執筆者:遠藤友香
森ビル株式会社等が、約300件の権利者の方々とおよそ35年かけて進め、2023年11月24日(金)に無事開業した「麻布台ヒルズ」。
「麻布台ヒルズ」は、“Modern Urban Village~緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街”をコンセプトに、“Green & Wellness”人々が自然と調和しながら、心身ともに健康で豊かに生きることを目指す街です。約8.1haの広大な計画区域には、約24,000㎡の圧倒的な緑が広がり、延床面積約861,700㎡の空間に、オフィスや住宅、商業施設、文化施設、教育機関、医療機関など、多様な都市機能が集積しています。
森ビルは、「都市には経済活動を支えるだけではなく、豊かな都市生活を実現するための文化的魅力が不可欠である」との強い想いから、「文化」を最も重要な要素の1つとして都市づくりに取り組み、ヒルズごとに個性的な文化施設をつくってきました。ウェルネスへの意識が高まってきた今、文化やアートは、人々の暮らしを心豊かなものにするものとして、より都市生活にとって大切な存在となっています。
「麻布台ヒルズ」では、「街全体がミュージアム」をコンセプトに、総施設面積約9,300㎡(約2,820坪)のデジタルアートミュージアムとギャラリーを中核として、オフィスや住宅、ホテルのロビーや広場など、街のあらゆる場所にパブリックアートを設置し、芸術・文化が一体となった街を創出しています。
「麻布台ヒルズ」の文化発信の中核となる場所が「麻布台ヒルズ ギャラリー」です。美術館仕様の施設・設備を備え、アート、ファッション、エンターテイメントなど、多様なジャンルの文化を発信。麻布台ヒルズ ギャラリーで、2024年9月6日(金)まで開催中なのが、アレクサンダー・カルダーによる、東京での約35年ぶりとなる個展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」です。
本展は、アメリカのモダンアートを代表するカルダーの芸術作品における、日本の伝統や美意識との永続的な共鳴をテーマにしています。この展覧会は、ニューヨークのカルダー財団理事長であるアレクサンダー・S.C.ロウワーのキュレーションと、Paceギャラリーの協力のもと、カルダー財団が所蔵する1920年代から1970年代までの作品約100点で構成され、代表作であるモビール、スタビル、スタンディング・モビールから、油彩画、ドローイングなど、幅広い作品をご覧いただけます。
カルダー自身は生前日本を訪れたことはありませんでしたが、日本の多くの芸術家や詩人に受け入れられました。それは、今日、彼の作品20点以上が日本国内18箇所の美術館に収蔵されていることからも理解できます。
本展の会場デザインを担当し、長年のカルダー財団の協力者でもあるニューヨーク拠点の建築家、ステファニー後藤は、カルダーが同時代の偉大な建築家たちとコラボレーションしていた精神にならい、3:4:5 の直角三角形の幾何学にもとづいた設計で、日本建築の要素や素材をエレガントかつモダンに展示空間に取り入れています。
Calder with Armada (1946), Roxbury studio, 1947. Photograph by Herbert Matter
ここで、カルダーについてご紹介しましょう。1898年にペンシルベニア州ローントンにて生まれたカルダーは、20世紀を代表する芸術家です。古典的な芸術家の一家に生まれた彼は、針金を曲げたりねじったりすることで、立体的な人物を空間に「描く」という新しい彫刻の手法を編み出し、芸術活動をスタートさせました。吊るされた抽象的な構成要素が、絶えず変化する調和の中でバランスを保ちながら動く「モビール」の発明で最もよく知られています。カルダーは、動く彫刻であるモビールによって近代彫刻の概念を一変させ、最もその名を知られていますが、絵画、ドローイング、版画、宝飾品など、数多くの作品を制作し、幅広い分野で活躍しました。
次に、本展でおすすめの作品を5点ピックアップします!
Alexander Calder 《Fafnir》, 1968 Sheet metal, rod, and paint 112" × 184" × 46" (284.5 × 467.4 × 116.8 cm)
カルダーがアート作品をつくる以前は、彫刻は地面に付いていて動かないもの、静的なものというイメージが強かったのですが、カルダーが動く彫刻をアートの中で初めて生み出したことによって、動く彫刻が誕生しました。このことは、歴史的にも高評価を受けています。
こちらの作品は、本来屋外に置くためのパブリックアートの彫刻作品で、風があると鉄の部分がクルクル回るなど、気流や光、湿度、人間の相互作用に反応します。
この姉妹作品がパブリックアートとして一番最初に置かれたのが、名古屋市美術館です。名古屋市美術館では、姉妹作品が屋外に置かれています。
こちらの作品名《Fafnir》とは、北欧の神話の「龍」に由来します。後ろの部分が尻尾で、顔もあるように見えます。本作は、名古屋市美術館に置かれている姉妹作品という点と、日本との繋がりといったことを含めて、入口を入って一番最初に置かれています。
ここは、茶室をイメージした空間になっており、壁には桜の木を使っています。上の照明部分は、日本の庇(ひさし)を想定しています。カルダーの作品は動きがあるため、影も一緒に楽しめるのですが、ここはあえて影が出ないような空間構成になっています。
Alexander Calder 《Un effet du japonais》, 1941 Sheet metal, rod, wire, and paint 80" × 80" × 48" (203.2 × 203.2 × 121.9 cm)
こちらは《Un effet du japonais》という作品で、今回の展覧会の英語タイトルになっています。《Un effet du japonais》とはフランス語で、日本語に訳すと「日本の美学」という意味です。
本展をキュレーションしたサンディー曰く、黒と赤で構成されている本作は、見方によっては日本の歌舞伎の化粧や、また左右の部分が羽のようで鶴のようにも見えるとのこと。
Alexander CalderSword 《Sword Plant》, 1947 Sheet metal, wire, and paint 42-3/4" × 31-1/4" × 30-1/2" (108.6 × 79.4 × 77.5 cm)
こちらは、日本のいわゆる瓦を想起させる空間で、まわりは全て黒染めした和紙で囲まれています。よく見ると、和紙の上の2点だけが止まっており、その理由は、上にあるモビール作品がそよいだり、風で動くことを想起しているためです。ここの空間に風があると、和紙が揺らぐような形をイメージして、このようなデザインになっています。
作品を見ると黄色や青といった色味がパッと目に入ってきますが、近づいてみると小さなモビール作品は、実は赤だけではなく黒のモビールの要素も入っていることが見て取れます。黒の空間の中において、黒いモビールが空間と同化していますが、作品に近づくことで見えてくる色がある点が面白い。
カルダーの作品は、他の展覧会では基本的にホワイトキューブで展示することが多いのですが、展示空間を担当した後藤の意向もあって、興味深い空間構成になっています。
Alexander Calder 《Untitled》, 1956 Sheet metal, wire, and paint 35" × 120" × 64" (88.9 × 304.8 × 162.6 cm)
こちらは、カルダーの代表的なモビール作品です。カルダーの父アレクサンダー・スターリング・カルダーは高名な彫刻家で、母ナネット・レダラー・カルダーは油絵の画家というアート家系に生まれました。ただ、両親はカルダーがアートの道に進むことを好んでいませんでした。カルダー自身工学部で機械工学を専攻し、エンジニアとなりましたが、その後芸術家の道に転向したという経緯を持っています。
元々カルダーは工学部出身なので、こちらのモビール作品も計算されているのかと思いがちですが、キュレーションしたサンディー曰く、カルダーはモビール作品を本能的に作っており、全く計算されていないとのこと。
確かに見てみると、視点の部分が不均衡で、必ずしも真ん中に置かれているわけではなかったり、青と黄色の部分も、全く同じものが吊るされているわけではなく、人力で調整されて作られていることが理解できます。
現在、巷に出回っている赤ちゃんの知育玩具は、このカルダーのモビールが元となって誕生しているそうです。
Alexander Calder 《Black Beast》, 1940 Sheet metal, bolts, and paint 103" × 163" × 78-1/2" (261.6 × 414 × 199.4 cm)
記事冒頭でご紹介した作品《Fafnir》と同じタイプのスタビルという種類の作品《Black Beast》。屋外彫刻の作品の中では、初期の作品です。屋外彫刻作品なので、高さがあってもいいのですが、こちらは高さ2.8mです。ただ、重さが400kgあるといった、かなり重い作品です。
素材は鉄ですが、こういった屋外彫刻といった大きな作品を制作していた時期が、ちょうど第二次世界大戦中で、鉄が資源として限られてたので、廃材を使ってコーティングし直すなど、カルダーはサステナブルな姿勢を持っていました。
以上、カルダーによる個展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」をご紹介しました。次に、麻布台ヒルズのパブリックアートをピックアップします!
