国立新美術館とM+(エムプラス)が国際連携に関する覚書に調印

2024/05/01
by 遠藤 友香

(左から)国立新美術館長 逢坂恵理子氏、M+館長 スハーニャ・ラフェル氏

M+ signs MOU with The National Art Center, Tokyo, Japan Photo: Winnie Yeung @ Visual Voices Courtesy of West Kowloon Cultural District Authority


執筆者:遠藤友香

01.jpg?1714518455383

©国立新美術館
©The National Art Center, Tokyo


芸術を介した相互理解と共生の視点に立った新しい文化の創造に寄与することを使命に、2007年、独立行政法人国立美術館に属する5番目の施設として開館した国立新美術館。以来、コレクションを持たない代わりに、人々がさまざまな芸術表現を体験し、学び、多様な価値観を認め合うことができるアートセンターとして活動しています。具体的には、国内最大級の展示スペース(14,000㎡)を生かした多彩な展覧会の開催や、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、さまざまな教育普及プログラムの実施に取り組んでいます。

02.jpg?1714518550215

The MOU signing ceremony at the Hong Kong Palace Museum raised the curtain for the Hong Kong International Cultural Summit 2024 Photo: Winnie Yeung @ Visual Voices Courtesy of West Kowloon Cultural District Authority


この度、3 月24日に国立新美術館長の逢坂恵理子は、WKCD(香港西九龍文化地区)で開催された香港国際文化サミット2024において、現代美術館M+(エムプラス)との国際連携に関する覚書に調印しました。

03.jpg?1714518648706

M+, Hong Kong Photo: Kevin Mak © Kevin Mak Photo: Courtesy of Herzog & de Meuron


M+は、香港の西九龍文化地区に位置し、近現代の視覚文化を紹介するアジア最大級の美術館です。20世紀から21世紀にかけてのビジュアル・アート、デザイン、建築、ムービング・イメージ、香港のビジュアル・カルチャーの収集、展示、解釈を専門としています。

イギリスのテート、フランスのポンピドゥ・センターなど世界各地の主要な芸術文化機関と並び、国立新美術館は、今回M+とパートナーシップを締結する唯一の日本の機関です。このパートナーシップでは、両館のキュレーターが展覧会を共同企画いたします。1990年代から2000年代の日本の現代美術に焦点をあてた企画です。

今回のパートナーシップ締結に際して、逢坂は「この国立新美術館とM+共同企画では、両館のキュレーターが、海外と日本からの視点により、日本の現代美術の20年を振り返り検証します。グローバル化と内向化が加速したこの時代特有の現代美術を、複数の文脈から紐解く展覧会となるでしょう」と述べています。

本展覧会は、2025年秋より国立新美術館を会場に開催し、主催は国立新美術館、共催はM+となります。展覧会の会期等、詳細は2024年秋頃発表予定です。

創造と対話の拠点であるロンドンのテート・モダンにて、「GUCCI(グッチ)」が2025年クルーズファッションショーを開催

2024/05/01
by 遠藤 友香

Tate Modern from North Bank © Tate Photography

執筆者:遠藤友香


1921年、フィレンツェで創設された「GUCCI(グッチ)」は、世界のラグジュアリーファッションを牽引するブランドのひとつです。ブランド創設100周年を経て、グッチはクリエイティビティ、イタリアのクラフツマンシップ、イノベーションを称えながら、ラグジュアリーの再定義への歩みを続けています。グッチは、ファッション、レザーグッズ、ジュエリー、アイウェアの名だたるブランドを擁するグローバル・ラグジュアリー・グループであるケリングに属しています。

この度、グッチは、5月13日(現地時間)にロンドンで予定している2025年クルーズ コレクションのファッションショーを「Tate Modern(テート・モダン)」で行うことを発表しました。

ロンドンのダイナミックな文化的景観を背景にしたテート・モダンは、クリエイティブ・ディレクター サバト・デ・サルノによるグッチ2025年クルーズ コレクションのビジョンを発表するのに理想的な舞台です。テート・モダンは、創造と対話の拠点であり、多様な視点からの意義深い会話や議論を生み出し、文化交流を促進する場所です。ここでは、アートと建築の相互作用がイノベーションを鼓舞し、ロンドンという都市そのもののように、さまざまな境界を超える挑戦を促す環境を創出しています。

サバト・デ・サルノは長年にわたり幾度となくロンドンを訪れ、この街の多様な文化に深く触れてきました。その経験をインスピレーション源に、さまざまなアイデア、スタイル、個性の集結とそのコントラストがもたらす豊かなクリエイティビティを掻き立てるロンドンのエッセンスを表現します。


グッチとロンドンとの関係は深く、グッチオ・グッチによるブランド創設の前にまで遡ります。グッチオにとって1897年にロンドンで過ごしたことは、ラグジュアリーとクラフツマンシップへの理解を深める重要な瞬間となりました。ザ・サヴォイ ホテルでポーターとして働き、ロンドンの活気ある文化の中心といえる場所に身を置いた体験から、後にグッチのブランド アイデンティティを確立する洞察力を得たのです。

テート・モダンでの2025年クルーズ ファッションショーの開催にあたり、グッチはアート、ファッション、そして伝統の融合をテーマの中心に据えています。この機会は、グッチの輝かしい歴史をたたえるだけでなく、多様な文化的背景を尊重し、その交流と対話を育むというブランドのコミットメントを再確認するものであり、グッチの物語を通して、場所、人々、モーメント、美意識の相互作用を体現しています。


グッチは、責任ある企業として文化的に重要な場所やそのコミュニティにポジティブな影響を与える取り組みを推進しています。その一環としてテート・モダンで2024年秋に開催される「Electric Dreams」展を支援するほか、若手クリエイターとともにテート・モダンの活動を支援する3年間のパートナーシップを締結しました。グッチとテート・モダンは、インクルーシビティとエンパワーメントを高めるという共通のコミットメントのもと、コミュニティ内の積極的な交流を促進し、多様なオーディエンスのクリエイティビティを刺激することを目指します。

WHAT MUSEUMにて開催! 「構造デザイン」に着目した大展覧会「感覚する構造 - 法隆寺から宇宙まで -」

2024/04/28
by 遠藤 友香

02.jpg?1714275074847

執筆者:遠藤友香


寺田倉庫は1950年の創業以来、美術品、ワイン、映像フィルムなど、専門性の高い保存保管事業を展開してきました。1970年代から手掛けてきた美術品保管に加え、ミュージアム、ギャラリーコンプレックスの運営、グループ会社では輸配送、展示、梱包修復も手掛けており、寺田倉庫は日本のアート業界におけるリーダーシップカンパニーの一つとして知られています。寺田倉庫が本拠地とする東京・天王洲は、国際的なアートシティとして最近注目のエリアです。

そんな寺田倉庫が運営する、2020年12月に天王洲にオープンした「WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)」では、2024年8月25日(日)まで、「感覚する構造 - 法隆寺から宇宙まで -」を開催中です。現存する世界最古の木造建築「法隆寺五重塔」から、現在開発中の月面構造物まで、建築の骨組みを創造してきた「構造デザイン」に焦点を当てた展覧会です。前期展から作品を大幅に入れ替えてスケールアップし、100点以上の名建築の構造模型を展示する寺田倉庫過去最大の建築展です。

日本には世界に誇る建築家が数多く存在しますが、建築家の仕事を支える構造家の存在はあまり知られていません。重力や風力といった力の流れや素材と真摯に向き合い、その時代や社会とともに創造してきたのが建築の構造デザインです。専門性の高い構造デザインの世界ですが、建築の「骨組み」の模型を見たり、模型に触れたりして、その仕組みを分かりやすく紹介します。

今回の後期展では、近年サステナブルな建材として注目が高まる木材を用いた建築にフォーカス。日本の伝統的な木造建築から最先端のものまでを取り上げ、木造の特質を歴史的に俯瞰し、未来の木造建築の可能性を考察します。また、構造デザインを応用したファッションや宇宙開発など、他領域との横断的な取り組みを通じて、構造デザインの広がりを提示します。開催期間中には、展覧会に関連した書籍の出版や、トークイベント、パフォーマンスイベント、ワークショップなども予定しています。

なぜ今、木造建築に注目が集まっているのか?

03.jpg?1714275180000

円相 滋賀県立大学 陶器浩一研究室


木材は再生可能な資源であり、金属類やコンクリートなどに比べて、製造や加工に必要なエネルギーが少ないことが特徴です。木造建築は二酸化炭素を吸収した状態の木材を使用することで、長期間炭素を固定することが可能であり、脱炭素に貢献するサステナブルな建物であるともいえます。また、木材を活用し適切に森林を循環させることは環境の保全につながります。木は環境の変化を受けやすい素材ですが、構造上の工夫を加えることで、その特性を補うことができます。さらに、木質建材の発展や法改正を受け、木造建築は進化し続けています。近年では、新しい材料を用いた「STROOG 本社」や「水戸市民会館」、「Port Plus」のような大型の木造建築が増えています。

日本には古くから木造建築が多く、特有の技術が蓄積されており、様々な技法や構造があります。本展では、小さな木材を組み合わせている「錦帯橋」や「エバーフィールド木材加工場」、直径1.2m程の大きな柱を用いた「東大寺大仏殿」などの模型を通して、同じ木造建築でも木材のサイズや構造に違いがあることがわかります。

4つのテーマで構成されている「感覚する構造 - 法隆寺から宇宙まで -

後期展は、WHAT MUSEUM1階と2階で、次の4つのテーマから展示が構成されています。

1.伝統建築と木造の未来

2.次世代を担う構造家たち

3.構造デザインの展開

4.宇宙空間へ

それでは、各テーマ毎にみていきましょう。

1.伝統建築と木造の未来

01.jpg?1714275206002

法隆寺 五重塔 模型所蔵:本多哲弘 模型製作:本田長治郎


伝統的な日本の木造建築から、最新の現代木造建築までを俯瞰し、木造の特質と可能性を提示します。法隆寺五重塔や松本城などの歴史的な木造建築物にはじまり、近代の木構造、そして葉祥栄と松井源吾、内藤廣と渡邉邦夫、隈研吾と中田捷夫、三分一博志と稲山正弘、藤本壮介と腰原幹雄といった、建築家と構造家の協働による現代の木造建築までの構造模型を展示します。森林資源である木材からなる建築を、寸法や接合部、構造システムの視点で歴史的に俯瞰し、未来の可能性を考察します。

例えば、法隆寺五重塔の模型は、大工の田村長治郎が図面から一人で制作したものです。田村は伝統的な建築にも関わった経験があり、現存する世界最古の木造建築である法隆寺に興味を抱きました。「どうやって作ったのかを知りたい。一度自分で作ってみたい」という好奇心から、昭和九年から行われた「昭和の大修理」の資料を取り寄せ、部材を一つずつ作り、組み上げました。当時の実測の記録から数値を割り出す過程で、数値的な構造の美しさに気づき、建立時(飛鳥時代)の技術の高さに改めて驚きを覚えたといいます。

現存する五重塔は、度重なる地震にも耐えています。その理由は、塔の上から下まで通った心柱が制振構造のような動きをしているためといわれています。この仕組みは、東京スカイツリーにも応用されています。本展では、法隆寺の鍵となる骨組みを、古代から近代までの幅広い木造建築の模型と比較しながら鑑賞することができます。

2.次世代を担う構造家たち

04.jpg?1714275349653

建築家とコラボレーションし、構造デザインを創造する構造家の存在は、世界をリードする日本現代建築の独自の源泉です。斎藤公男、渡邉邦夫、中田捷夫など26人の構造家のインタビュー映像を通して構造家の思想と哲学に迫ります。PHILOSOPHY、DESIGN、PRACTICEをテーマに、3つの映像に編集しています。構造家の美学と感性が宿る言葉をお聞きください。

