枠組のようなものではなく、むしろ形成活動の結晶であり、形のなかにはこの形成の過程のダイナミズムが籠められている」。
鈴木崇の作品《BAU》シリーズでモチーフとなっているのはスポンジです。その形は、様々な使用用途に適応させようとした結果、多種多様になっています。また硬さや密度で色を違えてあるのも特徴で、ひとつの既製品の中に複数の色が層として含まれることもあります。
鈴木は、そんなスポンジを複数組み合わせ、新たなかたちが生まれたと感じたらそれを写します。そこには明らかに「形成の過程のダイナミズム」が感じ取れます。と同時に、その形成の際、相当な程度で色が寄与していることにも気づきます。「かたち」とは何か、改めて考えさせられます。
以上、私たちにとって身近な「ブツドリ」について認識を深められる写真展「BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現」についてご紹介しました。
滋賀県立美術館は、展示室でもしーんと静かにする必要はなく、おしゃべりしながら過ごすことが可能です。また、目が見えない、見えづらいなどの理由でサポートや展示解説を希望される場合や、その他来館にあたっての不安をあらかじめ伝えられた際には、事前の情報提供や当日のサポートの希望に可能な範囲で対応してくれるなど、鑑賞者に大変優しい美術館です。
ぜひ、会場に足を運んで、写真の奥深さを感じ取ってみてはいかがでしょうか。
■滋賀県立美術館 開館40周年記念 「BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現」
会期:2025年1月18日(土)~3月23日(日)
※会期中に一部展示替えがあります
休館日:毎週月曜日(ただし休日の場合には開館し、翌日火曜日休館)
開場時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
会場:滋賀県立美術館 展示室3 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
観覧料:一般1,200円(1,000円)
高校生・大学生800円(600円)
小学生・中学生600円(450円)
※( )内は20名以上の団体料金
※企画展のチケットで展示室1・2で同時開催している常設展も無料で観覧可
※未就学児は無料
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方は無料
主 催:滋賀県立美術館、京都新聞
特別協力:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
助 成:公益財団法人DNP文化振興財団
企 画:芦髙郁子(滋賀県立美術館 学芸員)
執筆者:遠藤友香
ベルギーを代表するアーティストの一人であるジャン=ミッシェル・フォロン(1934-2005)。アメリカの『ザ・ニューヨーカー』『タイム』など、有名雑誌の表紙に挿絵が掲載されたことをきっかけに、多彩な才能を発揮して世界中に多くのファンを抱えています。
柔らかな色彩で描き出される詩情豊かな世界。しかし、美しい景色に惹かれてよく見てみると、環境破壊や人権など、現実に残る問題を目の当たりにすることになります。フォロンは、優しく、そして厳しく、この世界と向き合うためのメッセージを残しているのです。
フォロンにとって、日本では30年ぶりとなる展覧会「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン展」が名古屋市美術館にて、2025年3月23日(日)まで開催中です。本展では、ドローイング・水彩画・ポスター・彫刻・写真・オブジェ・アニメーションといった、約230点の作品を一挙に紹介しています。
名古屋市美術館学芸員 久保田舞美氏
本展の担当学芸員である久保田舞美氏は、以下のように述べています。
「グラフィック・デザインや版画、水彩画、文学作品の挿絵や舞台芸術など、マルチな才能を発揮して活躍したジャン=ミッシェル・フォロン。
本展は、「あっち・こっち・どっち?」「なにが聴こえる?」「なにを話そう?」という問いかけとともに、空想旅行をするような気分でフォロンの作品をめぐります。柔らかな色彩と軽やかなタッチで表現されたフォロンの作品は、見る人を想像の旅へ連れ出してくれます。
彼は自分の作品について自由に想像し、自由に解釈することを求めていました。彼のまなざしと想像力を介して表現された世界を通して、私たちは、フォロンと対話し、世界と対話し、自分自身と対話することができるでしょう」。
今回は、中でもおすすめの作品をピックアップしてご紹介します。
1.プロローグ 旅のはじまり
1934年、ブリュッセルに生まれたフォロンは、幼い頃からいつも絵を描いていたといいます。10代の終わりに偶然目にしたルネ・マグリットの壁画は、彼に絵画の可能性を強く印象付けました。「絵はなんでもできるんだ。謎を生み出すことだって」。
この経験はやがて、作家が最後に使用した名刺に「AGENCE DE VOYAGES IMAGINARES(空想旅行エージェンシー)」と記したように、「空想旅行案内人」として見る人の想像力を揺り起こし、世界を再発見させるような絵画を創り出すフォロンの出発点になったといえるでしょう。
「Less is more(少ない方がより豊かである)」と述べたドイツの現代建築家、ミース・ファン・デル・ローエ(1886‐1969)の言葉に、学生であったフォロンは胸を打たれました。そして、黒と白のたった2色で豊かな世界を生み出すことを目指し始めました。
白い紙の上を絵が自由に動くさまは、フォロン曰く「ブラックユーモア」ならぬ「ホワイトユーモア」の空気感を漂わせています。そしてこのユーモアと現実への眼差しは、後の色彩を含んだあらゆる作品にも表れています。
彼が画家を目指して故郷を飛び出した20代の頃に書き溜めていたドローイングは、日常のありきたりな事物や情景ですが、フォロンの観察眼や自由な発想によって、謎めいてユーモラスなイメージへと変容しています。
2.第3章 なにを話そう?