「パブリックアート」日常生活とアートの境界をなくす
圧倒的な緑に包まれた広大な空間が広がる「麻布台ヒルズ」。その公共空間や生活環境にあるパブリックアートには、空間の壮大なスケール感とヒューマンスケールを融合し、人間と宇宙の繋がりを感じられ、「麻布台ヒルズ」で生成される自然界のエネルギーを可視化するような作品が、森美術館のキュレーションにより選定されています。
また、手仕事の痕跡が残された作品の表情や、さまざまな素材が五感を刺激し、人間本来の野性や芸術的感性が喚起されることも想像されています。さらには、「エプソン チームラボボーダレス」や「麻布台ヒルズギャラリー」など、「麻布台ヒルズ」の各アートスペースとも連動し、街全体でミュージアム・クオリティのアートを体験できるよう考慮されているといいます。パブリックアートでは、世界の現代アート界を牽引するアーティストの豪華な共演を楽しむことができます。
中央広場:奈良美智(日本) 《東京の森の子》2023年
奈良美智(日本) 《東京の森の子》2023年
目を閉じた《東京の森の子》は、アンテナを天高く伸ばし、宇宙と交信しているようにも、森の精として自然界の平安を祈っているようにも見えます。天空に向けて円錐状に立ち上がる本作は、2011年の東日本大震災の悲しみから、創造活動を再開する契機ともなった《ミス樅の子》(2012年)に続き、2016年以来、青森、那須塩原、ロサンゼルスなどに恒久設置されている《森の子》シリーズの8体目。都内に常設される奈良の野外彫刻としては初めてです。
粘土で作った原形をブロンズで鋳造し、ウレタン塗装を施した表面には、奈良の指跡が鮮やかに残り、作家の身体性や情動がリアルに伝わってきます。心の奥底に刻み込まれた記憶、感性、直感のままに制作されたこのシリーズには、奈良自身の葛藤、世界平和への願い、希望などが折り重なり、私たちの心の奥底に話しかけてくるようです。
中央広場:ジャン・ワン(中国) 《Artificial Rock. No.109》 2015年
ジャン・ワン(中国) 《Artificial Rock. No.109》 2015年
ステンレススチールで自然石を模した彫刻は、中国の彫刻家ジャン・ワンの代表的なシリーズです。中国で天然岩を鑑賞する文化「供石」は唐の時代に遡ります。自然石を鑑賞する文化は日本では「水石」と呼ばれ、14世紀に中国から伝来したと言われています。供石で愛でられる自然岩は主に石灰岩で、自然現象によって溶解した形が風景にも喩えられてきました。
ジャン・ワンは急速な経済発展や産業化の只中にある中国で、多くの知識人や趣味人を魅了してきた自然岩が連想させる伝統的な風景を、自然を模して近代的な素材で再現しました。自然とその模造の意味を問い掛けながらも、鏡面に仕上げられた表面は麻布台ヒルズで移り変わる四季の風景、さらには天空を写し出し、過去と未来を繋げます。
森JPタワー:オラファー・エリアソン(デンマーク) 《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》2023年
オラファー・エリアソン(デンマーク) 《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》2023年
連続する4つの彫刻は、ひとつの点がねじれながら移動する軌跡を描いたものです。人々の行動、求心力、自由に動くダンスなど、あらゆるものの運動を表現しています。螺旋状の彫刻は、窓や柱など空間にあるそのほかの要素とも相互に関連しあいながら、調和しているように見えます。徐々に複雑になるこれらの形は、振動を表すリサジュー曲線に着想を得て、そこからダイナミックな立体に転換されました。
細部に目を向けると、菱形、凧型、三角形で構成される十一面体を多数連続させることで全体が形作られていることがわかります。スタジオ・オラファー・エリアソンが長年続けてきた幾何学的形体の研究や地質学的な時間に対する概念的な問いに基づき、本作では再生金属が初めて使われています。
以上、「麻布台ヒルズ ギャラリー」で開催中の「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展と、麻布台ヒルズのパブリックアートについてご紹介しました。感性と知性が刺激される作品を鑑賞しに、ぜひ「麻布台ヒルズ」に足を運んでみてはいかがでしょうか。
■「カルダー:そよぐ、感じる、日本」展
会場:会場麻布台ヒルズ ギャラリー
(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)
会期:2024年5月30日(木)ー2024年9月6日(金)
※休館日:2024年8月6日(火)
開館時間:月/火/水/木/日 10:00-18:00(最終入館 17:30)
金/土/祝前日 10:00-19:00(最終入館 18:30)
森ビル株式会社とアート集団チームラボが手がける「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」。今年2月の開館から5か月連続でチケットが完売するなど、世界中から来館者が訪れるほど人気を博しています。
境界のないアート群による「地図のないミュージアム」としてお台場から移転オープンし、来館者たちは「境界なく連続する1つの世界の中で、さまよい、探索し、発見する」体験を通じて、他者と共に世界を創り、発見していきます。
夏休みも多くの来館者で賑わうことが予想されるなか、本館でおすすめのアート作品を5点ピックアップします!
1.《スケッチオーシャン》
《スケッチオーシャン》は、チームラボボーダレスの独立した70以上の複雑に関係しあう作品群の中でも人気の高い参加型の作品で、来館者が紙に描いた海の生き物たちが、海で泳ぎだす作品です。
まず、来館者はクレヨンを使って、生き物の輪郭が描かれた紙に自由にお絵かきをします。下絵は、カジキや、カタクチイワシ、クラゲ、カメ、タツノオトシゴなど、様々な種類から選ぶことが可能です。
中でもマグロは、麻布台ヒルズにあるミュージアムの空間を超えて、世界の他の地域で開催されている《スケッチオーシャン》や《世界とつながったお絵かき水族館》の海まで泳いでいきます。また、世界の他の場所で描かれたマグロが、目の前の《スケッチオーシャン》の海の中に泳いで来ることもあります。
また、自分で描いた絵は作品空間で動くだけでなく、Tシャツや缶バッジなど世界に一つだけのプロダクトにして持ち帰ることができます。ぜひ、お子さん連れの方におすすめしたい作品です。
2.《ライトスカルプチャー 》
《ライトスカルプチャー 》シリーズは、流れ出ていく光による巨大な光の彫刻が生まれ、押し寄せ、広がり、人々を飲みこんでいく作品です。
「非対称宇宙」と呼ぶ空間に生まれる《ライトスカルプチャー 》は、現実空間とミラーの中の世界とは非対称な異なる存在として生まれ、現実世界とミラーの中の世界を行き来します。
これまでもチームラボは、物質的ではない彫刻、「境界面の曖昧な空間彫刻」を生み出してきました。「なぜ、海の渦に存在を感じるのか? そして、それを生命にすら感じるのか? 構成要素が空間的時間的に離れていたとしても、部分に秩序が形成された時、部分は一つの存在として認識され、時には生命のようにすら感じる」―このような考えのもと、流れ出ていく光の集合体が、生命的宇宙を創り出します。
3. 《Bubble Universe: 実体光、光のシャボン玉、ぷるんぷるんの光、環境が生む光 - ワンストローク》
こちらは、《Bubble Universe: 実体光、光のシャボン玉、ぷるんぷるんの光、環境が生む光 - ワンストローク》という作品 。
《Bubble Universe》は、チームラボの新たなアートプロジェクト「認知上の存在」をテーマにした、インタラクティブな作品です。空間は無数の球体群によって埋め尽くされ、それぞれの球体の中には、異なる光の存在が入り混じっています。本作は、認知と存在について、そして、人間が世界をどのように見ているのか、を模索すると同時に、現象とは環境との連続的な関係性の中に存在することを示唆しています。
4.《Infinite Crystal World》
点描は、点の集合で絵画表現を行ったものですが、これは、光の点の集合で立体物を創っています。光の彫刻群が、無限に広がる作品です。
「渦潮の中に人が入っても、渦の存在は維持されるように、点群が、空間的、時間的に離れていても、点群に連続性や構造が形成されたとき、一つの存在として認識されるのではないか、そして、人がその存在の中に入っても、存在が維持されるのではないか。そのとき、その存在は、人と一体となる彫刻となりえる」と、チームラボは語っています。
人々がスマートフォンから自ら選んだ構成要素を投げ込むことで立体物が生まれ、それらの群によってこの作品空間は創られていきます。空間に出現した構成要素は互いに影響を受け、また、投げ込んだ場所や人々の存在にも影響を受けます。
これは、人々によって刻々と創られていきながら、永遠に変化していく作品です。
5.《反転無分別:虚空の黒》
光で描かれる書の黒は、何もないことを意味します。何もない黒は、空っぽゆえに、何でも入る無限大の可能性が開かれます。
チームラボ曰く「書かれた『空書』は作品空間の中を全て同一方向に回転していますが、『超主観空間』の特性として、視覚的には、左回転も右回転も論理的に同等となります。そのため、意識によって、書は、左回りにも、右回りにもなるのです」。
「空書」とは、チームラボが設立以来書き続けている空間に書く書のこと。書の墨跡が持つ、深さや速さ、力の強さのようなものを、新たな解釈で空間に立体的に再構築し、チームラボの「超主観空間」の論理構造によって2次元化しています。書は平面と立体との間を行き来します。
以上、夏休みにお子さんと出掛けたい、アート集団チームラボが手がける「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」についてご紹介しました。夏休みの思い出作りに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
■「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」
開館時間:9:00 - 21:00
※ 8月6日(火)、9月3日(火)は17時閉館(最終入館16時)
※最終入館は閉館の1時間前
休み:7月16日(火)、8月20日(火)、9月17日(火)
場所:麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1
東京都港区麻布台1-2-4
チケット購入はコチラから。
執筆者:遠藤友香