00.jpg?1714341210688

また、下田悠太や荒木美香といった、注目すべき若手構造家の作品から、今後の構造デザインの展開を示します。

3.構造デザインの展開

05.jpg?1714275761173

構造デザインで得た幾何学の知見を生かした、ファッションや地図図法など、異なる領域との横断的な取り組みを展示します。空間デザインから構造デザインを体感できます。

06.jpg?1714275836698

日常生活において、私たちは無意識に構造デザインに触れています。家をはじめとする建物はもちろん、身の回りの様々なものも力の流れを考慮した構造になっています。例えばキャンプに行くときは、テントをコンパクトに畳んで持ち運び、目的地で広げてその中で過ごすことができます。畳んだ状態から展開すること、また広げて安定させるということには、どちらにも構造の考えが見て取れます。

4.宇宙空間へ

07.jpg?1714275928380

飛び移り試験用実大多面体 / 滞在モジュール 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 佐藤淳研究室、佐藤淳構造設計事務所 模型所蔵:東京大学大学院 新領域創成科学研究科 佐藤淳研究室


地球上での構造デザインを、宇宙空間へ展開する取り組みを紹介します。現在、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の佐藤淳准教授らとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発する、人が月に滞在するための月面構造物の原寸大模型を展示します。

月での長期滞在を想定したものですが、実現するには建築材を軽量かつ小型化し、ロケットで月に運ぶ必要があります。また、宇宙空間においては作業の工程を少なくし、スムーズに展開することが求められます。そのために「飛び移り現象」が活用されます。これは、凹凸のある面で裏返りが生じる現象であり、髪を留めるピン(パッチン留め)の動きでもみられます。

08.jpg?1714276029107

このように、身の回りの物事を紐解くと、物にかかる力の流れや物の仕組みが明らかになります。構造デザインは、建築物以外にも有効な視点といえるのです、本展では、月面構造物の開発過程を模型でみることができます。紙やプラスチック、アルミなどの様々な材料を使い、より小さく折り畳んで、月面で展開するための構造を試行錯誤してきた様子を展示しています。

09.jpg?1714276119069

近藤以久恵氏


最後に、WHAT MUSEUM建築倉庫ディレクターである、本展を企画した近藤以久恵のコメントをご紹介します。

「我々人類は、地震力や風力はじめ自然の力学が及ぶ世界に生き、建築における力の流れをどうデザインしてきたのでしょうか。地球という重力空間において、力の流れや素材と真摯に向き合い、時代や社会の変化の中で技術と芸術を融和させ、創造してきたのが構造デザインの世界です。

本展では、建築の創造において重要な役割を果たしてきた、世界に誇る日本の構造家と構造デザインを紹介します。日本の伝統的な建築物の木構造から現代木造建築、そして、宇宙構造物に至るまでを取り上げ、4つのテーマから構造デザインの広がりを提示します。会場では、構造模型に触れ、建築の構造を感覚することを通して、自らが住む世界に働く力の流れと自身の感性との結びつきを感じ、構造デザインという創造行為の可能性とその哲学を体感することができます。ぜひこの機会に、幅広い方に構造デザインの世界を体感していただければと思います」。


■「感覚する構造-法隆寺から宇宙まで-」

会期:2024年4月26日(金)~2024年8月25日(日)

会場:WHAT MUSEUM 1階・2階(〒140-0002東京都品川区東品川2-6-10寺田倉庫G号)

開館時間:火~日11時~18時(最終入場17時)

休館日:月曜(祝日の場合、翌火曜休館)

入場料:一般1,500円、大学生/専門学生800円、高校生以下無料

※チケットはオンラインにて事前購入可能

※本展会期中に何度でも入場できるパスポートを販売

展覧会パスポート2,500円(本展と同時開催中の展覧会とセットで鑑賞可能)

※当ミュージアムの「建築倉庫」では、建築家や設計事務所からお預かりした600点以上の建築模型を保管しており、その一部を公開しています

料金:建築倉庫入場料700円、セットチケット(本展入場料+建築倉庫入場料)2,000円

新進気鋭の建築家クマタイチが会場デザインを担当! 中田英寿が代表を務める株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANY主催の日本食文化の祭典「CRAFT SAKE WEEK 2024 at ROPPONGI HILLS」

2024/04/23
by 遠藤 友香

執筆者:遠藤友香

top.jpg?1713850489170

サッカー日本代表の中田英寿が代表を務める株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANY は、2024年4月29 日(月・祝)まで、「六本木ヒルズアリーナ(東京都港区六本木)」にて、日本食文化の祭典「CRAFT SAKE WEEK 2024 at ROPPONGI HILLS」を開催中です。

000.jpg?1713896536200

中田英氏寿氏 PHOTO BY KAZUMI KURIGAMI


「CRAFT SAKE WEEK」とは、オーガナイザーである中田英寿が日本全国を巡り、日本酒、農業、工芸を中心に数多くの生産者と出会い、日本が誇る文化や技術に触れる中で、特に日本酒の奥深さと可能性を強く感じたことから、「日本文化の素晴らしさを多くの人たちに伝えたい」と2016年にスタート。全国選りすぐりの日本酒にクローズアップし、日本酒の魅力や日本酒と密接な関係にある食文化を発信しています。これまでに東京・六本木だけでなく、博多や仙台などの地方都市でも開催し、延べ80万人の方が来場しました。

02.jpg?1713850546112

「CRAFT SAKE WEEK 2024 at ROPPONGI HILLS」は過去最⻑の12日間の開催となり、全国から厳選された酒蔵120蔵と予約困難な有名レストランをはじめとする15店のレストランが出店します。期間中、毎日異なるお酒のテーマを設けており、開催初日の4月18日(木)は、「頑張れ、北陸!!の日」をテーマに、北陸エリアの酒蔵10蔵が参加。北陸の魅力と活力を再び輝かせ、今年1月の震災からの復興への道を歩む、北陸の日本酒を飲んで酒蔵を応援しました。12時のオープン後、スタートを待ちわびた多くの来場者の方々が日本酒や食事を楽しみ、会場は賑いをみせました。

04.jpg?1713850576566

期間中、毎日異なるお酒のテーマを設けており、例えば4月20日のテーマは「東の星の日」。数多くの酒蔵が存在する東日本。清らかな水源や厳しい冬の寒さが日本酒の醸造に最適な環境をつくりあげ、その結果として生まれる日本酒は洗練された味わいと深い風味が特徴です。東日本の未来を背負って立つ、新政(新政酒造 / 秋田県)、飛良泉(飛良泉本舗 / 秋田県)、黄金澤(川敬商店 / 宮城県)、山の井(会津酒造 / 福島県)、会津娘(高橋庄作酒造店 / 福島県)、赤武(赤武酒造 / 岩手県)、仙禽(せんきん / 栃木県)、山形正宗(水戸部酒造/ 山形県)、田光(早川酒造 / 三重県)、日日(日々醸造 / 京都府)といった10の酒蔵が集結しました。

03.jpg?1713850600796

また前半の参加レストランは、「誇味山」、「TexturA(テクストゥーラ)」、「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」、「白」、「Naomi Ogaki」の5店舗が出店。

本日からスタートした後半の6日間は、「お茶と海苔 山本山」、「みそめぼれ」、「メゾンドシャルキュトリーM」、「チーズ王国」、「kitchen NIHONMONO」と、素材や調味料の生産を通して、日本の食を応援する生産者が届ける5店舗のレストランが出店。

最終日の4月29 日(月・祝)には、フレンチの巨匠・ロブション氏の愛弟子として、世界各国で活躍している須賀洋介氏による「SUGALABO」(東京・神谷町)、2007 年のオープン直後から「最も予約が取れない焼き鳥店」として、世界的料理ガイドで2011年から現在まで星を獲得し続けている「鳥しき」、漁業、農業、酪農が盛んな千葉県山武市ののどかな田園風景に囲まれながらも、全国からゲストが訪れるイタリアンレストラン「Ushimaru」、京都・東山の静寂な泉湧寺の敷地内に店を構え、中心地から離れた立地でありながら、食べた人を虜にする齋藤シェフによる独創的な料理が評判を呼ぶ、予約至難の中華料理「齋華」(京都・東福寺)、札幌で多くの飲食店をプロデュースするほか、JAL のファーストクラスの食事も監修する三枝展正氏による、北海道の厳選食材をテーマに日本酒がすすむ味を追求する「みえ田」の5店舗が出店します。

09.jpg?1713851094610

今年の会場デザインは、アートの島として注目を浴びる直島の小さな入江にあるグランピング施設「SANA MANE」の中心に建つ有機的な木のサウナ「SAZE」の設計や、グッドデザイン賞を受賞した「SHAREtenjincho」はじめ、TAILAND/隈研吾建築都市設計事務所などで活躍する、建築家の隈研吾を父に持つ新進気鋭の建築家 クマタイチが担当。

07.jpg?1713851125639

クマタイチ氏 ©Taro Hirano


クマタイチは、東京大学大学院修士課程で建築を学び、ドイツ・シュトゥットガルトへ留学。帰国後に東京大学大学院博士号取得。アメリカ・ニューヨークの設計事務所勤務を経て、2021 年に建築の設計から運営までを行う「TAILAND」を主宰しました。隈研吾建築都市設計事務所の取締役・パートナーも務めています。

本会場は「SAKA-MORI」をコンセプトとして、まるで森のような、自然のままの木や葉で空間が構成され、直径3.2 メートルの半球の杉玉が吊るされています。会場を見たお客様からは「六本木にいるのに、森に囲まれているような不思議な感覚!」と六本木に現れたモリで、人間の原始的な楽しみであるSAKE を味わい楽しむという感覚を呼び起こす、祝祭的な場を堪能した様子でした。

05.jpg?1713851305514

その他、株式会社マッシュスタイルラボのライフスタイルブランド「UNDERSON UNDERSON」協力のもと、オリジナルTシャツを制作し、数量限定で販売。販売した収益は、令和6年能登半島地震で特に被害の大きかった石川県の酒蔵に「石川県酒造組合連合会」を通して、義援金として全額寄付します。

06.jpg?1713851327803

株式会社ロッテは、チョコレート事業が60周年を迎えたことを記念して、イベントブース「チョコ meets CRAFT SAKE」を展開。本ブースでは、120蔵から1銘柄ずつ、一日10種のお酒とガーナチョコレートのマリアージュを日替わりで楽しむことができます。


日本酒や日本文化の奥深さや楽しさに触れ、様々なジャンルのお料理とのペアリングを通して“新しい日本酒体験”に出会うため、ぜひ本イベントに足を運んでみてはいかがでしょうか。


■「CRAFT SAKE WEEK 2024 at ROPPONGI HILLS」

日時 : 2024年4月18日(木)~29日(月・祝)/各日12:00~21:00 (L.O. 20:30)
場所 : 六本木ヒルズアリーナ(東京都港区六本木6丁目9-1)
参加蔵数 : 各日10蔵 計120蔵
レストラン数 : 15店
料金 : スターターセット 3,900円(オリジナル酒器グラス+飲食用コイン11枚)
※2回目以降のご来場の際は、スターターキットのグラスを持参いただくと、追加コイン購入のみでお楽しみいただけます。

ウェブサイト : http://craftsakeweek.com/
公式アプリ : Sakenomy https://www.sakenomy.jp/

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024」が開幕! 生命、コミュニティ、先住民族、 格差社会、地球温暖化など、多様な視点によるプログラムを展開