新聞や雑誌、広告、ポスター、テレビ、ラジオ、インターネットなど、あらゆるメディアに囲まれた日常を送る私たち。フォロンの作品にもそうしたモチーフはよく登場しますが、絵の中の人々はそれらと必ずしもよい関係を結べているわけではなさそうです。
しかし、フォロンはメディアを否定しているわけではありません。フォロン制作した何百万人もの購読者を持つ雑誌の表紙や、企業や公共団体などの600点以上ものポスターは、多くの人々の目に触れ、様々なメッセージを伝えるたいせつなメディアでした。
ジョルジョ・モランディ(1890‐1964)やパウル・クレー(1879‐1940)のような、見る人が自由に絵の中に入り込んでいける「開かれた絵」を目指したフォロンにとって、不特定多数の人々へダイレクトに訴えることができるポスターは、出会うべくして出会ったメディアと言えるでしょう。
そう考えると、1988年にアムネスティ・インターナショナルから『世界人権宣言』の挿絵がフォロンに託されたのも頷けます。
3.エピローグ つぎはどこへ行こう?
フォロンは1968年にパリ郊外の小さな農村、ビュルシーに家族と移り住みます。見渡す限りの平原の先に地平線を一望できる家は、彼の終生のアトリエとなりました。1985年には、南仏のモナコにもアトリエを構えましたが、そこからは水平線を望むことができました。それらの景色は、彼にとって重要なインスピレーション源となりました。また、旅を好んだフォロンは、旅先での体験も大切な創作のエネルギーとしていました。
そして、フォロンにとって憧れの存在が「鳥」でした。「私はいつも空を自由に飛んで、風や空と話してみたいと思っているのです」といったフォロンの言葉は、宇宙という未知の世界やまだ見ぬ未来への眼差しでもあります。
2005年、フォロンは71歳でこの世を去りました。愛すべきこの世界、そして人間という存在を探求し続けた人生でした。
以上、「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン展」についてご紹介しました。「AGENCE DE VOYAGES IMAGINAIRES(空想旅行エージェンシー)」と名乗っていたフォロン。彼が作品にうつした謎やメッセージをぜひ見つけに、名古屋市美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
■「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン展」
会場:名古屋市美術館
名古屋市中区栄二丁目17番25号(芸術と科学の杜・白川公園内)
Tel. 052-212-0001
会期:2025年1月11日(土)~3月23日(日)
開館時間:午前9時30分から午後5時、金曜日は午後8時まで(いずれも入場は閉館30分前まで)
休館日:毎週月曜日
観覧料:当日 一般 1,800円
団体(20人以上)一般 1,600円
当日 高大生 1,000円
団体(20人以上)高大生 800円
中学生以下 無料
・障害のある方、難病患者の方は、手帳(ミライロID可)または受給者証の提示により本人と付添者2名まで、当日料金の半額でご覧いただけます。
・中学生および高大生の方は、当日美術館の受付で証明となるもの(学生証など)をご提示ください。
・名古屋市交通局発行の「ドニチエコきっぷ」「一日乗車券」「24時間券」を当日利用して来館された方は当日料金から100円割引
・「名古屋市美術館常設展定期観覧券」の提示で当日料金から200円割引
・いずれも他の割引との併用はできません。
・会期中は「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」の観覧券で常設展もご覧いただけます。
執筆者:遠藤友香
ものづくりを通して「暮らしを豊かにする」ことを目指す、大阪のクリエイティブユニット「graf(グラフ)」。この度、グラフはルイ・ヴィトンが運営するアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」にて 、子どもを対象としたコミュニケーションプログラム「Wonder! Espace Louis Vuitton Osaka(ワンダ ー エスパス)」をスタートします。
Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris
Photo credits: © Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
エスパス ルイ・ヴィトン大阪は、パリにある芸術機関「フォンダシオン ルイ・ ヴィトン」の「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として、同館の現代アートを中心とした所蔵作品を紹介しています。2015年のエスパス ルイ・ヴィトン東京における同プログラム始動に続けて、2021年にルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋5Fにオープンしました。