アートと社会の曖昧な関係性のうえにアートを成立させようと、歴史的、文化的、科学的、美学的な文脈にアプローチし、過去を読み解き、今を捉え直し、未来についてしなやかに思索している現代アートギャラリー「KOTARO NUKAGA(天王洲)」。
Photo. Muryo Homma(Rhizomatiks)
この度、「KOTARO NUKAGA(天王洲)」は、TERRADA ART COMPLEX Iの3階からTERRADA ART COMPLEX IIの1階に拡張移転しました。このギャラリースペースの移転を記念し、2024年9⽉28⽇(⼟)まで、「Rhizomatiks(ライゾマティクス)」による展覧会「Rhizomatiks Beyond Perception」を開催中です。
展覧会準備中の真鍋大度氏
ライゾマティクスとは、真鍋⼤度氏と⽯橋素氏が主宰するクリエイティブコレクティブで、技術と表現の新しい可能性を探求し、研究開発要素の強い実験的なプロジェクトを中⼼に活動を展開しています。
ライゾマティクスによる、ギャラリーでの初の⼤規模な展覧会となる本展では「AIと⽣成芸術」をテーマとし、「創造的思考プロセス」⾃体を作品化します。この展⽰では、AIモデルがどのように学習し新しいイメージを⽣成するかを可視化し、同時に現在、世界規模で支配的な影響力を持つ巨大IT(情報技術)企業群「BigTech」などが提供するAIサービスに内在する倫理的、社会的規範のバイアスによるイメージの操作からの解放についても考察します。
真鍋氏は、「そもそも生成AIは、著作権の問題など色々な課題がありますが、我々は17年間活動しているので、多くの作品がありますし、さらにはそういったAIの画像、AIのモデルを作る技術があるので、自分たちでモデルを作って、自分たちのデータを販売することは、大きなチャレンジに繋がります。
色々な著作権の問題や技術的な問題などをクリアして、AIモデルを作って売ることができたとして、次にそれをどうやって紹介するかという問題があるので、この展覧会ではAIモデルが持っているポテンシャルを色々と紹介するために、実際に生成した画像を展示したり、あとは学習のプロセスを可視化したり、モデルそのものを観察、可視化するということにもチャレンジしています。作品の中には、AIモデルを使って色々な映像表現を行っているエリアがあるので、楽しんでいただきたいと思います」と語りました。
《Beyond Perception Model 2024》
会場入り口を入って左側にある小さな展示室にて、《Beyond Perception Model 2024》が展示され、販売されています。今回販売するのは、AIが作ったイメージやできあがった画像、何か形のあるものではなく、データ自体を作品として販売します。しかも、本モデルは既存の基盤モデルを一切使用せず、ゼロから学習されているのです。そして、それを動かすためのキューブ状の画像再生用パソコンおよびモニターも展示されており、一見作品に見えますが、これ自体も付属品であって、あくまでもこの中に入っているデータが作品となっています。これをコードとモニターに繋ぐと、1分間に1枚づつ新しい画像が出てくる仕組みです。さらに、購入者はモデル使用ライセンスに基づき、画像を生成し、生成した画像を商用非商用問わず、幅広い目的で利用が可能。自身の作品や許諾を得た作品であれば、追加学習することもできます。全5エディションが販売され、1点につき550万円(税別)となっています。
展覧会は、モデルが学習した約17万枚の画像データから選ばれた約1万枚の画像の展示からスタートします。この展示によって、AIの学習過程を視覚的に理解することが可能となり、モデルの基盤となるデータの性質を直接観察する機会を提供しています。
KOTARO NUKAGAディレクター 額賀古太郎氏
約10万枚の画像の中から、真鍋氏が選んだ5枚の画像の展示に関して、KOTARO NUKAGAのディレクターである額賀古太郎氏は、「真鍋さんはこの作品を作る際、10万枚の画像の中から5枚を選んだそうですが、すごい膨大な作業量なんですね。それを伺って、我々が美術品として鑑賞できるというか、美術品として成立する、アートとして成立するイメージとは何かということを考えたときに、真鍋さんはそういうことを考えながら、10万枚の中から選んだと思うのです。そこに、ひとつAIができること、人間ができることの折り合いというか、シンギュラリティとかいろいろ言われますが、美術においては、もちろん美しいだけが判断基準ではないというは、現代アートでは言われていることです。人の感性というものが、どれだけAIが作ったものと折り合っていくか、それを選別していくか、もしくはAIがそれを乗り越え、人の感性を超えるようなものを提示していくのか、そういうことを今回の展示で示せるのではないかと思っています」と述べています。
最終エリアでは、《Live Generation》をご覧いただけます。これは、Beyond Perception Modelによるリアルタイムの画像生成プロセスを展示しているものです。本インスタレーションでは、約1分に1枚のペースで新たな画像を連続的に生成し、Beyond Perception Modelの多様な表現可能性を示すことを試みています。
最後に、ライゾマティクスを黎明期から知る阿部⼀直⽒(東京⼯芸⼤学 芸術学部教授)が本展覧会に宛てたテキストを紹介します。
「ライゾマティクスが、2010年以降の⽇本の、そして国際的なメディアアートシーンの主導的な活動を牽引してきた最先鋭の位置にあることは誰もが認めることである。しかしそれは通常の現代アートとは異なった多くのリスクマネージメントを伴うものであり、先端的なメディアテクノロジーをスペクタクルに使⽤するエンターテインメント、広告、プロモーションなどが数ある中で、⽂化的にも技術的にもそれらとは批評的な距離を置いた実働に集中することは予想以上に難しい作業に違いない。その集団制作[アーティスト、エンジニア、デザイナーによるクリエイティブ・コレクティブ]による活動は、(まだ定義も規定も⼗分でない、だからこそエキサイティングでもある)メディアアートあるいはメディアパフォーマンスの領域は何かという汽⽔域を探る地勢・地質調査とも喩えられるだろう。
ライゾマティクスの遂⾏するメディエイションには、2⽅向の特徴があって、⼀つには、徹底的なコンピュテーション&データ・オリエンテッドな志向の最先端のリサーチである。それとは対照的に、もう⼀つの特徴は、ハードウェア・エンジニアリングのメカ機構の独⾃開発、コントロール・センシング技術のリサーチと実装である。この2つの⽅向性にアート↔パフォーマンス[ダンス・パフォーマンス+エレクトリック・ミュージック・パフォーマンス]という2軸が加わり、ライゾマティクスの4象限マトリクスが完成する。このどこかのポジションに、ライゾマティクスの相当数のアウトプットが、毎回異なるバイアスがかけられて表⽰されるのだ。
しかし、今回のKOTARO NUKAGAでの新作は、アートマーケットにおける展⽰という新しい⼀歩にとどまらず、この時期の⼤きな⼈類史の転換期へのアプローチが含まれる画期的な展開を孕んでいる。それは、⽣成AIの技術⾰新、つまりここ数年で予想を遥かに超えた進展を⽰した事象に関してである。それより少し前ではデータ資産通貨であるトークンによるNFTアートが急速にトピックとなっていたが、ティナ・リバース・ライアンはその特徴をこのように記述している。「永久に単⼀の資産を指し、NFTは暗黙のうちにデジタルプロジェクトの乱雑な現実に対する、安定した単⼀のアートワークの理想的特権を与えるものである。それらは分散的、双⽅向的、偶発的、反復的、またはエフェメナル(瞬時的)であるが」。NFTアートには、このエフェメナルなジェネラティブ・アートの要素も加わっているのが重要で、それは単に表象⽂化の最新のアウトプットをお気に⼊りのパーソナル・モバイルにデータ収蔵するだけのものではなく、むしろ本質的には、表象画像を⽋いた⽣成・更新するデータ・フローに⽂化的・経済的価値を与える次元をも作り出すものであった。
ライゾマティクスの今回の新作「Rhizomatiks Beyond Perception」は、⽣成AIを使⽤したアートプロジェクトとその在り⽅への問いの試⾏にまで発展させて提⽰しようとする。それは、AIが作り出す表象画像の成果や波及性を問題にする視点というよりも、AIモデル⾃体のあり⽅⾃体をデータ・メディエイションとして⽰そうとするものだ。つまり「通常ブラックボックスとされる学習データ、AIモデルそのものの公開、可視化、そして販売の試み」となる。
ライゾマティクスのディレクションは、国際的にも著名なメディア・アーティストでリーダー格である真鍋⼤度を中⼼に⾏われているが、コレクティブとしての集団制作、専⾨性の分散的R&D、構想ディスカッションによる相互影響関係の構築も⾒逃せない。真鍋のほかの多彩なメンバーの代表的⼈材を2例紹介しておくと、⽯橋素は、エンジニアリングとコンピュテーションの⾼度なレベルの複合的研究を突き詰めており、2000年代前半から多彩なアート領域をカバーしてビジョンを発揮し、各種デバイスや可動メカニクスの開発・制御において独⾃の境地を開拓している。花井裕也は2014年からライゾマティクスに参加し、Seamless MR、Dynamic VR、インタラクティブレーザーなど、カメラやプロジェクター等を⽤いた数々の独⾃のビジュアルシステムの開発に携わっているが、近年では、Web上で公開されている情報を学習した基盤モデルは使⽤せず、ライセンス懸念のないオープンライセンスや許諾を得たデータのみを学習する画像⽣成AI「Mitsua Diffusion」「Mitsua Likes」「Elan MitsuaMT」を開発するなど、⽣成AIに関する倫理的アプローチは注⽬されている。
ここで、真鍋⼤度のディレクション性に注⽬してみると、私なりの表現をするなら、真鍋の特徴は⼤きく⾒て2つあるといえるかと思う。それは「未完への志向」それと「制御されるゆえに我あり」である。多少、美術史に寄って位置づけるならば、常に「未完」を⽬指したアーティストの代表格は、いうまでもなくイタリア・ルネサンスのレオナルド・ダ・ヴィンチと(それを当然意識している)マルセル・デュシャンである。レオナルドは、作品を常に変化・更新させていくだけでなく、その時代の未確定の新技術を疑いもなく古典技法に加算採⽤し(そのため多くの作品が遺らないことになったが)、さらにその技術による思考や実装の向かう先の社会的アサインも不確定な予想外の組み合わせを常に試⾏していたのだった。つまりあらゆる意味で作品は永遠に完成しない。デュシャンは、私にとっては、レディメイドの作家などではなく、鋳型の作家である。デュシャンは、活版印刷⼯をやっていた時期があり、その⽣涯に通底する⼯⼈的アプローチは原型と鋳型、鋳型と新規物質の関係であり、その隙間に毎回⽣成する表象できない薄弱空間(アンフラマンス)の多様性への注⽬である。それは試みごとに異なって⽣成する、つまり途切れることのない⽣成が鋳型(メディウム)の余⽩によって原理的に存在する。真鍋の技術観はこれらとほぼパラレルで、新技術が出現するとそれの関係する思考としてプロジェクトはスタートするが、それは表象(作品表現)の完成にほぼ奉仕することなく、次なる⽣成を⽣み出すために、あるいは踏⽯とされ、次の別の技術的アプローチに即座にとって替わられる。