2024/04/23
by 遠藤 友香

執筆者:遠藤友香

34.jpg?1713836414122
35.jpg?1713836476912

KYOTOGRAPHIEコンシェルジュによる総合・周辺観光案内所「インフォメーション町家 八竹庵(旧川崎家住宅)」では、レンタサイクルの貸し出しも。


世界屈指の文化芸術都市・京都を舞台に開催される、日本では数少ない国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。国内外の気鋭の写真家による作品が、2024年5月12日まで、趣のある歴史的建造物や近現代建築といった、京都ならではのロケーションを舞台に展開されています。

12年目を迎えた「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024」のテーマは「Source」。生命、コミュニティ、先住民族、 格差社会、地球温暖化など、 10カ国・13アーティストの多様な視点による12プログラムを開催中です。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭の共同創設者・共同代表であるディレクターのルシール・レイボーズと仲西祐介は、今回のテーマについて、以下のように語っています。

「源は初めであり、始まりであり、すべてのものの起源である。 それは生命の創造であり、衝突が起きたり自由を手に入れたりする場所であり、何かが発見され、生み出され、創造される空間である。 人生の分岐点にかかわらず、私たちは岐路に立っており、原点に戻るか、 新しいことを始めるかの間で揺れ動いている。 生命、愛、痛みのシンフォニーが響き渡るのは、この神聖な空間からなのだ。 その源で、無数の機会が手招きし、何か深い新しいものを約束してくれる。 2024年、KYOTOGRAPHIE は12の会場で13の展覧会を展開し、 SOURCE を探求し、オルタナティブな未来を望む」

00.jpg?1713755208059

(左から)仲西祐介、ルシール・レイボーズ


この度、ルシール・レイボーズと仲西祐介に、芸術各分野において毎年優れた業績をあげた者、又はその業績によってそれぞれの部門に新生面を開いた者を選奨する「5年度74芸術選奨文部科学大臣」が贈られました。

理由として、東日本大震災後に東京から京都に居を移し、わずか2年で「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」を創設。国内外から多数の写真家を招聘し、10年の間に世界有数の写真祭に育て上げたことが挙げられています。2023年には、音楽フェスティバル「KYOTOPHONIE」も開催。二人との関わりが深いフランス、アフリカ諸国、ブラジルなどの表現者を日本に紹介したことは、特に意義深いとのこと。活動拠点を京都市内の出町桝形(ますがた)商店街に置き、地元コミュニティーとの交流も積極的に行っています。

では、早速「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024」のおすすめ作品をみていきましょう。

1.ジェームス・モリソン《子どもたちの眠る場所》/京都芸術センター

01.jpg?1713754932434

京都芸術センターが校舎を跡地活用する明倫小学校は、全国に先駆けて誕生した学区制小学校「番組小学校」のひとつで、1869年(明治2年)に開校しました。現在の建物は1931年(昭和6年)に改築された戦前の小学校建築の特徴をそのまま残し、1993年(平成5年)に閉校したのち、2008年(平成20年)に国の登録有形文化財に登録されています。

2000年(平成12年)4月、京都市、芸術家、その他芸術に関する活動を行う人々が連携し、京都市における芸術の総合的な振興を目指して、京都芸術センターが開設されました。

02.jpg?1713754949148

そんな京都芸術センターでは、ジェームス・モリソンによる《子どもたちの眠る場所》が展開されています。ジェームス・モリソンは今から20年近く前、子供の権利に関わるアイデアを考えるよう依頼され、自分の幼少期のベッドルームについて思考を巡らせました。

子供時代にベッドルームがどれほど重要であったか、そしてその寝室が自分の持ち物や、自分という人間をどのように映し出していたか。そこで、子供たちに影響を及ぼしている複雑な状況や社会的課題について思考する方法として、様々な境遇の子供たちの寝室に目を向けるのはどうかと思い至ったといいます。

最初から、発展途上国の「恵まれない子供たち」のことだけを取り上げるのではなく、もっと包括的な、あらゆる境遇の子供たちのことを取り上げたいと考えていたといいます。

03.jpg?1713755128824

例えば、エバレット(4歳)は一人っ子。アメリカ・ミシガン州リボニアの一軒家に両親と住んでいます。ここは住民間の結びつきが強いコミュニティで、彼にはたくさんの友達がいます。この地域はもともと、デトロイトから移り住もうとする自動車産業労働者のために開発されました。リボニアは長年、白人以外の住民を歓迎せず、アメリカで最も白人の多い街のひとつとして知られていました。エバレットの母親を含む何人かの住民は、最近この地区の差別的な過去を糾弾し、多様性を促進する声明を発表しました。

エバレットの両親は、骨董品、美術品、バーボン、時計など、様々な品を収集するコレクターです。エバレットは、大好きなスーパーヒーローのスパイダーマンのおもちゃを何百個もコレクションしています。アメリカのスーパーマーケット「ターゲット」で売られているスパイダーマンのおもちゃを片っ端から買った後、ヴィンテージのフィギュアを集め始めました。エバレットは、スパイダーマンが宿敵ヴェノムと戦う夢を見ました。大人になったら、マーベルでスーパーヒーローを作る仕事をするか、消防士になるのが夢です。

04.jpg?1713767989210

シンタロウ(13歳)は、横浜で父親と妹と暮らしています。彼の母親は1年前、米農家である高齢の父親宅へ物を届ける途中に、交通事故で亡くなりました。その遺灰は、子供たちが母の存在を感じ続けられるように、家に置かれています。

シンタロウは週3回サッカーをし、身長を伸ばすために毎晩10時間は寝るようにしています。昨年、父親と妹は6週間のオーストラリア旅行に出掛けましたが、シンタロウはサッカーの練習を休みたくないと断りました。家に誰もいない寂しさはありましたが、自分で食事を用意し、学校にも行くことができました。最近ではアルゼンチンで5週間のトレーニング合宿に参加し、寮で他の少年たちと寝泊りしましたが、寂しさを感じることはありませんでした。彼の夢は世界一のサッカー選手になることです。

05.jpg?1713768481231

ライアン(13歳)は普段はアメリカのペンシルベニア州で両親と2人の姉妹と暮らしていますが、今は11歳から16歳までの肥満児が通う学校の寮で暮らしています。9歳のときに見つかった脳腫瘍が原因で、「プラダ―・ウィリ症候群」という食欲が旺盛になる遺伝性疾患を患っています。このためライアンの体重は大幅に増えましたが、この学校に通い始めてから9キロの減量に成功しました。友達とまた野球ができるように、できるだけ体重を減らしたいというのが彼の願いです。

この学校では、スープ、果物、野菜などの低カロリー食品が無制限に提供されるとともに、ヘルシー仕様のピザやパスタが用意されるため、ライアンは食事の時間に気を揉むことが少なくなってきました。というのも、家にいたときのように常にお腹が空いているということがないからです。全生徒は一日一万歩歩かなければなりません。ライアンは、自分を病気から救ってくれた医療関係者に感謝して、大きくなったら医者になりたいと考えています。

06.jpg?1713769026022

ハムディ(13歳)は、ヨルダン川西岸のベツレヘム校外にあるパレスチナ難民キャンプで、両親と5人の兄弟とともにアパートに住んでいます。彼らの家には、居間、キッチン、寝室が3つあります。このキャンプはもともと、1948年に国連が設置した一時的なものでした。それから60年以上経った今、当時の3倍の数の住民が暮らしています。超過密状態です。

ハムディは男子校に通っており、十分に勉強して学位を取り、自分よりも良い機会を得ることを父親は望んでいます。ハムディはベツレヘムの路上で暴力を受けた経験があります。16歳の異母兄はイスラエル占領に反対するデモの最中に兵士に殺され、ハムディは9歳のとき、戦車に乗ったイスラエル兵に立ち向かったために足を撃たれました。彼の負傷は、さらなる抵抗を思いとどまらせるものではありませんでした。

2.クラウディア・アンドゥハル《ダビ・コぺナワとヤマノミ族のアーティスト》/京都文化博物別館

07.jpg?1713770166174

20世紀に入ると、三条通には洋風の建物が次々と建てられました。旧日本銀行京都支店、現京都府京都文化博物館別館はその代表でしょう。赤レンガに白い花崗岩のストライプという華やかな意匠で、すぐさま界隈のランドマークとなりました。設計者は日本の近代建築の先駆者である辰野金吾と、その弟子の長野宇平治。レンガ造りの建物は、19世紀イギリスのクイーン・アン様式をもとに辰野がアレンジした「辰野式」で、当時の最先端でした。08.jpg?1713770725305

本展は、ブラジル人アーティストで活動家のクラウディア・アンドゥハルと、ブラジルの先住民ヤマノミとのコラボレーションを発表する日本初の展覧会です。ヤマノミはアマゾン最大の先住民グループのひとつであり、ベネズエラからブラジルにまたがる地域で暮らしています。

クラウディア・アンドゥハルは1931年にスイスでユダヤ教徒の父と、カトリック教徒の母の間に生まれ、ルーマニアのトランシルヴァニア地方で育ちました。ナチスドイツ政権とその同盟国および協力者による、ヨーロッパのユダヤ人約600万人に対する国ぐるみの組織的な迫害および虐殺「ホロコースト」を生き抜いたアンドゥハルは、1946年にニューヨークに渡ります。その9年後にはブラジル・サンパウロに移り住み、その地で写真家としてのキャリアをスタートさせました。

アンドゥハルが写真家として特に強い関心を寄せたのは、社会的弱者のコミュニティでした。1971年、アンドゥハルはブラジル北部のヤマノミの居住地域を初めて訪れます。この出会いが、アンドゥハルのライフワークの出発点となりました。彼女にとって、アートはヤマノミの人々のための意識啓蒙や政治的活動のツールとなったのです。

09.jpg?1713770745593

本展覧会の後半では、《ヤマノミ・ジェノサイド:ブラジルの死》と題した映像と音声によるインスタレーション作品が展示されています。この作品は、非先住民社会による侵略がヤマノミ居住地域にもたらした脅威を告発。特に、ブラジルの軍事独裁政権(1964ー1985年)が推進したアマゾン占領政策によって、ヤマノミの置かれた状況はさらに悪化しました。

居住地域への侵入や違法行為がヤマノミにもたらす問題は、決して新しい問題ではありません。こうした問題は、ヤマノミだけでなく、ブラジル国内外の数多くの先住民を苦しめています。

アマゾンにおける破壊的行為や地球規模の気候変動危機がニュースでも大々的に取り上げられるようになった今、本展は世界各地の先住民の人々への理解や、その主権の拡大のためにアートが担う役割を示すものでもあります。本展は、ただの美術展にとどまらず、ヤマノミの人々の存在を可視化し、新たな脅威から守り続けるための基盤となるものです。

3.ヴィヴィアン・サッセン《発行体:アート&ファッション 1990‐2023》/京都新聞ビル地下1階

10.jpg?1713772285809

御所の南西にある京都新聞ビル。その地下には、2015年まで印刷工場がありました。地下1階から2階まで高さ10m弱、約1,000㎡に及ぶ空間で、輪転機が稼働していました。ここにいると、いまだにインキの香りがふと鼻をかすめます。印刷工場だった時代は、まだ過去にはなっていません。様々な用途に使われるスペースとして、再び命が吹き込まれたかのようにも見えます。

11.jpg?1713773287573

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭では、ヴィヴィアン・サッセンの日本初となる大規模個展を開催中です。本展は2020年から続くMEP(ヨーロッパ写真美術館 フランス・パリ)とのパートナーシップの一環であり、2023年にMEPで開催されたヴィヴィアン・サッセンの回顧展の巡回となります。