グラフようちえんとは、グラフが行うものづくりの視点から、こどもたちのこころを育むラーニングプログラムで、ワンダーエスパスはグラフようちえんとエスパス ルイ・ヴィトン大阪のコラボレーションによる子ども向け参加型プログラムです。
自分で考えたり、表現したりする体験を通して、こどもたちのこのような豊かなこころを育む機会をつくることを目指し、プログラム開発を行っています。日常にある身近な表現手法を通して、アートの楽しみ方を広げ、新しい発見や驚き、ワクワク感を引き出すことを目的としています。
講師に迎えるアーティストやクリエイターとともに、展示中の作品を参加者自らの体験として取り込んでもらえるよう、魔法をかけたような特別な時間を過ごして欲しいという想いが込められているとのこと。
第1回目は、現在「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」で行われているドイツ人アーティストのウラ・フォン・ブランデンブルクの個展「CHORSINGSPIEL(コアージングシュピール)」にあわせたワークショップを展開します。
©️Akikoisobe
ゲスト講師として、アオイヤマダと高村月からなるポエトリーダンスユニット「アオイツキ」を招き、「ことばと踊る」をテーマに進められます。作品内のキーワードを身体の動きに変換し、展示空間内で作品を楽しむワークショップとなっています。
作家の制作手法から広がる新たな物語の中で、自由に身体を表現する楽しさを感じてみてはいかがでしょうか。
©️Akikoisobe
アオイツキ(ゲスト講師)
アオイヤマダと高村月が踊り語ります。自身の記憶の断片に凹凸を与え、身体と言葉のパフォーマンスへと昇華させることを試みています。ライブパフォーマンスやワークショップなどを行っているポエトリーダンスパフォーマンスユニットです。
土地や記憶から派生した高村月の脚本を元に、アオイヤマダが楽曲制作を行い、踊り語りシリーズ『ヒッチハイカー季節~冬~』、『文字の旅』、『居超』、『追憶特急チョコレート』などの作品を生み出しています。最近では、北アルプス国際芸術祭や宇多田ヒカルのライブ『SCIENCE FICTION』でパフォーマンスなどを行いました。
■Wonder! Espace Louis Vuitton Osaka vol.1 「ことばと踊る」
日時:2025年4月5日(土)10:00-11:40(受付開始 9:45-)※7-12歳対象
4月6日(日)10:00-11:40(受付開始 9:45-)※4-6歳対象
会場:エスパスルイ・ヴィトン大阪(大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトンメゾン大阪御堂筋 5F)
対象:1日目(4月5日 ): 7-12歳
2 日目(4月6日 ): 4-6歳
定員:各回20名
参加費:無料
共催:エスパスルイ・ヴィトン大阪、graf
※申し込みは、すでに締め切っています。予めご了承ください。
執筆者:遠藤友香
「小山登美夫ギャラリー」と「MAKI Gallery」は、「小山登美夫ギャラリー前橋」にて、伊藤彩、カズ・オオシロ、田村琢郎、風能奈々、油野愛子によるグループ展を、2025年4月20日(日)まで開催中です。
アーティスト5人による本展は、それぞれの表現が共鳴することで相乗効果が生まれ鑑賞者の五感を刺激する展示となっています。
©︎Aya Ito
伊藤の作品は、オレンジ、赤、緑、紫、黄色など、人工的なネオンのような暗く鮮やかな色彩の渦、傑出した構成力の時空がねじれた背景、飄々とした人や何かが巨大化、矮小化されたり、浮いたりするなど、けだるい無重力の空間を覗き込んでいるような不思議な感覚を呼び起こします。
オオシロは、ポップアートやミニマリズム、抽象的表現主義などを参照しながら、それらの思想を独自に展開し、立体と平面、抽象と具象、リアリティとイリュージョンなど、さまざまな二項対立の上に立って作品の本質を探ります。
田村は日常風景から制作のインスピレーションを得ることが多く、特に交通に関連するモチーフをよく作品に取り入れ、持ち味の鋭い観察眼と高い技術力、 そして遊び心溢れる感性を活用して、身近なものを元の文脈や役割から切り離して、新たな存在意義を与えます。
©︎Nana Funo
風能は自らの生活での体験や感覚、感情を、新たな物語世界に昇華させるように緻密かつ大胆に作品として展開。繊細な筆致で高い密度のマチエール(絵画の絵肌といった、作品における材質的効果)を絡みあわせた画面は、磁器や彫金を思わせるかのような光沢と、刺繍や織物のような重層感があり、それをアクリル絵具のみで生み出しています。
©︎Aiko Yuno
油野は幼年期と青年期の間に横たわるギャップや感情をベースに、金属や樹脂、陶芸、アクリル絵具など多様な技術と素材で作品制作を行っています。自分とはなにかを問うその表現に、鑑賞者は自身の情景を映し出すことができるでしょう。
5人のアーテイストによる展示空間は、どのような作用をもたらすのかー。突出したアイデア、発想力、着眼点を持ち、独自にオルタナティブな道を切り開いている彼らによる展示をぜひご高覧ください。
■グループ展「伊藤彩、カズ・オオシロ、田村琢郎、風能奈々、油野愛子」
