執筆者:遠藤友香
寺⽥倉庫が運営する、倉庫空間を現代アートや建築との出会いの場へと昇華させた、倉庫会社ならではのミュージアム「WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)」。倉庫内で静かに光を放つ⽂化的価値を暗⽰したWHAT(WareHouse of Art Terrada)の名のもとに展⽰されるのは、平⾯や⽴体のアート作品をはじめ、建築模型、写真、映像、⽂学、インスタレーションの数々です。寺⽥倉庫が作家やコレクターから預かっている作品も紹介することで、作品の保管、展⽰、交流の場を繋いでいるのが特徴的となっています。さらに、天王洲という国際的なアートシティのハブとして、地域のアートコミュニティの核となり、倉庫空間から世界へ芸術⽂化を発信していきます。
この度、現代アートと建築のミュージアム「WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)」は、2025年7⽉ 6⽇(⽇)まで「Reborn-いのちを織りなすアーティストたち-」展を開催中です。本展では、⽇本⽂化の根底に流れる「⾃然との共⽣」と「いのちの⾏⽅」をテーマに、現代アーティスト6名による約67点を展示しています。
⽇本は古くから⾃然との共⽣を重んじ、その美しさや⼒に畏敬の念を抱いてきました。また、季節の移り変わりや⾃然のリズムは⽣活や⽂化に深く根付き、⽇本独⾃の美を⽣み出しました。
本展は、現代では薄れつつも⽇々の暮らしの中で⼤切に継承されてきた⾃然との深い関わりに着⽬し、それを創作活動へ取り⼊れながら「いのちの⾏⽅」について視覚的に提⽰する6名のアーティストを紹介するものとなっています。
アーティストたちは、流⽊や古紙ダンボール、狩猟で得た膠(にかわ)など、出会った素材と真摯に向き合い、対話を重ねながら作品を⽣み出しています。そうして⽣まれた作品は、それぞれ異なる表情を持ちながらも、共通の⽅向へと私たちを誘います。
彼らの作品を通じて⾃然との向き合い⽅を改めて考えるとともに、環境破壊や気候変動への危機感が⾼まる今、本展が私たちの⽇常の営みを⾒つめ直す⼀助となることを願っていると「WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)」は述べています。
以下、出展作家と作品をご紹介します。 (五⼗⾳順・敬称略)
鈴⽊初⾳(すずき はつね)
鈴木初音「花と貝と」 2022年 佐藤美術館蔵
1995 年神奈川県⽣まれ。⾃ら育てた植物や天然由来の材料を⽤いた平⾯作品を制作。古より受け継がれた素材とその⼿仕事を追体験することで現代のものづくりの根源を追求する。
⽟⽥多紀(たまだ たき)
玉田多紀「絶滅危惧種の物語」 2015-2023年 ウッドワン美術館蔵
撮影・Photo:稲澤朝博
1983 年兵庫県⽣まれ。古紙ダンボールを巧みに⽤い⽣き物の造形美や性質をユニークに捉えた⽴体作品を制作。ダンボールの特性を⽣かした独⾃の技法を美術教育の現場でも広めている。
永沢碧⾐(ながさわ あおい)
永沢碧衣「解ける者」 2021年
1994 年秋⽥県⽣まれ。主に東北の狩猟・マタギ⽂化に傾倒し、⾃らも狩猟免許を取得。⽣き物の命に感謝しそれを余すことなく使い別の命に繋ぐ⾏為はまさに古来より受け継がれてきた根源的循環に他ならない。
帆刈晴⽇(ほかり はるひ)
帆刈晴日「yarn -color wheel-」(部分)2025年
1990 年愛知県⽣まれ。⾃らが描いた絵画作品を解体し再構築し新たな造形に創りかえる。その⾏為は今までの美術の常識を覆したリサイクルするアートと⾔える。
⽔⽥典寿(みずた のりひさ)
水田典寿「夢」(部分) 2024 年 cNorihisa Mizuta
1977 年東京都⽣まれ。海からの漂着物や廃棄された家具などを⽤い、できるだけ⼿を加えず、素材本来の美を輝かせようとするアプローチは新たな価値の創造に他ならない。
宮川達也(みやかわ たつや)
宮川達也「伸」 2006 年 宮川達也ギャラリー蔵
1961 年岐⾩県⽣まれ。板材として使われなかった⽊々を⽤いた彫刻を制作。30 年以上にわたり学校教育に携わりながら追求した造形経験はしなやかなやさしさと美しさを孕んでいる。
■「Reborn-いのちを織りなすアーティストたち-」展
会期︓2025年4 ⽉26⽇(⼟)〜2025年7⽉6⽇(⽇)
会場︓WHAT MUSEUM 東京都品川区東品川2-6-10 寺⽥倉庫G号
開館時間︓⽕曜〜⽇曜 11︓00〜18︓00(最終⼊館 17︓00)
休館⽇︓⽉曜(祝⽇の場合、翌⽕曜休館)
⼊場料︓⼀般 1,500 円、⼤学⽣/専⾨学⽣ 800 円、⾼校⽣以下 無料、展覧会パスポート 2,500 円(会期中何度でも⼊場可能)
主催・企画︓WHAT MUSEUM
後援︓品川区、品川区教育委員会
監修︓⽴島惠(佐藤美術館学芸部⻑、美術評論家)