12.jpg?1713773311434

本展では、多様性溢れる十数のシリーズ作品を展示するとともに、過去作、未発表作品、ビデオインスタレーションなど、200点以上の作品を通じて、ヴィヴィアン・サッセンの30年にわたる創作活動の足跡を辿ります。キュレーターのクロチルド・モレットは、「表層と深層、静謐さと力強さという両極で揺れ動きながらも、そのあわいにある本質を浮かび上がらせることで、サッセンがいかに作品を繊密に作り上げていくかについて迫る」と述べています。

13.jpg?1713773333941

ヴィヴィアン・サッセン(1972年生まれ、アムステルダム在住)は、ファッションデザインを学んだ後、オランダのユトレヒト芸術大学で写真に取り組みました。1992年に卒業してからは、アーティストおよびファッションフォトグラファーとして写真に専心します。そうしてアートとファッションという異なる2つの領域を横断することで、作品における鮮やかな色彩、仕掛け、フレーミング、被写体へのアプローチにおいても異彩を放ち、唯一無二で多彩な視覚表現を生み出しています。

子供の頃にアフリカで育ったバックグラウンドや、文学や美術史も、ヴィヴィアン・サッセンにインスピレーションを授けています。またシュルレアリスムの遊び心、曖昧さ、神秘性にも通じるものを見出し、作品にもその影響が見受けられます。死、セクシャリティ、欲望、他者ーそのすべての関わりが、写真や映像、ペインティング、コラージュを組み合わせる作品群を構成するモチーフへと昇華されています。

4.ティエリー・アルドゥアン《種子は語る》/二条城 二の丸御殿 台所・御清所

14.jpg?1713806322978

15.jpg?1713806350349

二条城は1603年(慶長8年)、江戸幕府を開闢(かいびゃく)した徳川家康が、天皇の住む京都御所の守護と将軍上洛の際の宿泊所として築城しました。1867年(慶応3年)には、15代将軍慶喜が二の丸御殿の大広間で「大政奉還」の意思を表明したことでも知られています。徳川家の栄枯盛衰を見届け、日本の歴史の転換点の舞台でもあった二条城は、1994年に世界遺産となり、2017年には年間で国内外から約244万人が入城するなど、今日では日本でも有数の観光名所になっています。

16.jpg?1713807211173

本展は、写真家のティエリー・アルドゥアンとグザヴィエ・バラルおよびフランスの出版社「Atelier EXB」との長年のコラボレーションの一環として開催されています。ティエリー・アルドゥアンは、世界各国の500種以上の種子の写真を撮影。撮影された種子の大半が、フランス・パリの国立自然史博物館の所蔵品です。撮影にはオリンパスが開発した実体顕微鏡を使用し、被写体となる種子の選定やライティングには細心の注意を払っています。その結果、捉えられたイメージは意外性溢れる形態と美しさを提示しています。

ティエリー・アルドゥアンは本展のために、京都の農家が代々受け継ぎ栽培している「京野菜」の種子の撮影も行いました。種子の物語は、原始農業から現代のハイブリッドな種子に至るまで、果てしない多様性に満ちた世界における生命の生存戦略に改めて光を当てます。

17.jpg?1713807235081

キュレーターのナタリー・シャピュイは、種子について以下のように述べています。「種子は神秘的な存在です。種子を観察することは生命の歴史を紐解くことであり、人類誕生以前の自然界を再考・再認識することでもあります。

地球の気候が大きく変動した第三紀には、植物は新たな生息域を開拓し、適応していくことを迫られました。様々な試練を乗り越えるために必要なエネルギーを蓄えた貯蔵庫付きの小さなカプセル、すなわち種子は、多彩な移動戦略を編み出しました。カラフルな色彩で鳥を惹きつけるもの、翼を生やしたもの、防水性の外皮をまとって波に乗り流されるもの、風に飛ばされるもの、植物の毛皮にくっつくためのフックを備えたもの……何千年もの時間の中で、種子の旅は地球上に植物の豊かな多様性を生み出してきたのです。

18.jpg?1713807256547

野生の植物の栽培化や商品化を通じて、種子は人類文明の発展にも寄与してきました。新石器時代には、作物の栽培によって人類の定住が始まり、社会規範や土木技術が形成されます。古代では植物は学者たちにとって魅力的な研究テーマとなり、中世には物々交換や収集の対象でした。近代に入ると、種子は探検家たちとともに長距離を移動するようになります。農業、科学、美学、商業を背景とした人類の欲望に翻弄されながら、種子は今も世界中を駆け巡っています。

植物のエネルギーは国境を越えて広がり、その壮大なスケールの旅は地球の多様性の象徴となっています。種子は、政治や科学、知識が絡み合った、人間と自然の複雑な関係性を物語ります。種子を通じて、私たちの起源だけでなく、未来の世界像までもが見えてくるのです」。

5.柏田テツヲ《空をたぐる》/両足院(建仁寺山内)

19.jpg?1713810710483

両足院は中国の影響を色濃く受け、貴重な古漢や、漢籍・朝鮮本などの文化財も数多く所蔵する塔頭です。唐門からは四角い敷石が斜めに連ねられ、その先に印象的な円窓が配してあります。白砂に苔、青松の景色と相まって、長い歴史を体現するかのような様式美が強い印象を残しています。

20.jpg?1713811577137

大阪で生まれ育った柏田テツヲは、高校の3年間を野球留学(保護者の住む都道府県とは別の、かなり距離の遠い高校に入学し、野球部に所属することの意味)で宮崎県の山奥で過ごし、部活動で禁止されていたため携帯電話を持たずに暮らしました。多感な時期に情報から遮断された反動もあり、日々接する自然の移ろいや脅威に毎日のように心を動かされ、五感が研ぎ澄まされていったと語ります。19歳で写真による制作活動を始めるようになってからも、自ずと自然は作品作りのモチーフのひとつとなりました。

21.jpg?1713824245512

柏田テツヲは、屋久島で滞在制作をした作品で、2023年のKYOTOGRAPHIEのインターナショナル・ポートフォリオレビューの参加者から選ばれる「Ruinart Japan Award」を受賞。2023年秋にフランスのランス地方を訪れ、世界最古のシャンパーニュブランドであるルイナールのメゾンに、アーティスト・イン・レジデンスとして2週間滞在します。現地で職人たちと話したり、ブドウ畑やルイナールが再生を試みる森と対峙する中で、1、2度の気温変化でブドウの糖度が変わりシャンパーニュ作りに大きな影響を与えていることを知り、地球の温暖化がいかに自然環境に影響を与えているかを目の当たりにします。

一個人である自分に何ができるのかを考えながらブドウ畑を歩いていたとき、柏田テツヲは蜘蛛の巣に引っ掛かりました。ほとんど目に見えないながらも存在するという点で、蜘蛛の巣と地球の温暖化に通ずるものを感じ、インスピレーションを受けた作品を現地で滞在しながら制作しました。彼の手によりブドウ畑の葉をつたう様々な色の糸を用いて張り巡らされた「蜘蛛の巣」は、私たち人間の行いそのもののメタファーのようでもあります。温暖化という、目に見えない現象を引き起こしたり、はたまた影響を受けたりしながらも、地球とともに生きていく私たち人間の行いは、まるで空(くう)をたぐるようなものかもしれません。彼の作品は、生命の強さと儚さ、自然の多様性と希少性、そして人間の領分の有限と無限を紐解き、紐付けていくかのようです。

6.ジャイシング・ナゲシュワラン《I Feel Like a Fish》/TIME’S

22.jpg?1713825681396

26.jpg?1713830082825

商業施設や飲食店で賑わう三条木屋町の高瀬川沿いにそびえるコンクリートのビル「TIME’S」は、世界的に活躍する建築家・安藤忠雄の設計により、1984年に建てられました。敷地全体が水面レベルまで下げられ、川と建物が身近に感じられるのが特徴的。木屋町通りの桜が咲く春の眺望も素晴らしいものがあります。

龍馬通りには、1721年(享保6年)に創業した材木商「酢屋」があり、幕末には坂本龍馬をはじめ、多くの海援隊の隊士をかくまっていたという歴史を持っています。

23.jpg?1713826489962

ジャイシング・ナゲシュワランはインド出身の写真家。労働者階級で育ったという生い立ちを乗り越えるように祖母から教育を受けてきました。社会から疎外されたコミュニティの生活を写し取ることに重点を置き、ジェンダー・アイデンティティやカースト制、農村の問題をテーマとした作品を発表しています。

24.jpg?1713826516470

ジャイシング・ナゲシュワランは、自宅にある水槽の中の魚を見るたびに、自分自身を見ているようだと言います。魚には向こう側に広がる世界が見えています。しかし、生きるのに適切だと思われるその世界に魚が触れようとすると、目の前に壁が立ちはだかります。魚が生きて水槽から出るためには、奇跡を起こさなければなりません。インドのカースト制度は、そのような金魚鉢を数多く生み出しています。そしてカーストが低いほど、鉢のサイズは小さくなります。

ジャイシング・ナゲシュワランの祖母は、タミル・ナードゥ州の小さな村、ウシランパッティの出身でダリット系の家庭に生まれました。ダリットは数千年前から続くインドのカースト制度の最下層の人々のことで、「触れてはならない」カーストとして知られ、差別、排除、暴力に直面しています。そこで彼女はヴァディパッティに引っ越して、学校のないダリットも通えるような小学校を設立しました。彼女はナゲシュワラン家の最初の奇跡でした。のちにジャイシングもこの小学校に通いました。

ジャイシングが写真家になろうと決めたとき、自分のカーストを捨て、ダリットであることを忘れる唯一の方法は、都会に出ることだと考えました。父親は、差別が彼につきまとうだろうと警告しました。

25.jpg?1713829179751

長らくジャイシングは自分を第2の奇跡だと考えてきました。国際的な都市を転々とし、著名人を撮影し、映画の道へも進みました。しかし、写真を撮れば撮るほど、彼はダリットがインドの視覚的意識の中にほとんど存在しないことに気づきました。そして、ある日突然大病を患い貯金がなくなり、コロナウイルスにより故郷に戻ることを余儀なくされました。

今、ジャイシングは自分が生まれ育った土地の美しさを目の当たりにして、写真家としてキャリアを積んだはずの自分が持ち合わせていなかった親密な繋がりを実感しています。そうして気が付いたのです―自分が今、この世で一番失いたくないものは、家族と家なのだと。そしてこう語ります。

「私はもっと深く、金魚鉢の中に入ってしまったのです。私の仕事は、ダリット・コミュニティにおける現在進行形の虐殺行為を訴えることです。私は毎日のようにダリット・コミュニティの人々が殺されたり、カーストに基づく様々な虐殺行為を目撃したりするニュースで目を覚まします。アートを通じ私に生み出された意識には、もっと深い物語があることを実感しています。カースト制度が根絶される日が来るまで、私は金魚鉢の中の魚のように感じ続けるでしょう」。

7.川田喜久治《見えない地図》/京都市京セラ美術館

27.jpg?1713830395542

1928年(昭和3年)、京都で執り行われた天皇即位の大礼を記念して「大礼記念京都美術館」として開館した「京都市京セラ美術館」。関西の財界や美術界、市民の寄付により、鉄骨鉄筋コンクリート2階建ての帝冠様式建築として建設された本館は、現存する日本の公立美術館の中で最も古い建築としても有名です。

2015年に再整備計画が策定され、2020年春に通称を「京都市京セラ美術館」として、リニューアルオープン。青木淳と西澤徹夫が共同し基本設計を行い、現代的なデザインが加わりながら、創建当時の和洋が融合した本館の意匠が最大限保存されています。