会場:小山登美夫ギャラリー前橋
群馬県前橋市千代田町5丁目9-1(まえばしガレリア内 Gallery 2)
会期:2025年3月15日(土)ー4月20日(日)
11:00 - 19:00 (月・火・祝 休み)
入場無料
執筆者:遠藤友香
「渋谷スクランブルスクエア」の14階・45階・46階・屋上に位置する展望施設「SHIBUYA SKY」は、「SKY GALLERY EXHIBITION SERIES」と題して、本格的な企画展を定期的に開催しています。SKY GALLERY EXHIBITION SERIESは「視点を拡げる」を共通テーマに、アーティストが本施設を体験したインスピレーションから制作されたオリジナル作品を主軸に展開する本格的なエキシビションです。 渋谷最高峰の景色を眺めるだけにとどまらず、まだ見ぬ世界への興味を抱かせ、想像力を育てる体験を生み出しています。
第8回目となる今回は、「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、障害のある作家とともに、新たな文化の創造を目指す「ヘラルボニー」による企画展『「PARADISCAPE」異彩を放つ作家たちが描くせかい』を、2025年3月31日(月)まで開催中です。
また会期中、展示作家と作品を創作するワークショップや対話を楽しむ雑談型アート鑑賞プログラムなど、鑑賞するだけでなく参加型で楽しめるイベントも行います。
SKY GALLERY EXHIBITION SERIES vol.8 『「PARADISCAPE」異彩を放つ作家たちが描くせかい』は、作家たちの視点から「生命が輝く世界」を再構築する試みです。ある作家は、動物の「瞳」に込められた感情に惹かれ、またある作家は「色」や「形」を通じて生命のエネルギーを表現します。
彼らが描くのは、日常の中で見逃されがちな生命の瞬間、異なる感覚で捉えた生命そのものの多様な風景です。彼らの視点や感覚を通して、新たな生命の魅力を伝え、訪れるひとびとに「世界」との心の対話を生み出す空間を構成します。「PARADISCAPE」で、都会に息づく生命と圧倒的な景色が織りなす共生の理想郷を体感してください。
■出展作家一覧:
青木正臣/ 秋山住江 / 浅野春香 / 市村正道 / 伊藤大貴 / 岩瀬俊一/ 岩堀里美 / 内山K. / 小野崎晶 / 木村全彦 / 国保幸宏 / 小林泰寛 / 佐藤皓平 / 澁田大輔 / 高田祐 / 髙山凌賀 / 田﨑飛鳥 / 樽井慎一郎 / 鳥山シュウ / 新田恵理 / 水上詩楽 / 藤田望人 / 柳生千裕 / Juri(50音順)
■協力作家一覧:
安斎隆史 / 鈴木広大 / 谷田圭也之 / 三谷由芙 / 和田成亮(50音順)
2種のアート体験イベントを開催
1.作家・田﨑飛鳥とつくる創作アートワークショップ
本展の特別イベントとして、展示作家・田﨑飛鳥氏をお招きし、創作アートワークショップ&アートクルーズ(展示鑑賞)を開催します。
本イベントでは、田﨑氏とともに、自由な発想で創作アートを紡ぎます。眼下に広がる都市の息吹と、空とつながる開放的な空間に身を置きながら、心に響く色彩と形を描き出してみてください。完成した作品は、額縁に入れてお持ち帰り可能です。
さらに、ワークショップに先立ち、ヘラルボニースタッフがご案内するアートクルーズ(展示鑑賞)も実施。展示作品が奏でる物語に耳を傾け、心に宿る感性をゆっくりと育んでください。 空とアートが交差する特別な場所で、あなたの内なる表現を解き放ってみてはいかがでしょうか。
■開催日:2025年2月24日(月・祝)
■開催時間:13:00~14:45(集合:12:50)
■チケット料金:4,500円(一律)
※チケットには「SHIBUYA SKY入場チケット」「イベント参加費+額縁代」が含まれています
※小学生以上の参加を推奨します
※小学生以下のご参加は、18歳以上の保護者の付き添いが必要です。創作アートワークショップに参加せず、付き添いのみをご希望の方は別途「付き添いチケット2,200円」をご購入ください
※付き添いチケットのみで本イベントに参加できません
※イベント終了後、SHIBUYA SKYをご自由にご覧いただけます
■購入サイト:展示作家・田﨑飛鳥とつくる 創作アートワークショップ 【SHIBUYA SKY】 | Peatix
※イベント前日の17:00に申込を締め切ります
※定員12名、定員になり次第販売終了
※詳しい注意事項については、購入サイトで必ずご確認ください
■ゲスト作家: 田﨑飛鳥氏
陸前高田市在住。生まれながらにして、脳性麻痺と知的障害がある。幼いころから絵本や画集に興味を持ち、彫金作家である父、實さんの勧めで絵を描き始めるとその才能は伸びていき、アート展では賞を受賞するまでに。東日本大震災の津波により、自宅、今まで描いてきた約200点の絵、親しんできた豊かな自然と、そこに住む人々といったかけがえのない大切なものを一瞬で失い、あまりの衝撃と悲しみから、ショックで一度は筆を置いてしまったが、父からの言葉で再び筆を取り、壮絶な経験を経て、今まで多くの観る人の心を動かす。
2.感じて、語る。石井健介と巡る、雑談型鑑賞プログラム