それを成⽴させているのが、真鍋の「徹底的に制御される」ことに関するプラットフォーム構築である。⼈間が⼈間をいかに制御するか否かは、古今東⻄様々な思想で語られてきた問題である。⽈く、メディアは⾝体の拡張であり、⼈間(主体)の視覚の延⻑の先に監視技術がある……。しかし完全に⾃動制御される技術世界に対して⾝体、存在、主体が投げ出されるプラットフォームを想像し、世界を記述することは、これとは位相を異にしている(現在のメタバース/マルチバースの到来はこのヴィジョンに由来しているだろう)。2023年に発表されたメディアパフォーマンス「Syn」では、普段は透明で不可視の存在である鑑賞者(観客)が同時にパフォーマンス空間を移動しながらその動きがレコーディングされ、視覚対象としてリヴァース再⽣・加⼯される映像をステレオ視で直⾯させるメディエイションが現れたが、それはこうした事態が明⽩になった瞬間であるだろう。
そのライゾマティクスが、「⽣成」そのものに(独⾃の開発も含む)AI技術にアプローチして乗り出し、さらにAIとの関係⾃体を対象化、経済化しようとするプロジェクトが、今回の新作「Rhizomatiks Beyond Perception」である。はたしてどのような実装が我々に提⽰されるのか、⼼して待ちたいと思う」。
誰もがAIを使って画像を⽣成できる現代において、改めて「⽣成される画像の価値とは何なのか?」ということを、本展⽰において我々に問いかけています。ライゾマティクスは独⾃のAIモデルを作り、そのモデル⾃体を購⼊可能な作品とすることで、AIとアートに関する新しい視点や考察が⽣まれることを期待しているといいます。是⾮、会場に足を運んで、ライゾマティクスが創造する世界観を体感してみてはいかがでしょうか。
■Rhizomatiks Beyond Perception
会期:2024年6月29日(土)〜9月28日(土)
会場:KOTARO NUKAGA(天王洲)
住所:東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1F
開館時間:11:00〜18:00
休館日:日月祝
執筆者:遠藤友香
寺田倉庫株式会社は、2024年6月27 日(木)から7月15 日(月・祝)の期間中、国内外のアートコレクターやアート関係者をアートシティ天王洲に誘い、日本と海外のアートシーンをつなぐことでアート市場の活性化と国際的な文化観光の促進を目指す「TENNOZ ART WEEK 2024」を開催。
「TENNOZ ART WEEK 2024」は、天王洲に国際水準のアートコンテンツを誘致し、国内外のアート関係者が来訪する場を創出することで、日本と海外のアートシーンをつなぎ、国際文化観光の促進を目指すアートイベントです。昨年は向井山朋子氏による新作インスタレーションパフォーマンスや、TERRADA ART COMPLEXでのギャラリーナイトなどを提供し、国内外のアートコレクターを中心に約 1.4万人が訪れ、天王洲が国際色豊かなアートシティとしてにぎわいを見せました。
寺田倉庫株式会社は、昨年日本で初開催され好評を博した国際水準のアートフェア「Tokyo Gendai(東京現代)」にオフィシャルフェアパートナーとして参画し、両イベント開催期間中、Tokyo Gendai を目的に訪日するアートコレクターへのプログラム提供や、横浜・天王洲間の相互誘客連携などを実施。Tokyo Gendaiとアートシティ天王洲が連携することで、よりダイナミックに国内外のアートシーンを盛り上げ、国際的文化観光を促進していくとのこと。
2回目となる今回は、2011年に開催されたヴェネチア・ビエンナーレの日本館にて大規模なインスタレーションを発表するなど、国内外で活躍する現代アーティスト束芋氏と3人のインディペンデントアニメーション作家による新作映像インスタレーションを寺田倉庫G3-6Fで展示します。また、日本を代表するアートギャラリーが集まる TERRADA ART COMPLEX ではナイトタイム特別営業を実施。日本酒やクラフトジンなど日本産のお酒を提供するカクテルパーティーで国内外のアートコレクターを迎えます。
例えば、WHAT MUSEUM では日本の伝統的な建築物の木構造から現代木造建築、そして宇宙構造物に至るまで、建築の骨組みを創造してきた「構造デザイン」に焦点を当てた展覧会の特別ガイドツアーを、PIGMENT TOKYO では伝統画材の金泥を使った日本画制作のワークショップを予定しています。WHAT CAFE ではB-OWNDと共同で日本の現代工芸を発信する展示会を行います。
現代アートのみならず、工芸、アニメーション、建築、食など、日本における文化の多様性や、各文化が根付く地域の魅力も紹介することで、芸術文化への関心が高い訪日アートコレクター、旅行者に対してもアートシティ天王洲の魅力を発信していくそうです。
次に、「TENNOZ ART WEEK 2024」の実施プログラムをご紹介します。
1.束芋 新作映像インスタレーション 「触れてなどいない」
束芋と3人のアニメーション作家による新作映像インスタレーション展示。 水や生物など、倉庫空間への持ち込みを禁じられた存在を、アニメーションを通して持ち込みます。それによって if の世界が開かれ、その先には幻想とナラティブが生まれていきます。アートの文脈と結びつくことでアニメーションと鑑賞者との多層的な関係が作品となる体験型インスタレーションを作り出します。
会場:寺田倉庫G3-6F(東京都品川区東品川2-6-10寺田倉庫号)
日時:7月5日(金)~7月15日(月・祝)11:00~21:00
入場:一般 2,000円、学生(高校生・大学生・専門学生) 1,500円、子ども(小中学生) 1,000円
※本チケットには、WHAT MUSEUM鑑賞券が含まれます
※事前予約制
※学生チケットをご購入された方は学生証の提示が必要です
※安全上の理由から小学生以上の方のみの入場可能、中学生以下の入場は保護者の同伴が必要となります
チケット予約はコチラから。
2.WHAT MUSEUM 「感覚する構造 - 法隆寺から宇宙まで -」ガイド付きツアーとナイトミュージアム
WHAT MUSEUMでは、建築の骨組みを創造してきた「構造デザイン」に焦点を当てた展覧会「感覚する構造 - 法隆寺から宇宙まで -」を開催中です。本展では、現存する世界最古の木造建築「法隆寺五重塔」から、現在開発中の月面構造物まで、100点以上の貴重な名建築の構造模型を鑑賞可能です。また、建築家や設計事務所から預かった600点以上の建築模型を保管し、その一部を公開する「建築倉庫」も鑑賞できます。 イベント期間中には、展覧会企画担当者による特別ガイドツアーと、営業時間を特別延長し展示をゆっくりと楽しむことができるナイトミュージアムを開催します。
●企画担当者によるガイド付きWHAT MUSEUMツアー「感覚する構造 - 法隆寺から宇宙まで -」(日英同時通訳あり)
会場:WHAT MUSEUM(東京都品川区東品川2-6-10)
日時:7月6日(土)10:00~11:00、7月13日(土)10:00~11:00
定員:各回16名
入 場:一般 2,500円 (建築倉庫の入場料込)※事前予約制
●ナイトミュージアム
日時:7月6日(土) 11:00~21:00(最終入館20:00) 7 月7日(日)、13日(土)、14日(日)、15日(月・祝)11:00~20:00(最終入館19:00)
入場:通常料金
上記プログラムは公式チケットサイトよりご予約ください。
展示の詳細は、公式サイトをご確認ください。
3.WHAT CAFE 「Beautility: The Betweenness of Kogei」
アートギャラリーカフェ「WHAT CAFE」では、オープン以降初めて、若手アーティストを中心とした美術工芸展を実施します。本展タイトルの「Beautility」は、「Beauty(美)」+「Utility(実用)」からなる造語です。工芸の伝統的な素材や技法等をベースに現代性や新しい表現をかけあわせた作品を紹介することで、世界のアート市場に向け美術工芸の可能性と価値を再発見する機会を提供します。
今回は、株式会社丹青社が提供するアートとしての工芸作品を取り扱う「B-OWND(ビーオウンド)」をコラボレーションパートナーに迎え、「間」「曖昧さ」(Betweenness of Kogei)に焦点を当てた作品を展示販売いたします。WHAT CAFEがピックアップする美術工芸の若手アーティストの作品を含め、合計約200作品との出会いをお楽しみください。
会場:WHAT CAFE(東京都品川区東品川2-1-11)
日時:6月27日(木)~7月7日(日)11:00~18:00 ※7月6日(土)11:00~21:00、7月7日(日)11:00~20:00まで営業
入場:無料
協力:株式会社丹青社
展示の詳細は公式サイトをご確認ください。
4.PIGMENT TOKYO ワークショップ 「日本の伝統画材を使って花をえがく/純金とマラカイトで日本画制作」
金泥と岩絵具を使って花の作品を制作します。日本では、職人たちの高い技術に支えられながら金属製の絵具や天然岩絵具を用いた数多くの美術作品が生まれました。そうした極東における多様な表現のうち、「金泥」と「たらし込み」の技法を体験できます。いずれも難しいことはありません。墨、金、緑青それぞれの輝きを感じてください。(日英同時通訳あり)
会場:PIGMENT TOKYO(東京都品川区東品川2-5-5 TERRADA Harbor Oneビル1F)
会期:7月6日(土)11:30~13:30 / 16:00~18:00 7 月7日(日)11:30~13:30 / 16:00~18:00
定員:各回10名
入場:9,900円 ※事前予約制・先着順
チケット予約はコチラから。
5.TERRADA ART COMPLEX「TAC GALLERY NIGHT(Cocktail Party)」
TERRADA ART COMPLEXは、日本を代表するアートギャラリーが集積した国内最大級のギャラリーコンプレックスです。TAC GALLERY NIGHTでは、17軒の入居ギャラリーが開館時間を20時まで特別延長し各展示をご覧いただけるほか、フロアごとに異なるテーマでセレクトした日本産のお酒もご用意。日本屈指のギャラリーによるアートシーンの今を、日本各地の多彩なお酒とともに楽しめる特別な夜を提供します。