28.jpg?1713831837560

川田喜久治は、広島と長崎への原子爆弾の投下から15年後にあたる1965年に、敗戦という歴史の記憶を記号化するメタファーに満ちた作品「地図」を発表。このデビュー作はセンセーショナルな驚きとともに、自身の初期のスタイルを決定的なものにしました。以来、現在に至るまで、常に予兆に満ちた硬質かつ新たなイメージで私たちの知覚を刺激し続けています。

29.jpg?1713831978186

本展では、戦後を象徴する「地図」、戦後から昭和の終わりを見届け、世紀末までを写す「ラスト・コスモロジー」、高度経済成長に始まり、近年新たに同タイトルで取り組んでいる「ロス・カプリチョス」の3タイトルを一堂に鑑賞可能です。この3作品はこれまでそれぞれ発表の機会を得ていますが、ここに寄り添う65年という長い時間が一つの場所を構成するのは初めてとなります。

30.jpg?1713831997971

自身の感覚の中に時代の論理を見る川田喜久治の極めて個人的な視座が捉えた時間と世界は、如何にして観る者の世界にシンクロしていくのでしょうか。

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024」のテーマである「Source」には、起源やオリジンといった名詞のほかに、「入手」するという動詞の意味があります。レイト・スタイルにおいて「見えない地図」を手に入れた写真家は、刻一刻と変化する現代の張り詰めたカタルシスを写し、写真というメディウムと、時代と場所を自由に行き来きし、「この時、この場所」を俯瞰しようとしています。

8.From Our Windows 潮田登久子《冷蔵庫+マイハズバンド》/京都市京セラ美術館

31.jpg?1713833391461

潮田登久子は1975年からフリーランスの写真家として活動をスタート。写真家の島尾伸三との間に、1978年に娘のまほが生まれてすぐ、1888年築の東京・豪徳寺の洋館(旧尾崎テオドラ邸)に引っ越します。

32.jpg?1713833414855

本展では、娘が生まれてからの約7年間にわたり、夫や娘、洋館での暮らしを捉えた《マイハズバンド》と、自身の生活を記録に留めるように自宅の冷蔵庫を定点観測したことから始まり、その後親族や知人、友人らの冷蔵庫を20年におよび撮影した《冷蔵庫/ICE BOX》シリーズを展示。

33.jpg?1713834148425

潮田登久子は本作品について、以下のように述べています。

「2019年3月、40年間借りていた古い西洋館2階の部屋を整理中、部屋の隅の洋服ダンスの奥から、長年寝かされたままの段ボール箱が見つかりました。一眼で私が撮影、現像、プリントしたものを入れたものだとわかりました。すっかり忘れていたのですが、この部屋で島尾伸三(夫)と生まれたばかりのまほと3人で暮らしていた1978年から1985年位までの生活と、それ以前の作品が残っていて、ただ懐かしいだけでは片付けられない、当時の気持ちに引き寄せられている自分に気づくのでした。

(中略)

思いがけないこの生活の伴侶でもある冷蔵庫を眺め、開けたり閉めたりして撮影してみることにしました」。


以上、12年目を迎えた「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024」についてご紹介しました。問題提起する作品や、思考力が深くなる作品など、どれも見逃せません。気になる方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。


■「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2024」

会期:2024年4月13日(土)~5月12日(日)

場所:インフォメーション町家 八竹庵(旧川崎家住宅)、誉田屋源兵衛 竹院の間・黒蔵、京都芸術センター、京都文化博物館 別館、嶋臺(しまだい)ギャラリー、京都新聞ビル地下1階、二条城 二の丸御殿 台所・御清所、両足院、ASPHDEL、Sfera、TIME’S、京都市京セラ美術館、DELTA / KYOTOGRAPHIE Permanent Space

時間: 会場によって異なります

チケット:パスポートチケット 一般 5,500円/学生 3,000円

京都市民割  一般 5,000円

団体割引 一般 4,950円 / 一人 

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭

山梨県・小淵沢にある「中村キース・ヘリング美術館」にて開催中! 「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展と「ハウス・オブ・フィールド」展

2024/04/22
by 遠藤 友香

01.jpg?1713740230287

山梨県・小淵沢にある「中村キース・ヘリング美術館」では、1980年代のニューヨークを生きたキース・ヘリングの作品を写真や資料とともに紐解くコレクション展「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展と、世界的ファッションスタイリストであるパトリシア・フィールドのアートコレクション展「ハウス・オブ・フィールド」展を2024年5月19日(日)まで開催中です。

中村キース・ヘリング美術館は、1951年生まれの長野県出身の建築家である北川原温によって設計されました。詩や音楽をモチーフにした個性的な設計で知られています。公共・民間の多くのプロジェクトを手掛け、2015年ミラノ万博日本館(120カ国以上が参加、日本館が史上初の金賞受賞)の建築プロデューサーを務めました。

中村キース・ヘリング美術館館長の中村和男氏は、「1980年代の日本経済は、ニューヨークを象徴するロックフェラー・センターを日本企業が買収するなど、バブルで右肩上がりの情勢でした。それに比べ、当時のニューヨークは経済不況で治安も悪く、犯罪都市というレッテルを貼られていました。

一方ではストリートアートが注目され、クラブカルチャーが重要なエッセンスとなっていました。同時に、レーガンの保守的政権下で白人男性主義的な社会に対する反体制派の声も聞こえていました。ニューヨークで私が初めてキース・ヘリングの作品に出会ったのは、そんな1987年のことでした。へリングは明るくポップな作品だけでなく、反戦反核、有色人種やセクシャルマイノリティへの差別撤廃など、社会の不平等に訴える作品を生涯制作し続けました。そのメッセージは40年を経た現代社会にも警鐘を鳴らし続けています」と述べています。

まずは、「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展についてみていきましょう。

■「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展

本展では、キース・ヘリングが活動した1980年代ニューヨークにおける「アンダーグラウンド・カルチャー」「ホモエロティシズムとHIV・エイズ」「社会に生きるアート」「ニューヨークから世界へ」の4つの視点から、中村キース・ヘリング美術館収蔵のキース・へリングコレクションを紐解きます。

1970~80年代にキース・ヘリングが生きたニューヨークは、パンク・ロックやヒップホップファッションなど新しいカルチャーが注目され、成功を目指す人々が世界中から集まる可能性に満ちた街である一方、犯罪が蔓延する危険な状態が続いており、それらが危ういバランスで成り立っているスリリングな街でした。

80年代にそのような社会の中で生まれたキース・ヘリングの作品は、命に関わる感染症との共生、児童福祉教育や人権問題をはじめとする持続可能な社会実現に向けた課題など、今日を生きる私たちにも強烈なインパクトを与えます。ヘリングが残したメッセージを、同時代を生きた写真家たちの記録写真や多くの資料が並ぶ展覧会を通して発信しています。

05.jpg?1713740874169

中でも観ていただきたいのが、日本初公開となる「マウント・サイナイ病院のための壁画」(1986年)です。本作品は、ニューヨークの小児病棟で、患者である子どもたちのために制作された幅5mを越す大作です。描かれた病院の立て直しに伴い、倉庫で保存されていた壁画を日本では初公開、世界的にも34年ぶりに公開します。なお、本作品は、キース・ヘリングが子どもたちの未来のためにどのように貢献してきたのかを表す重要な作品として世界的にも注目されています。

02.jpg?1713740839208

また、キース・ヘリングは一部の富裕層だけではなく、すべての人にアートを届けたいという信念から、経済状況や年齢に関わらず身近に接することのできるアートとして、多くのグッズも制作しました。

次に、「ハウス・オブ・フィールド」展をご紹介します。

■「ハウス・オブ・フィールド」展

03.jpg?1713740894700

「ハウス・オブ・フィールド」展は、映画『プラダを着た悪魔』(2006年)、米TVドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(1994年-2004年)で、衣裳デザイナーおよびスタイリストとして、アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネート、エミー賞衣装賞を受賞するほか、現在Netflixで公開中のTVドラマシリーズ『エミリー、パリへ行く』(シーズン1、2)Netflix(2020、2021年)で活躍するパトリシア・フィールドが、半世紀をかけて蒐集したアートコレクションを紹介する展覧会です。

ニューヨークに生まれ育ったパトリシア・フィールドは、24歳の時に初めて自身のブティック「パンツ・パブ」をオープンしました。このブティックは、のちに自らの名を冠した「パトリシア・フィールド」となり、イースト・ビレッジを中心に移転を繰り返します。そして場所を移しながら「ハウス・オブ・フィールド」と呼ばれるコミュニティを形成していきました。

「ハウス」は、1970年代以降のニューヨークのアンダーグラウンドシーンで、黒人や、ラテンアメリカのスペイン語圏出身のラティーノのLGBTQ+コミュニティで、“従来の枠組みに囚われず生活を共にする集団がその結束を示す言葉”として使われてきた言葉です。現在も「ハウス・オブ・フィールド」は、パトリシア・フィールドを中心に彼女のブティックに所属するスタッフやデザイナー、アーティスト、美容専門家、彼女を慕う人々のコミュニティとして健在しています。

パトリシア・フィールドは作品を購入することでアーティストたちを支え、アーティストたちも彼女を敬愛しポートレートを贈りました。それらの個性豊かなアートが、壁やショーウィンドウ、試着室の扉にいたるまで空間全体を彩るブティックは、2016年春に惜しまれながら閉店し、彼女のアートコレクションの主要作品約190点が2016年に中村キース・ヘリング美術館に収蔵されました。

04.jpg?1713740911636

本展では、パトリシア・フィールドが半世紀をかけて集めたコレクションから、日本初公開作品を含むペインティングや写真、オブジェなど約130点を公開します。人間の欲望をポジティブなエネルギーに変換するかのようなパワフルな作品は「自分らしく生きることとは何か」を問いかけ、本展を通してパトリシア・フィールドの歩んできた道のりや想いを汲み取ることができるでしょう。

また、中村キース・ヘリング美術館館長の中村和男氏は本展に関して、以下の言葉も述べています。「キースはHIVになって苦悩を抱え、31歳で亡くなりました。生きていくということに関しては、誰しもがエネルギーがあって、お金持ちだけがエネルギーがあるわけではなく、貧しくたって絵が描けなくたってエネルギーを持っていて、そのエネルギーを、あるときには街の中でスケボーで解消したりとか、いろんな遊びで解消していた。そういうエネルギーの中で作品が生まれ、そこの中で今回ルネッサンスという表現もとっています。

アートにはメッセージ感じ取る部分があり、それは画商が扱うだけでなく、誰にでも開かれています。今回、展覧会を開催するにあたり、パトリシア世界も表現したいと思いました。パトリシア集めものは有名画家が描いたものではなくもう辞めてしまったとか、亡くなっとか本来なら画商扱えないものですが、観たときに僕らをハッとさせますこのエネルギー影のようなところに面白さ感じいただけると思います

最後強調したい、キース・ヘリングによる病院で壁画です。こニューヨーク小児科病院病棟で描いたものです。単純なにかほっこりする絵本見たよう全く新しい創造持つ優しさを感じます。さんにはこの作品だけではなく小児病棟で癌なった子供たち長期入院しているき何を感じていたのかということにも思いを巡らせて欲しい

僕らに絶対計り知れない彼ら、彼女たちや親御さんにとって、世界生きいるいつまで生きられるどうってことすらわからない不安に襲われる。そんな中、は優しさの中でその壁画を描いた。子供たち勇気もらっかもしれない

最後に、パトリシア・フィールドから届いたメッセージをご紹介しましょう。

「日本のアートラバーの皆さんがお越しくださっていることを、とても嬉しく思います。私の蒐集した作品と、この美しい美術館に興味を持っていただいたことに深く感謝し、私の愛を贈ります」と述べています。


■「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展

会期:2023年6月3日(土)ー2024年5月19日(日)