「ブラインド・コミュニケーター」として活動する石井健介氏とともに、アート作品を巡る雑談型鑑賞プログラムを実施します。目の見えない石井さんが、触覚や聴覚、言葉を通じてアート作品や会場の雰囲気をどのように感じ、捉えているのかを対話型で参加者の皆さんと共有しながら進みます。視覚に頼らない新たなアートの楽しみ方を体験できる機会であり、アートが持つ普遍的な魅力が五感を通じてどのように伝わるのか、参加者自身の感覚を刺激する内容となっています。
■開催日:2025年2月16日(日)/2月23日(日)
■開催時間: 2 月16日(日) ① 11:00~12:30(集合:10:50)13:30~15:00(集合:13:20)【手話通訳あり】
2 月23日(日) ② 11:00~11:45(集合:10:50) 【短縮版 / 小学生向け】 ③ 13:30~15:00(集合:13:20)
■チケット料金:大人3,500円(12歳以上) / 小学生2,000円(12歳の小学生を含む)
※チケットには「SHIBUYA SKY入場チケット」「イベント参加費」が含まれています
※対話型でのアート鑑賞プログラムのため、小学生以上の参加を推奨いたします
※小学生以下のご参加は18歳以上の保護者の付き添いが必要です。付き添いで参加する方も、参加チケットをご購入ください
※イベント終了後、SHIBUYA SKYをご自由にご覧いただけます
■購入サイト:【2/16、23 開催】感じて、語る。石井健介と巡る、雑談型アート鑑賞プログラム【SHIBUYA SKY】 | Peatix
※イベント前日の17:00に申込を締め切ります
※各回定員10名、定員になり次第販売終了
※詳しい注意事項については、購入サイトで必ずご確認ください
■ゲストスピーカー: 石井健介氏(ブラインド・コミュニケーター)
1979 年生まれ。アパレルやインテリア業界を経て、フリーランスの営業・PRとして活動。2016年4月、一夜にして視力を失うも、軽やかにしなやかに社会復帰。ダイアログ・イン・ザ・ ダークでの勤務を経て、2021年からブラインド・コミュニケーターとしての活動をスタート。見える世界と見えない世界をポップに繋ぐためのワークショップや講演活動をしている。TBSラジオ制作のPodcast番組「見えないわたしの、聞けば見えてくるラジオ」パーソナリティ。
石井健介氏からのコメント
「何が見える?」と「何に見える?」って、似ているようでちょっと違う。 そのちょっとの違いをみんなで持ち寄って、自由に言葉にしながら観賞するのが雑談型観賞のスタイル。 みんなで見るから、見えてくるものを見つけましょう。
HERALBONY in SHIBUYA SKY SOUVENIR SHOP
異彩を放つ作家の強烈なアイデンティティから生まれたアートプロダクトを展開する「HERALBONY」の期間限定ショップが、SHIBUYA SKY SOUVENIR SHOP前に登場。 色彩豊かな定番のハンカチ・サブバッグ・ボトルを中心に多数販売します。本展オリジナルのポストカードや、展示作家のアートが起用されたプロダクトも。
HERALBONY|SHIBUYA SKY オリジナルポストカードセット(5枚入り) 1,650円(税込)
ハンカチーフ「海ガメ」岩瀬 俊一 3,630円(税込)
タオルブランケット 「MONOCHRO ART Series」「東京」鳥山 シュウ 22,000円(税込)
開催期間:2025年1月16日(木)~3月31日(月)
フロア:46F SHIBUYA SKY SOUVENIR SHOP前
※ご来店は、SHIBUYA SKY入場チケットの購入が必要となります
以上、ヘラルボニーによる企画展 『「PARADISCAPE」異彩を放つ作家たちが描くせかい』についてご紹介しました。ぜひ、ヘラルボニーが贈る、異彩を放つ作家たちの世界感を堪能してみてはいかがでしょうか。
SKY GALLERY EXHIBITION SERIES vol.8
「PARADISCAPE」異彩を放つ作家たちが描くせかい
■開催期間:2025年1月16日(木)~3月31日(月)
各日10:00~22:30(最終入場21:20)
※休館日:2月18日(火)
※短縮営業日:1月27日(月)・28日(火)10:00-21:20(最終入場 20:00)
■開催場所:SHIBUYA SKY 46階 屋内展望回廊「SKY GALLERY」
■参加方法: イベント当日のSHIBUYA SKY入場チケット、もしくは年間パスポートをお持ちの方は、どなたでもご鑑賞いただけます。 入場チケットのご購入について、詳しくは下記サイトをご覧ください。 チケット購入 | SHIBUYA SKY
※SHIBUYA SKYチケットは数に限りがございます。希望日時のチケットが完売の場合は購入いただけません ※4週間先の日付までの入場チケットをご購入いただけます ※入場後の滞在時間に制限を設けていませんが、退場後の再入場はできません。
大阪中之島美術館外観
執筆者:遠藤友香