会場:TERRADA ART COMPLEX Ⅰ(東京都品川区東品川1-33-10)
TERRADA ART COMPLEX Ⅱ(東京都品川区東品川1-32-8)
日時:7月6日(土)17:00~20:00
入場:特別鑑賞チケット購入者および招待者のみ
※本プログラムは特別鑑賞チケット購入者および招待者のみ入場可能となります。
6.STREET MARKET
日本各地の食事や名産品が一堂に会するストリートマーケットを開催します。運河沿いのボードウォーク上には約20店舗が並び、各地域の特色がある食や名産品を通じて、その土地の文化や魅力を再発見する機会を提供します。運河沿いの開放的な空間で、美味しくて楽しいひと時をお楽しみください。
会場:天王洲アイル第三水辺広場 ボードウォーク (東京都品川区東品川2-1-18)
開催日:7月6日(土)11:00~21:00/7月7日(日)11:00~18:00 /7月13日(土)11:00~20:00/7月14日(日)11:00~20:00/7月15日(月・祝)11:00~18:00
入場:無料
※7月13日~15日はキッチンカーのみとなります。
■「TENNOZ ART WEEK 2024」
会期:2024年6月27日(木)~7月15日(月・祝)
会場:寺田倉庫 G3-6Fおよび周辺施設、天王洲アイル第三水辺広場
入場:プログラムによって異なる。一部無料あり。
執筆者:遠藤友香
株式会社マイナビを主幹事とするアートスクイグル実⾏委員会は、現代アートフェスティバル「Art Squiggle Yokohama 2024(アートスクイグルヨコハマ 2024)」を、2024年7⽉19⽇(⾦)から9⽉1⽇(⽇)までの45⽇間、横浜・⼭下ふ頭にて開催します。
「Art Squiggle Yokohama 2024」は、”Squiggle(スクイグル)=やわらかな試⾏錯誤”を繰り返し作品を⽣み出す若⼿アーティストを中⼼に、⼈の⽣き⽅をアート作品・空間を通じて楽しむことができる新しい現代アートフェスティバルです。
フェスティバルのメイン展⽰では、国内外で更なる活躍が期待されるアーティストと対話をしながら、テーマやコンセプト、制作過程、作品そのものに「スクイグル」が⾒られる作品を選出しています。主観と客観を⾏き来する思考のプロセスを経て⽣まれた多彩な作品群は、現代社会を⽣きる私たちとのつながりを⾒出せる点で通底しています。また、空間デザイナーの⻄尾健史⽒が⼿掛けた展⽰空間は、アーティストとの対話を重ねながら作られています。来場者は、まるで迷路のように構成された空間を好きな順番で辿りながら、アート鑑賞を楽しむことができます。
会場内には、アートについて語り合えるライブラリー&ラウンジも併設するほか、各アーティストのインタビュー記事や作品が掲載された「アーティストノート」を来場者が思い思いに並べて綴じ、⾃分だけのブックレットを制作して持ち帰ることができるワークショップも実施。さらに、横浜湾を臨む景⾊を楽しめる屋外スペースでは、週末に⾳楽イベント「Sound Squiggle(サウンド・スクイグル)」を開催する予定です。
かつて国内外を繋ぐ経済の要や⽂化交流の場として機能し、多様な価値観が交錯していた⼭下ふ頭を舞台に、アーティストや来場者をはじめ、本イベントに関わる全ての⼈たちとともに、「スクイグル」の在り⽅や、アートと私たちのつながりを模索する祭典を⽬指すそうです。
「Art Squiggle」のコンセプト
「まがりくねった/不規則な/曲線」の意味を持つ「Squiggle(スクイグル)」という⾔葉は、直線的でなく予測不能な動きや形状を表すことから、アーティストが創作活動中に経験する迷いや試⾏錯誤のプロセスを象徴していると考えます。アートを形にするということは、決して⼀直線に進まない道のりです。そして、このことは私たちの⽇々の試みにも当てはまるのではないでしょうか。迷ったり、⽴ち⽌まったり、失敗をすることは、誰もがたどる⼈⽣の道筋であり、⾃⾝の個性を磨き上げていくプロセスとも⾔えるはずです。アートは、実は私たちから遠いものではありません。私たちが共に⽣きる時代、社会、暮らしの中のさまざまな経験や感情から⽣まれてくるものです。「Art Squiggle」は、アート作品が売買されるアートフェアではありませんし、アートを受け⾝の姿勢で鑑賞する場でもありません。「スクイグル」をコンセプトとした体験を通じて、アートが私たちと共に歩む存在だと来場者の⽅に感じてもらうを⽬的に掲げています。
⼭下ふ頭について
⼭下ふ頭は、明治維新から世界と⽇本を繋いで、⼈、モノ、そして⽂化が交差し続けてきた場所です。本イベントの会場である⼭下ふ頭・4 号上屋もまた、⽇本の⾼度経済成⻑を⽀えてきた時代のアイコンであり、巨⼤な躯体を⽀えるトラス構造の建築は、昭和の建築技術の粋を集めた圧倒的なスケール感の内部空間を有しています。
⼭下ふ頭は数年後に⼤規模な再開発が予定されており、本イベントは、歴史的にも貴重な建築物をアートとともに体験する試みでもあります。
Art Squiggle 会場コンテンツ
1. 展⽰
国内外で更なる活躍が期待される若⼿や活躍中の作家を中⼼とした14名と1組のアーティストやコレクティブによる作品を展⽰します。主観と客観を⾏き来する思考プロセスを経て作られた多彩な作品群は、⽇常の中に存在する⽬で⾒えないものを可視化し、普遍的なテーマとして切り取りながら時代の空気感をまとっています。新しい視点や気づきを与えてくれるトリガーとなることでしょう。
例えば、1993年岐⾩県⽣まれのアーティスト 宇留野圭は、部屋や洗⾯台などの⾝近なモチーフを元に、機械の構造を⽤いた⽴体作品や舞台装置の様なインスタレーション作品を制作しています。2023 年、 ARTISTʼS FAIR KYOTO 2023 マイナビART AWARD 最優秀賞を受賞しました。主な個展に「予期せぬ接続」(FOC、⽯川、2024)、「KEY WAY」(BankART Under35)(BankART Station、神奈川、2023)などがあります。
建築プロジェクトを通して、異なる専⾨性を持つ⼈々が仮設的かつ継続的に共同できる場の構築を⽬指し、建築設計・リサーチ・施⼯をする建築コレクティブのGROUPも作品を展示します。これまで、「海⽼名芸術⾼速」(2021)、「新宿ホワイトハウスの庭の改修」(2021)、「Involvement/Rain/Water passage」(⾦沢21世紀美術館、⽯川、2023)、「⼿⼊れ/Repair 」(WHITEHOUSE、東京、2021)などを発表しています。
特別ステージでは、1992年埼⽟県⽣まれのアーティスト 藤倉⿇⼦の作品を鑑賞できます。都市・郊外を横断的に整備するインフラストラクチャーやそれらに付属する⾵景の奥⾏きに注⽬し、主に3DCG アニメーションの⼿法を⽤いた作品を制作しています。近年の参加展覧会に「都市にひそむミエナイモノ展」(SusHi Tech Square、東京、2023-4 年)、「エナジー・イン・ルーラル [展覧会第⼆期]」(ACAC、⻘森、2023年)などがあります。
2.ライブラリー&ラウンジ
会場内のライブラリー&ラウンジは、アートについて学んだり、考えを巡らせたり、誰かと対話をしたりする場です。ライブラリーには、嗜好の異なる複数の書店が「スクイグル」をテーマに選んだ書籍約100 冊が並びます。会場構成は⼀⽅向に進む動線ではありませんので、ライブラリー&ラウンジで「スクイグル」しながら、それぞれのペースでアート鑑賞をお楽しみください。
3.「アーティストノート」製作&ワークショップ
会場内では、参加作家のインタビュー記事や、作品画像が掲載された紙を好きな順番に並べて綴じ、⾃分だけの冊⼦を製作して持ち帰ることができます。各作家の「スクイグル」の過程を知ることでよりアートを⾝近に感じ、それぞれの⽇常に戻った後も本展でのアート体験を思い出させてくれる⼀冊が⽣まれます。また、展⽰とあわせて作家やクリエイターたちによるワークショップを開催予定です。
中島佑太ワークショップ「”労働”、“仕事”、“遊び”について考える (仮) 」
中島佑太は、アートと社会をつなぐ作品としてワークショップを⾏うアーティストです。今回のワークショップは、参加者が⼤きな⽯から砂を削って砂場を作るというもの。削ったり、掘ったり、砂場で遊んだりしながら、社会で当たり前に存在するものの裏側にある「労働」や「仕事」について考えるきっかけを与えてくれます。
沼⽥侑⾹ワークショップ「アイロンビーズで作るピクセルアート体験」
沼⽥侑⾹の作品を⾒本にしながら、誰でも簡単にアイロンビーズを使って素敵なピクセルアート作品が作れるワークショップを開催。お⼦様から⼤⼈まで幅広く楽しめる内容です。
MOBIUMワークショップ
MOBIUM は⼤型バスをベースとする、移動を主体とした表現の場です。これまでにもさまざまな場所で、展⽰や⾳楽の公演、映像上映などを問わず表現活動を⾏ってきました。本イベントでは、⼭下ふ頭の⾵や⽇光など環境情報にフォーカスしたワークショップを開催予定です
4.屋外エリアでの⾳楽イベント「Sound Squiggle」
屋外エリアの⼤型テントの中では、週末に⾳楽イベント「Sound Squiggle(サウンド・スクイグル)」を開催予定です。広⼤な屋外エリアからは、横浜港を臨む眺めを楽しむことができます。アート鑑賞の合間に、インプットしたものを⾃分⾃⾝の中に取り⼊れる時間や、友⼈と話しながらアウトプットする時間を過ごす場としてもぴったりです。参加アーティストや開催⽇時は、後⽇発表予定です。
タイトル:Art Squiggle Yokohama 2024 (アートスクイグルヨコハマ 2024 )
サブタイトル:やわらかな試⾏錯誤 ̶ 芸術とわたしたちを感じる45⽇間 ̶
会期⽇時:2024年7⽉19⽇(⾦)〜9⽉1⽇(⽇) (45⽇間開催)
平⽇・⽇・祝⽇ 11:00-20:00 (19:15 最終⼊場)/ ⾦・⼟ 11:00-21:00 (20:15 最終⼊場)
開催地:横浜⼭下ふ頭(〒231-0023 神奈川県横浜市中区⼭下町)
⼊場料:前売り 2,200円
当⽇ 2,400円
⼤学⽣、⾼校⽣ 1,500円
横浜市⺠割 前売り 2,000円
当⽇ 2,200円
※中学⽣以下無料(⼊場時に受付にて学⽣証提⽰)
※障がい者⼿帳をお持ちの⽅と介護の⽅1名は無料
※前売り:来場⽇前⽇23:59までの購⼊が対象
※⼤学⽣、⾼校⽣:⼊場時に受付にて学⽣証提⽰
※横浜市⺠割:横浜市内在住の⽅(⼊場時に受付にて要証明)は⼀般料⾦より200円割引
【チケット販売】ArtSticker( https://artsticker.app/ )にて販売中
販売URL https://artsticker.page.link/A...
