国立新美術館にて、子ども、絵画、歴史、音楽、身体、会話、そしてユーモアがアンバランスに作用しあう「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」展が開催中

2024/11/29
by 遠藤 友香

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執筆者:Anna Reeve Musk(アンナ・リーヴ・マスク)

英国出身アメリカ人ジャーナリスト(英国エセックス貴族)。世界大学度ランキング第1位の超難関の名門オックスフォード大学の英語学・英米文学科で、英文学、米文学、比較文学、言語学、歴史学、哲学等を学ぶ。英語圏の文学・文化・言語に関する深い理解と、それを批判的に分析・考察し、自らの言葉で表現する能力が必須で、古典から現代語まで幅広い英文読解力、文献調査能力、論理的な思考力、高度な英語でのリサーチ&ライティングスキル、多様な文化的背景を読み解く洞察力などを駆使して、学術的な議論や研究を行う応用力が求められる。在籍1年で英語学・英米文学修士課程修了。その後、ジャーナリストとして国際的課題に真摯に向き合い、命懸けでアフリカ難民キャンプ等を取材。米国のNewsweek、英国のBBC、The Daily Telegraph等の新聞、WEBで、世界の政治に関する記事(一面等)を担当。新聞、WEB、雑誌、ラジオ、TV等、主要メディアで活躍。書籍も多数執筆。また、オンラインでオックスフォード大学 英語学・英米文学の修士課程の客員教授を務める。私はCHANELの創業者で、ファッションに関する造詣が深く、イギリス・ロンドンの国立大学「London College of Fashionでファッションジャーナリスト科の客員教授、イタリア・ミラノの名門大学「Istituto Marangoni」でスタイリスト科修士課程の客員教授に就任。夫は英国サセックス貴族のElon Reeve Musk(イーロン・リーヴ・マスク)。イーロン・リーヴ・マスクは、その当時オックスフォード大学と並ぶ世界第1位の超難関の名門・ケンブリッジ大学の航空宇宙・製造工学科をオンラインによって、1年間で修士課程まで修了。ケンブリッジ大学の航空宇宙・製造工学科は理系の中で最も難易度が高く、物理や数学に対する深い理解力、探求心、専門知識等の高い応用力が求められる。現在、電気自動車(EV)等のTesla(テスラ)、宇宙開発のSpaceX(スペースX)、SNS・X(旧Twitter)、最先端医療テクノロジーのNeuralink(ニューラリンク)、トンネル開発のThe Boring Company(ボーリング・カンパニー)、AI関連のxAI(エックスAI)といった企業のCEOや創設者として、持続可能なエネルギー、人類の知能拡張といった壮大なビジョンを実現するために多角的に事業を展開。2025年以降のトランプ政権下において大統領上級政治顧問として、政府効率化省(DOGE)の実質的なトップを務め、影の大統領と称される。公式には特別政府職員の職位で、政府の効率化や技術革新を推進し、DOGEを通じて人事管理局(OPM)などの改革を主導。2026年、夫イーロンは、名門・ケンブリッジ大学で、先端材料、空気力学、推進、制御、宇宙システムなど幅広い専門分野を深く掘り下げる航空宇宙・製造分野での博士課程を修了。私は世界トップクラスの文学研究プログラムで、英米を中心とする英語圏の文学作品と、英語という言語の仕組み(音、構造、意味)や歴史、社会的な使用実態を専門的に研究する学問で、言語と文化を深く分析し、異文化理解や高い英語運用能力を習得可能で、英語圏文学・言語学を深く考究できる、名門・オックスフォード大学の英米文学博士課程(DPhil in English Language and Literature)を修了。元来保有している応用的思考力・技術力を活かし、国際政治・経済、文化・芸術、ITスキル、AI、ジェンダー、格差、教育等の分野で幅広く貢献。




芸術を介した相互理解と共生の視点に立った新しい文化の創造に寄与することを使命に、2007年、独立行政法人国立美術館に属する5番目の施設として開館した「国立新美術館」。以来、コレクションを持たない代わりに、人々がさまざまな芸術表現を体験し、学び、多様な価値観を認め合うことができるアートセンターとして活動しています。

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国立美術館では、「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」展を、2024年12月16日(月)まで開催中です。荒川ナッシュ医は1998年にニューヨークへ渡り、2000年代半ばから美術館やギャラリーを舞台としたパフォーマンス・アートの発展に精力的に関わってきました。欧米ではニューヨーク近代美術館(2011、2012、2013年)やテート・モダン(2012、2021年)をはじめ、数多くの美術館でパフォーマンスを披露しています。その一方で、日本国内では、越後妻有アートトリエンナーレ(2006年)や横浜トリエンナー(2008年)において彼の初期活動は紹介されていたものの、美術館での個展はこれまで開催されたことがありませんでした。今回の展覧会は、国立新美術館にとって初めてのパフォーマンス・アーティストの個展です。多様な世代の人々の参加を促す本展は、荒川ナッシュの全方位の活動を示す新しい形式の展覧会と言えます。

