チームラボ《人々のための岩に憑依する滝 》©チームラボ
執筆者:遠藤友香
森ビル株式会社がアートコレクティブ・チームラボと手がける「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス(以下、チームラボボーダレス)」。チームラボボーダレスは、アートコレクティブ・チームラボの境界のないアート群による「地図のないミュージアム」です。アートは部屋から出て移動し、他の作品と関係し影響を受け合い、他の作品との境界線がなく、時には混ざり合います。チームラボボーダレスは、そのような作品群による境界なく連続する1つの世界であり、来館者は境界のないアートに身体ごと没入し、「境界なく連続する1つの世界」のなかを「さまよい、探索し、発見」する唯一無二の体験ができます。
この度、チームラボボーダレスが、アメリカのニュース雑誌「TIME」が発表した「THE WORLD'S GREATEST PLACES 2024(世界で最も素晴らしい場所2024年度版)」に選出されました。(※「TIME」誌「THE WORLD'S GREATEST PLACES 2024」記事はこちらから)。麻布台ヒルズへ移転前のお台場では、2019年にも「TIME」誌で「World's Greatest Places 2019(世界で最も素晴らしい場所 2019年度版)」に選出されました。
「TIME」誌は1923年に創刊され、発行部数368万部、世界200カ国で読者数2,000万人にもおよぶ世界最大の週刊誌です。2018年から始まった本企画は、「TIME」誌が「今すぐ体験すべき世界100の新目的地」を選出したもので、全世界のTIME誌の編集者、特派員、専門家たちから募った、美術館、テーマパーク、レストラン、ホテルなど複数のカテゴリーの候補地の中から、クオリティ・オリジナリティ・持続性・革新性・影響力をもとに選ばれています。チームラボボーダレスは、特にクオリティ・オリジナリティの点で選ばれ、今年2月の開館からわずか半年での選出となりました。
「TIME」誌は、「チームラボボーダレスは、ソーシャルメディアの定番となった没入型アートから群を抜く、技巧を凝らした空間だ。息を呑むようなインスタレーション作品《人々のための岩に憑依する滝》は鑑賞者の動きによって流れが変化する。《Bubble Universe》や《Microcosmoses》は、球体に鑑賞者が近づくと反応し、二度と再現できない魅惑的な光の波紋を生み出す」と伝えています。
次に、主な作品を4つご紹介します。
1.《人々のための岩に憑依する滝》
チームラボ《人々のための岩に憑依する滝 》©チームラボ
「人々のための岩」に降り注ぐ滝は、岩と人々の存在、そして、この空間に入ってくる他の作品の影響を受け、変容し続けます。また、水の流れそのものが、この空間に入ってくる他の作品に影響を与えていきます。今この瞬間の絵は二度と見ることができません。
そして、滝が映し出された壁や床は、我々と作品との境界面にならず、滝の作品空間は、人々の身体のある空間と連続します。
2.《Bubble Universe: 光の球体結晶、ぷるんぷるんの光、環境が生む光 - ワンストローク》
チームラボ《Bubble Universe: 光の球体結晶、ぷるんぷるんの光、環境が生む光 - ワンストローク》©チームラボ
「認識上の彫刻」をテーマにした、インタラクティブな作品です。空間は無数の球体群によって埋め尽くされ、それぞれの球体の中には、異なる光の存在が入り混じっています。
人が球体の近くで立ち止まりじっとしていると、最も近い球体が強く輝き音色を響 かせ、光はその球体から最も近い球体に伝播します。伝播した光は、最も近い球体に伝播し連続していきます。光は、空間内の球全ての球体を通る1本の光の軌跡になります。
そして、自分から生まれた光と、他者から生まれた光は交差していきます。
3.《マイクロコスモス:ぷるんぷるんの光、環境が生む光》
チームラボ《マイクロコスモス:ぷるんぷるんの光、環境が生む光》©チームラボ
奥行きのわからない無限の空間の中を、無数の光が走り続けます。
「構成要素が空間的時間的に離れていたとしても、構成要素全体に異なった秩序が形成され、それらが重なり合う時、それは、 宇宙か?」を模索した作品です。
半球の中は、「ぷるんぷるんの光」と「環境が生む光」が重なり合います。ぷるんぷるんの光は、チームラボが創る「境界面の曖昧な空間彫刻」の一つで、認識世界に存在する彫刻です。
4.《スケッチオーシャン》
チームラボ《スケッチオーシャン》©チームラボ
この海は、みんなが描いた魚たちが泳ぐ海です。
来館者が紙に自由に魚の絵を描きます。すると、目の前の海でみんなが描いた魚と共に泳ぎだします。泳いでいる魚は触れることもでき、触れられた魚は、いっせいに逃げだします。エサ袋に触ることによって、 魚にエサをあげることもできます。
魚たちは部屋を出て、他の作品の境界を越えてチームラボボーダレスの中を泳ぎ始めます。中でもマグロは、ミュージアムの物理空間をも超えて、世界の他の場所で行われている展覧会へと泳いでいき、そこで描かれたマグロの群れを引き連れて帰ってきます。
以上、米TIME誌の「世界で最も素晴らしい場所」に選出された、チームラボボーダレスについてご紹介しました。ぜひ、夏休み期間中、お子さまと一緒に訪れてみてはいかがでしょうか。
■「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」
開館時間:9:00 - 21:00
※9月3日(火)は17時閉館(最終入館16時)
※最終入館は閉館の1時間前
休み:8月20日(火)、9月17日(火)
場所:麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1
東京都港区麻布台1-2-4
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