執筆者:遠藤友香
「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、異彩作家とともに、新しい文化をつくるアートエージェンシー「ヘラルボニー」。国内外の主に知的障害のある作家の描く2,000点以上のアートデータのライセンスを管理し、さまざまなビジネスへ展開しています。支援ではなく対等なビジネスパートナーとして、作家の意思を尊重しながらプロジェクトを進行し、正当なロイヤリティを支払う仕組みを構築しています。アートを纏い社会に変革をもたらすブランド「HERALBONY」のほか、商品や空間の企画プロデュース、取り組みを正しく届けるクリエイティブ制作や社員研修プログラムなどを通じて企業のDE&I推進に伴走するアカウント事業、あたらしい"常識"に挑戦する盛岡のアートギャラリー「HERALBONY GALLERY」の運営を行うアート事業など、多角的に事業を展開。さまざまな形で「異彩」を社会に送り届けることで、「障害」のイメージを変え、80億人の異彩がありのままに生きる社会の実現を目指しています。
ヘラルボニーは、障害のある方がひとりの作家としてその才能が評価され、さらなる活躍の道を切り開いていけるようにとの思いを込め、今年の1月31日「異彩(イサイ)の日」に国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024(ヘラルボニー・アート・プライズ)」を新たに創設しました。
この度、ヘラルボニーが主催する国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024(ヘラルボニー・アート・プライズ)」にて、グランプリをはじめとする各受賞作家と最終審査進出作家、総勢59名による全63点の作品を一堂に展示するアート展「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」を2024年8月10日(土)より、三井住友銀行東館 1F アース・ガーデンにて開催します。
1 月31日から3月15日までの応募期間に集まったアート作品の総数は1,973作品。世界28ヵ国から総勢924名のアーティストから本アワードへの応募がありました。審査を通じて、グランプリが1作品、企業賞が7作品、さらに審査員特別賞として4名が選出されます。
グランプリ作品および受賞作品については、7月19日(金)に特設サイトおよびプレスリリースにて発表します。また、審査員との協議の結果、想像を超える素晴らしい作品を多数応募いただいたことから、新たに「審査員特別賞」を新設することが決定しました。審査員特別賞についても同日発表いたします。
「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」では、 世界11カ国の国から、海外在住の作家20名、国内の作家39名による多様な作品をご覧いただけます。
■応募のあった作家の在住国一覧
アイスランド、アイルランド、アメリカ、アルゼンチン、イギリス、エチオピア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、キューバ、ケニア、シンガポール、スペイン、タイ、台湾、チリ、デンマーク、ドイツ、トンガ、日本、ニュージーランド、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、香港、リトアニア(50音順)
■展示作品の作家の在住国
アメリカ、イギリス、エチオピア、オーストリア、スペイン、デンマーク、日本、ニュージーランド、フィンランド、フランス、ベルギー(50 音順)
■「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」
会期:2024年8月10日(土)〜 9月22日(日)
時間:10:00~18:00
料金:入場無料
会場:三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン(東京都千代田区丸の内1-3-2)
主催:株式会社ヘラルボニー
執筆者:遠藤友香
アウトドアパーク「WILDBEACH」などを手がけるRECREATIONS株式会社が、日本の渚・百選に選ばれた千葉県・勝浦の鵜原海岸(うばらかいがん)に、海まで5秒の1日1組1棟貸切プライベートホテル「THE VIBES VILLA(ザ・バイブス・ヴィラ)」を2024年7月20日(土)にオープンします。
“関東の沖縄”とも称される透明度の高い海と、”日本の渚・百選”に選ばれた美しい砂浜が広がる鵜原海岸、豊かな緑とリアス式海岸が続く南房総国定公園に囲まれた勝浦エリア。この閑静なロケーションを活かして、海までわずか5秒の距離に位置する、1日1組限定のスモールラグジュアリーホテル「THE VIBES VILLA (ザ・バイブス・ヴィラ)」が誕生します。”Ocean Hideaway(海の隠れ家)”をコンセプトに、アーバン・サード・リゾートとして、都市の喧騒を離れ心を休めることができる、あなただけのリゾート空間を提供します。
都心から車で90分、電車でもアクセス可能な千葉県勝浦市。”エクスクルーシブ(広がる海と空の絶景)“、”オンリーワン(非日常空間)”、“エスケープ(開放体験)”をテーマに展開される勝浦のビーチに面したオーシャンビューの本施設は、海まで徒歩5秒という好立地のサードプレイスなホテルです。
1棟貸しの1日1組限定のため、自分たちだけのプレミアムな空間を作り出すことができます。また、敷地面積は550㎡となっており、テラスにはジェットバスや薪ストーブテントサウナ(オプション料金)を完備。8名まで宿泊可能なため、ファミリーやグループでの活用もOK。
インテリアは、空間デザイナーの森井良幸氏が手掛け、海外の別荘を彷彿とさせるラグジュアリーな空間を演出し、最先端の家具や電化製品を常備しています。さらに、オプション料金を追加すれば、バーベキューセットも提供。
1. 旬なニューラグジュアリースタイルを体験できるスポット
ニューラグジュアリーにマッチするトレンド性も網羅した、お金では買えない五感を満たす隠れ家的な場所。“関東の沖縄”とも称される、澄み切った鵜原海岸の波の音に包まれつつ、日常を忘れた贅沢なひとときを過ごすことで、日々のストレスから解放され、充足感を得ることができます。
コロナ渦以降に需要が高まっている一棟貸しの宿泊施設は、まるで自分たちの別荘のような感覚でリラックスできます。家族や大切な人と、至福の極上体験を味わうことができます。また、記念日や誕生日など、特別なオケージョンを祝うのも◎。
2.ちょっとそこまでのリゾートを。エモーションな非日常体験を身近に
都心から車で1時間30分で到達する自分たちだけの空間。円安により高騰する海外旅行の代わりに、身近なリゾート地として活用できます。また、海まで徒歩5秒のため、サーフィン、サップ、フィッシングといったアクティビティを、気軽に楽しめるのも魅力的。天候の条件次第によっては、夜に満天の星空を堪能できるなど、勝浦の豊富な自然を存分に味わうことができます。近隣には、勝浦の朝市、白鳥居といった観光施設も充実しているため、空いた時間により一層思い出を深めることも可能です。
3.充実した設備でオーシャンビューを独り占めにできるプライベートスペース
「THE VIBES VILLA(ザ・バイブス・ヴィラ)」は、4名様まで統一料金設定なので、複数名での利用がお得です。食材は持ち込み自由となっているため、自分好みの料理を作ることができます。
設備としては、二つのベッドルームを配備し、150インチのモバイルプロジェクターで、映画などを満喫することも可能です。また、テラスエリアはホワイトビーチが敷き詰められており、屋外ジェットバス、ビーチベッド、ガーデンベンチテーブル、ファイヤートーチといった要素で、リゾート気分を高めてくれます。さらに、海と一体化した写真が撮れる、特注大型インフィニティフレームも備えているため、記念のショットをエモーショナルにブラッシュアップできます。
4.空間デザイナー森井良幸氏が手掛けたモダンなインテリアで、特別な時間を
インテリアは、鴨川のほとりに建つ一棟貸しギャラリー「kojin kyoto」や、瀬戸内海のサンセットを客室から望める「KAMOME SLOW HOTEL」などを設計・監理したデザイナーの森井良幸氏がデザインを担当。
「THE VIBES VILLA(ザ・バイブス・ヴィラ)」は、眼下に広がる海と客室が平行になるように設計されており、どの場所からも海と一体感を感じられる作りとなっています。また、床を1m上げて目線を高くすることで、オーシャンビューをより一層体感できるように趣向が凝らされています。
インテリアは白を基調としたモダンな空間に、特注照明やスイッチのゴールド色を交えてリュクスな雰囲気を演出。照明は、ソフトな温かみのあるライトを使い、シックに仕上げています。さらに、所々に配された壁面のグラフィックは、室内スイッチの使い方をプレイフルに表現しています。
海まで5秒のプライベートホテル「THE VIBES VILLA(ザ・バイブス・ヴィラ)」に、ぜひ大切な方と訪れて、一生記憶に残る素敵なひとときをお過ごしください。
■THE VIBES VILLA(ザ・バイブス・ヴィラ)
千葉県勝浦市鵜原918
敷地面積:550㎡
宿泊可能人数:8名様まで宿泊可能
部屋数:リビング、2ベッドルーム
ベッド数:キング1、 ダブル2、シングル2(電動リクライニング)
予約サイト:https://x.gd/AKMyI
(2024年7月2日(火)から予約開始)
グランドオープン:2024年7月20日(土)
価格:4名様利用 112,750円(税込)
※素泊まり ※4名様まで統一料金
チェックイン:15:00/チェックアウト:11:00
駐車場:4台まで
オプションプラン:
・薪ストーブテントサウナ
・ウェーバー社製バーベキューグリル
女子旅プランも実施 宿泊代20%OFF ※平日限定
執筆者:遠藤友香
(左から)株式会社ファーストリテイリング取締役 グループ上席執行役員 柳井康治氏、Harmony Sisters Network 代表 カディザ べゴム氏、国連難⺠⾼等弁務官事務所駐⽇代表 伊藤礼樹氏
6月20日は「世界難民の日」です。国連の難民支援機関であるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、難民、国内避難民、無国籍者などを国際的に保護・支援するため、世界約135カ国で活動しています。2023年12月にスイス・ジュネーブで開催された「グローバル難民フォーラム」の主催団体として、共同議長国の日本などと連携しながら、多様なパートナーとともに、“社会全体で取り組む難民支援”の推進に取り組んでいます。
UNHCRは2024年6月13日、世界の難民や国内避難民、無国籍者などに関する最新データを集めた年間統計報告書「グローバル・トレンズ・レポート 2023」を公開しました。2024年5月時点で、故郷から避難を余儀なくされた人が12年連続で増加し、過去最多の1億2,000万人に到達したことが発表されました。1億2,000万人は、世界で12番目に多い日本の人口に相当します。