開館時間:9:00-17:00(最終入館16:30)

休館日:定期休館日なし

※展示替え・メンテナンス等のため臨時休館する場合があります。

観覧料:大人:1,500円/ 16歳以上の学生:800円/ 障がい者手帳をお持ちの方:600円

15歳以下:無料 ※各種割引の適用には身分証明書のご提示が必要です。

同時開催:「ハウス・オブ・フィールド」展(自由の展示室)

※コレクション展観覧券で観覧できます。

中村キース・へリング美術館 (nakamura-haring.com)

日本最古の伝統芸能である“能”の世界を気軽に体験できる「ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ」の宿泊プラン

2024/04/17
by 遠藤 友香

01.jpg?1713317152312

世界初にして最大の国際的な高級ホテルブランドであり、世界で最もエキサイティングな地域に200以上のホテルを展開するインターコンチネンタル ホテルズ&リゾーツに属する「ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ」では、2024年4月23日に、日本最古の伝統芸能である能の世界を気軽に体験できる宿泊プランをご用意しています。

能楽は、700年ほど前に観阿弥・世阿弥親子によって大成されました。現存する世界最古のパフォーミングアーツとして、ユネスコ世界無形文化遺産に登録されている、日本を代表する古典芸能です。

その表現方法は人間の普遍的な喜怒哀楽を独特の動きを抑えたスタイルで、徹底した「様式美」を作り出しています。また能の起源は奉納芸能であるため、日本の神仏をテーマにしたものや、世阿弥が生きた時代に流行っていた、平家物語や源氏物語を主題とする作品が多くあります。

この度の「能鑑賞付き宿泊プラン」 は、宿泊の当日に3階にある宴会場 「ハーバービューテラス」にて、 能楽を初めてご覧いただく方にもわかりやすいワークショップ形式で、能楽の「お囃子」 と呼ばれる楽器の演奏と解説からスタート。能面や能の衣装「装束」 の解説のあと、「謡」と「舞」で表現する 「仕舞」 を鑑賞していただき 、 最後に「謡」と「舞」と「お囃子」を同時に実演する「舞囃子」 の形式で、能楽の中でも700年間人気であり続ける「高砂」を上演します 。

出演者は、 重要無形文化財総合指定保持者のシテ方観世流 能楽師の上田貴弘氏、上田公威氏他、小鼓方大倉流能楽師16世宗家であり人間国宝の大倉源次郎氏など、総勢8名による演目となっています。

02.jpg?1713317192583

シテ方観世流 能楽師の上田貴弘氏


シテ方観世流 能楽師の上田貴弘氏は、「シテ方観世流は、能楽を大成した観阿弥・世阿弥親子から続く能楽の流派で、現在二十六代目となっています。観世流の拠点は、銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX」の地下3階にある「二十五世観世左近記念観世能楽堂」となっています。

今回は「能楽への誘い―春を寿ぐー」というタイトルで、能楽鑑賞が初めての方にも能楽の魅力を楽しんでいただけるよう、ワークショップ形式、かつバイリンガル対応で解説を入れながら進めます。

「屋島(やしま)」は源義経が主人公の演目です。讃岐の春の海の美しい情景で、こちらは「仕舞」という形式でみどころを主役のシテの謡と舞、そしてコーラスとなる地謡(じうたい)で構成しています。

「高砂(たかさご)」は、以前は結婚式におめでたい曲として、700年程謡われている能楽の人気曲です。兵庫県高砂が舞台、和歌の守護神 住吉明神が主人公です。春の美しい情景の中を颯爽と舞い、夫婦の和合と和歌の徳を寿ぐ曲となっています。こちらは舞囃子(まいばやし)という形式で、仕舞の形式にお囃子が入ったものでより華やかです。

能楽は、人間がもつ喜怒哀楽を内に込めたパワーを表すので、初めはわかりにくいかもしれませんが、解説を聞いたり、予習をしたりすると、本物に触れる面白さが見つけやすくなるかもしれません。是非皆さまには、今回の催しをきっかけに能楽堂にもお出ましいただけたらと思います」と述べています。

ぜひこの機会にホテルでゆっくり寛ぎながら、春を寿ぐ能の時間をお楽しみください。


■能楽への誘いー春を寿ぐー能鑑賞付き宿泊プラン

【宿泊日】2024年4月23日(火)より1泊

【料金】1室2名様利用時の1名様料金

※料金は消費税、サービス料を含み、別途宿泊税を頂戴します。

[プランに含まれる内容 ]ご宿泊1泊、能楽イベント参加費

クラシックルーム 69,500円

クラシックルーム NAGOMI ラウンジアクセス付き 82,250円 
クラシックルーム クラブラウンジアクセス付き 86,500円

*チェックインは15:00 ~、チェックアウトは12:00まで

【能楽イベントの内容】
日時:4月23日(火) 開場 18:00 / 開演 18:30 / 終演 20:00 予定
場所:3階 宴会場「ハーバービューテラス」
構成:番組
一、お囃子ライブ 二、お囃子解説ワークショップ 三、仕舞 「屋島」
四、能面・装束解説ワークショップ 五、舞囃子「高砂」
出演:シテ方観世流
上田貴弘、上田公威、角幸二郎、木月宜行
笛:竹市学、小鼓:大倉 源次郎、大鼓:大倉慶乃助、太鼓:林雄一郎

【4月23日限定】能鑑賞

鑑賞料お一人様 12,000円

■注意事項
こちらのお申込みは能鑑賞のみのご案内となります。宿泊代は含まれていません。
お申込み後、メールアドレスへお支払い用リンクをお送りします。
お支払い完了後、ご予約確定となります。
演者はやむを得ぬ事情により変更になる場合もあります。
お席はお申込み順とさせていただきます。

震災の記憶を風化させず未来を志向する「第二回岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞」 授賞作品決定

2024/04/11
by 遠藤 友香

執筆者:遠藤友香

01.jpg?1712793924169

岩手・宮城・福島 MIRAI文学賞・映像賞実行委員会は、2024年3月30日に仙台市内にて、「第二回岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞」授賞作品の授賞式を開催しました。

「岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞」は、震災の記憶を風化させず未来を志向するために、未来を担う若者に地域の魅力・希望・未来を切り取ってもらい、文字と映像の力で3県を訪れる人が増えることを期待し設立されました。選考は、実行委員会が依頼した各界の有識者により審査されました。

MIRAI文学賞 授賞作品には、ファラ崎士元氏(33歳・団体職員)による作品「日本のグリムを追って」と、梅若とろろ氏(23歳・大学生)の作品「かえるところ」が選ばれました。

MIRAI映像賞 授賞作品には、なないろ氏(21歳・大学生)の作品「東北サプライズ 〜胸がときめく、面白い旅へ〜」 と、Arrangers‘氏(21歳・大学生)の作品「心を調律する東北「音旅」」が選考されました。

受賞作品は公式ホームページでの公開に加え、3県の観光PR等での活用を予定しています。

授賞式において、岩手・宮城・福島 MIRAI文学賞・映像賞実行委員会事務局の八重嶋拓也氏は、「今年受賞した作品素晴らしかっです応募いただい作品拝見拝読しますかなり1年比べ表現広がっなと感じおります。東北自然です文化、歴史、食、観光人の温かさを、こんなふう切り取っ表現してくださるってこと事務局してそうです地元1住民してすごく嬉しく感じました。この作品を通じて実際3県運ぶもっと増えたらと考えおります」と述べました。

MIRAI文学賞を授賞された梅若とろろ氏の作品「かえるところ」は、主人公バイト先輩実家ある福島県須賀川市訪れ様々出会い温かみ触れ引っかかっいた悩み見つめ直しいくストーリーです

梅氏は「この度素晴らしい賞をいただき、大変光栄です福島県須賀川市生まれました円谷英二監督生家近所あり幼い連れられ、レリーフ行っ覚えておりますそのため円谷英二監督にとって身近存在でした歴史文化恵まれ須賀川市を訪れいただきたくこの訪れた青年の心の回復を描きました震災当時から今日まで、私達は日々の生活を、一歩一歩歩んまいりました次世代バトン繋げられるよう、微力ながら故郷へ貢献できればと思います」と語りました。

MIRAI映像賞を授賞された「心を調律する東北「音旅」」のArrangers‘氏は、「昨年9月合宿東北訪れましみんな東北魅力や未来いうたくさん話し合っ結果やはりリラックス癒しいうもの出たですけどもそれ加え東北温かさとかあまり多く語らないよう東北人柄だったり喋りそして観光地どこか違う素朴いうものが東北魅力じゃないいうふう感じました

SNS映えとかスマホいうもの無意識疲れしまっいる若者東北運んスマホいうもの忘れ自分浸るそして東北という環境に浸るというストーリー表現しようと考えました。東北ならでは三陸鉄道とか作りとかサウナそしてサウナから直接飛び込むいうあまり東京できないよう経験ありましそのよう若者刺さるような、琴線触れるポイント詰め込みましたのでぜひ視聴いただきよけれ運んいただきたいいうふう思っいます」と述べました。

文学審査された、石巻専修大学遠藤郁子教授は、「今回非常意欲的作品集まっこちら読みながらいろいろこと考えさせられました。授賞作2作品は、両方紀行文性格文学だったのすが本当その何か根ざしよう手触り感じるよう文章でした若い感性による瑞々しい描きで、その文化触れ合っいる様子とても魅力的でした」とコメントしました。

映像作品審査され福島大学奥本英樹教授は、「映像最終選考に残った5作品見て感じこと本当若い世代っていう作りすごく上手なったって感じました。生まれときからスマホあって、多分いろいろな映像を自分作るっていうこともうすごく経験てるたち多いっていうまず思いあります。全て、すごくレベル高かっのでそこ驚きました

「心を調律する東北「音旅」」は、切り口やっぱり素晴らしかっ思います。こ映像はフィーチャーてるですけれども、都会はあまりにも多すぎその一つ一つには意味あるかもしれないけれどそれ多すぎる雑音なってしまうだけどこういう静寂一つ一つ切り取っ聞いみるそこには自然だったりだったりいろんな営み感じられそういったその素晴らしさ我々五感生きいるわけですからその一つ五感フィーチャーしたその切り口すごく素敵だった思います」と述べました

■「岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞2024」作品募集開始

「岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞2024」は、2024年4月1日から2024年11月30日 23時59分までの期間、作品の募集を行っています。

募集作品は、岩手・宮城・福島に足を運びたくなることをテーマとした未発表作品で、文学賞は12,000字以内で、現地を訪ねたくなる、若者を主人公にした小説、映像賞は、3~5分以内の現地を訪ねたくなる、ジャンル不問の動画です。

応募資格は、18歳(高校生可)~35歳までで、国籍・プロアマを問いません。文学賞・映像賞ともにMIRAI賞として、2名ずつに記念品と賞金50万円が贈呈されます。我こそは! と思う方は、ぜひ応募されてみてはいかがでしょうか。

岩手・宮城・福島MIRAI文学賞・映像賞 (miraiaward.jp)

世界を魅了する現代都市社会から生まれた“アーバン・アート”が集結! 東京初上陸の「MUCA展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~」

2024/04/04
by 遠藤 友香

11.jpg?1712200632171

執筆者:遠藤友香


2016年にクリスチャンとステファニー・ウッツによって、ドイツ初のアーバン・アートと現代アートに特化した美術館として開館した「Museum of Urban and Contemporary Art(MUCA)」。開館以来、MUCAはこの分野での作品収集の第一人者として知られています。