スイスを代表するグラフィックデザイナー、タイポグラファーであるヨゼフ・ミューラー=ブロックマンと、そのパートナーであり芸術家の吉川静子の二人の活動と作品を紹介する、双方にとって初となる大規模な回顧展「Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」が、大阪中之島美術館で2025年3月2日(日)まで開催中です。本展は、在日スイス大使館の後援を受け、日本とスイスの国交樹立160周年を記念して開催されています。
ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン
二人はチューリッヒを拠点として芸術活動、教育活動に従事した芸術家でした。ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンは、1960年代から 80年代にかけて数度にわたり来日し、亀倉雄策など日本のデザイナーと親交を深める一方、デザイン学校や美術大学で教鞭をとり日本のデザイン教育にも貢献しました。紙面における文字組みと構成の方法論についてまとめ命名した「グリッドシステム」は、デザイン史上の金字塔というべき理論として、今日まで大きな影響を与え続けています。優れた教育者、ポスター・デザイナーとして知られると同時に、どのような人にも優しい人柄だったことが今日まで語り継がれています。
吉川静子
吉川静子は、スイスで生涯の大半を過ごした、教養ある芯の強い日本人芸術家です。ウルム造形大学で学び、「スイス・コンクリート・アート」のアート・シーンに紹介された後、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンと結婚し、チューリッヒに活動拠点を置きました。その後、空気感と瞬間性に作品制作の重点を定め、徐々にオーソドックスなコンクリート・アートの伝統から離れていきます。初期の「色影」シリーズや太陽をモチーフとしたドローイング、その後の「シルクロード」シリーズにその例を見ることができます。
二人の出会いは、1960年に東京で開催された世界デザイン会議においてでした。英文学を学んだ吉川は、通訳としてこの会議に参加したのです。この世界的な会議に刺激を受けた吉川は、ドイツのウルム造形大学に留学しデザインを学んだ後、ミューラー=ブロックマンの事務所で働き始めます。強い信頼の絆で結ばれた二人は結婚し、生涯を共にしながら、芸術家としてそれぞれに進むべく道を開拓していきました。
次に、本展の中でもおすすめのものをピックアップしてご紹介します。
1.初期の作品:建築空間のアート
吉川静子は、ある建築のためのサイトスペシフィック・アートの展開を通して、絵画の道に入りました。空間体験や感覚は、建築との相互作用によって、どう現れるのでしょうか。吉川は依頼された作品や、親交のある建築家たちと共同で制作した概念的視点に焦点を当てた実験的プロジェクトにおいて、この問いに向き合いました。この文脈において吉川は、空間体験が知覚心理学に基づく抽象的・数学的関係性を具体的に表現した結果として生じると理解しました。特に、環境要素や時間の流れを表すものとして、光、影、水、植物を組み入れた吉川の手法は、後に吉川が絵画という媒体で探求した、多様であり、時に矛盾してもいる諸要素の共鳴に繋がります。
吉川は、数多くのKunst am Bau(建築空間のアート)プロジェクトに参加しており、そのうちのひとつが、1972年から1973年にかけて、チューリヒのヘング地区にあるカトリック教会信徒会館で制作された壁面レリーフ《四つの可能なプログレッション》 です。同作品は、日常生活の環境にアートを溶け込ませるという概念に対する吉川の関心を反映しています。
2.ウパニシャッドへのオマージュ
1989年以降、《ウパニシャッドへのオマージュ 1ー32》(1989ー1990)で、吉川の探求は、それまでの格子構造から、より広範で流動的な網の構造へと変わっていきました。このシリーズでは、自身の作品において重要な要素である白い背景の上に、半透明の絵具を重ねました。この技法を用いたことで、様々な構成要素の間に奥行きと繋がりが生まれました。しばしば回転させてあった個々の形象は、自由自在に浮遊しているように見えるリズミカルなパターンを形成し、作品全体に視覚的な反響を生み出しています。
タイトルは、内省に重点を置いた古代ヒンズー教の書物「ウパニシャッド」から来ています。「ウパニシャッド」は、仏教や日本の伝統の一部ではありませんが、個人の成長や自己認識を強調しています。「ウパニシャッド」という言葉の言及は、相互の繋がりと内省の探求に対する吉川の関心を反映しており、この二つのテーマは吉川作品の多層的で複雑な構図に共鳴しています。「ウパニシャッド」は「近くに座る」という意味に解釈されることが多いのですが、それは、親密な環境で知恵が伝授される師弟の関係を指しています。
3.宇宙の織りもの
吉川は1991年に、「宇宙の織りもの」シリーズの制作に着手し、その後10年間にわたってこのテーマを探求していきます。正方形を出発点としながらその向きを変え、角でバランスを取るのではなく、一辺を下にまっすぐ置いています。これらの作品には、先端が切り取られた様々な色の十字が描かれており、徐々に縮小しながら縁に向かい、画像が粗くなったような丸い形を形成しています。