2023年に、強制移動が歴史的な規模に達した背景には、新たに勃発した紛争、変化しながら続く紛争に加え、長期化した危機が解決に至っていないことなどが影響しています。特にスーダンで激化している紛争が強制移動の増加に大きく影響しており、2023年末時点で故郷を追われたスーダン人は合計1,080万人に及んでいます。また、コンゴ民主共和国とミャンマーでは、激しい戦闘により、数百万人が国内で避難を強いられています。
UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の推計では、ガザ地区で続く壊滅的な暴力により、昨年末時点で170万人(人口の75%)近くが避難を強いられており、その多くはパレスチナ難民です。シリアでは世界最大の難民危機が続いており、国内外で1,380万人が避難を強いられています。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「これらの厳しい現実、数字の増加の裏側には、数えきれないほどの悲劇があります。その苦しみを前に、国際社会は立ち上がり、強制移動の根本的原因に緊急に取り組まなければなりません」と訴えます。「今こそ、紛争に関わる当事者が、戦争に関する基本的な法律と国際法を尊重しなければならない時です。紛争、人権侵害、そして気候変動に対処するため、さらなる協力、一致団結した努力が必要であることは明白です。そうしなければ、強制移動は増え続け、より一層の悲劇につながり、人道支援に必要な資金が拡大を続けることになります」と述べています。
報告書では、強制移動の中で最も増えているのは、紛争により国内で避難を余儀なくされた国内避難民です。国内避難モニタリング・センター(IDMC)の報告によると、5年間でほぼ50%の増加、6,830万人に達しています。
難民、その他の国際保護を必要としている人は、UNHCRおよびUNRWAの支援対象者合わせて4,340万人に増加しています。難民の大多数は近隣国で受け入れられており、その国々の所得を合わせても全世界の所得の20%に満たない、低中所得国で75%が暮らしています。
一方で、2023年には、国内避難民500万人以上、難民100万人以上が故郷に帰還しているという報告も出ています。これらの数字は、長期的な解決策に向けた前進の表れといえます。さらに第三国定住を通じた新たな受け入れは、16万人近くまで増加しました。
グランディ高等弁務官は「難民、そして受け入れコミュニティは、連帯と支援の手を必要としています。それぞれのコミュニティで受け入れが進めば、難民は社会に貢献できる存在であり、実際に貢献しています。同様に、2023年に帰還した数百万人は大切な希望の兆しです。私たちは、ケニアなどの国々が、難民の包括的受け入れによる社会づくりをリードしてきたのを見てきました。解決策は必ず存在します。しかしその実現のためには、実際の現場での責任ある関与と行動が不可欠です」と強調しています。
また報告書では、これまでよりも一層、故郷を追われた人々が気候危機の影響を不釣り合いなほどに大きく受けている状況についての新たな分析も示されています。
「グローバル・トレンズ・レポート 2023」で明らかとなった、1億2,000万人が故郷からの避難を余儀なくされている現状と大きな課題。UNHCRは、世界中で故郷を追われた人々を支援するために新たな対策への取り組みを続け、解決策の実現を目指す責任を果たしていくとのことです。
6月20日の「世界難民の日」に先立ち開催されたファーストリテイリンググループのイベント
ファーストリテイリンググループは、6月20日の「世界難民の日」に先立ち、6月19日に難民支援活動メディア説明会および 「” 届けよう、服のチカラ” プロジェクト」 ユニクロ特別課外授業を、国連難民高等弁務官事務所(以下UNHCR)の協力のもと、TOHO シネマズ 六本木ヒルズにて開催しました。
第一部ファーストリテイリンググループ難民支援活動メディア説明会において、グランディ高等弁務官はビデオメッセージを通じて、「世界では現在1億2,000 万人を超える人々が、紛争や迫害によって故郷からの避難を余儀なくされています。これは破られてはならなかった記録的な数字であり、その背後にいる数多くの人々、一人ひとりの物語や立ち上がる力をかき消してしまうほどの数字です」。「ファーストリテイリングは、民間企業による難民支援を牽引し、さまざまな活動を通じて企業としてのコミットメントを示すとともに、企業がいかに重要な役割を果たすことができるかを示し、難民が活躍するための道を切りひらく模範となってきました」と述べました。
株式会社ファーストリテイリング取締役 グループ上席執行役員 柳井康治氏
株式会社ファーストリテイリング取締役 グループ上席執行役員 柳井康治氏は、「ファーストリテイリングは2006年から、世界の難民・国内避難民を支援するためUNHCRと協業してきました。グローバルに展開する服のビジネスの基盤を活かし、紛争や災害などによって難民となってしまった方々に対する衣料支援に加え、教育や職業訓練を通した自立支援や雇用支援など包括的な難民支援を行っています。世界で増え続ける難民の問題解決に向け民間企業の果たせる役割は大きく、UNHCR のグローバルパートナーであるファーストリテイリングは、今後も難民支援活動の継続とさらなる貢献をしていきます」と語りました。
ファーストリテイリンググループの難民支援活動のあゆみ(一部抜粋)
・2001年にNPOとともにアフガニスタン難民にエアテックジャケット 12,000着を寄贈。
・2006年からはUNHCRと協働し、難民キャンプへの訪問や衣料支援を開始。 2011年には UNHCRとの
グローバルパートナーシップを締結。
・2011年からユニクロ事業で難民雇用を開始し、2024年4月時点では日本国内のユニクロやジーユー
の店舗などで 60名の難民が就労 。 アメリカやドイツなど海外事業でも難民雇用を推進。
・2022年からバングラデシュでロヒンギャ難民の自立支援プロジェクトを開始し、2023年には年間 340万枚のサニタリーナプキンやショーツを生産、14の難民キャンプで11万人以上の難民女性たちに配布。
・2022年には平和を願うチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」をスタートさせ、2024年4月までに400万枚のTシャツを販売し、UNHCRを含む人道支援団体への寄付額は12億円を達成。
・2024年6月には、ファーストリテイリング財団が支援する「さぽうと 21」が、日本初の難民教育相談センター「Educational Support Center for Refugees(通称:えすくーる)」を開設。
(左から)株式会社ファーストリテイリング取締役 グループ上席執行役員 柳井康治氏、Harmony Sisters Network 代表 カディザ べゴム氏
以前、ユニクロで難民雇用として採用され 、現在は難民背景の子どもたちの教育支援を行う NGO代表を務める、カディ ザ ・べゴム氏も登壇し、難民当事者としての思いを語りました。ファーストリテイリンググループは、衣料支援に加え、 難民の自立を支援の柱に位置付けており、引き続き、教育や職業訓練、雇用支援などの取り組みを推進していくとのことです。
第二部「“届けよう、服のチカラ” プロジェクト」 ユニクロ特別課外授業
第二部では、「” 届けよう、服のチカラ” プロジェクト 」 ユニクロ特別課外授業を開催しました。ユニクロ LifeWearスペシャルアンバサダーの綾瀬はるかさんが講師助手として登壇し、昨年綾瀬さんと一緒にプロジェクトに参加した成蹊小学校6年生124名の生徒を対象に、難民の方への衣料支援に関する授業を実施しました。
(左から)東京⼤学⼤学院教育学研究科 北村友⼈教授、綾瀬はるかさん(ユニクロLifeWearスペシャルアンバサダー)
授業では、特別講師の東京大学大学院教育学研究所の北村友人教授から難民の方たちのおかれている状況や環境について説明。学校へ行けないことから将来の仕事の機会が限られており、教育はとても重要であることが話され、生徒たちと難民の子どもたちの教育問題についても考える授業となりました。
綾瀬はるかさん(ユニクロLifeWearスペシャルアンバサダー)
また、衣料の支援の話にも広がり、集められた服がどのように難民の方に届くのかを動画で紹介。綾瀬さんが、服を仕分けして海外に発送する拠点を訪問し、作業を体験しました。綾瀬さん自身も私物を寄付し、実際に受け取った女性からの映像メッセージを観て、「自分の服を受け取った方からメッセージをもらえると思っていなかったので感動しました。服のチカラで笑顔になっている姿を見られて嬉しいです」と語りました。
また、成蹊小学校からウクライナ難民の子どもたちへ、服とギフトが届けられたショートムービーを観た生徒は、「自分たちで作ったギフトで遊んで笑顔になってくれたのがとても嬉しかった」と喜んだ様子で話していました。最後に、難民の子どもたちからの御礼のメッセージカードが綾瀬さんから成蹊小学校の生徒へ手渡され、綾瀬さんから「皆さんの想いが難民の子どもたちに伝わって良かったですね。これからもできることを一歩ずつ、少しずつ、一緒にやっていきましょう」と生徒たちにメッセージを贈りました。
まとめとして、成蹊小学校の生徒さんが、今回のユニクロ特別課外授業を通して感じたことをご紹介します。
成蹊小学校6年生 河崎伶奈さん
「服の力が人を元気にさせることや、服が暑さから身体を守ってくれることを知って、服って大切なんだなって思いました。ウクライナの難民の方々がありがとうって言ってくれて、すごく嬉しかったです」。
成蹊小学校6年生 永山大成さん
「難民の方々は今とても大変だし、僕たちが服などをあげることによって、服の力で今よりもっと元気になってほしいなと思います」。
以上、6月20日の「世界難民の日」に先立ち、ファーストリテイリンググループが開催した、難民支援活動メディア説明会および 「” 届けよう、服のチカラ” プロジェクト」 ユニクロ特別課外授業についてご紹介しました。難民の方々が今置かれている状況を、一人ひとりが自分事として理解し、社会全体で難民支援について考えるきっかけとなれば幸いです。
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
執筆者:遠藤友香
2019年6⽉、東京・⽇本橋⾺喰町の「DDD HOTEL」の⼀⾓に開廊したギャラリー「PARCEL(パーセル)」。⻑年ギャラリー業に従事してきた佐藤拓がディレクターを、アートコレクティブ「SIDE CORE」の⼀員、⾼須咲恵がプログラム・アドバイザーを務めています。
元々、⽴体駐⾞場だった特徴的な空間において、現代美術を軸にカルチャーを横断するプログラムを形成し、国内外の幅広い作家を紹介。2022年2⽉には、PARCELの裏側に位置する「まるかビル」2Fに2つ⽬の拠点「parcel」を開廊。PARCELとparcelは両スペースを通して、時代に対して多⾓的なメッセージを発信しながら、コマーシャルギャラリーとプロジェクトスペースの特性を併せ持った存在とプログラム構成を⽬指しています。
この度、PARCELにおいてグループ展「Not Quite」が2024年6⽉30⽇(⽇)まで開催中です。私たちが⽇々の⽣活の中で何気なく触れている、椅⼦、焼物などのプロダクトや⼯芸と呼ばれるもの、アートなどが本来の「⽬的」から逸脱したとき、カテゴライズ⾃体が無⼒化し、より純粋にそのフォルム、マテリアルを享受することができるのではないかと、PARCELは問うています。