現在、1,200 点以上のコレクションを誇り、ヨーロッパでも最も重要なアーバン・アートと現代アートのコレクションの一つとして認められています。ポップ・アートからニューリアリズムまで、都市環境の中の芸術、抽象絵画、社会・政治問題など、多様なテーマを扱い、コレクションの形成を開始してから25年以上にわたって影響力を拡大し続けています。

この度、MUCAが所蔵するコレクションを紹介する展覧会、テレビ朝日開局65周年記念「MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜」が、2024年6月2日(日)まで、東京・森アーツセンターギャラリーにて開催中です。

本展に参加するアーティストたち、例えば、世界的に人気を博すバンクシーやカウズ、アーバンアートを牽引する国際的に著名なアーティストのインベーダー、JR、ヴィルズ、シェパード・フェアリー、バリー・マッギー、スウーン、オス・ジェメオス、リチャード・ハンブルトンらは、都市のインフラをキャンバスに、コミュニケーションを行っています。彼らは儚い美学に対する独自の感覚を持ち、最も革新的な芸術運動のパイオニアになりました。それぞれの作品はストーリーを語り、視覚芸術の歴史に貢献しています。

アーバン・アートは、言語、文化、宗教、出身地の壁を越えた視点から世界を見つめ、考えることを可能にする新しい芸術のかたちを生み出しました。その強みは、ルールや規制に縛られることなく、観客として私たちに目を向けさせることにあります。アーバン・アートは、社会的不公正、資本主義、人種差別などのテーマを、魅力的な手法と普遍的なモチーフで浮き彫りにします。

今回は、本展に出展されている5組のアーテイストの作品をご紹介します。

1.カウズ

アメリカ合衆国のアーティストでデザイナーのカウズことブライアン・ドネリーは、幼い頃から絵を描き始め、NYのスクール・オブ・ビジュアル・アーツで学士号を取得。その鍛え抜かれた眼で、歴史上最も有名な名画を正確に模写し、印象的なポートフォリオを作り上げました。

1990年代、グラフィティで注目を集めるようになると、自分自身のスタイルを確立することを決意。バス停や電話ボックスの広告に、自ら改良したデザインをスプレーし、カウズ(KAWS)と名乗るようになりました。この活動名は、1990年代にNYの街を席巻した商業ポスターに描かれた大きな文字の組み合わせに基づくもの。広告の上にスプレーをするということは、公共空間を取り戻すための、彼なりの挑発的な取り組みの一つでした。

バツ印の目が特徴の立体的な「コンパニオン」というキャラクターシリーズは、特に人気が高くなっています。また、シンプソンズ、スヌーピー、スポンジ・ボブなど、既存のキャラクターを再解釈し、リデザインすることも。悲しげで死にそうな彼のコンパニオンは、永遠に陽気なミッキーマウスに対するアンチヒーローと見ることもできます。

ナイキを始め大手ブランドとのコラボレーションや、カニエ・ウェストのようなミュージシャンのアルバムジャケットをデザインするなど、アートと商業の境界を常に曖昧にしています。彼の作品は、世界中のギャラリー、美術館、野外展覧会で展示されており、ハイ美術館(アトランタ)、フォートワース現代美術館(テキサス)、ローゼンブルム・コレクション(パリ)などでも見ることができます。

01.jpg?1712188330285

カウズ《4フィートのコンパニオン(解剖されたブラウン版)》2009年


NYのブルックリンを拠点に活動するアーティストのカウズは、1990年代後半に独自の漫画キャラクターを広告看板に落書きしたことでその名が知られるようになりました。自身の活動を進化させるにつれ、コレクター向けの「フィギュア」を制作するように。彼の愛すべきキャラクターを立体化した作品は、その後ファインアート彫刻である本作の基礎となりました。この大型作品は、最も有名なキャラクターである「コンパニオン」のバリエーションの一つです。

02.jpg?1712188665803

カウズ《カウズ・ブロンズ・エディション #1-12》2023年 


この12体のブロンズ・エディションは、2010年以降に大規模なパブリック・インスタレーションとして、各地に出没したカウズのキャラクター作品を記念して制作されました。これらのブロンズ像は、ソウル、香港、富士山、さらには宇宙など、世界中の様々な場所に出没した巨大なパブリック・インスタレーションを小型化したものです。

泣いているキャラクターがいたり、子供を抱いているキャラクターがいたりと、いわゆる人間の日々の生活を表現しており、親しみを感じる作品です。

2.シェパード・フェアリー

シェパード・フェアリー(本名 フランク・シェパード・フェアリー)は、スケートボードやパンク音楽と同時に、早くから芸術への情熱を育んでいった、現代のストリート・アーティスト、グラフィック・デザイナーの中で最も優れた才能を持つ一人です。15歳で糖尿病と診断された彼は、それ以来、人間の死というものを意識しながら、人生で大切だと考える全てのものをたゆまず追求していきました。

彼の作品は、バーバラ・クルーガー、キース・へリング、ジャン=ミシェル・バスキア、ロビー・コナルなどのアーティストから多大な影響を受けていることが特徴です。フェアリーは1989年に、新聞紙から切り抜いたレスラーをモチーフにしたステッカー運動の「アンドレ・ザ・ジャイアント・ハズ・ア・ポッセ(Andre the Giant Has A Posse、アンドレ・ザ・ジャイアントには仲間がいる)」で、一躍有名になりました。この活動は、ステッカーが独自に複製されたことにより、世界的なムーブメントに発展しました。

彼の作品には、伝説となったものもあります。例えば「アラブの春」の代表的なデモ参加者を描いた『タイム』誌の2011年版パーソン・オブ・ザ・イヤーの表紙や、2008年のバラク・オバマ元米大統領の印象的な《ホープ(Hope)》のポートレートなどです。フェアリーのテキストとイメージの使い分けは、芸術と商売の区別を曖昧にしていますが、彼は決して商売を敵視しているわけではありません。彼の視点に立てば、その2つは互いに必要なもの。フェアリーは自分の作品を公共の場で見せることで、社会政治的な批評を身近な方法で実現しています。

03.jpg?1712190709301

シェパード・フェアリー《注意して従え》2006年


フェアリーのアート作品の多くは、政治的な目的と芸術的な目的を融合させ、これら2つのコンセプトを簡潔に抽出し、イメージの本質を探究しています。

本作の中央には権威的な存在感を放つ謎めいた人物、そしてその上には「Obey with Caution」の文字が刻まれています。自身のスローガン「Obey(従え)」を使い、「with Caution(注意して)」と続けることで、現状の政治体制を闇雲に受け入れる危険性を指摘しています。

04.jpg?1712191081107

(画像左下)シェパード・フェアリー《マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師》2005年


フェアリーは長年にわたり、アイコン的な著名人を作品の題材として採用してきました。その中でも最も注目に値する例は、2008年にバラク・オバマ元米大統領のポスターを手掛け、彼の大統領選での勝利を後押ししたことでしょう。

フェアリーは本作において、公民権運動の先駆者であるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師を不朽の名作に仕立てています。キング牧師は、フェアリーがその輝かしいキャリアの中で取り上げた数多くの重要人物の一人です。

3.バリー・マッギー

バリー・マッギーは、自身のアートをビジュアル・コミュニケーションの一種として捉えており、作品を公共の場に置くことで、ギャラリーや美術館で展示するよりも多くの人に見てもらうことができると考えました。サンフランシスコや近隣の都市にメッセージを広げ、大学の仲間たちとともに、フォーク・アートやコミック、1970~80年代のグラフィティに強い影響を受けた「ミッション・スクール」と呼ばれるローブロー・ムーブメントに参加しました。このジャンルの作品は、一般的に作品がそれぞれ一定の距離をもって展示されるギャラリーの常識に反し、意図的に密集して展示されるのが特徴です。マッギーは、2001年のヴェネツィア・ビエンナーレへの出品で、国際的に広く知られるようになりました。

マッギーはギャラリーの壁に飾るストリート・アーティストの第一人者であり、彼の作品は、木や金属などのリサイクル素材と、キャンバス、紙、絵具を組み合わせています。インスタレーションの多くは、ガラス瓶やスプレー缶などの使用済み素材で構成され、抽象的で幾何学的な構造が特徴で、そこにメッセージを含んでいるものもあります。カラーブロックやパターンを組み合わせるユニークな手法が象徴的で、彼が描く絵画とインスタレーションは、現代の都市文化を反映し、都市の生活者が毎日目にする広告で感覚過多になる問題に問いを投げかけています。マッギーの代表作の一つに、路上生活を余儀なくされている人々を象徴した、困惑する表情の風刺画があります。それには、彼の社会政治的なメッセージが込められています。

今日、マッギーの作品は世界中のストリート・アーティストやアーバン・アーティストに影響を与え、この分野の内外で大きな尊敬を集めています。特に、サーファー、スケーター、スプレーアーティストなど、様々なサブカルチャーのフォロワーから賞賛されています。

05.jpg?1712193364319

06.jpg?1712193392739

バリー・マッギー《無題》2019年


1980年代のサンフランシスコにおけるグラフィティ・シーンの中心人物であるマッギーは、ツイスト(Twist)やフォン(Fong)という名前で作品を制作していました。彼の初期のパブリック・アートは、都市環境で生きる上でのプレッシャーを非難する作品が多く、憂鬱な印象に裏打ちされています。

本展で展示されている作品を含め、マッギーの作品は彼の初期のキャリアに言及しているものが多くなっています。本作では、彼の初期の活動名である「Fong」という文字と、マッギーのものだと一目でわかる様式化されたポートレートが、構図の重要な要素となっています。

4.オス・ジェメオス

オス・ジェメオスはポルトガル語で「双子」という意味の、ブラジルで最も有名な2人組のストリート・アーティスト。一卵性双生児のグスタボとオターヴィオ・パンドルフォは、サンパウロで最も古い地区の一つでありカンブシで育ち、小さい頃から何をするにも一緒でした。イラストを通じたコミュニケーションを学び、やがて2人で活動することを決意しました。

オス・ジェメオスは早い段階から、ペインティング、ドローイング、彫刻の様々なスキルを身につけ、ユニークで特徴的な世界、無意識から生まれたような絵画の世界を作り出しました。彼らの作品には「夢」というテーマがあり、それら彼らの気まぐれな世界への入り口と解釈できます。黄色を基調とした楕円形の顔の人物は、シュルレアリスム建築の中に不規則に出現します。こうした作品の色は、兄弟が夢の中で思い浮かべたものを基に選んでいます。

2014年のFIFAワールドカップでは、ブラジル代表のプライベートジェットの装飾に起用されるなど、彼らのアートは常に際立った創造性を発揮し、その限界を感じさせません。オス・ジェメオスは、作品に対して常に目的と意味を見出しています。それは、人々の感情を揺さぶり、想像力と自己認識を刺激することで、それぞれが自分の内面を見つめ直し、向き合うべきものを発見することを促します。

07.jpg?1712194971159

オス・ジェメオス《リーナ》2010年


オス・ジェメオスがストリートで活動を始めたのは、生まれ故郷であるブラジルのサンパウロでした。1980年代のNYのヒップホップやグラフィティ・カルチャーに触発された彼らは、様々なキャラクターや文化的影響を盛り込み、夢からインスピレーションを受けたような大規模な壁画を描き始めました。オス・ジェメオスは、グラフィティ・ムーブメントの急進的な原理を取り入れ、それを踏み台にし、ルールのない世界と視覚的な言語を創造しました。本作では、一目でそれとわかる彼らのスタイルと、想像力豊かに視覚化されたキャラクターを見ることができます。