吉川は、これをきっかけに新しいフォーマットを取り入れました。それが「トンド(円形画)」です。フリッツ・グラーナーなどの、構成主義・コンクリート芸術の先人たちは、原色や幾何学的な関係に焦点を当てた一方で、吉川はトンドを用いて「輝くような」調和を探求しました。
「宇宙の織りもの」では、十字は表面中にリズミカルに配置されており、角張った形と丸い形が混ざり合って宇宙的次元を想起させます。このシリーズは、直角の構造と丸みを帯びた要素の間にある緊張を強調し、対位法で作り出された視覚的なエコー空間のように共鳴し合う、ダイナミックで調和したバランスを生み出しています。
4.グラフィックデザイン
ウルム造形大学視覚コミュニケーション学部を卒業した吉川は、後に夫となるヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの事務所で、1963年から働き始めました。1968年から1978年にかけては、フリーのグラフィックデザイナーとして独立し、独自の有力な依頼人基盤を築いた上、能の公演のためのポスター(1975年スイス年間最優秀ポスター)など、ポスターデザインで数々の賞に輝きました。
これらの応用美術作品は、世界的に最も著名なグラフィックデザイナーであり、かつての師でもあったミューラー=ブロックマンと吉川を再び結びつけるきっかけとなり、二人は創作においてパートナーとして活動すると同時に、個人的なパートナーとしても生涯を共にするこことなりました。このことは特に、二人の共同展のためのポスターデザインにも表れています。吉川自身は1980年代以降、美術作品、特に絵画に専念しましたが、最後に手掛けたポスターデザインのうちのひとつは、チューリヒにあるリートベルク美術館で開催された、動物をかたどった根付の展覧会のためのもので、1987年に制作しています。
最後に、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの作品をご紹介します。
ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンは、スイスのグラフィックデザイナーであり、著述家、教育者としても知られています。イラストレーターや舞台のデザイナーとしてのキャリアを経て、1950年代初頭にデザイン分野の変革の必要性を認識し、合理的で構成主義的なデザインへ身を投じ、具体的なモチーフを描かない抽象的なデザインを制作しました。形態や構成、明快な適用の原理を深め、タイポグラフィや色彩、ときに写真も用いて、自身の作品を表現しました。先駆者として形成に寄与したスイス・スタイルは、インターナショナルなタイポグラフィック・スタイルとして世界を席捲し、今日のデザイナーにインスピレーションを与え続けています。チューリッヒ管弦楽団のポスターは音楽の感覚を視覚化する芸術的な試みです。この試みは、構造、リズム、バリエーションによる手段の集中と削減を通して行われました。
日本と日本文化に対するミューラー=ブロックマンの愛着と関心は1960年の世界デザイン会議に始まり、ここから吉川静子との結婚を通してその人生を形作りました。オープンで誠実な人柄とともに、多くの友人を得て、相互にインスピレーションを与え合いました。
以上、強い信頼の絆で結ばれたヨゼフ・ミューラー=ブロックマンと、そのパートナーであり芸術家の吉川静子の二人の回顧展「Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」についてご紹介しました。二人は結婚することによって、お互いの人生を支え合い、高め合える良い関係性でした。ぜひ、二人の芸術家の作品の世界感に触れるため、大阪中之島美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。
■「Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」
会期:2024年12月21日(土)– 2025年3月2日(日)
休館日:月曜日、12/31(火)、1/1(水・祝)、1/14(火)、2/25(火)
※1/13(月・祝)、2/24(月・休)は開館
開場時間:10:00 – 17:00(入場は16:30まで)
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
大阪府大阪市北区中之島4-3-1
観覧料:一般 1700円(前売・団体 1500円)
高大生 1100円(前売・団体 900円)
中学生以下 無料
当館メンバーシップ会員の無料鑑賞/会員割引 対象
※災害などにより臨時で休館となる場合があります。
※税込み価格。
※団体料金は20名以上。団体鑑賞をご希望される場合は事前に開館時間・料金・団体受付ページからお申込みください。
※学校団体の場合はご来場の4週間前までに学校団体見学のご案内からお申込みください。