グループ展に参加しているイ・カンホ、橋本知成、太⽥琢⼈、⽮⼝周太郎といった4⼈のアーティスト、デザイナー、ショップオーナーは、家具や物がもつ従来の⽤途からそれらを切り離すことで、デザインすること、形を⽣み出すことと形そのものについて考えることを促しています。
次に、それぞれの作家についてご紹介します。
1.イ・カンホ
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
プロフィール:弘益⼤学校にて⾦属⼯芸とデザインを学んだ後、韓国のソウルを拠点に活動。⾝の回りにある素材から、さまざまな⽇⽤品をつくっていた農業家の祖⽗の影響を受け、幼少期から⾃らの⼿で⾝近な素材をもとに新たに作り出すことに楽しみを⾒出してきた。その体験をもとに、⽇常のものに新たな意味と機能を与える⼿法で⽇々制作を続けている。最近は、素材が別の素材と結びつく瞬間を発⾒することをテーマに次々と新作を発表している。Design Miami/Baselで審査員特別賞(2009年)、韓国政府⽂化部のArtist of the Year(2011年)、Yaol/韓国⽂化遺産協会のYoung Craftsman of the Year(2013年)、Designer of the Year(2017年)など受賞多数。
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
ソウル拠点のイは彫⾦出⾝でありながら、現在は⼯業⽤のワイヤーやロープを鍵編みしたベンチや照明、伝統的な七宝焼きをベースにした作品を制作しています。
ソウル郊外で暮らしていた祖⽗から⾝の回りの物を⾃分で作ることを叩き込まれたイは、作品を通して、世に溢れている素材に対しての⼯夫とそれを駆使した新たな造形について気づかせる作品を多く残しています。
2.橋本知成
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
プロフィール:1990年、和歌⼭県⽣まれ。2012年に、京都教育⼤学教育学部美術領域専攻を卒業。2014年、⾦沢美術⼯芸⼤学⼤学院⼯芸専攻陶磁コース修了。2017年に、⾦沢美術⼯芸⼤学⼤学院博⼠後期課程⼯芸研究領域陶磁分野を修了している。
Kyoto Art for Tomorrow−京都府新鋭選抜展2019で産経新聞社賞(2019年)、神⼾ビエンナーレ2015 現代陶芸コンペティションで準⼤賞(2015年)など受賞多数。Victoria and Albert Museum、LOEWE Foundation、Park Hyatt Kyoto、HOTEL THE MITSUI KYOTOなどにコレクションされている。
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
橋本知成は信楽を拠点に活動しており、⼟を素材に、焼物と時にはモルタルを組み合わせた彫刻作品で知られ、焼物が持つフラジャイルなイメージとモルタルが持つマスキュリンな印象を組み合わせながら、素材間の緊張感を通して我々に、フォルム、重量、重⼒について考えさせる作品を制作しています。2019年のLOEWE CRAFT PRIZEファイナリストでもある彼の作品の肌は、鉱物を連想させるような不思議な光沢で覆われ、対峙する⾓度によって⼤きくその表情を変えます。
3.太⽥琢⼈
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
プロフィール:1993年、フランス⽣まれ。2017年武蔵野美術⼤学⼯芸⼯業デザイン学科卒業。2022年東京藝術⼤学美術研究科デザイン専攻修⼠課程卒業。物と⼈間のコミュニケーションについて興味があり、⽇常の観察の中で新たな視座の発⾒を作品へ変換する。特定の分野に固執せず、プロセスや考え⽅の流動性と多元的思考を⼤切にしている。
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
デザイナーである太⽥琢⼈は、⽇常の観察を通しての作品を発表している作家です。ただ、⼀貫してそこにはアウトプットの造形に向かう姿勢とクリティックとしての視点もあり、⽣活を通しての取捨選択や物事の認知、社会システムなどと作品テーマは広いのが特徴です。既存の枠組みにとらわれることなく、インテリアプロダクトからインスタレーションまでと横断をしながら発表を続けています。
4.⽮⼝周太郎
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
プロフィール:「YOU ARE WELCOME」オーナー、プロップスタイリスト、プロダクトデザイナー。
2018年にショップ「YOU ARE WELCOME」をスタートさせる。80年代以降のポストモダンデザインを筆頭に、前衛的で挑発的な造形美のものを中⼼に、様々な年代やジャンルのアイテムをセレクト。⽮⼝周太郎によるオリジナルの什器も展開している。雑誌やCDジャケット、広告やミュージックビデオの美術/プロップスタイリングも⼿がけ、アートやプロダクトのデザインも⾏う。
Photo: Kohei Omachi (W) courtesy of PARCEL
⽮⼝周太郎は、東京都内で「YOU ARE WELCOME」というインテリアショップを営んでいます。巨匠のモダンデザイン家具から作者不明の何かまで、その特異な審美眼から選び抜かれた品々は不思議な調和を産んでいます。フォルム、⾊彩という点においてユニークなプロダクトたちは、⽮⼝のフィルターを通し、あらたなコンテクストを帯びた状態で再度世に出されます。
PARCELは、タイトル「Not Quite」(~でなくもない) にもあるように、いつも私たちが⾒慣れている視点からはみ出ている作品を中⼼に作家を選んでいます。これら居⼼地の良いカテゴリーを⾶び出してしまっている「〜でなくもない」作品や審美眼を通して、デザインとアートのいびつかつ奇妙な相関関係を⾒ていただくとともに、形というものを純粋に楽しんでいただけたらと述べています。
■“Not Quite”A Group Exhibition by:
イ・カンホ | Kwangho Lee
橋本 知成 | Tomonari Hashimoto
太⽥ 琢⼈ | Takuto Ohta
⽮⼝ 周太郎 | Shutaro Yaguchi
日時:2024年5⽉18⽇(⼟)ー6⽉30⽇(⽇)/14:00ー19:00
場所:PARCEL
東京都中央区⽇本橋⾺喰町2-2-1 DDD HOTEL 1F
休日:⽉・⽕・祝⽇
執筆者:遠藤友香
2023年7月に銀座・歌舞伎座タワー22Fにオープンした、株式会社マイナビが東京・銀座で運営するアートスペース「マイナビアートスクエア(MYNAVI ART SQUARE / 通称:MASQ)」。学生、ビジネスパーソン、企業、教育機関とアーティストの繋がりを後押しするプラットフォームです。
複雑化した社会で、主体的に考え柔軟に判断していく力を養うきっかけとなる「アート」や「アート思考」、「リベラルアーツ」を起点にプログラムを展開しています。MASQは、新たなアイディアやアプローチをもたらすアーティストやキュレーター、コレクティブ(共同体)などの表現者らと共に、機械やAIでは代替できない、一人ひとりのもつ潜在的な可能性を広げることで、豊かな未来を共創することを目指しています。
この度MASQにおいて、2024年7月6日(土) まで、建築コレクティブ「GROUP」による個展「島をつくる | Planning Another Island」を開催中です。
GROUPは、建築プロジェクトを通して、異なる専門性を持つ人々が仮設的かつ継続的に共同できる場の構築を目指し、建築設計・リサーチ・施工をする建築コレクティブ。主な活動として、設計・施工「夢洲の庭」(大阪府、2025)、設計・運営「海老名芸術高速」(神奈川県、2021)、設計・施工「新宿ホワイトハウスの庭」(東京都、2021)、企画・編集「ノーツ 第一号 庭」(NOTESEDITION、 2021)、設計「EASTEAST_TOKYO」(アートフェア会場構成、2023)、 グループ展「InvolvementRain/Water passage」(金沢21世紀美術館 DXP展、2023)、個展「手入れ/Repair 」(WHITEHOUSE、2021)などがあります。
銀座に位置するMASQの窓からの景色には、東京湾に浮かぶ埋立地が広がっています。本展は、その大きな島を生成する建築を介して、もうひとつの島の可能性を探究します。ある住宅の改修工事の過程で発生した廃材が会場内に運び込まれ、それらを土へと還すコンポストが展示されています。その後、ひとつの住宅から生まれた土を、展示会場からもとの場所へと戻すことで、島のかたちを変える試みを実践します。
産業廃棄物となった住宅の廃材を循環させる仕組みを展示会場内に再現したインスタレーションは、観る者にいくつもの問いを投げかけます。これまでにもGROUPは、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返してきた都市開発、建築のあり方を再考し、その実践過程そのものをアート作品へと昇華するプロジェクトを数多く手掛けてきました。近年、GROUPが力を注ぐ建築の終着地についてのリサーチ、新たな選択肢を模索するプロセスを体現した本展は、私たちの日々の暮らしから生み出されている島のあり方に考えを巡らせる機会となることでしょう。
GROUP共同代表 井上岳氏
GROUPの共同代表である井上岳氏は、「解体して土にしたものたちは、成増の住宅に持ち帰って、床材にしたり、壁材に戻して、また使っていこうと思っています。
マルチング材という、土の表面を仕上げたりするのにも使えたりとか、土って何だ、何ぞやっていう展示でもあったりして、ガラスも砕くと、珪砂(けいしゃ)というテニスコートの砂と同じ材料になるんですけど、砕いて砂に戻してみたりとか、石膏とかコンクリートも砕くと石灰になってくるので、それも土とも言えるかもしれないということで、僕らなりに分解を試みているという感じです。
会場には音が流れているんですが、普段は埋立地の処理場の音、例えば鳥がいっぱいいるんですけど、鳥の音とかを分解した音が鳴っています。また、日本全国で地震が起こると、地震が起こりましたよって知らせる音が鳴るようにもなっていて、この風景を眺めながら、地震と神話と日本における建物や空間のあり方というのも見直せるような展示になるといいかなと思って作っています」と語っています。
以上、建築コレクティブ「GROUP」による個展「島をつくる | Planning Another Island」についてご紹介しました。建築を介して、もうひとつの島の可能性を探究する本展に、ぜひ足を運んでみては?
■「島をつくる | Planning Another Island」
会期:2024年5月23日(木)〜7月6日(土)
場所:MYNAVI ART SQUARE
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー22F
開館時間:11:00〜18:00
休館日:日・月・祝