5.バンクシー

ストリート・アーティスト、政治活動家、映画監督、画家といった肩書を持つバンクシー。世界的に有名であるにもかかわらず、その正体は不明のままです。1974年、イギリスのブリストルで生まれたと推測されています。ブリストルのアンダーグラウンド・シーンで活動し、14歳でスプレーを用いてグラフィティを始めたバンクシーは、その後活動の幅を広げ、国際的に活躍するようになりました。現在、最も有名なストリート・アーティストです。彼のメッセージの多くは、戦争、資本主義、支配層による権力に反対するもの。

バンクシーの最も著名な功績の一つに、《ガール・ウィズ・バルーン(Girls With Baloon , 少女と風船)》を自己破壊的な行為によって《ガール・ウィズアウト・バルーン(Girls Without Baloon , 風船のない少女)》とタイトルを変更した作品があります。この作品に纏わるオークションでの出来事以来、彼は遊び心のある批判的な作品で、世間に繰り返し警鐘を鳴らしています。

08.jpg?1712197026146

バンクシー《少女と風船》2004年


2017年にイギリスで最も好きな絵画に選ばれた本作。スプレー・ペイントという技法と、感情と意味を瞬時に多くの観客に伝えることを組み合わせており、バンクシーの象徴的な作品となっています。

元々は2002年にロンドン・サウスバンクで描かれたもので、本作はバンクシーがストリートの制作に使用したものと同じステンシル技法を使用しています。当初は制作スピードを上げるために利用されていた技法ですが、徐々にバンクシーはスタジオでの練習にも使用し始めました。彼の美学と制作手法が具体的、かつ忠実に再現されています。

09.jpg?1712197657087

バンクシー《風船のない少女》2018年 Private Collection


本作は、2018年にロンドンのサザビーズで開催されたオークションで、バンクシーの有名な作品の一つである《少女と風船》のプリント版が落札された直後に、バンクシー自ら仕掛けたシュレッダーにかけられたことで話題になった作品です。

この予期せぬ大胆な自己破壊的行為はアート界に衝撃を与え、生み出された新しい作品はバンクシーの公式認証機関ペスト・コントロールにより、《少女と風船》から《風船のない少女》に改題されました。

バンクシーは後に、オークションに先立ちシュレッダーをフレームに組み込んでいる様子の動画を自身のSNSで公開し、「どんな創造活動も、はじめは破壊活動からはじまる」というピカソの名言を添えました。バンクシーのしばしば破壊的で深遠なアプローチを反映したこの出来事は、アートの本質、アーティストの役割、そして作品の価値に対する市場の執着についてのアーティストの考えに興味深い洞察をもたらしました。

10.jpg?1712198710923

バンクシー《愛は空中に》2002年


本作はバンクシーの有名な作品の一つで、「フラワー・スロウワー(花束を投げる男)」とも呼ばれています。元々ステンシルの壁画である本作は、覆面のデモ参加者や暴徒が、紛争を連想させる火炎瓶や武器の代わりに、カラフルな花束を投げようとしている様子を描いています。

暴力や抗議という行為と、花を捧げるという平和的な行為の2つの対照的な要素を組み合わせ、また愛と希望、そして逆境に立ち向かう非暴力的な抵抗というメッセージも込められています。

バンクシーは、昔ながらの紛争のイメージを覆すことで、観る者の権力に対する認識に異議を唱え、変革を実現する手段としての暴力の有効性に疑問を投げかけています。


MUCA創設者のクリスチャンとステファニー・ウッツは「私たちは、アーバン・アートが20世紀と21世紀の最も重要な国際的芸術運動の一つであると信じています。本展が、このジャンルの「アイコン」たちに対する観客の関心を高め、その魅力を伝え続けることを、私たちは願っております」と語っています。ぜひ、この貴重な機会にアーバン・アートに触れてみてはいかがでしょうか。

テレビ朝日開局65周年記念 『MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~』
期間:2024年3月15日(金)~6月2日(日) ※会期中無休
開館時間:日曜日~木曜日:10:00~19:00(最終入館18:30)、
金曜日・土曜日・祝日・祝前日・ゴールデンウイーク(4/27~5/6)は20:00まで(最終入館19:30)
会場 :森アーツセンターギャラリー
東京都港区六本木6丁目10−1 六本木ヒルズ森タワー 52階

MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜 (mucaexhibition.jp)

建築家・石上純也が手掛けた自然のアート「水庭」を鑑賞しながら、本格フレンチを愉しめる宿泊施設「那須 無垢の音」

2024/04/03
by 遠藤 友香

02.jpg?1712124226320

執筆者:遠藤友香


株式会社タカラレーベンは、4月1日(月)、栃木県那須郡那須町に「那須 無垢の音(むくのね)」を開業しました。

「那須 無垢の音」は、35,000㎡を超える広大な自然の中で宿泊できるホテル施設です。季節ごとに変化を見せる那須の美しい自然の中で、季節の食材や地元の味覚を取り入れた本格フレンチを満喫できるスモールラグジュアリー仕様のオーベルジュです。

21.jpg?1712205289793

04.jpg?1712124502178

敷地内には、他では見ることのできない建築家・石上純也氏の緻密な計算と繊細な感性により生まれた壮大なる作品「水庭」を鑑賞できます。美しき風景であるのにも関わらず、目の前にすると目を閉じ、ゆっくりと深呼吸したくなる場所となっています。完成を迎えることなく、刻々と変わり続けるランドスケープを、時の経過を忘れ、ゆっくりとお愉しみください。

05.jpg?1712124628500

06.jpg?1712124647233

また、オーベルジュの顔となるレストランでは、シェフの千葉拓海氏を筆頭に、新進気鋭の料理人を揃え、那須の豊かな自然の中で育まれた食材を中心としたフレンチを、上質なワインと共に愉しむことができます。「那須 無垢の音」のメニュー作りは、生産者との出会いから始まります。厳選された食材同士が奏でる一皿のハーモニーを、モダンなフレンチコースでぜひご堪能ください。

07.jpg?1712124846943

08.jpg?1712124870887

客室は、目の前に美しい自然が広がる1棟ごとに分かれた80㎡以上の「スイートヴィラ」15室を提供します。1棟、1棟、細部までこだわり、贅沢なまでの寛ぎのひとときを演出する「スイートヴィラ」は、自然な光と風をダイレクトに感じながら、木の温もりを感じる建築美も愉しむことができます。那須の天然水で沸かす半露天仕様のお風呂や、開放感のあるテラスから、那須の自然を満喫することができ、「水庭」やレストランの食事と共に、寛ぎのひとときを過ごすことが可能です。

さらに、2024年初夏には、カジュアルに愉しめるツインタイプの「B&B(ベッド&ブレークファスト)」をオープン予定。カジュアルツインルームで、ベッド&ブレックファーストの宿泊スタイルを満喫できます。

01.jpg?1712124898011

(左から)千葉拓海総料理長、建築家・ 石上純也氏、株式会社タカラレーベン代表取締役 島田和一氏、株式会社タカラレーベン取締役 兼 執行役員 都市開発事業本部長 兼 戦略投資事業部長 岩本大志氏、 那須 無垢の音 総支配人 永山忠宏氏

09.jpg?1712125186954

株式会社タカラレーベン代表取締役 島田和一氏


開業に先立ち、3月27日(水)に「那須 無垢の音」にてオープニングセレモニーが行われました。セレモニーでは、株式会社タカラレーベン代表取締役 島田和一氏が、ホテル事業や「那須 無垢の音」について紹介。

島田氏は「タカラレーベンでは、企業ビジョン「幸せを考える。幸せをつくる。」を掲げ、全国分譲マンション供給戸数ランキングでは2023年に全国5位に位置し、全国で40都道府県にマンションを展開しています。

ホテル事業では、2022 年に、マンション事業で培った開発力や空間提案の知見を活かし、グループ初となる自社ホテルブランド「HOTEL THE LEBEN OSAKA」を大阪・心斎橋でオープンし、2026年12月には、かごしま空港ホテル「Fun&Cool Hotel KAGOSHIMA Airport」のオープンを予定しております。

この度、4月1日に新たに誕生する「那須 無垢の音」は、地産の美食と優雅な寛ぎを愉しめる「オーベルジュ」として開業し、7 月からはより気兼ねなくご宿泊いただける「B&B」をオープンする予定です。豊かな自然に恵まれた那須の地で、建築家・石上純也先生が手掛けた「水庭」を、お客様のニーズに合わせてお楽しみください」と述べました。

10.jpg?1712125264378

株式会社タカラレーベン取締役 兼 執行役員 都市開発事業本部長 兼 戦略投資事業部長の岩本大志氏


続いて、株式会社タカラレーベン取締役 兼 執行役員 都市開発事業本部長 兼 戦略投資事業部長の岩本大志氏より、「那須 無垢の音」のブランドコンセプトに触れたのちに、オーベルジュの顔となるレストランの紹介、客室である「スイートヴィラ」についての紹介がありました。

岩本氏は「「那須 無垢の音」は、石上純也先生が手掛けた「水庭」、美食を愉しめる「レストラン」と優雅にご滞在いただける「スイートヴィラ」から構成される「オーベルジュ」、7月開業予定の「B&B」の大きく3つに分かれたエリアで構成されています。

豊かな自然の中で清玲な水が育まれる、那須連山に囲まれたこの地をより一層お楽しみいただきたいという思いから、当宿泊施設では、那須の天然水を地下水脈よりくみ上げ、徹底した安全管理のもと全客室に提供しています。ミネラル分を含みスッキリした味わいが特徴の天然水と共に、素敵なティータイムや客室の半露天風呂で、くつろぎのひとときをお過ごしください。

また、開業記念として、期間限定で20%OFFの特別なプランを作成いたしましたので、この機会にぜひご利用いただき、水庭の新緑と共に那須の旬の食材をお愉しみいただければ思います」とコメントしました。

11.jpg?1712125344994

建築家・石上純也氏


「那須 無垢の音」のシンボルともいえる「水庭」を手がけた建築家・石上純也氏も登壇し、「水庭」への想いが語られました。

石上氏は「「現代の庭とは何か?」という題材のもと、約50年前水田だった土地の歴史と、この場所にある自然の素材を生かし、昔と現代の景色を重ね合わせたような新しい景色を作りたいという考えから、自然と人とが共存するアート「水庭」を構想しました。

現在の宿泊施設エリアにあった約三百数十本の樹林を采配しなおし、元々暗い環境であった森から、地面に太陽が当たる明るい環境へ変えていくことからはじめ、池の水は小川から水をひき、昔の水田を表現しました。また、この「水庭」では、元からある自然を活かし、少し整えることで、元々存在していたような、しかしながら自然界には存在しないような、新しい環境を作り上げることができました。

夏には、池の水、陸の草、光と影が交わる環境が作られ、秋には、色づいた葉が池の中に溜まる景色、冬には雪の白、影の黒のモノトーン景色に変化します。季節ごとに変化する「水庭」で、それぞれの景色で愉しんでいただきたいです」と語りました。

美しい大自然の中で、生命の息吹を感じ取れる空間とそこに滞在する時間、すべてが「無垢」な感情です。都会の喧騒を離れ、「那須 無垢の音」で、四季の移ろいをダイレクトに感じ、時に追われることを忘却するひとときをお過ごしください。


■那須 無垢の音(むくのね)

所在地:栃木県那須郡那須町高久乙道上2294-3

交通:JR「那須塩原」駅より車で30分

客室数:スイートヴィラ15室(1室82㎡)、カジュアルツイン20室(1室20㎡)

その他施設:レストラン、ワインバー、ショップ、カフェテラス、イベントホール、水庭

<スイートヴィラ 1泊2食付きプラン>

・15時チェックイン/11時チェックアウト

・ご滞在中は自由に水庭を鑑賞できます。

価格帯(年間平均)112,000円~(2名様1室、1泊2日2食付き)

予約サイト 
ブランドムービー