麻布台ヒルズ
執筆者:遠藤友香
「Green & Wellness」を軸に、「Modern Urban Village~緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街~」をコンセプトとして、人々が自然と調和しながら、心身ともに健康で豊かに生きることを目指す街「麻布台ヒルズ」。
この度、「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス(以下、チームラボボーダレス)」が、東京・お台場から移転し、2024年2月9日、麻布台ヒルズにオープン! 独立した79の作品群が複雑に関係し合うチームラボボーダレスが完成しました。森ビルとチームラボが共同で手掛け、東京・お台場にオープンしたチームラボボーダレスは、開館わずか1年で世界160ヵ国以上の国・地域から約 230万人を動員。今回麻布台ヒルズに移転したチームラボボーダレスも、オープン前から話題を集めました。
チームラボボーダレスは、アートコレクティブ・チームラボの境界のないアート群による「地図のないミュージアム」。地図がないので順路はなく、ご自身の好きなようにミュージアムをまわることができます。
アートは、部屋から出て移動し、他の作品と関係し影響を受け合い、他の作品との境界線がなく、時には混ざり合います。チームラボボーダレスは、そのような作品群による境界なく連続する1つの世界です。人々は、境界のないアートに身体ごと没入し、「境界なく連続する1つの世界の中で、さまよい、探索し、発見する」ことができるといいます。
新しいチームラボボーダレスでは、境界のないアート群は、より進化し、より多くの場所へ移動し、複雑に関係し合い、永遠と変化し続ける、境界なく連続する1つの世界を創るそう。
森ビルは「私たち森ビルは、「文化」を都市づくりにおける重要な要素と位置付けて、街ごとに個性的な文化施設を創出してきました。2018年に開館した「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソンチームラボボーダレス」(東京 お台場)もその一つであり、チームラボとともに国際都市・東京の磁力向上に貢献してきました。
ウェルネスへの意識が高まってきた今、文化やアートは人々の心を豊かにするものとして、ますます重要視されています。「Green & Wellness」をコンセプトの柱とする「麻布台ヒルズ」では、「アートによって、自分と世界との関係と新たな認識を模索したい」と考えるチームラボの作品群が、訪れる人の感性を刺激し文化を育むことを願って、「チームラボボーダレス」を移転オープンすることとしました。多様な文化発信をする「麻布台ヒルズギャラリー」、街のあらゆる場所に設置されるパブリックアートとともに、芸術・文化が一体となったミュージアムのような街を目指します」と述べています。
次に、おすすめの作品を7つピックアップします。
《人間はカメラのように世界を見ていない》
エントランスの《人間はカメラのように世界を見ていない》という作品から、このミュージアム体験は始まります。エントランス空間の指定の位置付近でカメラで見ると、「teamLab Borderless」の文字が空間に浮き上がり正体をします。しかし、同じ場所で肉眼で直接見ても、文字は浮き上がりません。人間はレンズのように世界を見ていないことを示唆しています。
チームラボ設⽴以前から、世界は境界がなく連続しているにもかかわらず、認知上分断してしまうこと、特に、レンズで⾒ると、⾃分の⾝体がある世界と⾒ている世界が分断されることに興味があったそうです。チームラボを設⽴した2001年頃から、レンズや透視図法は、空間の平⾯化の論理的な⽅法論の⼀つだと考え、レンズや透視図法とは違った、空間の平⾯化の論理を模索し始めたとのこと。⼈間はこの世界をどう認識しているか、認識と⾝体がどのように関わるのかを知りたかったといいます。
《Bubble Universe: 実体光、光のシャボン玉、ぷるんぷるんの光、環境によって生み出される光 》
《Bubble Universe: 実体光、光のシャボン玉、ぷるんぷるんの光、環境によって生み出される光 》は、チームラボの新たなアートプロジェクト「認識上の彫刻」をテーマにした、インタラクティブな作品です。空間は無数の球体群によって埋め尽くされ、それぞれの球体の中には、異なる光の存在が入り混じっています。本作は、認識と存在について、そして、人間が世界をどのように見ているのかを模索すると同時に、現象とは環境との連続的な関係性の中に存在することをほのめかしています。
チームラボ《Black Waves: 闇から生まれ闇に帰る》© チームラボ
《Black Waves: 闇から生まれ闇に帰る》は、海は全ての海と繋がっていて、この世界の全ての波は繋がりあっていることを認識させてくれます。古典的な東アジアの美術の波は、よく線の集合で表現され、線の集合でできた波は、それらが流れの中の一部であることを気が付かせてくれるといいます。そして、その線の集合は、波がまるで一つの生き物であるかのように感じたことを、思い出させてくれるのです。波は、無数の水の粒子の連続体で表現し、粒子間の相互作用を計算し、三次元上の水の動きをシミュレーションしているそうです。