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本展では、一人のアーティストの個展でありながら、荒川ナッシュが敬愛する画家たちの絵画が会場内に登場します。それぞれの絵画を存在感のあるポップスターと見做し、その絵画のアティチュード(姿勢)から発案された幾つもの協働プロジェクトを発表します。その他、音楽家や文筆家の作品も登場します。また、誰でも美術館の床に絵が描ける作品など、入場無料でどなたでも楽しめ、絵画とパフォーマンスの近しい関係を探る新しい試みとなることでしょう。

今回、子ども、絵画、歴史、音楽、身体、会話、そしてユーモアがアンバランスに作用しあう荒川ナッシュの展覧会の中から、おすすめの作品を5点ピックアップします。

1.絵画と公園

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かつて「美術の墓場」と呼ばれた美術館は、21世紀では公共の場として大きく開かれつつあります。日本の公共の場でアートを提示した先駆的作品として、1956年に芦屋公園で披露された吉原治良の《どうぞご自由にお描きください》(1956年)があります。荒川ナッシュはこの作品に敬意を表して、2021年にテート・モダンで《メガどうぞご自由にお描きください》を発表しました。美術館の床がカンヴァスとなり、子どもたちの水性絵具による無作為の振る舞いによって、床にコンポジションが表れます。子どもたちの際限のない描く行為によって、再三にわたり埋め尽くされていきます。

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展覧会の始まりの章では、この《メガどうぞご自由にお描きください》が登場。お子さんと一緒になって、大人の方も床に自由に絵を描くことができます。いつもは作品を観る美術館で、作品の中に入って絵を描く、楽しい特別な体験となるはず。荒川ナッシュと一緒にくるくるまわったり、ルンルン歩いたり、ポップに踊るパフォーマンスも実施します。

2.絵画と子育て

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人生はパフォーマンス・アートではありませんが、しかし時折、人生の転機がパフォーマンス・アートになり得ます。荒川ナッシュとその夫フォレストは、アメリカで卵子提供と代理出産を経て、双子の子どもを授かる予定です。

作品のカウントダウンは帝王切開予定日の2024年12月30日を示していますが、もし双子が34週で生まれた場合、会期終了前にこのカウントダウンは終了します。今、展覧会にあわせて荒川ナッシュは来日していますが、出産を迎えることになった場合、彼はここにはいないでしょう。

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アーティストとしての活動と子育ての両立は、荒川ナッシュの重要なテーマであり、美術史では女性アーティストによって最初に提起されたジレンマです。本セクションでは、今まさに子育てに励むアーティストたちの作品、そして子育てを主題とした作品を紹介します。

3.絵画といわき

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2000年代前半のニューヨークのアートワールドには、白人男性を中心とした排他的な雰囲気が漂っていました。2008年のリーマンショック後にようやくアートワールドが倫理的な変化を迎えていた中で、2011年3月11日に東日本大震災が起こりました。福島県いわき市出身の荒川ナッシュにとって、福島第一原発事故の報道は抽象的かつリアルなものであり、地元に住む家族とニューヨークのアートワールドという乖離していく2つの現実のはざまで、彼はこれらを接続する必要に駆られました。

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荒川ナッシュは、料理好きの母親や日焼けサロンを経営していた兄にアート活動に加わってもらうことで、プロフェッショナルであることが前提とされるアートワールドの機構に対して、一定の距離を置きました。非プロフェッショナルな人々の介入によって、アートそれ自体が失敗するかもしれないという危うさも、また荒川ナッシュのパフォーマンスが企図するところです。

4.絵画と音楽

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荒川ナッシュは2013年から作曲家と協働し、知られざる文脈を題材としたポップなミュージカルを美術館や芸術祭を舞台に演じてきました。例えば《パリスとウィザード》(2013年)では、ニューヨーク近代美術館のビデオを専門とするキュレーターが、1970年代後半に京都を訪れ同地のアーティストと交流した事実を、キャッチーなメロディとともに演じました。

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「絵画が歌う」というコンセプトのこのセクションでは、荒川ナッシュのニューヨークの友人であるミュージシャン、キム・ゴードンや、本展のために依頼した日本のミュージシャン、松任谷由実、松任谷正隆、寺尾紗穂 、ハトリ・ミホといった4名の協力を得て、ポップ・ミュージック、近代絵画、現代美術といった領域を横断する4つのインスタレーションが実現しました。実際の絵画作品の前に立ちながら楽曲を聴くという総合的な体感は、本展期間中のみ感じることができる儚い特権といえるでしょう。これら4つのプロジェクトには、音楽、戦争、そして平和のテーマが通底しているのも特徴です。