※障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は当日料金の半額(要証明)。一般のご購入列とは別に対応させていただきます。ご来館当日、2階のチケットカウンターにてお申し出ください。(事前予約不要、当日券売場付近の係員にお気軽にお声がけください。ご案内させていただきます。)
※一般以外の料金でご利用される方は証明できるものを当日ご提示ください。
※本展は、大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要です。
※[相互割引]本展観覧券(半券可)の提示で、4階で開催される「歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力」 (2024年12月21日(土)– 2025年2月24日(月・休))の当日券を200円引きで2階チケットカウンターでご購入いただけます。
・いずれも対象券1枚につき1名様有効です。
・チケットご購入後の割引はできません。
・他の割引との併用はできません。
【チケットの主な販売場所】
大阪中之島美術館チケットサイト、ローソンチケット、ローソンおよびミニストップ各店舗(Lコード:56212)
お問い合わせ:大阪市総合コールセンター(なにわコール)Tel. 06-4301-7285
受付時間 8:00 – 21:00(年中無休)
執筆者:遠藤友香
森ビル株式会社が運営する六本木ヒルズ展望台 東京シティビューは、2025年1月22日~2月16日まで、ファッションブランド「YUIMA NAKAZATO」とコラボレ-ションし、「天空を纏う TOKYO CITY VIEW × YUIMA NAKAZATO」を開催します。
パリのオートクチュールウィークに日本から唯一招待されるYUIMA NAKAZATO。 東京タワー方面の壮大な都市の景観が見えるエリアに、クリエイティブディレクターの中里唯馬氏がデザインした3着のドレスと、そのドレスを写真家・映画監督として活躍する蜷川実花氏が撮影した作品を展示。ファッションの中でも唯一無二の存在であるオートクチュールのアートピースと、東京の街を見渡す唯一無二の場所が交差し、まさに「天空を纏う」ような美と感動の空間を楽しむことができます。
さらに、渋谷・新宿方面の眺望が見えるエリアでは、2023年に劇場公開された中里氏を特集したドキュメンタリー映画「燃えるドレスを紡いで」(2025年1月からオンライン配信開始)のトレーラー映像もご覧いただけます。 そして、2月3日からはYUIMA NAKAZATOのブランド創立15周年を記念した「YUIMA NAKAZATO展ー砂漠が語る宇宙と巨大ナマズの物語は衣服に宿るかー」を、東京シティビューのスカイギャラリー2で開催予定です。2025年1月末にパリで発表される最新コレクション「FADE 」の衣装作品を中心とした展示が広がります。
海抜 250mの天空に広がる東京の景色と、YUIMA NAKAZATOの洗練されたファッションの融合による「天空を纏う」芸術的な体験をぜひ体感してみてはいかがでしょうか。
「YUIMA NAKAZATO 展ー砂漠が語る宇宙と巨大ナマズの物語は衣服に宿るかー」
Photography: Yuima Nakazato
パリのオートクチュールウィークより招待される日本唯一のブランド「YUIMA NAKAZATO」の創立15周年を記念した展覧会を開催します。2025年1月に発表される最新コレクション「FADE」の衣装作品を中心に、モーツァルトのオペラ「IDOMENEO」から派生して生まれたコレクション等を日本で初めて展示します。
期間: 2025年2月3日(月)~2月16日(日)
場所: 東京シティビュー スカイギャラリー2
中里唯馬(なかざとゆいま)プロフィール
1985年生まれ。2008 年、ベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーファッション科を卒業。2016 年7月にはパリのオートクチュールウィーク公式ゲストデザイナーの1人に選ばれ、現在に至るまで日本人として唯一、オートクチュールウィークにてコレクションを発表し続けている。近年では、単独回顧展 ”BEYOND COUTURE” がフランスの公立美術館であるカレー・レース・ファッション美術館にて開催された。アメリカのボストン・バレエ団やスイスのジュネーブ国立劇場等で行われるオペラやバレエ等、舞台芸術の衣装デザインを行う。また、自らが発起人となり、未来を担う次世代のクリエイターのためのファッション・アワード「FASHION FRONTIER PROGRAM」を創設。
六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
【営業時間】 10:00~22:00(最終入館 21:30)
【料金】 料金変動制
※催事や曜日により料金が異なります。詳細は公式サイトにてご確認ください。
※チケットは専用オンラインサイトまたは施設入口の券売機、窓口での購入が可能です。
※諸事情により営業時間の変更やクローズする場合があります。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
【お問い合わせ】
Tel. 03-6406-6652