《Light Sculpture - Flow》シリーズ
《Light Sculpture - Flow》シリーズは、流れ出ていく光による巨大な彫刻が生まれ、押し寄せ、広がり、人々を飲みこんでいきます。 「非対称宇宙」と呼ぶ空間に生まれるライトスカルプチャー。現実空間とミラーの中の世界とでは、非対称な異なる存在として生まれ、現実世界とミラーの中の世界を行き来します。
これまでもチームラボは、物質的ではない彫刻、「境界面の曖昧な空間彫刻」を創ってきました。「なぜ、海の渦に存在を感じるのか?そして、それを生命にすら感じるのか?構成要素が空間的時間的に離れていたとしても、部分に秩序が形成された時、部分は一つの存在として認識され、時には生命のようにすら感じる。」このような考えのもと、流れ出ていく光の集合体が、生命的宇宙を創っていくとのこと。
チームラボ代表 猪子寿之氏は「新作のライトスカルプチャーを今創っているけど、めちゃくちゃすごい。もう、空間がどうなっているか、全くわからない。宇宙に吸い込まれて、宇宙と一体化した」と語っています。
《マイクロコスモス - ぷるんぷるんの光》
《マイクロコスモス - ぷるんぷるんの光》は、奥行きすらわからない無限に広がる空間の中を、無数のぷるんぷるんの光が走り続ける作品です。「構成要素が空間的時間的に離れていたとしても、全体に異なった秩序が形成され、重なり合う時、それは、宇宙か?」を模索する作品となっています。 ぷるんぷるんの光は、チームラボのアートプロジェクト「認識上の彫刻」で、それは、物理世界には存在せず、認識世界に存在する彫刻なのです。
《スケッチオーシャン》
共同的な創造性「共創」をコンセプトにした作品《スケッチオーシャン》では、来場者が紙に描いた魚が、他者が描いた魚たちと共に目の前の海で泳ぎだします。魚たちは人々にインタラクティブに反応しながら、部屋を出て、他の作品の境界を越えてチームラボボーダレスの中を泳ぎ始めます。中でも、マグロは、ミュージアムの物理空間をも超えて、世界の他の場所で行われている展覧会へと泳いでいき、そこで描かれたマグロの群れを引き連れて帰ってきます。
スケッチファクトリー
また、《スケッチオーシャン》の作品内で描いた絵は、作品空間で動くだけでなく、自分だけの缶バッジ、Tシャツ、トートバッグとして、そのまま持ち帰ることができます。是非、お子さんと一緒に楽しんでみては。
《EN TEA HOUSE》
《EN TEA HOUSE》は、チームラボボーダレス内にあるティーハウスで、茶やアイスクリームを味わうことができます。一服の茶を点てると、茶に花が生まれ咲いていきます。花々は茶がある限り無限に咲き、器の中の茶は、花々が咲き続ける無限の世界となります。その無限に広がる世界をそのまま飲むティーハウスです。茶が存在して初めて作品が生まれるので、茶を飲み干すともう作品は存在しません。
以上、チームラボの境界のない一つの世界「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」をご紹介しました。世界中にファンを抱えるチームラボの作品群を思う存分堪能できるミュージアムです。是非、会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
■森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
【公式】チームラボボーダレス, 麻布台ヒルズ, 東京 (teamlab.art)
場所:麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1(東京都港区麻布台1-2-4)
開館時間:10:00 - 21:00
※最終入館は閉館の1時間前
※開館時間が変更になる場合があります。公式ウェブサイトをご確認ください。
休館日:第一・第三火曜日
※休館日が変更になる場合があります。公式ウェブサイトをご確認ください。
チケット価格:
大人(18歳以上):3,800円〜
中学生・高校生(13 - 17歳):2,800円
子ども(4 - 12歳):1,500円
3歳以下:無料
障がい者割引:1,900円〜
※事前日時指定予約制です。
※大人と障がい者割引につきましては変動価格制を導入し、日によって金額が異なります。日別の価格をご確認の上、日時指定チケットをお買い求めください。
※現地での購入の場合、上記価格に+200円となります。
公式チケットサイト | 森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス, 麻布台ヒルズ, 東京, 日本 (teamlab.art)
お問い合わせ:CONTACT | teamLab / チームラボ
執筆者:遠藤友香