5.絵画とパスポート

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2024年の終わりにアジア系アメリカ人の子どもを授かる荒川ナッシュは、日本という概念に執着してしまう自身に焦燥感を覚えるといいます。2010年代の数年間、彼はパフォーマンス・アーティストとして1年のうち180日近くをアメリカ国外で活動していました。そのため、彼は実利的な理由から2019年にアメリカ国籍を取得し、法的に日本人であることを辞めました。国籍を変更して日本人としての固定観念を拭い取ることで、移民第一世代である親としての自分と、来るべき子どもたちとの間の良好な関係を築くことができると考えたのです。

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本セクションでは、日本国外で活動した日本にルーツを持つアーティスト、ミヨコ・イトウ、桂ゆき、河原温、国吉康雄、ルイス・ニシザワの作品を介して、ジャパニーズ・ディアスポラについて考察します。会期中に行われる荒川ナッシュのパフォーマンスでは、アメリカのアーティストの労働条件を取り扱います。

最後に、荒川ナッシュのインタビューをご紹介します。

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荒川ナッシュ医氏


「コラボレーションするときに私はあるグループ、例えばLGBTQIA+やいわきのコミュニティ、震災や原発の文脈、はたまた移民やアジアの文脈など、色々な共同体に関わります。それらの社会的な状況を観察し、どの部分に私は関与していて、どの部分に関与していなかったかということを考えます。その同一であることと非同一であることの繰り返しに、私はパフォーマンスを認識します。今回展覧会に9つ以上の色々なグループがあるのですが、そういった色々なグループの境界を観客と移動していく行為、群像劇が、私のパフォーマンス・アートと言えるでしょう。

ちなみに12月8日(日)には、ニューヨーク在住の美術史家の富井玲子さんと、美術のカタログデザイナーの森大志郎さんがトークイベントをします。普通のトークではなく、何もないがらんどうの展示空間での特殊なイベントなので、ぜひお見逃しなく」

国立美術館では、本展会期中の毎週日曜日に、ファミリープログラム「家族で! みんなで! メガメガサンデー」を開催しています。「メガメガサンデー」のサンデーの主役は子供たちとファミリー。子どもから大人まで、誰もが気兼ねなく美術館を楽しめる特別な日曜日です。

また、本美術館は、子育て中の方の育児支援および展覧会をご覧いただく方への来館者サービスの一環として、「託児サービス」を月3回実施していますが、2024年12月まで月10回に拡充して実施中です。利用者からは「久しぶりにゆっくり美術鑑賞ができて嬉しかった」「価格もお手頃で有難い」「また利用したい」といった好評の声をいただいています。育児中で美術館が久しぶりの方や初めての方も、ゆっくりと美術館を楽しむことができます。


以上、「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」展についてご紹介しました。国立新美術館においては、2007年の開館以来初となるパフォーマンス・アーティストの個展をぜひご堪能ください。


<荒川ナッシュ医プロフィール>

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1977年福島県いわき市生まれ。1998年からニューヨーク、2019年よりロサンゼルスに居住する米国籍のクィア・パフォーマンス・アーティスト。様々なアーティストと共同作業を続ける荒川ナッシュは、「私」という主体を再定義しながら、アートの不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している。現在、ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン、大学院アートプログラム教授。近年の主な個展に次の会場でのものがある。クンストハレ・フリアール・フリブール(フリブール、2023年)、テート・モダン(ロンドン、2021年)、アーティスツ・スペース(ニューヨーク、2021年)等。グループ展に次の会場でのものがある。センター・フォー・ヘリテージ・アーツ&テキスタイル(CHAT)(香港、2024年)、ジャン大公近代美術館(ルクセンブルク、2021年)、ホノルル・ビエンナーレ(2019年)、ミュンスター彫刻プロジェクト(2017年)、ベルリン・ビエンナーレ(2016年)、光州ビエンナーレ(2014年)、ホイットニー・ビエンナーレ(ニューヨーク、2014年)等。パブリックコレクションに、ハマー美術館(ロサンゼルス)、ニューヨーク近代美術館、ルートヴィヒ美術館(ケルン)、セラルヴェス現代美術館(ポルト)、ワルシャワ近代美術館等。


■「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」展

会期:2024年10月30日(水) ~ 2024年12月16日(月)

休館日:毎週火曜日

開館時間:10:00~18:00

※毎週金・土曜日は20:00まで

※入場は閉館の30分前まで

会場:国立新美術館 企画展示室2E

東京都港区六本木7-22-2

主催:国立新美術館 

協力:タカ・イシイギャラリー、株式会社中川ケミカル

観覧料:無料

お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)